シェアハウスの入居者募集の方法と面談の進め方|募集の窓口・内見・断るときの注意

シェアハウスの入居者募集は、自分で募る方法と、運営会社や不動産会社に任せる方法があります。募集の窓口の選び方、案内に書くこと、入居前の面談の進め方と注意点を順に整理します。
結論
- シェアハウスの入居者募集は、オーナーが自分で募る方法と、運営会社や不動産会社に任せる方法の2つに分かれます。
- 貸主が自分で入居者を募ることは宅地建物取引業に当たりませんが、他人の物件の貸し借りの代理や仲介を業として行うには免許が要ります。
- 共同生活なので、入居前に面談を行い、生活ルールと契約の形に納得してもらってから契約するのが基本です。
- 申込書で集めた個人情報は利用目的を示して扱い、障害を理由とする不当な差別的取扱いはしないことが法律で求められます。
「シェアハウスに改修したけれど、入居者をどこで探せばいいのか分からない」。転用を終えたオーナーが最初にぶつかる壁です。
一般の賃貸なら、不動産会社に頼めば募集が進みます。シェアハウスでは、物件の探し方が違う入居者も多く、共同生活に合う人かどうかも大切になります。
この記事では、募集の方法の選び方、募集の案内に書くこと、入居前の面談の進め方、断るときの注意点を順に説明します。
シェアハウスの入居者募集とは
シェアハウスの入居者募集とは、空いている部屋に住む人を探し、問い合わせから内見、面談、契約まで進めることです。
一般の賃貸と違うのは、入居者どうしが台所や浴室を一緒に使う点です。部屋の条件だけでなく、生活ルールや住んでいる人の雰囲気まで伝え、合う人に選んでもらう必要があります。
募集の方法を比べる
募集の方法は、大きく3つに分かれます。
| 方法 | 向いている場合 | 気をつけること |
|---|---|---|
| オーナーが自分で募る | 近くに住み、問い合わせに素早く答えられる | 問い合わせ・内見・面談の手間がかかる |
| 不動産会社に仲介を頼む | 一般の賃貸の募集の流れに乗せたい | シェアハウスの説明に慣れているか確かめる |
| 運営会社に任せる | 募集から入居後の対応までまとめて任せたい | 任せる範囲と費用を契約で確かめる |
自分で募るときの法律の線引き
宅地建物取引業法では、建物の貸し借りの「代理」や「媒介(仲介)」を業として行うことを宅地建物取引業としています。貸主が自分の物件の入居者を自分で募ることは、これに当たりません。
一方で、他人の物件の入居者を、業として仲介したり代理で契約したりするには、宅地建物取引業の免許が要ります。知り合いの物件の募集を手伝うときは、この線引きに気をつけましょう。
任せる会社を選ぶときの確かめ方
- シェアハウスの募集を扱った経験があるか
- 問い合わせへの返事の早さと、内見の対応の仕方
- 面談を誰が行い、入居の可否を誰が決めるか
- 募集の費用が、成約のときだけか、毎月かかるか
会社の比べ方は「シェアハウス運営会社の選び方」で詳しく説明しています。
募集の案内に書くこと
シェアハウスを探す人は、部屋だけでなく暮らし方を見て選びます。案内には次の項目をそろえましょう。
- 部屋ごとの家賃と共益費、共益費に含まれるもの
- 初期費用(敷金・保証金など)と、返す条件
- 部屋の広さ、窓、収納、専用の設備
- 共用部分の設備(台所、浴室、洗濯機、インターネットなど)
- 住める人数と、いま住んでいる人の人数
- 生活ルールの要点(来客、騒音、掃除の当番など)
- 契約の形(定期借家なら期間と再契約の考え方)
- 最寄り駅からの道のりと、周りの環境
写真は、部屋と共用部分の両方を載せます。台所や浴室の写真は、入居者が暮らしを思い浮かべる手がかりになります。
実際と違う条件や、すでに埋まった部屋を載せ続けると、問い合わせた人の信頼を失います。空き状況はこまめに直しましょう。
ポイント
- 募集の方法は「自分で」「仲介」「運営会社」の3つ
