不動産売却の必要書類とは?査定から確定申告まで5段階の一覧表

不動産を売るときに要る書類は、査定・媒介契約・売買契約・引き渡し・確定申告の段階ごとに変わります。この記事では、段階ごとの必要書類を表にまとめ、取り寄せ先と見落としやすい注意点を説明します。
結論
- 不動産売却の必要書類は、査定・媒介契約・売買契約・決済と引き渡し・売却後の確定申告の5段階で変わります。
- いちばん大切なのは、決済のときの登記識別情報(または登記済証)と、作成後3か月以内の印鑑証明書です。
- 登記上の住所と今の住所が違う場合は、住所の変更登記が先に必要です。早めに確かめておきましょう。
家を売ると決めたら、次に気になるのが書類です。「権利証が見当たらない」「親の家なので何があるか分からない」。そんな声はよく聞かれます。
書類は、売却の段階ごとに必要なものが違います。最初にすべてをそろえる必要はありません。この記事では、段階ごとに何が要るかを表で整理し、取り寄せ先と注意点をまとめます。
不動産売却の必要書類を段階ごとに整理
売却の5つの段階
売却は、おおむね次の順で進みます。書類もこの順に必要になります。
- 査定と相談
- 不動産会社との媒介契約
- 買主との売買契約
- 決済と引き渡し(登記の手続き)
- 売却後の確定申告
段階ごとの必要書類の一覧表
| 段階 | 主な書類 | 主な取り寄せ先・保管先 |
|---|---|---|
| 1. 査定と相談 | 登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、購入時の売買契約書、建物の図面 | 法務局、手元の保管書類 |
| 2. 媒介契約 | 本人確認書類、印鑑 | 手元 |
| 3. 売買契約 | 本人確認書類、印鑑、物件の状況を伝える書面、境界や測量の資料、建築時の確認済証・検査済証 | 手元、不動産会社が用意する書式 |
| 4. 決済と引き渡し | 登記識別情報または登記済証、印鑑証明書、実印、住民票など(住所が変わった場合)、ローンの残高が分かる書類、鍵 | 手元、市区町村、金融機関 |
| 5. 確定申告 | 売買契約書の写し、購入時の契約書や領収書、仲介手数料などの領収書 | 手元 |
マンションの場合は、管理規約や使用細則、管理費・修繕積立金が分かる書類も求められることがあります。どの書類が要るかは、物件と不動産会社によって違います。
ポイント
- 査定の段階では、手元にある書類だけで十分なことが多い
- 権利証(登記識別情報・登記済証)は、決済の日までに必ず確かめる
- 購入時の契約書は、売却後の税金の計算で役に立つ
査定と媒介契約の段階で用意するもの
登記事項証明書とは
登記事項証明書とは、土地や建物の所在、面積、持ち主、抵当権などが書かれた証明書です。法務局で取得できます。名義が誰になっているかを、ここで最初に確かめます。
親から相続した家で名義が親のままなら、売る前に相続登記が必要です。詳しくは相続登記の義務化をご覧ください。
購入時の書類は捨てずに探す
購入時の売買契約書や重要事項説明書は、物件の条件を確かめるのに役立ちます。売却後の税金の計算でも使います。見つからなくても売ることはできますが、早めに探しておきましょう。
見当たらない書類の探し方
- 固定資産税の納税通知書が見当たらないときは、市区町村の税務の窓口に相談する
- 建物の図面は、建てた会社や購入時の仲介会社に残っていないか聞いてみる
- 親の家なら、金庫・仏壇の引き出し・書類箱など、大事な物の置き場所をまとめて探す
- 購入時の領収書は、当時の通帳の記録が手がかりになることがある
一戸建てとマンションで違う点
一戸建てでは、土地の境界や測量の資料が話題になりやすくなります。マンションでは、管理規約や管理費・修繕積立金の資料を求められることがあります。持っている物件の種類に合わせて、準備の重みを変えましょう。
売買契約の段階で用意するもの
物件の状況を伝える書面
売買契約では、雨漏りや設備の不具合など、物件の状況を買主に伝えます。不動産会社が用意する書式に記入するのが一般的です。分かっていることは正直に書くことが、後のトラブルを防ぎます。
境界と建物の資料
土地の境界がはっきりしているかは、買主が気にする点です。測量図や境界の確認書があれば用意します。建物の確認済証や検査済証も、あれば提示します。
境界があいまいなまま契約すると、引き渡しの前後でもめることがあります。測量が要るかどうかは、媒介契約の段階で不動産会社に相談しましょう。
決済と引き渡しで必要な書類と注意点
登記識別情報と登記済証
売主から買主へ名義を移す登記では、売主の登記識別情報を出す必要があります(不動産登記法22条)。登記識別情報とは、登記が終わったときに、登記官から新しい名義人に通知される情報です(不動産登記法21条)。古い登記では、紙の「登記済証(権利証)」がこれに当たります。
見つからない場合でも、売却をあきらめる必要はありません。不動産登記法23条では、登記官からの事前通知、司法書士などの資格者による本人確認、公証人の認証といった別の方法が定められています。時間や費用がかかることがあるので、早めに司法書士に相談しましょう。
印鑑証明書は作成後3か月以内
登記の手続きで出す印鑑証明書は、作成後3か月以内のものに限られます(不動産登記令16条3項・18条3項)。早く取りすぎると使えなくなります。決済日に合わせて取り寄せましょう。
住所が変わっている場合
登記上の住所と今の住所が違う場合は、名義を移す前に住所の変更登記が必要です。法務省によると、令和8年4月1日から住所などの変更登記が義務になりました。
| 項目 | 内容(法務省の特設ページより) |
|---|---|
| 期限 | 住所や氏名の変更の日から2年以内 |
| 過去の変更 | 令和8年4月1日より前の変更は、令和10年3月31日までに登記 |
| 正当な理由なく怠った場合 | 5万円以下の過料の対象になりうる |
