不動産売却の会社の選び方。仲介と買取の違い、媒介契約、手数料と比べる6つの点

不動産を売る会社は、まず売り方を決めてから、査定の根拠と実績で比べて選びます。仲介と買取の違い、媒介契約の3種類、手数料の上限、比べるときの6つの点をまとめました。
結論
- 不動産売却の会社は「売り方を決める → 複数社の査定を比べる → 根拠と実績で選ぶ」の順で選びます。
- 早く確実に売るなら買取、相場に近い価格をねらうなら仲介が基本です。
- 仲介手数料には国の上限があります。価格の高さより、査定の根拠を説明できるかで比べましょう。
家や土地を売るとき、どの会社に頼むかで、売れるまでの期間や手元に残るお金が変わります。とはいえ、不動産を売るのは一生に何度もないことです。何を基準に選べばよいか分からない、という方がほとんどです。
「査定額が一番高い会社にすればいいの?」「大手と地元の会社、どちらがいいの?」と迷う方も多いでしょう。相続した実家が遠くにあり、現地の会社を知らないという悩みもよく聞きます。
この記事では、売り方の違いから、契約の種類、手数料の決まり、会社を比べる点までを順に整理します。読み終えるころには、自分の物件ならどの会社に何を聞けばよいかが分かるはずです。
不動産売却の会社選びは「売り方」を決めることから
仲介とは
仲介とは、不動産会社が買い手を探し、売り主と買い主の間に入って契約をまとめる売り方です。市場の相場に近い価格で売れる可能性がある一方、買い手が見つかるまで時間がかかることがあります。
買取とは
買取とは、不動産会社が自ら買い主になって物件を買い取る売り方です。早く確実に現金化でき、会社が直接買う場合は仲介手数料もかかりません。その代わり、価格は仲介で売る場合より低くなるのが一般的です。
仲介と買取の比べ方
| 比べる点 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買い主 | 一般の個人や会社 | 不動産会社 |
| 価格 | 相場に近い価格をねらえる | 仲介より低くなるのが一般的 |
| 売れるまでの期間 | 買い手しだいで長くなることもある | 条件が合えば早い |
| 仲介手数料 | かかる(上限あり) | 会社が直接買う場合はかからない |
| 向いている物件 | 立地がよい、状態がよい物件 | 古い家、急いで現金化したい物件 |
買取の流れや注意点は「不動産買取の流れと注意点」で詳しくまとめています。
仲介か買取か、迷ったときの分かれ道
迷うときは、何を一番大切にしたいかで分けて考えます。条件ごとに整理すると、次のようになります。
- 売る期限が決まっている、または早く現金にしたいなら、買取を中心に考える
- 期限に余裕があり、少しでも高く売りたいなら、仲介を中心に考える
- 建物が古く、修理が要るか分からないなら、両方の見込みを聞いてから決める
- 近所に知られずに売りたいなら、広告を出さずに進められる買取も候補になる
決めきれない場合は、仲介と買取の両方を扱う会社に、それぞれの手取りの目安を出してもらいます。同じ物件で並べると、差がはっきり見えます。
仲介を頼むときの媒介契約は3種類
仲介を頼むときは、不動産会社と「媒介契約」を結びます。媒介契約には3つの種類があり、頼める会社の数や、会社の義務が違います。
| 種類 | 頼める会社 | 自分で見つけた買い手 | 活動の報告 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介 | 複数社に同時に頼める | 直接契約できる | 法律上の頻度の決まりはない |
| 専任媒介 | 1社だけ | 直接契約できる | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介 | 1社だけ | 会社を通さずには契約できない | 1週間に1回以上 |
専任媒介と専属専任媒介の有効期間は、宅地建物取引業法で3か月までと決まっています。会社は、物件を国土交通大臣が指定した情報網(指定流通機構、通称レインズ)に登録する義務もあります。
