都市計画税とは?かかる区域・税率0.3%の上限・住宅用地の軽減を地方税法で解説

都市計画税がどんな税金で、どこにある土地や家屋にかかるのかを、地方税法の条文と総務省・東京都の案内をもとに説明します。税率の上限、住宅用地の軽減、固定資産税との関係、納税通知書の見方を順に整理します。
結論
- 都市計画税とは、市町村が、都市計画の事業や土地区画整理の事業の費用にあてるため、原則として市街化区域にある土地と家屋にかける税金です(地方税法第702条)。
- 税率は0.3%を超えられません(第702条の4)。毎年1月1日の所有者にかかり、固定資産税とあわせて納めます。
- 住宅用地は、200平方メートル以下の部分が価格の3分の1、超える部分が価格の3分の2に軽くなります(第702条の3)。
固定資産税の納税通知書を見ると、「都市計画税」という欄があることに気づきます。土地をいくつか持っていると、かかっている土地とかかっていない土地があり、理由が分かりにくいものです。
「都市計画税はどこでもかかるのか」「税率は決まっているのか」「空き家にすると上がるのか」。こうした疑問に、地方税法の条文をもとに答えます。
固定資産税そのものの仕組みは「固定資産税の仕組み」で説明しているので、この記事は都市計画税に絞ります。
都市計画税とは
一言でいうと
都市計画税とは、都市計画法にもとづく都市計画事業や、土地区画整理法にもとづく土地区画整理事業の費用にあてるため、市町村がかけることができる税金です。地方税法の第702条に定められています。
「かけることができる」とあるとおり、都市計画税をかけるかどうかは市町村が決めます。かけていない市町村もあります。
東京23区の場合
都市計画税は市町村の税ですが、東京23区内では東京都が都税としてかけています。23区内の物件は、都税事務所が窓口です。
言葉の言い換え
- 市街化区域:すでに市街地になっている区域と、おおむね10年以内に優先して市街化を進める区域(都市計画法第7条)
- 市街化調整区域:市街化を抑える区域
- 価格:市町村が国の基準で決める土地や家屋の評価の額
- 課税標準:税率を掛けるもとになる額
- 賦課期日:その年度の税をだれにかけるかを決める日。1月1日
都市計画税がかかる区域
原則は市街化区域
地方税法では、都市計画税の対象を、都市計画区域のうち市街化区域にある土地と家屋としています。市街化区域と市街化調整区域の区分(線引き)がない都市計画区域では、その全部または一部で、条例で決めた区域が対象になります。
市街化調整区域でもかかる場合
市街化調整区域の土地と家屋には、原則としてかかりません。ただし、かけないと市街化区域との釣り合いが大きく崩れる特別な事情があれば、条例で決めた区域でかけることができます。
かからない場合
国や地方公共団体などには、都市計画税をかけることができません。また、固定資産税の免税点に満たないなどの理由で固定資産税をかけることができない土地や家屋には、都市計画税もかけることができません(第702条の2)。
| 場面 | 都市計画税 |
|---|---|
| 市街化区域にある土地・家屋 | 市町村がかけていれば、かかる |
| 市街化調整区域にある土地・家屋 | 原則かからない(条例で決めた区域を除く) |
| 固定資産税が免税点に満たない土地・家屋 | かからない |
| 都市計画税をかけていない市町村 | かからない |
都市計画税の計算
税額の出し方
都市計画税の税額は、課税標準に税率を掛けて出します。課税標準は、固定資産税の課税標準となるべき価格がもとになります(第702条)。
- 市町村が、土地や家屋の価格を決める
- 住宅用地の特例などを当てはめて、課税標準を出す
- 課税標準に、市町村の決めた税率を掛ける
- 市町村独自の軽減があれば、差し引く
税率は0.3%が上限
地方税法では、都市計画税の税率は0.3%を超えることができないとしています(第702条の4)。上限の中で、市町村が税率を決めます。東京23区内の税率は0.3%です。
お持ちの物件の税率は、納税通知書で確かめられます。
仮の数字で見る
次の数字は、考え方を示すための仮の例です。住宅用地ではない土地で、課税標準が1,000万円、税率が0.3%なら、都市計画税は3万円です。
住宅用地の軽減
軽くなる割合
住宅の敷地になっている土地は、都市計画税の課税標準も軽くなります(第702条の3)。
| 区分 | 範囲 | 都市計画税の課税標準 | 固定資産税の課税標準(参考) |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200平方メートル以下の部分 | 価格の3分の1 | 価格の6分の1 |
| 一般住宅用地 | 200平方メートルを超える部分 | 価格の3分の2 | 価格の3分の1 |
固定資産税より軽くなる割合が小さい点に気を付けます。住宅用地の範囲の決まりは「住宅用地特例」でくわしく説明しています。
東京23区の独自の軽減
東京都主税局の案内では、23区内の小規模住宅用地(1戸の住宅につき200平方メートルまでの部分)にかかる都市計画税は、税額の2分の1が令和8年度も引き続き軽減されます。ほかの市町村にも独自の軽減があるかは、それぞれの窓口で確かめます。
ポイント
- 都市計画税は、原則として市街化区域の土地と家屋にかかる
- 税率は0.3%を超えられず、市町村が決める
- 住宅用地は、200平方メートル以下が3分の1、超える部分が3分の2
- 23区内の小規模住宅用地は、税額の2分の1が軽減されている(令和8年度)
固定資産税との関係
納め方は固定資産税とあわせて
都市計画税の賦課期日は、固定資産税と同じ1月1日です(第702条の6)。その日に土地や家屋を持っている人にかかります。
