民泊の標識とは?掲示の場所・高さ・様式の違いと住宅宿泊事業法13条

民泊(住宅宿泊事業)を始めたら、届出住宅ごとに決まった様式の標識を掲げる義務があります。この記事では、住宅宿泊事業法13条と国のガイドラインに沿って、標識の様式の違い、掲げる場所と高さ、マンションでの掲げ方を整理します。
結論
- 民泊の標識とは、住宅宿泊事業法13条により、届出住宅ごとに公衆の見やすい場所へ掲げる、省令で決まった様式の表示です。
- 国のガイドラインでは、門扉や玄関などの、おおむね地上1.2メートル以上1.8メートル以下の位置に掲げることが望ましいとしています。
- 標識を掲げないと13条違反となり、30万円以下の罰金の対象です(同法76条)。届出番号の通知前に営業を始めた場合も、13条違反として扱われます。
民泊の届出を終えると、「標識」を掲げるよう案内されます。ただ、どこに、どの高さで、どの様式を貼ればよいのか、迷う人は少なくありません。
標識は、近所の人や通りがかりの人が「ここは届出をした民泊だ」と分かるための表示です。苦情の連絡先を知らせる役目もあります。貼り方を間違えると、近隣との関係にも響きます。
この記事では、民泊の標識について、法律の決まり、様式の違い、掲げる場所と高さ、マンションや戸建てでの工夫、よくある失敗を順番に説明します。
民泊の標識とは
住宅宿泊事業法13条の決まり
住宅宿泊事業法13条では、住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令・厚生労働省令で定める様式の標識を掲げなければならないとしています。
ここでいう「公衆」とは、宿泊者に限らず、近所の人や通行人を含む広い意味です。標識は、届出をした住宅であることを外から確かめられるようにするためのものです。
標識に書かれること
国のガイドラインでは、都道府県などが標識を発行するときは、届出番号や事業者などの連絡先を正確に記載するよう求めています。偽造を防ぐため、様式を変えない範囲でロゴや特殊なシールを加えてもよいとされています。
届出の手続きそのものは「民泊の届出の流れ」で説明しています。
言葉の言い換え
- 届出住宅:住宅宿泊事業の届出をして、人を泊める住宅
- 住宅宿泊管理業者:国土交通大臣の登録を受け、民泊の管理を請け負う会社
- 届出番号:届出を受け付けた都道府県などから通知される番号
- 簡素な標識:標識の一部を、集合ポストなどの狭い場所に合わせて掲げるもの
標識の様式は3種類ある
管理のしかたで様式が分かれる
住宅宿泊事業法施行規則11条では、標識の様式を、誰が管理業務を行うかで分けています。
| 区分 | 様式 |
|---|---|
| 事業者が自ら管理業務を行う場合(下の2つを除く) | 第四号様式 |
| 不在でも委託が要らない特例(自宅と届出住宅が同じ建物・敷地内や隣接など)で、自ら管理業務を行う場合 | 第五号様式 |
| 不在となる間に、住宅宿泊管理業者である事業者が自ら管理業務を行う場合 | 第六号様式 |
| 住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する場合 | 第六号様式 |
委託が要るかどうかの目安
住宅宿泊事業法11条と施行規則9条では、居室の数が5を超えるときや、人を泊めている間に事業者が不在になるときは、原則として住宅宿泊管理業者に管理業務を委託しなければならないとしています。
どの様式を使うかは、この委託の有無で決まります。委託の中身は「住宅宿泊管理業者への委託」で詳しく説明しています。
管理のしかたを途中で変えたら、標識の様式も合わせる必要があります。委託先の変更なども含め、届出の内容を変えるときは届出先に確かめましょう。
標識を掲げる場所と高さ
ガイドラインが示す位置
国のガイドラインでは、標識は届出住宅の門扉、玄関(建物の正面の入り口)などの、おおむね地上1.2メートル以上1.8メートル以下の位置で、公衆が認識しやすい所に掲げることが望ましいとしています。
