社宅代行とは?社宅管理会社の仕事と、オーナーが法人契約を受けるコツ

社宅代行とは、企業の借り上げ社宅の事務をまとめて引き受けるサービスです。社宅代行会社の仕事、仲介会社や管理会社との違い、オーナーが法人契約の入居者を迎えるための準備をまとめました。
結論
- 社宅代行とは、企業が社員に用意する借り上げ社宅について、物件探し、契約、家賃の支払い、解約などの事務を専門の会社がまとめて引き受けるサービスです。
- 引き受ける会社は「社宅代行会社」「社宅管理会社」と呼ばれ、オーナーから見ると法人契約の入居者を紹介してくれる窓口です。
- オーナーは、社宅の手配を扱う不動産会社に募集を頼み、法人の条件と手続きに合わせた準備をしておくと、法人契約につながりやすくなります。
転勤する社員の住まいを、会社が借りて用意する「借り上げ社宅」。賃貸オーナーにとって、法人の入居者は家賃の支払いが会社からになる心強い相手です。
ところが、法人契約の問い合わせは、会社の総務部から直接来るとは限りません。間に「社宅代行会社」が入ることが多く、その仕組みが分からないと、どこに働きかければよいかが見えにくくなります。
この記事では、社宅代行の仕組みと、オーナーが法人契約を受けるための準備を整理します。
社宅代行とは
社宅代行とは、企業の社宅にかかわる事務を、外部の専門会社が企業に代わって行うサービスです。社宅管理代行とも呼ばれます。
企業は、社員の転勤のたびに物件を探し、契約を結び、毎月の家賃を払い、退去のときには精算をします。社員が多い会社ほど、この事務は大きな負担になります。社宅代行は、この事務をまとめて引き受けます。全国に拠点がある会社では、地域ごとに不動産会社を探す手間も省けます。
企業が社宅代行を使う理由
社宅の事務には、税金の計算もかかわります。国税庁によると、会社が社員に社宅を貸すとき、社員から受け取る家賃が「賃貸料相当額」の50%以上であれば、その差額は給与として課税されません。会社が持つ社宅だけでなく、他から借りて社員に貸す場合も同じ計算です。
賃貸料相当額は、建物と敷地の固定資産税の課税標準額や、建物の床面積をもとに計算します。社員ごとの負担額を決め、給与から差し引くといった事務が続くため、外部に任せたい企業が多くなります。
呼び方が違っても役割で見分ける
社宅代行を行う会社は、「社宅管理会社」「社宅代行会社」など、名乗り方がさまざまです。名前ではなく、企業の側に立って何を引き受けているかで見分けると、やりとりの相手が分かりやすくなります。
社宅代行会社の主な仕事
| 仕事 | 内容 | オーナーとの関わり |
|---|---|---|
| 物件探し | 転勤者の条件に合う物件を探す | 空室への問い合わせが来る |
| 条件の調整 | 家賃の上限や設備の条件をすり合わせる | 家賃や入居日の相談が来る |
| 契約の手続き | 法人契約の書類を取りまとめる | 契約書や必要書類のやりとり |
| 家賃の支払い | 企業の家賃支払いを取りまとめる | 振込や請求書の扱いを決める |
| 更新・解約 | 更新や解約の手続き、退去の精算 | 解約の連絡、立ち会い、精算 |
社宅代行会社と、仲介会社・管理会社の違い
社宅代行会社は、企業の側に立って社宅の事務を行います。オーナーの側に立つ賃貸管理会社とは、立場が違います。
| 会社 | 誰の側に立つか | 主な役割 |
|---|---|---|
| 社宅代行会社 | 企業 | 社宅の事務全体を企業に代わって行う |
| 仲介の不動産会社 | 貸主と借主の間 | 部屋の貸し借りの仲立ちをする |
| 賃貸管理会社 | オーナー | 入居者対応、集金、建物の維持をする |
部屋の貸し借りの仲介を仕事として行うには、宅地建物取引業の免許が必要です。社宅代行会社が自ら仲介まで行う場合もあれば、物件の近くの不動産会社に仲介を任せる場合もあります。
オーナーが自分の物件の管理を任せたいときは、社宅代行会社ではなく賃貸管理会社に相談します。役割の違いを知っておくと、相談先を間違えずに済みます。