- 案内には、料金の内訳・生活ルール・契約の形をそろえる
- 写真は部屋と共用部分の両方を載せる
- 空き状況はこまめに直す
問い合わせから契約までの流れ
募集から入居までの流れを、次の手順で整理します。
- 問い合わせに答え、空き状況と料金を伝える
- 内見の日を決め、部屋と共用部分を案内する
- 面談で、暮らし方と生活ルールについて話し合う
- 申込書を受け取り、入居の可否を決める
- 契約の前に、契約の形と生活ルールを書面で説明する
- 契約を結び、鍵の受け渡しと入居の案内をする
内見のときに見せること
内見では、部屋だけでなく、台所、浴室、洗濯の場所、ごみの出し方まで案内します。共用部分がきれいに保たれているかは、入居を決める大きな材料になります。
いま住んでいる人がいる場合は、その人の暮らしを乱さない時間を選びます。内見の予定は、前もって住んでいる人に知らせておくと安心です。
内見のあとに確かめること
内見のあとは、相手の気持ちが固まる前に、気になった点を聞いておきます。
- 部屋の広さや収納で、気になったところはないか
- 共用部分の使い方で、不安なところはないか
- 料金の内訳で、分かりにくいところはないか
- 入居したい時期はいつごろか
ここで出た質問は、募集の案内を直す手がかりにもなります。同じ質問が何度も出るなら、案内に答えを書き足しましょう。
入居前の面談の進め方
面談は、オーナーが入居者を選ぶ場であると同時に、入居者がこの家で暮らせるかを確かめる場でもあります。一方的に質問するのではなく、話し合う形にしましょう。
面談で話すこと
- 入居したい理由と、住む予定の期間
- 生活の時間帯(朝が早い、夜が遅いなど)
- 生活ルールの説明と、守れるかどうかの確認
- 共用部分の使い方や掃除の当番
- 困ったときの連絡先と、連絡の方法
- 契約の形と、期間が終わったときの扱い
面談で避けること
面談で聞く内容は、共同生活と契約に関係のあることにとどめます。入居者の暮らしに関係のない、立ち入った質問は避けましょう。
障害者差別解消法では、事業者は、障害を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならないとされています。また、障害のある人から配慮を求められたときは、負担が重すぎない範囲で、必要で合理的な配慮をすることが求められます。
たとえば、面談で決めた場合
たとえば、4部屋のシェアハウスを自分で運営するBさん。夜勤のある方から申し込みがありました。
Bさんは面談で、昼間に眠る必要があることを聞き、いま住んでいる人の生活時間も伝えました。そのうえで、昼間の掃除機の時間帯をルールで決め直すことを提案しました。お互いに納得したうえで入居が決まり、住み始めてからの行き違いも防げました。
申込書と個人情報の扱い
申込書には、名前、連絡先、勤め先、緊急連絡先などを書いてもらうのが一般的です。これらは個人情報です。
個人情報保護法では、本人から直接、書面で個人情報を受け取るときは、あらかじめ利用目的をはっきり示すことが求められています。申込書に「入居の審査と契約の手続きに使う」などの目的を書いておきましょう。
入居に至らなかった方の申込書の扱いも、決めておきます。保管する場所と、処分の時期を決めておくと安心です。
契約の前に説明する書面
面談で入居が決まったら、契約の前に、契約の形と生活ルールを書面で説明します。シェアハウスで多い定期借家の契約では、とくに大切な手順があります。
借地借家法では、定期借家の契約は書面で結ぶ必要があります。さらに、契約の前に「更新がなく、期間の満了で終わる」ことを、契約書とは別の書面を渡して説明しなければなりません。この説明をしないと、更新がない定めは無効になります。
期間が1年以上の定期借家では、満了の1年前から6か月前までに、契約が終わることを入居者に通知します。この時期は、次の入居者の募集を考え始める目安にもなります。
空室を早く埋めるための工夫