この高さは、表札を掲げる門扉の高さから、玄関ドアの標準的な高さ(2メートル)以内という考え方です。目の高さに近い位置と覚えておくと分かりやすいでしょう。
雨や風に耐える作り
ガイドラインでは、ラミネート加工など、雨や風に耐えるもので作るか加工することが望ましいとしています。屋外に貼る標識は、日に焼けて文字が読めなくなることもあります。
掲げ続ける期間
標識は、住宅宿泊事業を行っている間は掲げ続ける必要があります。ガイドラインでは、入居者を募集している賃貸物件で民泊を行う場合、入居者が決まって賃貸として使っている間も、標識を掲げることが求められるとしています。
民泊と賃貸を組み合わせる考え方は「民泊の180日ルール」でも説明しています。
ポイント
- 標識は届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に掲げる
- 門扉や玄関の、おおむね地上1.2〜1.8メートルが望ましい
- 様式は、自ら管理するか委託するかで3種類に分かれる
- 事業を行っている間は、賃貸中も掲げ続ける
マンションと戸建てでの掲げ方
共同住宅の場合
ガイドラインでは、共同住宅では、部屋ごとの掲示に加えて、共用エントランスや集合ポストなど、公衆が認識しやすい場所に簡素な標識を掲げることが望ましいとしています。
分譲マンションでは、標識を掲げる場所などの扱いを、あらかじめ管理組合と相談することが望ましいとされています。共用部分に何かを貼るには、管理組合の了解が要ることが多いためです。マンションで民泊をするときの規約の読み方は「民泊とマンションの管理規約」で説明しています。
戸建ての場合
戸建てでも、二世帯住宅で玄関が複数ある場合や、自宅と届出住宅が同じ敷地にある場合、門から玄関まで離れている場合などは、門扉や玄関に掲げるだけでは見やすくないことがあります。ガイドラインは、こうした場合にも簡素な標識を掲げることが望ましいとしています。
ウェブサイトにも載せる
ガイドラインでは、ウェブサイトを作っている場合は、届出住宅での掲示に加えて、ウェブサイト上にも標識を掲げることを推奨しています。予約前の人が届出を確かめられるようにするためです。
届出番号が届くまでの流れと標識
形式の要件がそろえば、すみやかに番号が通知される
ガイドラインでは、届出書の記載事項と添付書類に不備がなく、形式の要件を満たした書類が届いた日が届出日になるとしています。その場合、届出を受け付けた都道府県などは、すみやかに届出番号を通知する必要があるとされています。
反対に、書類に不備があると届出は受け付けられず、番号も届きません。標識を早く掲げるには、届出の書類を不備なくそろえることが近道です。
開業までの順番
- 届出書と添付書類をそろえて提出する
- 届出番号の通知を受け取る
- 番号と連絡先を書いた標識を用意する(都道府県などが発行する場合はそれを受け取る)
- 標識を掲げてから、予約の受付と宿泊を始める
場面の例で考える標識の掲げ方
例1:門から玄関まで離れた戸建て
道路に面した門扉があり、玄関は奥にある戸建てでは、玄関だけに貼ると道から見えません。門扉の目の高さに標識を掲げ、必要なら玄関にも掲げます。
例2:賃貸マンションの1室
部屋の玄関に標識を掲げたうえで、集合ポストの名札の位置などに簡素な標識を添えます。共用部分に貼る前に、建物の持ち主や管理会社の了解を得ておきます。
例3:管理を任せる会社を替えた
標識には連絡先などが書かれています。会社を替えたら、届出事項の変更の手続きとあわせて、標識の内容も新しくします。古い標識を残したままにしないよう、外した日も記録しておきます。
標識についてよくある失敗
失敗1:届出番号の通知前に営業を始める
ガイドラインでは、届出番号が通知されないと標識を掲げられず、通知前に事業を始めた場合は13条に違反するものとして罰則などの対象になるとしています。届出を出してから番号が届くまで、予約の受付を始めないようにします。