オーナーにとっての法人契約の特徴
- 家賃の支払いは企業が行うため、滞納の心配が比較的小さい
- 転勤の時期に問い合わせが集まりやすい
- 企業ごとに家賃の上限や設備の条件が決まっていることが多い
- 企業独自の契約書の書式を使いたいと言われることがある
契約の名義、原状回復の負担の分け方、解約の予告期間などは、企業や社宅代行会社ごとに違います。契約前に条件をよく確かめましょう。
たとえば、駅近のワンルームを持つEさんの場合
たとえば、駅に近いワンルームを持つEさんがいるとします。個人向けの募集では、転勤の時期以外に空室が長引くことがありました。
Eさんは、近くで社宅の手配を扱う不動産会社に募集を頼み、法人契約を受け付けると伝えました。請求書払いや入居日の調整に応じられることも伝え、問い合わせの段階で話が止まらないようにしました。
法人契約を意識した募集が向くオーナー
- 転勤者が多い地域に物件があるなら、法人契約を意識した募集が向く
- 請求書払いや企業の書式に応じられるなら、話が進みやすい
- 自分の契約書の書式しか使いたくないなら、受けられる案件が限られることがある
- 急な内見や入居日の調整が難しいなら、管理会社に窓口を任せる
社宅代行会社が企業から受ける依頼の流れ
社宅代行会社の仕事を企業の側から見ると、おおむね次の順番です。オーナーへの問い合わせが、どの段階で来るかが分かります。
- 企業が社員の転勤を決め、社宅代行会社に住まいの手配を頼む
- 社宅代行会社が、社員の希望と企業の規程(家賃の上限など)を確かめる
- 物件を探し、仲介の不動産会社やオーナーに問い合わせる
- 社員が物件を選び、企業の承認を得て契約の手続きに進む
- 入居後は、家賃の支払いや更新の管理を社宅代行会社が取りまとめる
- 転勤や退職で退去するときは、解約の連絡と精算を取りまとめる
オーナーに問い合わせが来るのは3の段階です。この時点で、家賃の上限や入居日の希望はすでに決まっていることがあります。条件にすぐ答えられるよう、空室の情報を整えておきましょう。
社宅代行会社から入居が決まるまでの流れ
- 社宅代行会社や仲介の不動産会社から、空室について問い合わせが来る
- 家賃の上限、間取り、入居日などの条件を確かめる
- 会社の資料と、住む社員の情報で入居審査をする
- 契約書の書式、名義、解約の予告期間、支払い方法を調整する
- 契約を結び、入居日に鍵を渡す
法人契約を受けやすくするための準備
法人契約の問い合わせを増やしたいときは、物件の近くで法人の社宅の仲介や手配を扱っている不動産会社に募集を頼むのが近道です。会社を選ぶときは、次の点を確かめましょう。
- 社宅代行会社や企業との取引があるか
- 法人契約の手続き(必要書類、請求書払いなど)に慣れているか
- 単身者向け・家族向けなど、転勤者の需要に合った見せ方を提案できるか
オーナー側でも、次の準備をしておくと話が早く進みます。
- 法人契約を受け付けることを、募集の条件に明記しておく
- 入居日の調整や、急な内見の申し込みに応じられるようにしておく
- 原状回復や解約予告の考え方を、前もって整理しておく
- 企業の書式で契約する場合に、どこまで受け入れるかを決めておく
ポイント
- 社宅代行会社は、企業に代わって社宅の事務を行う
- オーナーから見ると、法人の入居者を紹介してくれる窓口
- 仲介を行うには宅地建物取引業の免許が要る
- 社宅の手配を扱う地元の不動産会社に募集を頼むのが近道
募集の情報は写真と図面をそろえる
転勤者は、遠くから物件を選ぶことがあります。部屋の写真、間取り図、周りの環境の説明がそろっていると、現地に来る前に候補に入れてもらいやすくなります。
問い合わせに備えて整えておく情報
社宅代行会社や仲介の不動産会社から問い合わせが来たとき、次の情報がすぐ出せると、やりとりが早く進みます。
- 家賃、共益費、敷金・礼金の内訳
