シェアハウスの家賃設定の考え方|家賃と共益費の分け方・部屋ごとの差のつけ方

シェアハウスの家賃は、部屋ごとの家賃と、みんなで使う部分の共益費を組み合わせて決めます。何を家賃に入れ、何を共益費に入れるか、部屋ごとの差をどうつけるかの考え方を順に整理します。
結論
- シェアハウスの家賃設定は、「部屋ごとの家賃」と「共用部分の費用をまかなう共益費」の2つに分けて考えるのが基本です。
- 部屋ごとの家賃は、広さ・窓・収納・水回りとの距離などの違いで差をつけ、全部屋の合計で建物の収支が合うかを確かめます。
- 共益費には何を含めるかを先に決めます。国税庁は、共用部分の費用を入居者が負担する共益費も、住宅の家賃に含まれるとしています。
- 相場の金額は地域や物件で大きく違うため、近くの似た物件の募集状況をもとに、運営会社と一緒に決めるのが確実です。
「部屋ごとに貸すのは分かった。でも、家賃をいくらにすればいいのか見当がつかない」。シェアハウスを考えるオーナーの多くが、ここで手が止まります。
一般の賃貸なら、近くの似た部屋の家賃を見れば目安が立ちます。シェアハウスでは、部屋の広さも設備もばらばらで、共益費という別の費用も加わります。
この記事では、相場の数字ではなく、家賃を決めるときの考え方の順番を整理します。家賃と共益費の分け方、部屋ごとの差のつけ方、決めたあとの見直し方まで説明します。
シェアハウスの家賃設定とは
シェアハウスの家賃設定とは、部屋ごとの家賃と、全員が負担する共益費の額を決めることです。入居者にとっての毎月の支払いは、この2つの合計になります。
一般の賃貸と違うのは、1つの建物の中に条件の違う部屋が並ぶことです。部屋ごとに差をつけながら、建物全体で収支が合うように組み立てます。
家賃と共益費、それぞれの役割
| 項目 | 何に充てるか | 決め方の考え方 |
|---|---|---|
| 部屋ごとの家賃 | 部屋を使う対価 | 部屋の条件の違いで差をつける |
| 共益費 | 共用部分の光熱費、清掃、消耗品など | 全員同じ額にすることが多い |
| 敷金・保証金 | 家賃の未払いなどの担保 | 返す条件を契約で決める |
家賃設定の進め方
家賃を決める順番を、次の手順で整理します。
- 建物にかかる毎月の費用を書き出す(借入れの返済、税金、保険、修繕の積み立て、運営の委託費など)
- 共用部分にかかる費用を書き出す(光熱費、通信、清掃、消耗品など)
- 共益費に含めるものを決め、1人あたりの額を考える
- 部屋ごとの条件を比べ、家賃の差をつける
- 全部屋の家賃の合計と、空室が出たときの収支を確かめる
- 近くの似た物件の募集状況と見比べ、最終の額を決める
費用から考えるか、募集状況から考えるか
家賃の決め方には、かかる費用から積み上げる考え方と、近くの似た物件の募集状況から考える考え方があります。
費用だけで決めると、入居者から見て高すぎることがあります。募集状況だけで決めると、建物の収支が合わないことがあります。両方を見て、重なるところを探すのが現実的です。
共益費に何を含めるか
共益費の中身を先に決めないと、家賃との境目があいまいになります。よくある項目は次のとおりです。
- 共用部分(キッチン、リビング、廊下など)の電気・ガス・水道
- インターネットの通信費
- 共用部分の清掃
- トイレットペーパーや洗剤などの消耗品
- 共用の家具や家電の買い替えの備え
各部屋の電気代などを共益費に含めるか、別に精算するかも決めておきます。含めると入居者には分かりやすくなりますが、使い方の差がオーナーの負担になることがあります。
消費税での扱い
国税庁によると、住宅の貸付けは消費税がかからない取引です。共用部分の費用を入居者が分担して負担する共益費も、家賃に含まれるとされています。