失敗2:建物の奥や室内に貼る
宿泊者だけが見る室内の掲示では、公衆の見やすい場所とはいえません。外の道から見える位置かどうかを、実際に歩いて確かめます。
失敗3:委託先を変えても標識を替えない
標識には連絡先などが書かれています。管理を任せる会社が変われば、古い標識のままでは苦情の連絡が届きません。
掲示のチェックリスト
- 管理のしかたに合った様式(第四号・第五号・第六号)を選ぶ
- 届出番号と連絡先が正しく書かれているかを確かめる
- 門扉や玄関の、地上1.2〜1.8メートルほどの位置に掲げる
- マンションなら集合ポストなどにも簡素な標識を掲げ、管理組合と相談する
- 雨や日に強い加工をし、文字が読めるかを定期的に見る
- 夜にも道から読めるか、門灯や玄関の明かりの位置もあわせて確かめる
- ウェブサイトがあれば、同じ標識をサイトにも載せる
管理を任せる会社の標識も確かめる
住宅宿泊管理業者にも、営業所などに掲げる標識の様式(国土交通省令の第十号様式)があります。ガイドラインは、管理業者がウェブサイトを作っている場合、営業所などでの掲示に加えて、ウェブサイト上にも標識を掲げることを推奨しています。
管理を任せる会社を選ぶときは、会社の標識やウェブサイトで、商号と営業所の所在地を確かめておくと安心です。届出住宅に掲げる自分の標識と、管理会社の標識は別のものだと覚えておきましょう。
掲げないとどうなるか
住宅宿泊事業法76条では、13条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処するとしています。78条では、従業員などが業務で違反したときは、事業者である法人や個人にも罰金刑を科すとしています。
罰則だけでなく、近所の人が民泊だと分からないと、苦情の行き先がなくなります。近隣への配慮は「民泊の近隣苦情への対応」もあわせて確かめましょう。
よくある質問
- 民泊の標識はどこでもらえますか?
- 届出を受け付けた都道府県などが発行する場合があります。発行のしかたは届出先によって違うので、届出の窓口で確かめましょう。
- 標識はどの高さに貼ればよいですか?
- ガイドラインでは、門扉や玄関などの、おおむね地上1.2メートル以上1.8メートル以下の、公衆が認識しやすい位置が望ましいとしています。
- マンションでは部屋の玄関だけで足りますか?
- ガイドラインは、部屋ごとの掲示に加えて、共用エントランスや集合ポストなどに簡素な標識を掲げることが望ましいとしています。分譲なら管理組合と相談します。
- 標識を掲げないと罰則はありますか?
- 13条に違反した者は、30万円以下の罰金の対象です(住宅宿泊事業法76条)。
- 賃貸で貸している間は外してもよいですか?
- 住宅宿泊事業を行っている間は掲げ続ける必要があります。ガイドラインは、賃貸として使っている間も掲げるよう求めています。
- ウェブサイトにも標識を載せる必要がありますか?
- ガイドラインは、ウェブサイトを作っている場合、届出住宅での掲示に加えて、ウェブサイト上での掲示を推奨しています。
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民泊を始める全体の流れは「民泊の始め方」、運営を任せる会社の選び方は「民泊の運営代行の選び方」で説明しています。民泊に強い会社は民泊の会社一覧から探せます。複数の会社にまとめて相談することもできます。
まとめ
- 標識は住宅宿泊事業法13条で、届出住宅ごとに掲げる義務がある
- 様式は、自ら管理するか委託するかで第四号・第五号・第六号に分かれる
- 門扉や玄関の、おおむね地上1.2〜1.8メートルが望ましい位置
- マンションは集合ポストなどにも簡素な標識を掲げ、管理組合と相談する
- 掲げないと30万円以下の罰金の対象。届出番号の通知前に営業しない




