不動産売却の流れ9ステップ|査定から引き渡し・確定申告までの全体の地図

不動産売却の流れを、準備・査定から引き渡し、翌年の確定申告まで9つの段階で整理します。段階ごとに、決めること・法律の決まり・くわしい記事への道順をまとめた、売却全体の地図です。
結論
- 不動産売却の流れは「準備 → 査定 → 媒介契約 → 売り出し → 内見 → 条件交渉 → 売買契約 → 決済と引き渡し → 確定申告」の9段階です。
- 仲介で売る場合、媒介契約から引き渡しまでは、買い手が見つかる早さで期間が大きく変わります。
- 専任媒介と専属専任媒介の契約期間は、法律で3か月までと決まっています。
- 売った翌年には、利益が出たときや特例を使うときに確定申告が必要です。期間は原則として2月16日から3月15日までです。
「家を売りたい。でも、何から始めればいいのか分からない」。初めて売るときは、ここで立ち止まりがちです。
売却は、査定、契約、引き渡し、税金と、場面ごとに相手も書類も変わります。全体の順番が見えないと、いま何を決めるべきかも分かりません。
この記事は、売却の全体の地図です。9つの段階を順に説明し、くわしい話はそれぞれの記事へご案内します。
不動産売却の流れとは
9つの段階の全体像
不動産売却の流れとは、売ろうと決めてから、代金を受け取り、税金の申告を終えるまでの一連の手順です。ここでは、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」で売る場合を基本にします。
- 準備:名義、ローンの残り、手元の書類を確かめる
- 査定:不動産会社に、売れそうな価格を出してもらう
- 媒介契約:売却を頼む会社を決め、契約を結ぶ
- 売り出し:価格を決め、広告やレインズへの登録で買い手を探す
- 内見:買い手候補に物件を見てもらう
- 条件交渉:買付の申込みを受け、価格や引き渡し日を話し合う
- 売買契約:重要事項の説明を経て契約を結び、手付金を受け取る
- 決済と引き渡し:残りの代金を受け取り、登記を移し、鍵を渡す
- 確定申告:売った翌年に、必要に応じて税金の申告をする
段階ごとの主な相手
| 段階 | 主な相手 | 売り主が決めること |
|---|---|---|
| 準備 | 法務局、金融機関、家族 | 売るかどうか、だれの名義で売るか |
| 査定 | 不動産会社 | どの会社に査定を頼むか |
| 媒介契約 | 不動産会社 | 頼む会社と契約の種類 |
| 売り出し・内見 | 不動産会社、買い手候補 | 売り出し価格、内見の日程 |
| 条件交渉・売買契約 | 買い主、不動産会社 | 価格、引き渡し日、付帯設備の扱い |
| 決済と引き渡し | 買い主、金融機関、司法書士 | 引っ越しの日、残す物と持ち出す物 |
| 確定申告 | 税務署 | 特例を使うかどうか |
準備と査定:売る前に確かめる3つのこと
名義・ローン・書類を確かめる
最初に、登記の名義がだれになっているかを確かめます。親から相続した家で名義が親のままなら、先に相続登記が必要です。くわしくは「相続登記の義務化」をご覧ください。
住宅ローンが残っている場合は、残高を金融機関に確かめます。売った代金で返し切れるかどうかで、進め方が変わるからです。返し切れない場合は「任意売却とは」も参考になります。
手元の書類は、この段階では、ある物を集めるだけで足ります。段階ごとの一覧は「不動産売却の必要書類」にまとめています。
査定を頼む
査定とは、不動産会社が「この価格なら売れそうだ」という見込みを出すことです。資料だけで出す机上査定と、現地を見て出す訪問査定があります。違いは「不動産査定の種類」で説明しています。
査定価格は、売れる価格の約束ではありません。複数の会社に頼み、価格よりも根拠の説明が分かりやすいかを比べましょう。法律でも、会社が価格について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと決まっています。
仲介か買取かを考える
急いで現金にしたい、古くて買い手が付きにくい、といった場合は、不動産会社に直接買ってもらう「買取」も選べます。流れと注意点は「不動産買取の流れ」をご覧ください。
