新築住宅の固定資産税の減額とは?2分の1になる期間・床面積の要件・賃貸の扱い

新築住宅の固定資産税が2分の1になる減額の仕組みを、地方税法と施行令の条文、総務省の案内をもとに説明します。期間、床面積の要件、アパートなど賃貸住宅の扱い、終わったあとの注意点を順に整理します。
結論
- 新築住宅の固定資産税の減額とは、令和13年3月31日までに新築された一定の住宅について、建物の固定資産税額を2分の1にする措置です(地方税法附則第15条の6)。
- 期間は、一般の住宅が3年度分、3階建以上の耐火の住宅などが5年度分です。認定長期優良住宅は5年度分または7年度分で、申告が必要です。
- 減額は、居住部分の床面積120平方メートルまでの分にかかります。土地や都市計画税は対象外です。
新築して3年が過ぎたころ、届いた固定資産税の納税通知書を見て、建物の税が急に上がったと驚く人がいます。多くの場合、新築住宅の減額の期間が終わったことが理由です。
アパートを新築したオーナーにとっても、この減額は収支に関わります。いつまで続き、いつ終わるのかを先に知っておくと、計画が立てやすくなります。
固定資産税の全体は「固定資産税の仕組み」で説明しているので、この記事では新築住宅の減額に絞ります。
新築住宅の固定資産税の減額とは
一言でいうと
新築住宅の固定資産税の減額とは、条件に合う住宅を新築したとき、建物にかかる固定資産税額の2分の1を、一定の年度のあいだ差し引く措置です。地方税法の附則第15条の6と第15条の7に定められています。
総務省の固定資産税の案内でも、政策的な特例措置の例として、一般住宅は3年・2分の1、3階建以上は5年・2分の1と示されています。
減額されるのは建物の固定資産税だけ
減額の対象は、新築した住宅という建物の固定資産税です。敷地の土地は対象ではありません。土地は、住宅用地の特例で別に軽くなります。住宅用地の特例は「住宅用地特例」で説明しています。
都市計画税も、この減額の対象ではありません。減額は、附則で固定資産税について定められたものだからです。
減額の期間と割合
住宅の種類ごとの期間
| 住宅の種類 | 期間 | 減額の割合 |
|---|---|---|
| 一般の新築住宅 | 3年度分 | 2分の1 |
| 中高層耐火建築物の住宅(地上3階以上で耐火構造など) | 5年度分 | 2分の1 |
| 認定長期優良住宅 | 5年度分 | 2分の1 |
| 中高層耐火建築物である認定長期優良住宅 | 7年度分 | 2分の1 |
期間は、その住宅に新しく固定資産税がかかることになった年度から数えます。
いつから数えるか
固定資産税は、毎年1月1日の状態でかかります。たとえば、ある年の秋に完成した住宅は、翌年の1月1日に建物があるので、その年度から固定資産税がかかります。そこから一般の住宅なら3年度分が減額の期間です。
期限
一般の新築住宅と認定長期優良住宅は、令和13年3月31日までに新築されたものが対象です。中高層耐火建築物の住宅は、令和6年4月1日から令和13年3月31日までに新築されたものと定められています。
減額を受けるための要件
居住部分の割合
住宅の要件の一つは、人が住む部分の床面積が、建物の床面積の2分の1以上であることです(地方税法施行令附則第12条)。店舗と住まいが一緒の建物でも、この割合を満たせば対象になります。
床面積の要件
床面積の要件は、施行令附則第12条に定められています。令和8年4月に施行された改正の後の条文では、区分所有ではない住宅は、床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下です。ただし、東京23区内の特定都市再生緊急整備地域では50平方メートル以上です。
改正の前の条文では、50平方メートル以上280平方メートル以下でした(アパートなどの共同住宅で貸家の部分は、1戸あたり40平方メートル以上)。
