不動産が売れない理由は5つ|価格・販売活動・物件の状態から原因を見直す手順

売り出したのに問い合わせが少ない、内覧はあるのに決まらない。不動産が売れない理由を5つに分け、どこから見直せばよいかを、媒介契約のルールとレインズの確かめ方もあわせて順に整理します。
結論
- 不動産が売れない理由は、主に「価格」「販売活動」「物件の状態」「売る条件」「権利や書類」の5つに分けられます。
- まず、問い合わせの数と内覧の数を確かめると、どこで止まっているかが分かります。
- 専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上、会社から活動の報告を受けられます(宅地建物取引業法34条の2)。
- 2025年1月から、レインズに物件の取引状況を登録することが会社に義務づけられ、売主も自分の物件の状況を確かめられます。
「売り出して3か月たつのに、内覧が1件もない」。「内覧は何件かあったが、申し込みにつながらない」。家や土地を売る方から、よく聞く悩みです。
売れない期間が長くなると、「このまま値下げするしかないのか」と不安になります。ただ、値下げが正しい答えとは限りません。原因が価格ではなく、広告の出し方や物件の見せ方にあることもあるからです。
この記事では、売れない理由を5つに分け、自分の物件がどこで止まっているのかを見つける手順と、原因ごとの見直し方を整理します。
不動産が売れない理由とは
「売れない」を3つの段階に分ける
不動産が売れない理由とは、買う人が「問い合わせる」「見に来る」「申し込む」のどこかで止まってしまう原因のことです。どの段階で止まっているかで、打つ手が変わります。
| 止まっている段階 | よくある原因 | 最初に見直すこと |
|---|---|---|
| 問い合わせが少ない | 価格が周りより高い、広告が目に留まらない | 価格の根拠、広告の写真と説明 |
| 内覧が少ない | 写真や間取りの情報が足りない、条件が合わない | 掲載情報、引き渡しの時期 |
| 申し込みが入らない | 物件の傷みや印象、価格と状態が見合わない | 内覧の準備、物件の状態の説明 |
売れない理由は5つに分けられる
- 価格:周りの似た物件と比べて高い。査定の根拠があいまい
- 販売活動:広告が少ない、他の会社に紹介されていない、報告がない
- 物件の状態:傷みや設備の不具合が目立つ。状態の説明がない
- 売る条件:引き渡しの時期が遅い、条件が細かすぎる
- 権利や書類:共有者の同意がない、境界があいまい、書類がそろっていない
むずかしい言葉の言い換え
- 媒介契約(ばいかいけいやく):売却を会社に頼むときに結ぶ契約
- 専任媒介:1社だけに頼む契約。自分で見つけた買主とは直接契約できる
- 専属専任媒介:1社だけに頼み、自分で見つけた買主とも会社を通して契約する
- 囲い込み:会社が自社で買主も見つけるために、他の会社に物件を紹介しないこと
売れない理由1:価格が合っていない
査定の根拠を聞き直す
宅地建物取引業法34条の2第2項では、会社が売り出し価格について意見を言うときは、その根拠を明らかにしなければならないとされています。最初に提示された査定価格の根拠を、もう一度聞き直しましょう。
比べた物件はどれか、広さや築年数、駅からの距離の違いをどう考えたかを確かめます。高い査定に引かれて会社を選んだ場合は、特に大切です。査定の種類は不動産査定の種類で整理しています。
「売りたい価格」と「売れる価格」を分けて考える
ローンの残りや買い替えの資金から、どうしても下げられない価格がある方もいます。その場合は、価格だけで決めずに、売る時期や方法を見直す選択肢もあります。
値下げは、一度すると元に戻しにくいものです。価格を下げる前に、販売活動や物件の見せ方に原因がないかを先に確かめましょう。
値下げを考えるかどうかの分かれ道
| 今の状況 | 考えられること | 次の一手 |
|---|---|---|
| 問い合わせがほとんどない | 価格か広告が、探している人の目に留まっていない | 周りの売り出し中の物件と価格・写真を比べる |