媒介契約:売却を頼む会社と契約の種類を決める
媒介契約とは
媒介契約とは、不動産会社に買い手探しを頼むときに結ぶ契約です。一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3つがあり、頼める会社の数や報告の頻度が違います。
| 比べる点 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 頼める会社 | 複数社 | 1社だけ | 1社だけ |
| 契約期間 | 法律の上限なし | 3か月まで | 3か月まで |
| レインズへの登録 | 義務なし | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
| 活動の報告 | 頻度の決まりなし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズとは、国土交通大臣が指定した不動産の情報網(指定流通機構)です。登録の日数には、会社の休業日は数えません。
どれを選ぶかは、物件の売れやすさと、売り主がどこまで手間をかけられるかで決まります。くわしくは「一般媒介と専任媒介はどっちがいい?」をご覧ください。会社選びの観点は「売却の会社の選び方」にまとめています。
専任媒介・専属専任媒介の期間は、3か月より長く決めても3か月になります。更新は売り主の申し出があったときだけです。自動で更新される約束は無効です。
売り出しから条件交渉まで:買い手を見つける段階
売り出し価格を決める
売り出し価格は、会社と相談して売り主が決めます。査定価格をもとに、早く売りたいのか、時間をかけても高く売りたいのかで考えます。
ここで迷いやすいのが、値下げのタイミングです。売り出す前に「何週間反応がなければ、いくら下げるか」を会社と決めておくと、あとで慌てずに済みます。
内見の準備
内見とは、買い手候補が実際に物件を見に来ることです。住みながら売る場合は、片付けと換気、明るさの確保が基本です。空き家の場合は、通水や草刈りなど、傷みが目立たない手入れをしておきます。
買付の申込みと条件交渉
買いたい人が現れると、価格や引き渡し日を書いた申込みが届きます。値引きの希望が付くこともあります。
交渉では、価格だけでなく、引き渡し日、エアコンなど設備を残すかどうか、境界の確認をだれが行うかも話し合います。ここで決めた内容が、そのまま契約書に入ります。
ポイント
- 媒介契約は3種類。専任系は期間3か月まで
- 売り出し前に、値下げの判断の目安を会社と決めておく
- 条件交渉では、価格のほかに引き渡し日と設備の扱いを決める
- 決めた条件は、そのまま売買契約書に入る
売買契約:契約の前後で確かめること
重要事項の説明と契約
売買契約の前に、不動産会社の宅地建物取引士が、買い主に重要事項を説明します。法律で、契約が成立するまでの間に、書面を渡して説明することが決まっています。
売り主にとって大切なのは、物件の状態を正しく伝えることです。雨漏り、設備の不具合、境界の争いなど、知っていることは書面に書いて伝えましょう。
手付金と解除
契約のときには、買い主から手付金を受け取るのが一般的です。民法では、相手が契約の履行に取りかかるまでは、買い主は手付金を手放して、売り主は手付金の倍の額を払って、契約を解除できるとしています。
契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約の内容と合わないときに、売り主が負う責任です。修理や代金の減額などを求められることがあります。
民法では、買い主が種類や品質の不適合を知った時から1年以内に売り主へ通知しないと、原則として責任を問えなくなります。ただし、売り主が引き渡しの時に知っていた場合などは別です。責任を負わない特約を結んでも、知っていて伝えなかった事実については責任を免れません。
契約書の特約は、売り主の負担を大きく左右します。分からない条文は、署名の前に会社へ説明を求め、必要なら専門家に確かめてください。
決済と引き渡し:代金を受け取り、名義を移す
決済の日に行うこと
