空室対策は家賃を下げる前に。オーナーが見直したい5つのことと進め方

空室対策は、家賃を下げる前に、募集の見せ方・入居の条件・初期費用・設備・貸し方の5つを見直すのが基本です。空室の原因の探し方と、管理会社と一緒に進める手順をまとめました。
結論
- 空室対策は、家賃を下げる前に「募集の見せ方」「入居の条件」「初期費用」「設備」「貸し方」の5つを見直すのが基本です。
- 先に、なぜ決まらないのかを「見られていない」「見られても内見されない」「内見されても決まらない」の3つに分けて考えると、打つ手が絞れます。
- 一般の賃貸で決まりにくい物件も、家具付き賃貸・社宅・シェアハウス・民泊など、貸し方を変えると需要が見つかることがあります。
空室が続くと、毎月の収入が減るだけでなく、気持ちも焦ります。管理会社から「家賃を下げましょう」と言われ、そのまま受け入れてしまう方も多いのではないでしょうか。
ですが、家賃を下げると、その後もずっと収入が減ります。次の入居者にも同じ家賃で貸すことになり、物件を売るときの評価にも響くことがあります。下げる前に、見直せることがあります。
この記事では、空室の原因の探し方と、家賃を下げる前に試したい5つの対策を、オーナーの目線で整理します。
空室対策とは
空室対策とは、空いている部屋に入居者が決まるよう、募集の方法や部屋の条件、貸し方を見直すことです。家賃を下げることも対策の一つですが、最後に考える手段です。
大切なのは、闇雲に手を打たないことです。原因が分からないまま設備を入れても、費用だけがかかることがあります。
空室の原因を3つに分けて考える
部屋探しの人は、ネットで探す、問い合わせる、内見する、申し込む、という順に進みます。どこで止まっているかで、打つ手が変わります。
| 止まっている段階 | よくある原因 | まず見直すこと |
|---|---|---|
| ネットで見られていない | 条件で絞り込むと外れる、写真が少ない | 入居の条件、掲載の内容 |
| 見られても内見されない | 写真が暗い、説明が少ない、初期費用が高く見える | 写真と説明文、初期費用 |
| 内見されても決まらない | 部屋の印象、においや汚れ、設備の古さ | 清掃、設備、小さな修繕 |
管理会社に数字を聞く
問い合わせの数、内見の数、断られた理由。こうした情報は、募集をしている会社が持っています。「どの段階で止まっていますか」と聞くだけで、話が具体的になります。
たとえば、駅から離れた古い部屋の場合
たとえば、駅から少し離れた古いアパートの一室が、長く空いているCさん。管理会社からは家賃を下げる提案が届きました。Cさんはその前に、問い合わせと内見の数を聞いてみました。
すると、問い合わせはあるのに、内見のあとで断られていると分かりました。理由を聞くと、水回りの古さと、部屋のにおいが挙がっていました。Cさんは家賃を据え置いたまま、清掃と水栓の交換から手を付けることにしました。
このように、止まっている段階が分かると、お金をかける場所が絞れます。原因が「見られていない」なら、設備を入れても効きにくいということです。
家賃を下げる前に見直したい5つのこと
1. 募集の写真と説明文
インターネットで部屋を探す人は、まず写真を見ます。暗い写真や、物が写り込んだ写真では、見てもらえません。明るく広く見える写真に変えるだけで、問い合わせが増えることがあります。
説明文には、周辺の買い物や通勤の便、収納の大きさなど、住んだあとの暮らしが想像できる情報を入れます。
2. 入居の条件
「ペット不可」「保証人必須」「楽器不可」などの条件を少し緩めるだけで、対象になる人が増えます。ペットと暮らせる部屋は、探している人に比べて数が少ないため、選ばれやすくなることがあります。
ただし、条件を緩めるときは、退去時の原状回復の扱いを契約で決めておくことが大切です。