一方で、家賃とは別に受け取る、各部屋の電気・ガス・水道などの利用料は、非課税となる家賃には含まれません。また、家具などの設備を別に賃料を決めて貸すと課税されます。貸付期間が1か月未満の場合も、非課税の住宅の貸付けから外れます。
消費税の扱いは、オーナーが消費税を納める事業者かどうかによって影響が変わります。料金の分け方を決める前に、税理士に確かめてください。
ポイント
- 毎月の支払いは「部屋ごとの家賃」と「共益費」の合計
- 共益費に含めるものを先に決め、家賃との境目をはっきりさせる
- 各部屋の光熱費は、含めるか別に精算するかを決める
- 全部屋の合計と、空室が出たときの収支の両方を確かめる
部屋ごとの差のつけ方
シェアハウスでは、同じ建物でも部屋の条件がそろいません。差をつける目安になる条件は次のとおりです。
| 条件 | 家賃を上げる方向 | 家賃を下げる方向 |
|---|---|---|
| 広さ | 広い | 狭い |
| 窓・日当たり | 窓が大きい、南向き | 窓が小さい、北向き |
| 収納 | 収納がある | 収納がない |
| 水回りとの距離 | 適度に離れて静か | 浴室やトイレの音が気になる |
| 階 | 上の階で静か | 玄関や共用部に近い |
| 専用の設備 | 洗面台などが部屋にある | 専用の設備がない |
差をつけるときは、入居者に理由が説明できることが大切です。「この部屋は窓が大きいので高い」と言えれば、納得してもらいやすくなります。
たとえば、5部屋の戸建ての場合
たとえば、5部屋の戸建てをシェアハウスにするAさん。2階の南向きの2部屋は広く、1階の1部屋は浴室の隣で狭めでした。
Aさんは、まず建物全体で毎月必要な額を決めました。そのうえで、2階の2部屋を高め、浴室の隣の部屋を低めにして、合計が必要な額に届くように振り分けました。
さらに、1部屋が空いた場合でも、返済と税金が払えるかを確かめました。家賃を下げられる余地がどれくらいあるかも、先に把握できました。
家賃設定の判断の分かれ道
同じ建物でも、運営の形や貸し方によって、家賃の組み立て方は変わります。
自分で運営するか、任せるか
運営会社に委託する場合は、委託の費用が毎月かかります。その分を見込んで家賃の合計を考える必要があります。サブリースで任せる場合は、オーナーが受け取るのは会社からの家賃で、入居者の家賃は会社が決めることが多くなります。
自分で運営すると、委託の費用はかかりません。その代わり、募集や集金、入居者の対応にかかる時間を、自分で負担します。
家具付きにするか
シェアハウスでは、ベッドや机などの家具を付けて貸すことが多くあります。国税庁は、住宅と一体で貸し付ける家具などの附属設備も、住宅の貸付けに含まれるとしています。家具の費用は、別の料金にせず家賃に含めて考えるのが分かりやすい方法です。
短い期間の利用を受けるか
1か月未満の短い利用を受けると、住宅の貸付けとしての扱いから外れます。旅館業などの決まりにも関わるため、短期の利用は別に考えましょう。家賃設定は、1か月以上住む人を前提に組み立てるのが基本です。
料金の言葉の言い換え
募集の案内では、似た言葉が使われます。入居者に誤解されないよう、言葉の意味をそろえておきましょう。
- 共益費・管理費:共用部分の費用を入居者が分担するお金。どちらの名前でも、中身を書くことが大切
- 水道光熱費込み:各部屋の電気・ガス・水道の費用が、家賃か共益費に含まれていること
- 敷金:家賃の未払いなどの担保として預かるお金。契約が終わったら残りを返す
- 保証金:名前は違っても、担保として預かるなら敷金と同じ扱いになる
決めたあとの見直し
家賃は、一度決めたら終わりではありません。募集の反応を見ながら見直します。
申し込みの反応で見直す
- 問い合わせはあるのに申し込みにつながらない:家賃と部屋の条件が合っていない可能性
- 安い部屋だけが埋まる:高い部屋の差のつけ方が大きすぎる可能性
- 共益費についての質問が多い:中身の説明が足りない可能性