住所が変わったことを示す書類が要ります。どの書類を使うかは司法書士に確かめましょう。売却の予定があるなら、早めに手続きを済ませておくと決済が滞りません。
ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている物件は、決済のときに返済して抵当権を消すのが一般的です。金融機関に残高と手続きの流れを早めに確かめておきます。
固定資産税の精算
決済のときに、その年の固定資産税などを売主と買主で分けて精算することがあります。分け方は売買契約で決めるので、契約の前に不動産会社に確かめておきましょう。
売却後の確定申告で使う書類
取得費が分かる書類
売って利益が出た場合は、譲渡所得として確定申告が必要になることがあります。利益は、売った金額から、買ったときの費用(取得費)と売るための費用を引いて計算します。
国税庁によると、取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費とすることができます。実際の取得費が分かれば、それを使った方が税金が少なくなることもあります。購入時の契約書や領収書を探す理由はここにあります。
売ったあとも書類を保管する
確定申告が終わっても、売買契約書の写しや領収書はすぐに捨てないでください。後から内容を確かめる場面があるかもしれません。売却で使った書類は、1つの封筒やファイルにまとめておくと安心です。
税金の全体像は売却の税金で、相続した空き家の特例は空き家の3,000万円特別控除で説明しています。
書類集めを楽にするコツ
- 最初に登記事項証明書で名義と住所を確かめる
- 権利証と購入時の書類を、まず家の中で探す
- 期限のある書類(印鑑証明書など)は決済日から逆算して取る
- 足りない書類は、不動産会社と司法書士に早めに伝える
例:親の家を兄弟で相続して売る場合
たとえば、親の家を兄弟2人で相続して売るとします。まず相続登記で2人の名義にし、それぞれが印鑑証明書や本人確認書類を用意します。遠方に住む兄弟がいる場合は、書類のやり取りに時間がかかります。日程に余裕を持たせましょう。
例:買ったときから住所が変わっているBさんの場合
たとえば、Bさんは十数年前に買ったマンションを売ることにしました。登記事項証明書を取ると、名義人の住所は買った当時の古い住所のままでした。
この場合、名義を買主に移す前に住所の変更登記が要ります。引っ越しを何度かしていると、住所のつながりを示す書類が増えることがあります。決済の直前に慌てないよう、査定を受けた段階で司法書士に相談しておくと安心です。
書類集めでよくある失敗と避け方
印鑑証明書を早く取りすぎた
準備を急ぐあまり、契約のころに印鑑証明書を取ってしまう例です。登記に使えるのは作成後3か月以内のものなので、決済が延びると取り直しになります。取る時期は、不動産会社や司法書士と決済日を確かめてから決めましょう。
名義や住所を決済の直前に確かめた
決済の日が近づいてから、名義が親のままだった、住所が古いままだったと気づく例です。相続登記や住所の変更登記には時間がかかります。最初の相談の段階で、登記事項証明書を見ておけば防げます。
不具合を伝えずに契約した
知っていた雨漏りや設備の故障を書かずに契約する例です。引き渡しの後に見つかると、話し合いや費用の負担でもめる原因になります。分かっていることは、物件の状況を伝える書面に正直に書きましょう。
決済の前に確かめるチェックリスト
- 登記識別情報(または登記済証)は手元にあるか
- 印鑑証明書は作成後3か月以内のものか
- 実印と本人確認書類を用意したか
- 登記上の住所と今の住所は同じか
- ローンが残っている場合、金融機関と返済の段取りを決めたか
- 固定資産税などの精算の方法を契約で確かめたか
- 鍵や設備の説明書など、買主に渡す物をそろえたか
よくある質問
- 不動産売却で権利証が見つからないときはどうすればいいですか?
- 売却はできます。不動産登記法23条の事前通知や、司法書士などによる本人確認の方法があります。早めに司法書士に相談しましょう。
- 印鑑証明書はいつ取ればいいですか?
- 登記に使う印鑑証明書は、作成後3か月以内のものに限られます。決済日に間に合い、期限が切れない時期に取りましょう。
- 査定の段階で書類はそろっている必要がありますか?
- そろっていなくても査定は受けられます。登記事項証明書や固定資産税の納税通知書があると、話が早く進みます。
- 登記上の住所が古いままでも売れますか?
- 名義を移す前に住所の変更登記が必要です。令和8年4月1日からは、住所変更の登記が義務になっています。
- 購入時の契約書がないと税金は高くなりますか?
- 取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費とすることができます。実際の取得費の方が大きければ、書類で示せる方が有利になることがあります。
- 決済の日に立ち会えない場合はどうすればいいですか?
- 代理人を立てて手続きを進められる場合があります。必要な委任状や本人確認の方法は、早めに司法書士に確かめましょう。
売却を相談できる会社
書類の準備は、売却を任せる会社と一緒に進めるのが近道です。売買の会社の一覧から地元の会社を探してみてください。会社の選び方は売却の会社の選び方、査定の受け方は査定の種類で説明しています。
早く現金にしたい場合は買取の流れも参考になります。複数の会社にまとめて聞きたい方は、一括相談の説明をご覧ください。
まとめ
- 必要書類は、査定・媒介契約・売買契約・決済・確定申告の段階ごとに違う
- 決済では登記識別情報(または登記済証)と印鑑証明書が要る
- 印鑑証明書は作成後3か月以内のものに限られる
- 住所が変わっていれば、名義を移す前に住所の変更登記が必要
- 購入時の契約書や領収書は、売却後の税金の計算で役に立つ