3. 初期費用
敷金・礼金を抑えたり、フリーレント(最初の家賃を一定期間無料にする)をつけたりすると、家賃を下げずに入居を後押しできます。毎月の家賃を変えないため、長い目で見た収入を守りやすい方法です。
4. 設備
インターネット無料、宅配ボックス、モニター付きインターホンなどは、入居者に人気の設備です。費用と、上がる家賃や埋まりやすさを比べて検討しましょう。
小さな修繕も効きます。古い照明や水栓、汚れた床などは、内見の印象を大きく左右します。
内見の前に、換気と簡単な清掃をしておくことも大切です。においやほこりは、写真では伝わらない分、現地で印象を下げやすい点です。
5. 貸し方そのもの
一般の賃貸で決まりにくい物件でも、貸し方を変えると需要が見つかることがあります。
- 家具付き賃貸:短い期間だけ住みたい人に向く
- 社宅:会社が借りるため、法人の需要をつかめる
- シェアハウス:部屋数の多い一戸建てで、部屋ごとに貸せる
- 民泊:観光の需要がある地域で、宿泊として貸せる
それぞれに必要な手続きや設備があります。くわしくは「戸建てをシェアハウスに」「空き家を民泊に」「社宅管理会社とは」をご覧ください。
ポイント
- 原因を「見られない・内見されない・決まらない」に分ける
- 写真と説明文は、費用をかけずにすぐ直せる
- 初期費用の工夫は、毎月の家賃を守りながら入居を後押しする
- 貸し方を変えると、別の需要が見つかることがある
空室対策の進め方
対策は、思いついた順に打つより、次の順番で進めると無駄が少なくなります。
- 管理会社に、問い合わせ・内見・断られた理由の数字をもらう
- 止まっている段階を決め、その段階に合う対策を1つか2つ選ぶ
- 費用のかからないもの(写真・説明文・条件)から先に試す
- 一定の期間で反応を見て、変わらなければ次の対策に進む
- それでも決まらないときに、設備の追加、貸し方の変更、家賃の見直しを比べる
管理会社に相談するときのチェックリスト
管理会社と話す前に、次の項目を確かめておくと、提案が具体的になります。
- 問い合わせ・内見・申し込みの数を、期間を区切って出してもらったか
- 内見のあとで断られた理由を、分かる範囲で聞いたか
- 今の募集の写真と説明文を、自分の目で見たか
- 同じ駅・同じ広さの部屋と、家賃や初期費用を並べた一覧をもらったか
- 提案された対策ごとに、かかる費用と期待できる効果の根拠を聞いたか
- 反応を見る期間と、次の手に進む目安を決めたか
入居の条件を緩めるときの決めごと
ペット可や楽器可に変えるときは、契約に決めごとを書き足しておくことが大切です。飼える動物の種類や数、退去時の修繕の負担などを具体的にしておくと、あとの話し合いがこじれにくくなります。退去時の負担の考え方は「原状回復ガイドライン」で説明しています。
家賃を見直すときの考え方
ほかの対策を試しても決まらないときは、家賃の見直しも選択肢になります。その場合も、いきなり下げるのではなく、周りの似た部屋の家賃と、広さ・築年数・設備を並べて比べます。
管理会社に、比べた物件の一覧を出してもらうと、下げ幅の根拠がはっきりします。根拠のない値下げの提案には、理由を聞きましょう。
周りの物件を自分でも見てみる
部屋探しのサイトで、同じ駅・同じ広さの部屋を探してみると、自分の部屋がどう見えているかが分かります。写真の数や説明の詳しさを比べるだけでも、直すところが見つかることがあります。
設備の追加や改修は、費用を回収できるかを先に考えます。かかる費用と、上がる家賃や埋まりやすさを並べ、管理会社に根拠を示してもらいましょう。
設備に投資するか、貸し方を変えるか
ほかの対策で決まらないとき、次の一手は大きく2つに分かれます。条件で分けると、選びやすくなります。
- 周りに似た部屋が多く、設備の差で選ばれていないなら、設備の追加を比べる