どちらを選ぶかの考え方は「一般媒介と専任媒介はどっちがいい?」で、物件や状況ごとに整理しています。
仲介手数料の上限と、800万円以下の特例
手数料の上限は国が決めている
仲介手数料(媒介報酬)の上限は、宅地建物取引業法にもとづく国土交通大臣の告示で決まっています。売買の場合、売り主・買い主それぞれから受け取れる額は、価格を3つに区切って計算します。
| 売買価格の区分 | 上限の割合(消費税込み) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円を超え400万円以下の部分 | 4.4% |
| 400万円を超える部分 | 3.3% |
価格が400万円を超える場合は、まとめると「売買価格の3%+6万円(別途消費税)」になります。
800万円以下の物件の特例
2024年7月1日から、800万円以下の物件(告示では「低廉な空家等」)について特例ができました。会社は、仲介にかかる費用を考えて、通常の計算を超えて報酬を受け取れます。上限は30万円の1.1倍(消費税込み)です。
この特例を使う場合、会社は媒介契約を結ぶ前に、報酬の額を説明して合意を得る必要があると、国の通達に書かれています。
手数料はあくまで上限です。実際の額は媒介契約で決まります。契約の前に金額を書面で確かめましょう。
不動産売却の会社を比べる6つの点
ポイント
- 査定の根拠を説明できるか
- その地域・その種類の物件を扱った実績があるか
- 仲介と買取の両方の選択肢を示してくれるか
- 宅地建物取引業の免許を確かめられるか
1. 査定価格の根拠
宅地建物取引業法では、会社が売る価格について意見を述べるときは、根拠を明らかにしなければならないと決まっています。どの成約事例と比べたか、建物をどう評価したかを聞きましょう。査定の種類や見方は「不動産の査定の種類」で詳しく説明しています。
2. 地域と物件の実績
同じ売買でも、マンション、一戸建て、土地、収益物件では売り方が違います。その地域で、似た物件を扱ったことがあるかを確かめます。
3. 売り方の提案
仲介だけ、買取だけを勧める会社より、両方の選択肢と、それぞれの手取りの目安を示してくれる会社の方が比べやすくなります。
4. 免許
宅地建物取引業を営むには、国土交通大臣か都道府県知事の免許が要ります。免許の有効期間は5年です。免許番号は、国土交通省の業者検索で確かめられます。
5. 販売の計画
広告をどこに出すか、内見にどう対応するか、価格を見直す目安はいつかを聞きます。具体的に答えられる会社ほど、売り出したあとも安心です。
6. 連絡の取りやすさ
売却は数か月にわたることがあります。担当者が質問にすぐ答えてくれるか、報告の方法が自分に合うかも大切です。
状況別:会社選びで気をつけたいこと
相続した実家を売るとき
売る前に、相続の登記で名義を相続人に移す必要があります。相続登記は、相続で取得したと知った日から3年以内に申請する義務があります。詳しくは「相続登記の義務化」をご覧ください。
実家が遠方にあるときは、現地の事情に詳しい会社を選ぶと、やり取りの手間が減ります。荷物の片付けや、空き家の管理まで相談できるかも確かめましょう。
住みながら売るとき
内見のたびに家を見せることになります。内見の日程の調整や、住み替え先との時期の合わせ方を、具体的に相談できる会社が安心です。
賃貸中の物件を売るとき
入居者がいるまま売る場合は、投資用の物件を扱う会社の方が慣れています。賃貸借契約や家賃の記録をそろえておくと、話が早く進みます。
例:遠方の実家を相続したAさんの場合
たとえば、親が住んでいた築40年の一戸建てを相続したAさん。Aさんは実家から離れた都市に住んでいて、現地の会社を知りません。何度も通うのも難しい状況です。
Aさんのような場合は、まず相続登記と、家の中の荷物の量を確かめます。そのうえで、現地に詳しい会社と、遠方とのやり取りに慣れた会社の両方に査定を頼みます。鍵の預け方や、内見に立ち会えないときの対応も、最初に聞いておくと安心です。