| 問い合わせはあるが内覧が少ない | 掲載情報だけでは判断できない、条件が合わない | 写真や間取り図を増やし、内覧の日時を広げる |
| 内覧はあるが申し込みがない | 実物を見て、価格と状態が見合わないと感じている | 内覧した人の感想を聞き、状態の説明や価格を見直す |
売れない理由2:販売活動が足りない
媒介契約の報告を受けているか
宅地建物取引業法34条の2第9項では、専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上、会社は活動の状況を報告しなければならないとされています。報告が来ていないなら、まず報告を求めましょう。
また、どの媒介契約でも、買いたいという申し込みがあったときは、会社は遅滞なく売主に報告しなければなりません(同条第8項)。
| 媒介契約の種類 | 活動の報告 | レインズへの登録 |
|---|---|---|
| 一般媒介 | 法律上の頻度の決まりはない(申し込みの報告は必要) | 法律上の義務はない |
| 専任媒介 | 2週間に1回以上 | 契約から7日以内(休業日を除く) |
| 専属専任媒介 | 1週間に1回以上 | 契約から5日以内(休業日を除く) |
レインズとは、国土交通大臣が指定した団体が運営する、不動産会社どうしで売り物件の情報を共有するしくみです。登録の期間は宅地建物取引業法施行規則15条の10で決まっています。
レインズの取引状況を自分で確かめる
国土交通省によると、2025年1月1日から、会社にはレインズへ物件の取引状況を登録することが義務づけられました。売主は、会社から受け取る登録証明書をもとに「売主専用画面」で状況を確かめられます。
国土交通省と不動産流通機構のリーフレットでは、登録される状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類とされています。売主の意向に反して物件を他の会社に紹介しない「囲い込み」を防ぐ役にも立つと説明されています。
広告の中身を見直す
- 写真が暗い、少ない、散らかった部屋が写っている
- 間取り図や周りの環境の説明がない
- 物件のよい点が、買う人に伝わる言葉で書かれていない
売れない理由3:物件の状態が伝わっていない
傷みや不具合は、隠すより先に伝える
古い家ほど、買う人は「住んでから何が起きるか」を心配します。雨漏りや設備の不具合を知っているなら、先に伝えたほうが、買う人は安心して判断できます。
民法572条では、責任を負わない特約を結んでも、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れないとされています。伝えることは、売主自身を守ることにもつながります。
建物状況調査(インスペクション)を使う
建物状況調査とは、専門の調査員が、建物の基礎や外壁、雨漏りしやすい部分の状態を調べることです。宅地建物取引業法34条の2第1項4号では、中古の建物の媒介契約書に、調査を行う人のあっせんについて書くこととされています。
調査の結果があると、買う人は状態を確かめた上で判断できます。調査をするかどうかは、媒介契約のときに会社と相談しましょう。
売れない理由4・5:売る条件と権利・書類
売る条件が買う人に合っていない
- 引き渡しの時期が遅く、買う人の予定と合わない
- 家具や荷物を残したままの引き渡しを条件にしている
- 内覧できる日時が少ない
条件を一つずつ緩めるだけで、申し込みにつながることがあります。内覧の準備は売却の流れとあわせて確かめておくと安心です。
権利や書類がそろっていない
共有名義の不動産は、共有者全員の同意がないと売れません。相続した家で名義が亡くなった方のままのときは、相続登記が先に必要です。境界があいまいな土地は、買う人が不安に感じることがあります。
共有の解消は共有名義の不動産の解消、相続登記は相続登記の義務化、書類は売却の必要書類で紹介しています。
売れないときの見直しの手順
場面の例:相続した実家が半年売れない
たとえば、相続した築40年の実家を専任媒介で売り出したものの、半年たっても申し込みがない場面を考えてみましょう。報告を読み返すと、問い合わせはあるのに内覧が少ないと分かりました。
