空き家の郵便物の転送はどうする?転居届の1年と、郵便物をためない段取り

空き家にした家の郵便受けに、郵便物がたまっていませんか。郵便局の転居届でできることと期間、1年のうちに済ませたい住所変更の段取り、見回りでの扱い方を順に整理します。
結論
- 住んでいた家を空き家にして引っ越すときは、郵便局に転居届を出すと、旧住所あての郵便物を1年間、無料で新しい住所へ転送してもらえます。
- 転送は1年で終わるため、その間に銀行・年金・保険・税など差出人ごとの住所変更を済ませることが大切です。
- 郵便物がたまった郵便受けは、人が住んでいないことを外に知らせてしまいます。チラシ対策と見回りもあわせて考えます。
- 亡くなった方あての郵便物は、差出人への連絡で送り先を変えるのが基本です。転送の扱いは郵便局の窓口で確かめます。
「空き家にした実家の郵便受けが、チラシでいっぱいになっていた」。「固定資産税の通知が届いていたのに、気づくのが遅れた」。空き家を持つと、郵便物の扱いに悩む場面が出てきます。
郵便受けは、外から見て家の様子が分かる場所です。あふれた郵便受けは、人が住んでいないことを知らせる目印にもなります。
この記事では、郵便局の転送の仕組みと期間、1年のうちに済ませたい手続き、見回りでの郵便物の扱い方を、自治体の案内をもとに順に説明します。
空き家の郵便物の転送とは
転居届による転送の仕組み
郵便物の転送とは、旧住所あての郵便物を、新しい住所へ届け直してもらう日本郵便のサービスです。大阪市や白山市の案内では、郵便局に転居届を出すと、旧住所あての郵便物を1年間、新住所へ無料で転送すると説明しています。
届け出の方法
自治体の案内では、次の方法が紹介されています。
- 郵便局の窓口で、転居届を出す
- 郵便局に置いてある転居届のはがきに書き、窓口に出すかポストに入れる(横浜市戸塚区の案内)
- 日本郵便のウェブサービス「e転居」で届け出る(白山市の案内)
必要なものや受付の細かな条件は、日本郵便の案内や最寄りの郵便局で確かめましょう。
転居届を出す前のチェックリスト
- 転送先は、確実に受け取れる住所か
- 同じ家に住んでいた家族の分も、届けに含めるか
- 転送が始まる日を、引っ越しの日に合わせたか
- 届けの控えや受付の記録を、手元に残したか
- 1年後の終わりの日を、カレンダーに書いたか
言葉の言い換え
- 転居届:郵便物の届け先が変わることを郵便局に知らせる届け。役所の転出届・転入届とは別のもの
- 転送:旧住所あての郵便物を、新しい住所に届け直すこと
- 差出人:郵便物を送ってくる側。銀行、年金、保険、役所など
- 住所変更:差出人に、新しい送り先を登録し直してもらう手続き
転居届は郵便局への届けで、住民票の手続きとは別です。役所に転出届を出しても、郵便の転送は始まりません。
空き家で郵便物がたまると困ること
外から空き家だと分かる
郵便受けからチラシや封筒があふれていると、通りがかった人にも長く人がいないことが伝わります。空き家の防犯の考え方は「空き家の防犯対策」にまとめています。
大切な通知を見逃す
空き家に届き続ける郵便物の中には、期限のある通知が混ざっていることがあります。
- 固定資産税の納税通知書
- 市区町村からの空き家の管理についての連絡
- 金融機関や保険会社からの契約の案内
- 電気・ガス・水道の料金や契約の通知
持ち主には管理の努めがある
空家等対策の推進に関する特別措置法第5条は、空き家の所有者などに、周りの生活環境に悪い影響を与えないよう適切な管理に努めることを求めています。郵便受けがあふれ、チラシが散らばる状態は、近所の方の心配の種にもなります。
空き家にするときの郵便の手続き
引っ越して空き家にする場合の流れ
- 引っ越しの前に、郵便局へ転居届を出す
- 転送が始まったら、届いた郵便物の差出人を一覧にする
- 差出人ごとに、新しい住所への変更を届ける
- 変更が済んだ差出人に、印をつけていく