古い家や、長く空き家だった家を売るとき
建物が古い場合は、家を残したまま売るか、更地にして売るかで、買い手も価格も変わります。どちらがよいかは地域や土地の形で違うため、両方の見込みを聞きましょう。
境界がはっきりしない土地では、測量が要ることもあります。費用と時間がかかるため、測量の要否を早めに会社へ確かめておくと、売り出しが遅れずに済みます。
会社選びでよくある失敗
- 査定額の高さだけで決め、売れずに値下げを重ねる
- 媒介契約の種類や有効期間を確かめずに契約する
- 手数料の額を口頭で聞いただけで、書面で確かめない
- 1社の話だけで、仲介と買取のどちらにするか決めてしまう
どれも、契約の前に比べて、書面で確かめれば防げることです。
失敗を避けるためのひと工夫
査定を頼むときは、どの会社にも同じ資料を渡し、同じ質問をします。前提がそろうと、価格や提案の違いが、会社の考え方の違いとして見えてきます。
聞いた内容は、会社ごとにメモに残しておきましょう。あとで比べるときに、説明の食い違いに気づきやすくなります。
会社に頼むまでの流れ
- 売りたい理由と時期を整理する(住み替え、相続、現金化など)
- 物件の資料をそろえる(登記の内容、購入時の契約書、図面)
- 複数の会社に査定を頼む
- 査定の根拠と販売の計画を聞いて比べる
- 売り方(仲介か買取か)と媒介契約の種類を決める
- 媒介契約を結び、手数料と有効期間を書面で確かめる
売ったあとの税金も、手元に残るお金に関わります。譲渡所得の計算は「不動産売却の税金」をご覧ください。
媒介契約の前に確かめるチェックリスト
- 売り方(仲介か買取か)を、自分の期限と希望の価格から決めたか
- 査定価格の根拠を、比べた成約事例や建物の評価まで聞いたか
- 媒介契約の種類と、有効期間・更新のしかたを確かめたか
- 仲介手数料の額と、支払う時期を書面で確かめたか
- 広告の出し方と、価格を見直す目安を聞いたか
- 宅地建物取引業の免許番号を、国の業者検索で確かめたか
一つでも答えられない項目があれば、契約の前に会社へ聞き直しましょう。
よくある質問
- 査定を頼んだら、その会社と契約しないといけない?
- 契約する義務はありません。査定の結果と説明を比べてから、媒介契約を結ぶ会社を決められます。
- 不動産売却の会社は何社に査定を頼めばいい?
- 決まりはありません。根拠や提案を比べられるよう、複数の会社に頼むと判断しやすくなります。
- 査定額が一番高い会社を選べばいい?
- 高さだけで選ぶのはおすすめしません。根拠のない高い価格で売り出すと、売れずに値下げすることになりやすいためです。
- 仲介手数料はいくら?
- 上限は国の告示で決まっています。400万円を超える物件なら、上限は売買価格の3%+6万円(別途消費税)です。
- 大手と地元の会社、どちらがいい?
- 一概には言えません。物件の地域と種類での実績、査定の根拠、販売の計画で比べるのが基本です。
- 買取でも仲介手数料はかかる?
- 不動産会社が直接買い取る場合はかかりません。別の会社が買取業者を紹介する形では、かかることがあります。
売買を扱う会社を探す
当メディアでは、公式ホームページに売買仲介または買取を載せている会社を、都道府県ごとに売買の不動産会社一覧にまとめています。実家を売るか貸すか迷う場合は「実家は売る?貸す?」もご覧ください。どの会社に聞けばよいか分からないときは、一括相談で売却と活用の両方をまとめて相談できます。
まとめ
- 会社選びは、仲介か買取か、売り方を決めることから始める
- 媒介契約は一般・専任・専属専任の3種類。頼める会社の数と報告の頻度が違う
- 仲介手数料には国の上限がある。800万円以下の物件には特例がある
- 査定の根拠、地域の実績、売り方の提案、免許、販売の計画で比べる
- 手数料と有効期間は、媒介契約の前に書面で確かめる




