空き家をセカンドハウスに使うときの税と管理|別荘との違いと住宅用地の特例

相続した実家などの空き家を、週末や長期休みに使うセカンドハウスにするときの考え方を整理します。固定資産税で別荘と分かれる基準、売るときの特例との関係、管理の工夫までまとめます。
結論
- 空き家をセカンドハウスとして使う場合、税の扱いは「別荘」に当たるかどうかで分かれます。
- 地方税法施行規則第7条の2の16では、毎月1日以上の居住(これと同程度の居住を含む)に使う家は、税の上での「別荘」から外れると定めています。別荘の敷地は、固定資産税を軽くする住宅用地の特例の対象外です。
- 売るときの居住用財産の3,000万円特別控除は、国税庁の案内で、別荘など主に趣味・娯楽・保養のための家は対象外とされています。使い方の記録を残し、市町村の税の窓口に確かめることが大切です。
「親から相続した田舎の家を、週末の拠点として使いたい」。「売るのは寂しいけれど、空き家のままでは傷む」。こうした理由で、空き家をセカンドハウスにすることを考える方がいます。
セカンドハウスとして使えば、家に風を通す機会が増え、傷みにくくなります。一方で、使い方によっては税の上で「別荘」と扱われ、思っていたより税が重くなることもあります。
この記事では、空き家をセカンドハウスにするときの税の考え方と、管理の工夫を整理します。空き家の活用方法を広く比べたい方は空き家の活用方法の比較もあわせてご覧ください。
セカンドハウスとは
言葉の意味
セカンドハウスとは、ふだん住んでいる家とは別に、週末や仕事の都合などで定期的に住むために持つ家のことです。軽井沢町の公式ページでは、自分や家族が住むことを目的として、住所地以外の場所に設けた住宅などと説明しています。
別荘とどう違うか
税の上で大事なのは、「別荘」との線引きです。地方税法施行令第36条第2項では、別荘を、日常生活に使わない家のうち、もっぱら保養に使うものとしています。そして地方税法施行規則第7条の2の16で、「日常生活に使わない家」とは、毎月1日以上の居住(これと同程度の居住を含む)に使う家以外のものとしています。
つまり、定期的に寝泊まりして生活の場として使っている家は、税の上では別荘ではなく住宅として扱われる余地があります。夏だけ使う家や、たまに保養で訪れるだけの家は、別荘と見られやすくなります。
| 区分 | 使い方の例 | 固定資産税の住宅用地の特例 |
|---|---|---|
| 住宅(セカンドハウスを含む) | 毎月1日以上、寝泊まりして使う | 対象になりうる |
| 別荘 | 夏の間だけ、保養のために使う | 対象外 |
| 使っていない空き家 | 人が住まず、使われていない | 住宅として扱われるかは状態による |
固定資産税の住宅用地の特例との関係
住宅用地の特例とは
住宅用地の特例とは、人が住む家の敷地について、固定資産税の計算のもとになる額を軽くする仕組みです。地方税法第349条の3の2では、住宅用地は価格の3分の1、そのうち200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は6分の1を課税標準とすると定めています。
別荘の敷地は対象外
地方税法施行令第52条の11では、この特例の対象となる家と土地から、別荘の用に使う部分を除いています。空き家をセカンドハウスにしたつもりでも、使い方が別荘と同じなら、敷地の固定資産税は軽くなりません。
認めてもらうための手続きの例
住宅として扱ってもらうための手続きは、市町村ごとに違います。例えば軽井沢町では、特定の人が泊まりを伴って毎月1日以上住んでいる場合に住宅として扱い、1月から12月までの利用状況を所定の用紙で出すよう案内しています。提出期限は1月31日で、毎月検針される電気の使用量が書かれた電力会社の書類の写しを添えます。
軽井沢町は、不特定多数の人が使う家や、夏の間だけなど一定の期間だけ使う家は対象にならないとしています。また、期限後の受付やさかのぼっての適用はしないと書いています。