広告を確かめると、写真は外観だけで、部屋の中は荷物が残ったままでした。この場合、先に値下げをするより、荷物を片付けて部屋の写真を撮り直し、建物の状態を説明するほうが効果を見込めます。原因が分かると、打つ手を絞れます。
見直しの前に確かめるチェックリスト
- 会社からの報告書が手元にそろっているか
- 問い合わせ・内覧・申し込みの数を、月ごとに書き出したか
- レインズの登録証明書を受け取り、売主専用画面を見たか
- 査定のときに比べた物件と、今売り出し中の物件を確かめたか
- 広告の写真と説明を、買う人の目で見直したか
- 共有者の同意や相続登記など、売るための前提がそろっているか
原因を見つける5つの手順
- 売り出してからの問い合わせ・内覧・申し込みの数を、会社の報告で確かめる
- レインズの売主専用画面で、物件が「公開中」になっているかを確かめる
- 査定の根拠と、周りで売り出し中の似た物件を会社に聞き直す
- 広告の写真と説明、内覧の準備を見直す
- それでも動かないときは、価格や売る条件、売り方そのものを見直す
会社を変える・売り方を変えるという選択
専任媒介と専属専任媒介の期間は3か月までです(宅地建物取引業法34条の2第3項)。期間が終わるときに、更新するか、別の会社に頼むかを決められます。会社の選び方は売却の会社の選び方、媒介契約の違いは一般媒介と専任媒介の違いで比べています。
早く現金にしたいときは、会社が直接買う「買取」という方法もあります。くわしくは不動産買取の流れをご覧ください。
ポイント
- まず「問い合わせ・内覧・申し込み」のどこで止まっているかを確かめる
- 価格を下げる前に、査定の根拠と販売活動を確かめる
- 専任系の契約なら、定期的な報告を受ける権利がある
- レインズの売主専用画面で、取引状況を自分で確かめられる
よくある失敗
- 原因を確かめずに、少しずつ値下げを繰り返してしまう
- 会社からの報告を読まず、活動の中身を知らないまま任せきりにする
- 物件の不具合を伝えず、内覧のあとで買う人に不信感を持たれる
- 売れない理由を会社だけのせいにして、物件の準備や条件を見直さない
よくある質問
- 不動産が売れないときは、すぐに値下げすべきですか?
- すぐに値下げする必要はありません。問い合わせや内覧の数、査定の根拠、販売活動を先に確かめ、価格が原因と分かってから考えましょう。
- 会社から活動の報告が来ないのは問題ですか?
- 専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上の報告が法律で決まっています。来ていなければ報告を求めましょう。
- 自分の物件がレインズに載っているか確かめられますか?
- 確かめられます。会社から受け取る登録証明書をもとに、売主専用画面で取引状況を見ることができます。
- 売れない家は、途中で会社を変えられますか?
- 専任媒介と専属専任媒介の期間は3か月までなので、期間が終われば別の会社に頼めます。一般媒介なら、複数の会社に同時に頼むこともできます。
- 古くて売れない家は、どうすればいいですか?
- 建物状況調査で状態を示す、売る条件を見直す、会社の買取を検討するなどの方法があります。物件ごとに合う方法が違うので、複数の会社に聞いて比べましょう。
売れない不動産の相談先
売却を任せる会社は、売買の会社一覧から地域の会社を比べられます。そもそも売るか貸すかで迷っている方は実家は売るか貸すかも参考にしてください。複数の会社にまとめて意見を聞きたい方は、一括相談をご利用いただけます。使い方は一括相談の使い方で紹介しています。
まとめ
- 売れない理由は、価格・販売活動・物件の状態・売る条件・権利や書類の5つに分けられます
- まず「問い合わせ・内覧・申し込み」のどこで止まっているかを確かめます
- 会社には査定の根拠を明らかにする義務があり、専任系の契約では定期的な報告義務もあります
- 2025年1月から、レインズの取引状況の登録が義務になり、売主も確かめられます
- 物件の不具合は先に伝え、必要なら建物状況調査を使います
- 値下げは最後の手段として、原因を確かめてから考えます