- 一般の賃貸の需要そのものが少ない地域なら、社宅や家具付き賃貸など貸し方の変更を比べる
- 部屋数の多い一戸建てなら、シェアハウスとして部屋ごとに貸す案も並べる
- 近いうちに売る予定があるなら、大きな工事は控え、売却と比べてから決める
空室対策でよくある失敗
- 原因を確かめずに、まず設備を入れてしまう
- 写真や条件など、一度に多くを変えて、何が効いたのか分からなくなる
- 反応を見る期間を決めずに、値下げを何度も重ねる
- 入居の条件を緩めたのに、退去時の取り決めを契約に書いていない
避けるコツは、変えたことと時期をメモに残し、管理会社と一緒に結果を見ることです。何が効いたかが分かれば、次の空室でも同じ手を使えます。
退去を減らすことも空室対策
空室対策というと募集ばかりに目が向きますが、今の入居者に長く住んでもらうことも、同じくらい大切です。退去が減れば、募集の手間も、空室の期間もそもそも生まれません。
修理の依頼にすぐ応える
設備の故障や水回りの不具合への対応が遅いと、入居者の不満がたまります。管理会社が、依頼を受けてからどれくらいで動くのかを確かめておきましょう。
更新のときに声をかける
更新の時期は、住み続けるかどうかを考えるきっかけになります。困っていることがないかを聞き、小さな要望に応えるだけで、住み続けてもらえることがあります。
退去の理由を聞いておく
退去が決まったら、理由を聞ける範囲で聞いておきます。「収納が足りない」「ネットが遅い」といった声は、次の募集でそのまま対策になります。
退去後の準備を早めに始める
退去の連絡を受けたら、部屋が空く前から次の募集の準備を始めます。修繕や清掃の段取り、写真を撮り直す日程を先に決めておくと、空室の期間を短くしやすくなります。
管理会社に提案を求めよう
空室対策は、管理会社の提案力で差が出ます。数字にもとづいた具体的な提案がない場合は、ほかの会社の意見も聞いてみましょう。見直し方は「管理会社の変更」で説明しています。
よくある質問
- 空室対策で家賃を下げるのは悪い?
- 悪いわけではありませんが、下げた家賃はその後も続きます。ほかの対策を試してから、最後に比べるのがおすすめです。
- 空室対策にお金はいくらかかる?
- 対策の中身と物件によって大きく違います。写真や説明文、入居の条件の見直しは、費用をかけずに始められます。
- フリーレントは損にならない?
- 最初の一定期間の家賃は入りませんが、毎月の家賃は下げずに済みます。入居の期間が長くなれば、家賃を下げるより収入を守りやすい場合があります。
- 空室対策は管理会社に任せればいい?
- 募集の実務は任せられますが、条件や費用をどうするかを決めるのはオーナーです。数字にもとづいた提案をもらい、一緒に決めていきましょう。
- 空室が続く物件は売ったほうがいい?
- 物件の状態や今後の使い道によります。貸し方を変える案と売却の案を並べて比べると判断しやすくなります。
- 空室対策の効果はいつ判断すればいい?
- 物件や時期によって違うため、対策を始める前に、反応を見る期間を管理会社と決めておくのがおすすめです。問い合わせや内見の数の変化で判断すると、次の手を選びやすくなります。
空室の相談先を探すには
当メディアの会社一覧では、業種ごとに不動産会社をまとめています。貸し方を変えたい方はシェアハウス・民泊・社宅の一覧も、売却も含めて比べたい方は「実家は売るか貸すか」もご覧ください。
まとめ
- 空室対策は、家賃を下げる前に5つのことを見直すのが基本
- 原因を「見られない・内見されない・決まらない」の3つに分ける
- 写真・説明文・入居の条件など、費用のかからない対策から試す
- 初期費用の工夫や設備、貸し方の変更も選択肢になる
- 管理会社に数字と根拠のある提案を求め、なければほかの会社にも相談する