賦課と徴収は、特別な事情がある場合を除き、固定資産税とあわせて行います(第702条の8)。そのため、納税通知書は1枚にまとまって届くのがふつうです。
納期
納期は、4月、7月、12月、2月中で、市町村の条例で決めます。特別な事情があれば、違う納期にもできます(第702条の7)。
新築住宅の減額は都市計画税にはない
新築住宅の税額を2分の1にする減額は、地方税法の附則で固定資産税について定めたものです。都市計画税は、この減額の対象になっていません。新築して数年たつと固定資産税だけが上がって見えるのは、このためです。
都市計画税が上がる場面
住宅を取り壊したとき
住宅を取り壊して更地にすると、住宅用地の軽減が外れます。都市計画税の課税標準は、3分の1や3分の2から、価格そのものに戻ります。固定資産税とあわせて、土地の税が重くなる方向に変わります。
空き家が勧告を受けたとき
管理されていない空き家が、市町村から勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。都市計画税の軽減も外れます。流れは「管理不全空家と固定資産税」で説明しています。
場面で考える:郊外と駅前に土地がある
Cさんは、駅前の貸家の敷地と、郊外の農地に近い土地を持っています。納税通知書を見ると、駅前の土地には都市計画税がかかり、郊外の土地にはかかっていませんでした。
役所で聞くと、郊外の土地は市街化調整区域にあるとのことでした。Cさんは、どの土地が市街化区域にあるかを一覧にして、毎年の通知書と見比べることにしました。
納税通知書で確かめること
- 土地と家屋ごとに、都市計画税の欄に金額があるか
- 住宅用地として、課税標準が軽くなっているか
- 市町村の税率がいくらか
- 市町村独自の軽減が当てはまっているか
国税庁の案内では、不動産所得の必要経費の例に固定資産税が挙げられています。都市計画税の扱いも含め、申告の前に税務署や税理士に確かめましょう。申告の全体は「不動産所得の確定申告」を参考にしてください。
よくある誤解
- 都市計画税は全国どこでもかかると思う
- 税率は全国一律だと思う
- 新築住宅の減額で、都市計画税も半分になると思う
- 固定資産税と別に通知が届くと思う
市街化区域かどうかを確かめる手順
都市計画税がかかるかどうかは、土地のある区域で決まります。次の順に確かめると迷いません。
- 納税通知書と課税明細書で、都市計画税の欄を見る
- 金額がない土地は、市街化調整区域などにある可能性がある
- 市町村の都市計画の窓口や、公開されている都市計画図で区域を確かめる
- 分からない点は、固定資産税の窓口でまとめて聞く
都市計画図は、多くの市町村が窓口やホームページで公開しています。土地ごとに区域を控えておくと、売るときや建て替えるときの判断にも役立ちます。
判断の分かれ道:更地のまま持つか
古い家を取り壊すか迷うときは、都市計画税も含めて考えます。市街化区域の土地では、住宅用地の軽減が外れると、固定資産税と都市計画税の両方が重くなる方向に変わります。
一方で、市街化調整区域の土地は、原則として都市計画税がかかりません。同じ「更地にする」でも、土地のある区域によって税の変わり方が違います。取り壊しの補助金は「空き家の解体と補助金」で整理しています。
場面で考える:年の途中で土地を売る
Gさんは、市街化区域にある貸家を6月に売りました。都市計画税も固定資産税と同じく、1月1日の所有者であるGさんにかかります。
売買の契約では、引き渡しの日から先の分を買主と精算する取り決めをしました。精算するかどうかは契約で決めることなので、仲介の会社と事前に確かめておきます。
よくある失敗
- 都市計画税の欄を見ずに、固定資産税だけで税の負担を計算する
- 更地にしたあと、都市計画税も重くなることを見落とす
- 市町村独自の軽減を、ほかの市町村でも同じだと思い込む
- 土地ごとの区域を控えておらず、売るときに慌てる
オーナーのチェックリスト
- 持っている土地と家屋ごとに、市街化区域かどうかを控えたか
- 住宅用地として、都市計画税も軽くなっているか
- 市町村の税率と、独自の軽減を確かめたか
- 取り壊しや建て替えの予定があるなら、税の変わり方を考えたか
相続した土地の場合
相続した土地や家屋にも、1月1日の所有者として都市計画税がかかります。名義が亡くなった人のままだと、通知書の宛先や納める人があいまいになりがちです。登記の名義は早めに整えましょう。くわしくは「相続登記の義務化」をご覧ください。
よくある質問
- 都市計画税はだれが払う?
- 毎年1月1日に、市街化区域などにある土地や家屋を持っている人が払います。
- 都市計画税の税率は?
- 0.3%を超えられません。上限の中で市町村が決めます。東京23区内は0.3%です。
- 市街化調整区域の土地にもかかる?
- 原則かかりません。ただし特別な事情があれば、条例で決めた区域でかかることがあります。
- 住宅用地だとどれくらい軽くなる?
- 200平方メートル以下の部分は価格の3分の1、超える部分は価格の3分の2が課税標準になります。
- 都市計画税だけ別に納める?
- 特別な事情がない限り、固定資産税とあわせて納めます。
- 都市計画税は経費になる?
- 国税庁の案内では、固定資産税が不動産所得の必要経費の例に挙げられています。都市計画税の扱いは、申告の前に税務署や税理士に確かめてください。
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まとめ
- 都市計画税は、原則として市街化区域の土地と家屋に、市町村がかける税
- 税率は0.3%を超えられない。東京23区内は0.3%
- 住宅用地は、200平方メートル以下が価格の3分の1、超える部分が3分の2
- 1月1日の所有者にかかり、固定資産税とあわせて納める
- 新築住宅の減額は都市計画税にはない。更地にすると軽減が外れる