- 転送の終わる1年の前に、残りがないかを確かめる
差出人ごとの住所変更リスト
| 差出人 | 主な届け先 | 確かめること |
|---|---|---|
| 銀行・証券会社 | 各社の窓口やウェブ | 口座ごとに届けが必要か |
| 年金・健康保険 | 年金事務所、加入している保険の窓口 | 住民票の異動で変わるものか |
| 生命保険・火災保険 | 保険会社、代理店 | 空き家の火災保険の契約内容 |
| 電気・ガス・水道 | 各事業者 | 空き家の契約を続けるか止めるか |
| 固定資産税 | 物件のある市区町村の税の窓口 | 通知の送り先をどこにするか |
| クレジットカード・通販 | 各社のウェブ | 登録住所と請求先 |
火災保険の会社には、住所の変更だけでなく、家が空き家になったことも伝えます。住まいとして使っていない家は、契約の内容を見直す必要が出ることがあるためです。考え方は「空き家の火災保険」をご覧ください。
電気・ガス・水道を止めるか続けるかは「空き家のライフラインの止め方」で説明しています。
ポイント
- 転送は1年間。その間に差出人ごとの住所変更を終える
- 届いた郵便物の差出人を一覧にして、変更の漏れを防ぐ
- 固定資産税の通知の送り先は、物件のある市区町村で確かめる
- 空き家の火災保険は、空き家になったことを保険会社に伝える
相続した空き家の郵便物
亡くなった方あての郵便物
親が一人で暮らしていた家を相続した場合、亡くなった方あての郵便物が届き続けます。基本は、差出人に亡くなったことを伝え、契約の解約や名義の変更、送り先の変更を進めることです。
亡くなった方あての郵便物を転送できるかどうかや、その手続きは、郵便局の窓口で確かめましょう。相続のはじめに何をするかは「空き家を相続したら最初にやること」にまとめています。
相続人が遠くに住んでいる場合
- 近くに住む親族に、郵便受けの確認を頼む
- 届いた郵便物を、写真で共有してもらう
- 見回りの日を決め、その日にまとめて回収する
- 管理を会社に頼む場合は、郵便物の回収と転送が含まれるかを確かめる
市町村からの連絡が届かないと
空家法第10条第3項は、市町村長が空き家の所有者を把握するために、関係する者に情報の提供を求められると定めています。国土交通省の2020年の事務連絡では、一定の条件のもとで、日本郵便が郵便の転送情報を市町村に提供できることが示されています。
同じ事務連絡では、日本郵便が持つ転送情報は転送届出日から1年とされています。市町村からの連絡を受け取れるよう、物件のある市区町村には自分の連絡先を伝えておくと安心です。
だれが郵便物を受け取るか
判断の分かれ道
空き家の郵便物をだれが受け取るかは、持ち主の住まいと、家を見に行ける人がいるかで決まります。
| 状況 | 向いている方法 |
|---|---|
| 持ち主が引っ越して空き家にした | 郵便局の転居届で新住所へ転送し、差出人に住所変更 |
| 相続した家で、相続人が近くに住む | 見回りで回収し、差出人に送り先の変更を届ける |
| 相続した家で、相続人が遠くに住む | 親族や管理の会社に回収を頼み、写真で共有してもらう |
| 売却や賃貸を予定している | 引き渡しまでに、郵便がその家に来ない状態にしておく |
売る・貸す前に整えること
空き家を売ったり貸したりすると、新しい持ち主や入居者がその郵便受けを使います。前の持ち主あての郵便物が届き続けると、相手に迷惑がかかり、自分の大切な通知も受け取れません。
引き渡しの前に、差出人への住所変更が終わっているか、届いた郵便物の一覧で確かめておきましょう。
見回りでの郵便物の扱い方
見回りのたびにすること
- 郵便受けの中身をすべて回収する
- チラシと、名前あての郵便物を分ける
- 名前あての郵便物は差出人を一覧に足す
- 期限のある通知があれば、その日のうちに中身を確かめる
- 郵便受けの周りに散らばった紙を片付ける
回収を人に頼むときの確認点