決済とは、残りの代金を受け取り、物件を引き渡す手続きです。多くの場合、金融機関に売り主、買い主、不動産会社、司法書士が集まって行います。
- 買い主から残りの代金を受け取る
- 住宅ローンが残っていれば、その場で返し、抵当権を外す手続きをする
- 司法書士が、名義を買い主に移す登記を申請する
- 鍵と、設備の説明書などを買い主に渡す
- 固定資産税などの精算金や、仲介手数料を支払う
よくあるつまずき
決済の直前に慌てやすいのが、登記識別情報(いわゆる権利証)が見つからない場合と、登記の住所が今の住所と違う場合です。どちらも準備に時間がかかります。媒介契約のころに確かめておきましょう。
もう1つは、引っ越しの遅れです。住みながら売る場合は、引き渡し日までに家を空ける段取りを、契約の時点で組んでおきます。
確定申告:売った翌年に忘れずに
申告が必要になる場面
不動産を売って利益が出た場合は、翌年に確定申告をします。利益とは、売った金額から、買ったときの費用(取得費)と売るための費用(譲渡費用)を引いた額です。
利益が出ていなくても、特例を使う場合には申告が条件になっているものが多くあります。計算のしかたは「不動産売却の税金」、空き家の特例は「空き家の3,000万円特別控除」で説明しています。
申告の期間
国税庁によると、確定申告の期間は、原則として売った年の翌年2月16日から3月15日までです。購入時の契約書や、仲介手数料の領収書は、この申告で使います。売却が終わっても捨てずに保管しましょう。
場面別:流れのどこに気をつけるか
相続した実家を売る場合
相続した家は、名義の変更と、相続人どうしの話し合いが先になります。準備の段階に時間がかかるのが特徴です。流れは「相続した実家の売却」でくわしく説明しています。
住みながら売る場合
内見の対応と、引っ越しの段取りが負担になります。売り出す前に、内見に応じられる曜日や時間帯を会社に伝えておくと、調整がしやすくなります。
空き家を売る場合
傷みや草木の伸びは、内見の印象を下げます。売れるまでの管理を、だれがどの頻度で行うかを決めておきましょう。売るか貸すかで迷う場合は「実家は売るか貸すか」も参考になります。
段階ごとのチェックリスト
- 準備:名義、ローン残高、権利証の有無を確かめた
- 査定:複数社の根拠を比べた
- 媒介契約:契約の種類と期間、報告の頻度を確かめた
- 売買契約:物件の状態を書面で伝え、特約を理解した
- 決済:住所の変更登記や引っ越しの段取りを済ませた
- 申告:翌年の申告期間と、必要な書類の保管場所を決めた
よくある質問
- 不動産売却の流れで、いちばん時間がかかるのはどこですか?
- 多くの場合、売り出してから買い手が見つかるまでです。物件や価格、時期によって大きく変わるため、一律の目安は言えません。
- 査定を頼んだら、その会社に売却を任せないといけませんか?
- いいえ。査定を頼んでも、媒介契約を結ぶまでは任せる義務はありません。複数社の説明を比べてから決められます。
- 専任媒介の途中で会社を変えられますか?
- 専任媒介の期間は3か月までなので、期間が終われば別の会社に頼めます。途中で解除する場合は、契約書の解除の条項を確かめてください。
- 売却後の確定申告はいつしますか?
- 原則として、売った年の翌年2月16日から3月15日までです。利益が出たときや、特例を使うときに必要です。
- ローンが残っていても売れますか?
- 売った代金で返し切れるなら、決済の日に返して抵当権を外すことで売れます。返し切れない場合は、金融機関との相談が先になります。
関係する会社と記事
売却を頼む会社は、会社一覧と売買を扱う会社から探せます。どこに頼むか決めかねる場合は、一括相談でまとめて話を聞くこともできます。使い方は「一括相談の使い方」をご覧ください。
まとめ
- 不動産売却の流れは、準備から確定申告までの9段階
- 準備の段階で、名義・ローン残高・権利証を確かめておく
- 専任媒介・専属専任媒介の期間は3か月まで。報告の頻度も法律で決まっている
- 契約不適合の通知は、買い主が知った時から1年以内が原則
- 確定申告は、原則として売った翌年の2月16日から3月15日まで