申告が必要かどうか、どんな書類を出すかは市町村によって違います。家がある市町村の固定資産税の担当窓口で、セカンドハウスの扱いを先に確かめてください。
ポイント
- 毎月1日以上の居住に使う家は、税の上で別荘から外れる
- 別荘の敷地は、固定資産税の住宅用地の特例の対象外
- 住宅として扱ってもらう手続きは市町村ごとに違う
- 使った日が分かる記録(電気の使用量など)を残す
空き家のままとセカンドハウスの違い
空き家として扱われる状態
空家法第2条では、「空家等」を、住むことなどの使用がされていないことが常態であるものとしています。定期的に寝泊まりして使っていれば、使われていない状態とは言いにくくなります。
ただし、セカンドハウスとして使うと言っても、何年も訪れていなければ実態は空き家と変わりません。管理が行き届かず、市町村から管理不全空家等として勧告を受けると、住宅用地の特例から外れます(地方税法第349条の3の2)。くわしくは管理不全空家と固定資産税をご覧ください。
使う頻度で変わること
- 毎月使う:家の傷みに気づきやすく、税の上でも住宅として扱われる余地がある
- 季節だけ使う:使わない期間の管理を別に考える必要がある
- ほとんど使わない:実態は空き家。管理か、貸す・売るなどの検討が必要
売るときの税金との関係
3,000万円特別控除の対象外になる場合
国税庁の案内では、マイホーム(居住用財産)を売ったときに最高3,000万円を控除できる特例について、別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋には適用されないとしています。
また、売ったときに2つ以上のマイホームを持っていた場合、主として住まいに使っていた家屋だけがこの特例の対象になるとしています。セカンドハウスは、ふだんの住まいとは別の家なので、この特例の対象になりにくいと考えておくのが安全です。
相続した空き家の特例との関係
相続した実家を売るときは、居住用財産の特例とは別に、相続した空き家に関する特例を使える場合があります。要件は細かく決まっているため、空き家の3,000万円特別控除で確かめてください。セカンドハウスとして使った期間がある場合も、要件に当てはまるかを税務署や税理士に確かめてから判断しましょう。
売却の税金全体は不動産売却の税金の基本にまとめています。
セカンドハウスの管理の工夫
使わない期間の備え
- 帰るたびに、窓の開閉・水回りの通水・雨漏りの跡を確かめる
- 冬に水道管が凍るおそれのある地域では、地元の水道の案内に沿って備える
- 食べ物やごみを残さず、虫や動物を寄せつけない
- 次に来る予定の日を、近所の方や家族と共有しておく
火災保険の確認
人が住む家と、ときどき使う家では、保険会社の扱いが違うことがあります。セカンドハウスにしたら、今の契約のままでよいかを保険会社に確かめておきましょう。考え方は空き家の火災保険で整理しています。
よくある失敗
- 使った日の記録を残さず、住宅として扱ってほしいときに説明できない
- 電気を止めてしまい、使用量の記録が残らない
- 「そのうち使う」と言いながら何年も行かず、実態は空き家になる
- 家族で使う人と費用の分け方を決めておらず、もめる
セカンドハウスにするか迷ったときの分かれ道
続けやすい条件
- 家までの移動が、無理なく月に1回以上できる距離にある
- 使う人(自分や家族)がはっきりしていて、費用の分け方も決まっている
- 水回りや屋根など、住むために直す箇所が少ない
別の使い方も考えたい条件
- 行けるのは年に数回で、使わない期間のほうが長い
- 住める状態にするまでに、大きな修繕が必要
- 相続人の間で、使う人と使わない人の負担が偏る
使う頻度が少ないのに固定資産税や修繕費がかかり続けると、持ち続ける負担が重くなります。貸す場合の考え方は空き家を賃貸に出すときのリフォーム、手放す場合は空き家の売却の流れで整理しています。