家賃を下げる前に見直すこと
空室が続くと、まず家賃を下げたくなります。ただ、原因が家賃とは限りません。下げる前に、次の点を確かめましょう。
- 募集の写真が、部屋と共用部分の良さを伝えているか
- 共益費の中身が、案内に分かりやすく書かれているか
- 問い合わせへの返事が遅れていないか
- 共用部分の清掃が行き届いているか
これらを直しても反応が変わらないときに、家賃の見直しを考えます。一度下げた家賃は、上げ直すのが難しいためです。
たとえば、共益費を決め直した場合
たとえば、6部屋のシェアハウスを運営するDさん。共益費に各部屋の電気代まで含めていたため、冬になると光熱費が大きく増え、持ち出しが続きました。
Dさんは、運営会社と相談し、新しく入る人から共益費の中身を見直しました。共用部分の費用は共益費でまかない、各部屋の電気は使った分を別に精算する形です。案内と契約書にも内訳を書いたことで、入居者からの質問も減りました。
入居中の家賃を変えるとき
普通借家の契約では、税金の増減や経済事情の変動、近くの家賃との比較で不相当になったとき、家賃の増減を請求できます(借地借家法第32条)。
定期借家の契約では、家賃の改定についての特約があれば、この決まりは使われません(借地借家法第38条)。シェアハウスで多い定期借家では、再契約のときに条件を見直す形もとれます。
よくある失敗
- 共益費の中身を決めず、光熱費が増えた分をオーナーが負担し続けた
- 全部屋を同じ家賃にして、条件の悪い部屋だけが空いた
- 満室の前提で収支を組み、1部屋の空室で返済が苦しくなった
- 近くの物件を見ずに決め、問い合わせがほとんど来なかった
- 料金の内訳を募集の案内に書かず、入居後に不満が出た
家賃を決める前のチェックリスト
- 建物にかかる毎月の費用を、項目ごとに書き出した
- 共用部分の費用と、共益費に含めるものを決めた
- 各部屋の光熱費を、含めるか別に精算するかを決めた
- 部屋ごとの条件を表にして、差の理由を説明できる
- 1部屋・2部屋が空いたときの収支を確かめた
- 敷金や保証金を受け取るか、返す条件をどうするかを決めた
- 運営を任せる場合の費用を、収支に入れた
- 料金の内訳を、募集の案内と契約書の両方に書いた
よくある質問
- シェアハウスの家賃はいくらが相場?
- 地域、駅からの距離、部屋の広さ、設備によって大きく違います。近くの似た物件の募集状況をもとに、運営会社と一緒に見立てるのが確実です。
- 共益費には何を含める?
- 共用部分の光熱費、通信費、清掃、消耗品などが多く見られます。何を含めるかを決めて、募集の案内と契約書に書いておきます。
- 光熱費は共益費に含めるべき?
- どちらもあり得ます。含めると入居者に分かりやすく、別に精算すると使い方の差を反映できます。
- 敷金は受け取ってよい?
- 受け取れます。敷金は家賃の未払いなどの担保で、契約が終わって部屋が返されたら、未払いを差し引いた残りを返します(民法第622条の2)。
- 家賃と共益費に消費税はかかる?
- 住宅の貸付けは非課税で、共益費も家賃に含まれます。ただし、別に受け取る各部屋の光熱費の利用料や、1か月未満の貸付けは扱いが違います。
- 入居中に家賃を上げられる?
- 普通借家なら、借地借家法の条件に当たれば増額を請求できます。定期借家なら、改定の特約や再契約で見直す形があります。
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まとめ
- 家賃設定は「部屋ごとの家賃」と「共益費」に分けて考える
- 共益費に含めるものを先に決め、家賃との境目をはっきりさせる
- 部屋ごとの差は、広さ・窓・収納・水回りなど説明できる理由でつける
- 全部屋の合計と、空室が出たときの収支の両方を確かめる
- 相場は地域で違うため、近くの募集状況を見て運営会社と決める




