サブリースの重要事項説明とは?法30条の説明14項目と契約前に確かめる点

サブリース会社は、契約を結ぶ前に、オーナーへ書面を渡して契約の中身を説明する義務があります。賃貸住宅管理業法30条で説明する14の項目と、説明の場で確かめたい点を順に整理します。
結論
- サブリースの重要事項説明とは、サブリース会社が契約を結ぶ前に、オーナーへ書面を渡して契約の中身を説明することです(賃貸住宅管理業法第30条)。
- 説明する事項は、家賃とその変更、修繕費の分担、違約金、契約期間、更新と解除、借地借家法の概要など14項目と省令で決まっています。
- 国土交通省は、説明から契約まで1週間程度の期間をおくことが望ましいとしています。
- 書面を渡さなかったり、うその書面を渡したりすると、50万円以下の罰金の対象になります。
「サブリースの契約の前に、分厚い説明書を読み上げられたけれど、正直よく分からなかった」。そんな声は少なくありません。
説明を受けた時点では、まだ契約は結んでいません。ここで中身を理解しておけば、あとで「こんなはずではなかった」となるのを防げます。
この記事では、法律で決まっている説明の仕組みと14の項目を整理し、説明の場でとくに確かめたい点をまとめます。これから契約する方にも、更新や条件の変更を控えている方にも役立つ内容です。
サブリースの重要事項説明とは
サブリースの重要事項説明とは、サブリース会社(法律では「特定転貸事業者」)が、オーナーと契約を結ぶまでに、書面を渡して契約の内容を説明することです。賃貸住宅管理業法第30条で義務になっています。
この契約は、法律では「特定賃貸借契約」と呼ばれます。サブリース会社がオーナーから建物を借り、入居者に又貸しする事業のための契約です。いわゆるマスターリース契約のことです。
誰が、誰に説明するのか
説明するのは、サブリース会社自身です。国土交通省の「解釈・運用の考え方」は、ほかの会社に任せず特定転貸事業者みずから行う必要があるとしています。
説明は、実務経験のある人や賃貸不動産経営管理士など、専門的な知識と経験のある人が行うことが望ましいとされています。
説明を受けるのは、契約の相手になろうとするオーナーです。ただし、宅地建物取引業者や賃貸住宅管理業者など、専門的な知識があるとされる相手には説明しなくてよいと省令で決まっています。
説明と書面のかたち
説明は、書面を渡して行うのが基本です。オーナーが承諾すれば、書面の代わりに電子データで渡すこともできます。テレビ会議などを使った説明も、決められた方法に沿えば認められています。
説明しなければならない14の項目
説明する事項は、賃貸住宅管理業法施行規則第45条で決まっています。次の表に、14項目と確かめたい点をまとめます。
| 項目 | 説明の場で確かめたい点 |
|---|---|
| 1 サブリース会社の商号・住所 | 契約する会社が、説明した会社と同じか |
| 2 対象の賃貸住宅 | 部屋、共用部、設備、駐車場などの範囲 |
| 3 家賃の額と変更 | 家賃の根拠、改定の時期、減額があり得ること |
| 4 維持保全の方法 | 点検や清掃の内容と回数 |
| 5 維持保全の費用の分担 | どの修繕がオーナー負担か、指定業者の条件 |
| 6 実施状況の報告 | 報告の内容と頻度 |
| 7 損害賠償の予定・違約金 | 途中解約などで払うお金の定め |
| 8 責任と免責 | 災害時など会社が責任を負わない場面 |
| 9 契約期間 | 普通借家か定期借家か、期間の始めと終わり |
| 10 転貸の条件 | 入居者の資格(学生限定など) |
| 11 入居者への周知 | 維持保全の内容を入居者にどう知らせるか |
| 12 更新と解除 | 更新の方法、解除の条件 |
| 13 契約終了時の引き継ぎ | 入居者との契約や敷金をオーナーが引き継ぐこと |
| 14 借地借家法などの概要 | 家賃の減額請求や更新拒絶の決まり |
ポイント
- 説明する項目は14あり、省令で決まっている
- 家賃は「根拠」と「下がることがある点」まで説明する決まり
- 修繕費の分担は、設備ごとにどちらが払うかまで確かめる