シェアハウスでは、1部屋の空きが続くと、建物全体の収支に響きます。次の工夫で、空室の期間を短くしましょう。
- 退去の予定が分かったら、すぐに募集の案内を出す
- 問い合わせには、その日のうちに返事をする
- 内見の日時の候補を、前もっていくつか用意する
- いま住んでいる人に、知り合いで探している人がいないか聞く
- 募集の反応が弱いときは、写真と案内の文を見直す
面談の質問の例
面談では、相手が答えやすい聞き方を心がけます。たとえば次のような聞き方です。
- 「ふだんは何時ごろに起きて、何時ごろに帰ってきますか」
- 「台所は、どのくらい使う予定ですか」
- 「来客の決まりがありますが、守れそうですか」
- 「掃除の当番があります。気になる点はありますか」
- 「どのくらいの期間、住む予定ですか」
募集の言葉の言い換え
- 媒介(仲介):貸主と借りたい人の間に入って、契約をまとめること
- 代理:貸主の代わりに契約を結ぶこと
- 定期借家:期間が終われば更新されずに終わる契約
- 共益費:共用部分の費用を入居者が分担するお金
入居をお断りするときの注意
面談の結果、入居をお断りすることもあります。そのときは、早めに、丁寧に伝えましょう。
断る理由は、生活時間がどうしても合わない、生活ルールに同意できないなど、共同生活と契約に関係のあることにします。障害などを理由に不当に差別することは許されません。
よくある失敗
- 問い合わせへの返事が遅れ、ほかの物件に決まってしまった
- 生活ルールを説明しないまま契約し、入居後にもめた
- 共益費の中身を説明せず、入居者が不満を持った
- 面談で立ち入った質問をして、相手を不快にさせた
- 申込書を保管したままにし、扱いがあいまいになった
募集を始める前のチェックリスト
- 募集の方法(自分で・仲介・運営会社)を決めた
- 料金の内訳と、共益費に含めるものを決めた
- 生活ルールを書面にまとめた
- 部屋と共用部分の写真をそろえた
- 面談で話すことと、入居を決める人を決めた
- 申込書に個人情報の利用目的を書いた
- 契約の形と、契約の前に説明する書面を用意した
よくある質問
- シェアハウスの入居者募集は自分でできる?
- できます。貸主が自分の物件の入居者を募るのは、宅地建物取引業に当たりません。問い合わせや内見、面談の手間は自分で担います。
- 募集はどこに頼めばいい?
- 不動産会社に仲介を頼む方法と、運営会社に任せる方法があります。シェアハウスの募集を扱った経験があるかを確かめて選びましょう。
- 面談は必要?
- 法律の義務ではありませんが、共同生活なので行うのが基本です。生活ルールと契約の形に納得してもらってから契約できます。
- 面談でどこまで聞いてよい?
- 共同生活と契約に関係のあることにとどめます。暮らしに関係のない立ち入った質問は避けましょう。
- 入居を断ってもよい?
- 生活ルールに同意できないなど、共同生活と契約に関係のある理由なら断れます。障害などを理由に不当に差別することは許されません。
- 外国の方から申し込みがあったら?
- 生活ルールや契約の内容が伝わるように説明することが大切です。言葉の面が心配なら、外国の方の入居に慣れた運営会社に相談しましょう。
あわせて読みたい記事と会社の探し方
シェアハウスへの転用の全体像は「戸建てをシェアハウスに」でご覧ください。契約の形と生活ルールは「シェアハウスのルールと契約」、入居の審査の考え方は「入居審査のポイント」で詳しく説明しています。募集を任せられる会社はシェアハウスの不動産会社一覧から探せます。
まとめ
- 入居者募集は「自分で」「仲介」「運営会社」の3つから選ぶ
- 他人の物件の仲介を業として行うには宅地建物取引業の免許が要る
- 案内には、料金の内訳・生活ルール・契約の形をそろえる
- 面談は話し合う形で、共同生活と契約に関係のあることを聞く
- 申込書の個人情報は利用目的を示し、不当な差別的取扱いをしない