- どのくらいの頻度で郵便受けを見てもらうか
- 名前あての郵便物を、転送してもらうか写真で知らせてもらうか
- 期限のある通知を見つけたとき、どう連絡してもらうか
- 鍵や郵便受けの暗証番号を、だれがどう預かるか
親族に頼む場合も、管理の会社に頼む場合も、この4点を最初に決めておくと行き違いが減ります。
回収した郵便物の保管と処分
- 名前あての郵便物は、差出人ごとにまとめて保管する
- 期限のある通知は、すぐ見える場所に分けて置く
- 不要になった郵便物は、名前や住所が読めないようにしてから捨てる
- 亡くなった方あての郵便物は、相続の手続きが終わるまで残しておく
亡くなった方あての郵便物は、預金や保険、借りているお金など、相続財産の手がかりになることがあります。差出人の一覧は、相続の手続きにも役立ちます。
チラシを減らす工夫
郵便受けに「チラシお断り」と表示する方法があります。ただし、表示があるとかえって空き家と分かることもあります。表示するかどうかは、地域の様子を見て決めましょう。
郵便受けの投入口をふさいでしまうと、大切な郵便物が届かなくなります。ふさぐ場合は、転送と住所変更が済んでいることを確かめてからにします。
場面の例
Fさんは、父が施設に入ったため、実家を空き家にしました。父の住所を施設に移し、郵便局に転居届を出しました。転送された郵便物の差出人を表にし、半年で銀行や保険の住所変更を終えました。実家の郵便受けは、月に1回の見回りで空にしています。
もう一つの場面の例
Iさんは、一人暮らしだった母が亡くなり、遠方の実家を相続しました。近くに住むいとこに月2回の郵便受けの確認を頼み、届いた封筒を写真で送ってもらいました。差出人ごとに亡くなったことを伝えて送り先を変え、半年ほどで実家に届く郵便物はチラシだけになりました。
よくある失敗
- 役所の転出届を出したので、郵便も転送されると思い込む
- 転送に安心して住所変更を後回しにし、1年が過ぎて郵便物が空き家に戻る
- 固定資産税の通知の送り先を確かめず、納付が遅れる
- 郵便受けの投入口をふさぎ、大切な通知が差出人に戻ってしまう
よくある質問
- 郵便局の転送は何年使えますか?
- 自治体の案内では、転居届を出すと旧住所あての郵便物を1年間、新住所へ無料で転送するとされています。
- 転居届はどこで出せますか?
- 郵便局の窓口、郵便局にある転居届のはがきのポスト投函、日本郵便のウェブサービス「e転居」があります。
- 住民票を移せば郵便も転送されますか?
- 転送はされません。住民票の手続きと、郵便局への転居届は別の手続きです。
- 空き家の郵便受けはふさいだほうがよいですか?
- 転送と差出人への住所変更が済むまでは、ふさがないほうが安全です。大切な通知が届かなくなるおそれがあるためです。
- 転送の期間が終わるとどうなりますか?
- 旧住所あての郵便物は、空き家に届くようになります。1年のうちに差出人への住所変更を済ませておきましょう。
- 空き家の郵便物の回収を頼むことはできますか?
- 空き家の管理を会社に頼むと、見回りの中で郵便物の回収や転送を受け付けている場合があります。内容と料金は会社によって違うので、契約前に確かめましょう。
空き家の管理を見直すときに
郵便物は、空き家の管理の一部です。見回りの頻度や点検の項目は「空き家の管理方法」、放っておくとどうなるかは「空き家を放置するリスク」をご覧ください。
自分で見回るのが難しい、この先の使い道も決めたいという方は、一括相談の使い方をご覧のうえ、まとめて相談してみてください。
まとめ
- 郵便局に転居届を出すと、旧住所あての郵便物を1年間、無料で新住所へ転送してもらえる
- 転居届は郵便局への届けで、役所の転出届とは別の手続き
- 転送の1年のうちに、差出人ごとの住所変更を終える
- 亡くなった方あての郵便物は、差出人に連絡して送り先や契約を変えるのが基本
- 見回りのたびに郵便受けを空にし、期限のある通知を見逃さない