どちらの条文が当てはまるかは、新築した時期などによって変わることがあります。お持ちの住宅の扱いは、市町村の固定資産税の窓口で確かめてください。
120平方メートルまでの分
減額は、居住部分のうち120平方メートルまでの分にかかります。120平方メートルを超える住宅は、超えた部分の税額は減額されません。
ポイント
- 減額は建物の固定資産税額の2分の1
- 一般の住宅は3年度分、中高層耐火は5年度分
- 居住部分が床面積の2分の1以上で、床面積の要件を満たす
- 120平方メートルまでの分にかかる。土地と都市計画税は対象外
アパートなど賃貸住宅の扱い
1戸ごとに見る
アパートのような共同住宅では、床面積の要件を1戸ごとに見ます。施行令では、独立して区切られた1戸の床面積で要件を決め、120平方メートルまでの分の計算も1戸ごとに行います。
単身向けの小さな部屋が多い建物では、1戸あたりの床面積が要件に届くかが分かれ目になります。設計の段階で、建築士に1戸あたりの面積を確かめておきます。
収支の計画に入れる
アパートを新築すると、最初の数年は建物の固定資産税が軽くなります。期間が終わると、建物の税額はもとに戻ります。最初の数年の税額だけで収支を計算すると、後で手元のお金が足りなくなります。
固定資産税は、不動産所得の必要経費です(国税庁の案内)。申告は「不動産所得の確定申告」で説明しています。
認定長期優良住宅の申告
認定長期優良住宅の減額を受けるには、申告が必要です。地方税法では、新築した日から、新しく固定資産税がかかる年度の初日の属する年の1月31日までに、決められた書類を付けて申告書を出したときに限り、減額を当てはめるとしています(附則第15条の7第3項)。
- 長期優良住宅の認定を受けて新築する
- 認定の通知書など、市町村が求める書類をそろえる
- 新しく固定資産税がかかる年の1月31日までに、市町村に申告書を出す
- 納税通知書で、減額が当てはまっているかを確かめる
期限を過ぎても、やむを得ない理由があると市町村長が認めれば、減額が当てはまることがあります。間に合わないと気づいたら、早めに窓口に相談しましょう。
減額が終わるときの注意点
税額が上がって見える理由
減額の期間が終わると、建物の固定資産税は2分の1にしない金額に戻ります。税率や評価が変わっていなくても、通知書の金額は上がって見えます。
場面で考える:木造アパートを新築した
Dさんは、木造2階建ての賃貸アパートを新築しました。1戸ずつの床面積が要件に合っていたため、建物の固定資産税は3年度分、2分の1に減額されました。
Dさんは、4年目からの税額を、評価の資料をもとに市町村の窓口で確かめました。そのうえで、4年目以降の収支の計画を立て直しました。
チェックリスト
- 建物の居住部分が、床面積の2分の1以上あるか
- 1戸ごとの床面積が、要件に合っているか
- 減額が終わる年度を控えたか
- 認定長期優良住宅なら、1月31日までに申告したか
- 4年目以降の税額を、収支の計画に入れたか
よくある誤解
- 新築なら、どんな広さでも減額されると思う
- 土地の固定資産税も半分になると思う
- 都市計画税も半分になると思う
- 減額がずっと続くと思う
新築から減額が終わるまでの流れ
- 住宅を新築し、建物の登記をする
- 市町村が、建物を調べて評価する(家屋の調査に立ち会う場合がある)
- 新築の翌年度など、新しく固定資産税がかかる年度の納税通知書が届く
- 課税明細書で、新築住宅の減額が当てはまっているかを確かめる
- 減額の最後の年度を控え、その次の年度からの税額を見込む
減額が当てはまっていないように見えるときは、課税明細書を持って市町村の窓口で聞きます。床面積や居住部分の割合の扱いで、当てはまらないことがあります。
判断の分かれ道:建てる前に考えること