- 契約が終わると、入居者との契約と敷金をオーナーが引き継ぐ
とくに確かめたい4つのポイント
国土交通省の「解釈・運用の考え方」は、項目ごとに書くべき中身を細かく示しています。そのうち、オーナーがあとで困りやすい点を4つ取り上げます。
家賃の根拠と、下がる可能性
家賃の欄には、金額だけでなく設定の根拠を書く決まりです。根拠は、近くの似た物件の家賃相場を示すなどして説明します。
また、契約期間が長くても、家賃がずっと同じとは限りません。家賃が減額される場合があることと、改定のタイミングを説明する決まりです。契約期間は、家賃が固定される期間ではありません。
借地借家法の減額請求
サブリース会社は借り手の立場なので、借地借家法第32条の家賃の減額請求ができます。税金の増減、経済事情の変動、近くの家賃との比較で不相当になったときです。
契約に「一定期間は減額しない」と書いてあっても、普通借家の契約なら減額の請求自体はできる、と説明する決まりです。一方で、オーナーは請求をそのまま受け入れる義務はなく、話し合いで決めます。合意できなければ、最終的には裁判で決まります。
修繕費の分担と指定業者
どの修繕をオーナーが払うのかは、設備ごとに書いて説明する決まりです。経年劣化や通常の使用による傷みの修繕がオーナー負担になる場合は、とくにはっきり示す必要があります。
修繕のときにサブリース会社が指定する業者が工事をする条件があるなら、必ず書いて説明する決まりです。
更新拒絶と契約の終わり方
普通借家の契約では、オーナーから更新を断るには、借地借家法第28条の「正当の事由」が必要です。契約書に「協議のうえ更新」とあっても、オーナーが同意しなければ必ず終わる、というわけではありません。
定期借家の契約なら、期間の満了で終えられます。ただし、オーナーからの途中解約は原則できない、と説明する決まりです。
説明書の言葉が分からないまま署名しないでください。分からない項目は、その場で質問し、答えを書面に残してもらいましょう。
説明書に出てくる言葉の言い換え
重要事項説明書には、ふだん使わない言葉が並びます。主な言葉を言い換えておきます。
- 特定転貸事業者:オーナーから建物を借りて、入居者に又貸しする会社。いわゆるサブリース会社
- 特定賃貸借契約:オーナーとサブリース会社の間の契約。マスターリース契約
- 維持保全:建物の点検や清掃、必要な修繕のこと
- 免責期間:入居者を募集する間などに、サブリース会社がオーナーに家賃を払わない期間
- 転借人:サブリース会社から部屋を借りて住む入居者
免責期間も説明の対象
新しい入居者の募集に時間がかかるなどの理由で、家賃を払わない免責期間を設けることがあります。この場合は、その旨を書いて説明する決まりです。免責期間があると、最初の数か月や退去のあとに家賃が入らないことがあります。期間の長さと、どんなときに設けるかを確かめましょう。
説明から契約までの流れ
国土交通省の「解釈・運用の考え方」をもとに、説明から契約までの流れを整理します。
- サブリース会社から、重要事項説明書を受け取る(事前に送ってもらうとよい)
- 説明を受け、分からない項目を質問する
- 1週間程度の期間をおいて、家族や専門家と内容を確かめる
- 納得できたら契約を結ぶ
- 契約を結んだら、契約の内容を書いた書面(契約締結時書面)を受け取る
説明から契約までの期間を短くせざるを得ないときは、説明書を前もって送ってもらい、読む時間をとるのが望ましいとされています。
契約を結んだあとの書面
契約を結んだときにも、サブリース会社は遅滞なく書面を渡す義務があります(法第31条)。家賃、維持保全の方法、契約期間、更新と解除などを書いた書面です。説明書と見比べ、中身が変わっていないか確かめましょう。
会社の状況を見る書類
サブリース会社は、業務と財産の状況を書いた書類を営業所に備え、オーナーや契約を考えている人が求めれば見せる義務があります(法第32条)。業務状況調書、貸借対照表、損益計算書などです。長く付き合う会社なので、契約の前に見せてもらうと安心です。
更新や条件の変更のときも説明はある?