記録の残し方
- 泊まった日を、カレンダーや手帳に書いておく
- 電気・水道の検針票や、使用量の分かる書類を保管する
- 交通機関の領収書など、行き来の記録を残す
住宅として扱ってほしいときに、使っていたことを書類で説明できると話が早く進みます。何を出せばよいかは、市町村の窓口で先に聞いておきましょう。
言葉の言い換え
- 課税標準:税額を計算するもとになる額
- 住宅用地の特例:人が住む家の敷地の固定資産税を軽くする仕組み
- 居住用財産:自分が住んでいる家と、その敷地のこと
場面の例で考える
例:相続した実家を週末の拠点にする
親から相続した車で2時間の実家を、月に2回ほど週末に使う例です。家に風が通り、庭の手入れもしやすくなりました。この使い方なら、毎月1日以上の居住に当たる可能性があります。市町村の窓口に申告の要否を聞き、電気の使用量の記録を残すことにしました。
例:夏休みだけ家族で使う
実家を夏の2週間だけ家族で使う例です。この使い方は、季節だけ使う家として別荘に近いと見られることがあります。残りの期間の管理をどうするか、貸す・売るなど別の使い方と比べて考える必要があります。
よくある失敗をもう少しくわしく
「住民票がないから別荘」と思い込む
税の上の別荘かどうかは、規則では毎月1日以上の居住に使うかどうかで分かれます。住民票を移していなくても、使い方によっては住宅として扱われる余地があります。扱いの決め方は市町村によって違うため、家がある市町村の案内を確かめてください。
家族のだれが使うかを決めていない
相続人が何人かいる家をセカンドハウスにすると、使う人と使わない人で負担の感じ方が違ってきます。使う日の割り振りと、固定資産税や修繕費の分け方を、最初に書き出しておきましょう。
費用の見通しを立てずに始める
セカンドハウスにすると、固定資産税のほか、電気・水道の基本料金、修繕費、行き来の交通費がかかり続けます。1年間でいくらかかるかを書き出してから始めると、続けるかどうかを判断しやすくなります。
よくある質問
- 空き家をセカンドハウスにすると、固定資産税は安くなりますか?
- 毎月1日以上の居住に使うなど住宅として扱われれば、住宅用地の特例の対象になりえます。別荘と扱われると対象外です。扱いは市町村の窓口で確かめてください。
- セカンドハウスと別荘はどう違いますか?
- 税の上では、毎月1日以上の居住(同程度の居住を含む)に使う家は別荘から外れます。夏だけなど、もっぱら保養に使う家は別荘と見られやすくなります。
- 申告は必要ですか?
- 市町村によって違います。軽井沢町のように、利用状況を書類で出すよう求める市町村もあります。
- セカンドハウスを売るとき、3,000万円の特別控除は使えますか?
- 国税庁は、別荘など主に趣味・娯楽・保養のための家は対象外とし、マイホームが2つ以上あるときは主に住んでいた家だけが対象としています。セカンドハウスは対象になりにくいと考えておくのが安全です。
- 使う回数が減ってきたらどうすればよいですか?
- 実態が空き家に近づいたら、管理の方法を見直すか、貸す・売るなどの出口を検討する時期です。
使い方の相談先
セカンドハウスとして使い続けるか、貸す・売るに切り替えるかは、使う頻度と毎年の費用を並べて考えると決めやすくなります。実家は売るか貸すかや空き家の管理方法も参考にしてください。地域の会社は会社一覧から探せます。まとめて相談したい方は一括相談の使い方をご覧ください。
まとめ
- 税の上では、毎月1日以上の居住に使う家は別荘から外れる
- 別荘の敷地は、固定資産税の住宅用地の特例の対象外
- 住宅として扱ってもらう手続きは市町村ごとに違うので、窓口で確かめる
- 居住用財産の3,000万円特別控除は、別荘など保養のための家には使えない
- 使った日の記録を残し、使わない期間の管理も決めておく