これから賃貸住宅を建てるなら、減額の要件を設計の段階で確かめます。1戸あたりの床面積や、店舗と住まいの割合は、建てた後では変えにくいからです。
ただし、減額のためだけに間取りを決めるのはおすすめしません。入居者に選ばれる広さかどうかが、長い目で見た収支を左右します。間取りと減額の両方を、建築士や管理を任せる会社と相談して決めます。
場面で考える:1階が店舗、2階が住まいの建物
Hさんは、1階を店舗、2階を自分の住まいにする建物を新築しました。住まいの部分の床面積が建物の2分の1以上なら、減額の対象になります。
Hさんは、図面で住まいと店舗の床面積を確かめ、減額されるのは住まいの部分の税額に当たる分であることを窓口で確認しました。
言葉の言い換え
- 新築住宅の減額:新しく建てた住宅の固定資産税額を、一定の年度のあいだ2分の1にする措置
- 中高層耐火建築物:耐火構造などで、地上3階以上の建物
- 認定長期優良住宅:長く良い状態で使えるとして、法律にもとづく認定を受けた住宅
- 居住部分:建物のうち、人が住むために使う部分
- 課税明細書:土地や家屋ごとの評価の額や税額が書かれた書類
減額で見落としやすい点
建て替えた場合
古い家を取り壊して新しく建て替えた場合も、新しく建てた住宅が要件を満たせば減額の対象になります。ただし、取り壊してから建て終わるまでのあいだに1月1日をまたぐと、その年度は土地に住宅がない扱いになり、住宅用地の特例が外れることがあります。工事の時期は、税の面も考えて決めます。
増築した場合
減額は、新築された住宅についての措置です。増築した部分が当てはまるかは、市町村の判断になります。増築を考えているときは、工事の前に窓口で確かめましょう。
売った場合
減額の期間の途中で住宅を売った場合、固定資産税は毎年1月1日の所有者にかかります。減額が残っている年度の税額をどう精算するかは、売買の契約で決めます。売却の税金の全体は「売却の税金」で説明しています。
通知書で確かめるときのコツ
課税明細書には、家屋ごとに税額や減額の欄があります。新築した年の書類と、減額が終わる年の書類を並べて保管しておくと、税額が上がった理由がすぐに分かります。
貸している建物が複数あるなら、建物ごとに減額が終わる年度を一覧にしておきます。収支の計画を立て直す時期の目印になります。
よくある質問
- 新築住宅の固定資産税はいつまで減額される?
- 一般の住宅は、新しく固定資産税がかかる年度から3年度分です。中高層耐火の住宅などは5年度分、認定長期優良住宅は5年度分または7年度分です。
- 減額を受けるのに申告は必要?
- 一般の新築住宅は、条件に合えば市町村が当てはめます。認定長期優良住宅は、1月31日までの申告が必要です。
- 賃貸アパートも減額の対象になる?
- 対象になります。共同住宅は1戸ごとに床面積の要件を見ます。
- 土地の固定資産税も減額される?
- 減額されません。土地は住宅用地の特例で別に軽くなります。
- 120平方メートルを超える家はどうなる?
- 120平方メートルまでの分が減額され、超えた分は減額されません。
相談先と関連する記事
新築した建物の経費の分け方は「賃貸の減価償却」、青色申告は「不動産所得の青色申告」で説明しています。建物の扱いを相談したいときは会社一覧から相談先を探せます。まとめて比べたい方は一括相談の説明もご覧ください。
まとめ
- 新築住宅の減額は、建物の固定資産税額を一定の年度のあいだ2分の1にする措置
- 一般の住宅は3年度分、中高層耐火の住宅は5年度分、認定長期優良住宅は5年度分か7年度分
- 居住部分が2分の1以上で、床面積の要件を満たす住宅が対象。120平方メートルまでの分にかかる
- 土地と都市計画税は対象外。認定長期優良住宅は1月31日までの申告が必要
- 減額が終わる年度を控え、収支の計画に入れておく