- 入居できる日と、内見できる日時
- 間取り図、広さ、主な設備、駐車場の有無
- 法人契約を受けるかどうか、請求書払いに応じるかどうか
- 原状回復や解約予告について、オーナー側の基本の考え方
条件が企業の規程に合わないときも、どこまでなら調整できるかを先に決めておくと、話が止まりにくくなります。
法人契約でよくある失敗と避け方
借主がだれかを確かめない
問い合わせをくれた会社が、そのまま借主になるとは限りません。企業が借主になるのか、社宅代行会社が間に入るのかを、最初に確かめます。
企業の書式をそのまま受け入れる
企業の書式には、解約の予告や原状回復について、オーナー側の書式と違う定めがあることがあります。違う点に印をつけ、受け入れられるかを一つずつ判断しましょう。
支払いの段取りを決めない
請求書が要るのか、振込日はいつかを決めずに始めると、入金の確認に手間がかかります。契約のときに、支払いの方法と連絡先を書面で決めておきます。
内見の申し込みに間に合わない
転勤者は、限られた日程で物件を見に来ることがあります。内見の連絡に鍵の受け渡しが間に合わないと、ほかの物件に決まってしまいます。仲介の不動産会社に鍵を預けるなど、すぐ案内できる段取りを整えておきます。
問い合わせが来たときに確かめるチェックリスト
- 借主は企業か、社宅代行会社か、ほかの形か
- 住むのは単身の社員か、家族も一緒か
- 家賃の上限と、共益費や駐車場代の扱い
- 入居の希望日と、内見の日時
- 契約書は、どちらの書式を使うか
- 家賃の支払いの方法と、請求書が要るかどうか
- 解約の連絡と、退去の精算の窓口
契約前に確かめたいこと
借り上げ社宅は、会社が借りて社員が住む形です。民法では、借りた人は貸した人の承諾なしに部屋を又貸しできないと決まっています。そのため、契約書で「社員が住むこと」をはっきり認めておくことが大切です。
名義、住む人の範囲、解約の予告、原状回復、支払い方法の確かめ方は「借り上げ社宅をオーナーが受けるには?」で詳しく解説しています。審査の書類は「法人契約の審査と書類」もご覧ください。
よくある質問
- 社宅代行と借り上げ社宅は何が違いますか?
- 借り上げ社宅は、会社が賃貸住宅を借りて社員を住まわせる形のことです。社宅代行は、その借り上げ社宅の事務を外部の会社が引き受けるサービスです。
- 社宅代行会社とオーナーが直接契約を結びますか?
- 契約の名義が企業になるか、ほかの形になるかは案件によって違います。問い合わせの段階で、誰が借主になるかを必ず確かめましょう。
- 個人のオーナーでも法人契約を受けられますか?
- 受けられます。企業の条件に合う物件であれば、個人のオーナーかどうかは問われないのが一般的です。
- 社宅代行会社にオーナーが手数料を払いますか?
- 取引の形や会社によって違います。仲介の手数料や広告料の扱いを、募集を頼む不動産会社に前もって確かめておきましょう。
- 社宅代行会社はどうやって探せばよいですか?
- オーナーが直接探すより、社宅の手配を扱う物件の近くの不動産会社に募集を頼むのが近道です。
- 社宅代行を通すと、家賃の相談はありますか?
- 企業ごとに家賃の上限があるため、条件の相談が来ることはあります。どこまでなら調整できるかを前もって決めておくと、話が早く進みます。
当メディアでは、公式ホームページに社宅の管理代行・手配・仲介を載せている会社を社宅管理の不動産会社一覧にまとめています。空室全体の考え方は「空室対策」もご覧ください。
まとめ
- 社宅代行とは、企業の社宅の事務を外部の会社がまとめて引き受けるサービス
- 社宅代行会社は企業の側に立ち、オーナーには法人の入居者を紹介する窓口になる
- 社員の家賃負担には税金の決まりがあり、事務の手間が大きいことが背景にある
- 法人契約は支払いが安定しやすい一方、名義や解約の条件は案件ごとに違う
- 社宅の手配を扱う地元の不動産会社に募集を頼み、準備を整えておく