説明は、新しく契約を結ぶときだけではありません。家賃などの説明事項を変える契約を結ぶときにも必要です。この場合は、変わった事項について書面を渡して説明すれば足りるとされています。
一方で、契約の中身を変えずに期間だけを延ばすような、形だけの変更なら、説明はしなくてよいとされています。
変更の契約のときは、オーナーが承諾した場合に限り、説明から契約までの期間をおかなくてもよいとされています。急がされたときは、承諾する前に一度持ち帰ってかまいません。
法律ができる前の契約は?
法律の施行前に結んだ契約では、施行後に一度も説明を受けていないことがあります。この場合、条件を変える契約を結ぶときに、14項目すべてについて説明を受けることになっています。
説明がなかった・違っていたときは
書面を渡さなかったとき、決まった事項を書かなかったとき、うそを書いたときは、50万円以下の罰金の対象です(法第43条)。
また、勧誘のときに大事なことをわざと伝えなかったり、事実と違うことを伝えたりすることは禁止されています(法第29条)。違反すると、6月以下の拘禁刑か50万円以下の罰金、またはその両方の対象です。
国土交通大臣に、違反の事実を申し出る制度もあります(法第35条)。申し出は、直接の関係者に限らず誰でもできるとされています。
よくある失敗
- 説明書を当日初めて見て、読まずに署名した
- 「家賃保証」という言葉だけで、家賃が下がらないと思い込んだ
- 修繕費の分担を確かめず、大きな修繕の請求に驚いた
- 違約金の定めを見落とし、解約のときに思わぬ負担になった
- 変更の契約で期間をおかずに承諾し、比べる時間がなかった
説明を受ける前のチェックリスト
- 説明書を前もって送ってもらえるか頼んだ
- 説明する人の名前と立場を確かめた
- 家賃の根拠と、改定のタイミングを聞いた
- 修繕費のオーナー負担の範囲を、設備ごとに確かめた
- 違約金と解除の条件を確かめた
- 普通借家か定期借家かを確かめた
- 会社の業務と財産の書類を見せてもらった
よくある質問
- サブリースの重要事項説明は必ず受けられる?
- サブリース会社には、契約を結ぶまでに書面を渡して説明する義務があります。ただし、オーナーが宅地建物取引業者などの場合は対象外です。
- 説明は誰がする?
- サブリース会社自身が行います。専門的な知識と経験のある人が行うことが望ましいとされています。
- 説明を受けたその日に契約しないといけない?
- いいえ。国土交通省は、説明から契約まで1週間程度の期間をおくことが望ましいとしています。
- オンラインで説明を受けられる?
- 受けられます。テレビ会議などを使う場合も、決められた方法に沿って行います。書面も、承諾すれば電子データで受け取れます。
- 家賃が下がらない契約なら安心?
- 普通借家の契約なら、減額しない定めがあっても、サブリース会社は減額を請求できます。説明の場でこの点を確かめてください。
- 説明書と契約書が違っていたら?
- 署名の前に、違う点を指摘して直してもらいましょう。契約後なら、まずサブリース会社に書面で問い合わせます。
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まとめ
- サブリースの重要事項説明は、契約前に書面を渡して行う法律上の義務
- 説明する項目は14。家賃の根拠と減額の可能性まで説明する決まり
- 説明から契約まで1週間程度の期間をおくことが望ましい
- 条件を変える契約のときも、変わった事項の説明がある
- 書面を渡さない・うそを書くと50万円以下の罰金の対象




