家賃保証とサブリースの違いとは?家賃債務保証の登録制度と選び方

「家賃保証」という言葉は、入居者の滞納を立て替える保証会社と、建物を借り上げるサブリースの両方に使われます。仕組みの違いを表で比べ、国土交通省の家賃債務保証業者登録制度の確かめ方も説明します。
結論
- 家賃保証(家賃債務保証)は、入居者が家賃を払わないときに保証会社が立て替える仕組みです。空室の家賃は保証されません。
- サブリースは、不動産会社が建物を借り上げて又貸しする仕組みです。空室があっても賃料が入りますが、賃料は減額されることがあります。
- 家賃債務保証の会社は、国土交通省の登録制度で登録されているかを確かめられます。登録は任意で、5年ごとの更新制です。
「家賃保証付き」と書かれた広告を見て、空室でも家賃が入ると思った。ところが実際は、入居者の滞納に備える保証だった。こうした取り違えは、珍しくありません。
反対に、サブリースの説明で「家賃保証」と聞き、ずっと同じ額が入ると思い込む例もあります。同じ言葉でも、中身はまったく違います。
この記事では、家賃保証とサブリースの違いを、だれと契約し、何が守られるかで比べます。国の登録制度を使った保証会社の確かめ方も紹介します。
家賃保証とサブリースの違いを一言で
家賃保証(家賃債務保証)とは
家賃債務保証とは、入居者が家賃を払えないときに、保証会社が代わりに払う仕組みです。保証会社は立て替えた分を、あとで入居者に請求します。これを「求償」と言います。
入居者がいて、その人が払わないときに働く保証です。部屋が空いているときの家賃は対象になりません。
サブリースとは
サブリースとは、不動産会社が建物を一括で借り上げ、入居者に又貸しする仕組みです。オーナーはサブリース会社から賃料を受け取ります。部屋が空いていても、契約の賃料が支払われます。
比べると
| 項目 | 家賃保証(家賃債務保証) | サブリース |
|---|---|---|
| 守るもの | 入居者の滞納 | 空室を含めた賃料の受け取り |
| 入居者と契約するのは | オーナー(または管理会社) | サブリース会社 |
| オーナーの収入 | 入居者からの家賃 | サブリース会社からの賃料 |
| 空室のとき | 収入はない | 契約の賃料が入る(減額されることはある) |
| だれが費用を払うか | 多くは入居者が保証料を払う(契約による) | 満室時の家賃との差が、実質の費用になる |
| 関わる制度 | 家賃債務保証業者登録制度(国土交通省の告示) | 賃貸住宅管理業法、借地借家法 |
ポイント
- 家賃保証は「滞納」に備える。空室の家賃は出ない
- サブリースは「空室」に備える。賃料は見直されることがある
- 同じ「家賃保証」という言葉でも、どちらの意味かを必ず確かめる
言葉の言い換え
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 家賃債務保証 | 入居者が払うべき家賃を、保証会社が保証すること |
| 保証委託契約 | 入居者が保証会社に保証を頼む契約 |
| 求償 | 保証会社が立て替えた分を、入居者に請求すること |
| 特定賃貸借契約 | オーナーとサブリース会社の借上げの契約 |
| 極度額 | 個人の保証人が負う責任の上限額 |
両方を同時に使うこともある
サブリースでは、入居者と契約するのはサブリース会社です。そのため、入居者の滞納に備える保証会社は、サブリース会社が入居者との契約でつけることがあります。オーナーが直接、保証会社と関わらないこともあります。
どの契約にだれが入っているかを図に書くと、整理しやすくなります。オーナー、管理会社またはサブリース会社、入居者、保証会社の4者を並べ、線で結んでみましょう。
家賃債務保証業者登録制度とは
制度のあらまし
国土交通省は、家賃債務保証の業務を適正にするため、告示による登録制度を設けています。告示の公布は2017年(平成29年)10月2日、施行は同年10月25日です。
一定の要件を満たす保証会社を国に登録し、その情報を公表する仕組みです。登録は任意で、登録しなくても家賃債務保証の仕事はできます。登録は5年ごとの更新制です。
登録の主な基準
国土交通省の資料では、登録の基準として次のものが挙げられています。
- 暴力団員等が関わっていないこと
- 純資産額が1,000万円以上であること
- 法令を守るための研修をしていること
- 求償(立て替えた分の請求)の方法が適切であること
- 相談や苦情に応じる体制があること
- 法人の場合、家賃債務保証業を5年以上続けているか、常勤の役員に3年以上の経験者がいること
登録された会社が守るルール
登録された会社には、次のようなルールがあります。
- うその説明や、大げさな広告をしない
- 契約を結ぶまでに、大事なことを書面で説明する
- 入居者ごとに、立て替えと返済の記録を帳簿に残す
- 受け取った家賃などを、自分の財産と分けて管理する
最近の改正と注意点
登録規程は2025年(令和7年)7月18日に改正され、同年10月1日に施行されています。求償の方法と、相談・苦情への対応をさらに適正にするための改正です。
また、2022年(令和4年)12月12日の最高裁判決を受け、国土交通省は登録業者に、2種類の条項を使わないよう求めています。滞納があったとき保証会社が無条件で催告なく賃貸借契約を解除できる条項と、契約が終わっていないのに明け渡しがあったとみなせる条項です。
保証会社を選ぶときは、国土交通省の「登録家賃債務保証業者一覧」で登録の有無を確かめましょう。登録がない会社でも営業はできますが、登録はひとつの判断材料になります。
サブリースで「家賃保証」と言われたら
賃料は見直されることがある
サブリースの広告や説明では「家賃保証」という言葉が使われることがあります。しかし、サブリース会社も借り手です。借地借家法第32条により、経済事情の変動などで賃料が不相当になれば、減額を求めることがあります。
誇大な広告は禁止されている
賃貸住宅管理業法第28条では、サブリース会社や勧誘する人が、家賃などの条件について事実と大きく違う表示や、実際より有利だと誤解させる表示をすることを禁じています。
「ずっと同じ額」と受け取れる言葉があれば、賃料の見直しの定めを契約書で確かめましょう。契約前には書面を渡して説明する義務もあります(同法第30条)。
どちらを選ぶかの分かれ道
家賃保証とサブリースは、比べて選ぶものというより、守りたいものが違う仕組みです。自分の不安がどちらにあるかで考えます。
家賃保証が向く場合
- 立地がよく、空室はあまり心配していない
- 入居者が家賃を払わないことが心配
- 家賃は満額受け取り、管理は管理会社に任せたい
サブリースが向く場合
- 空室が続いたときの収入の減り方が心配
- 遠方に住んでいて、入居者の対応に時間がとれない
- 満室時より受け取る額が下がっても、安定を優先したい
両方の言葉が出てくる場面の例
たとえば、相続したアパートの管理を見直していたCさん。ある会社からは「家賃保証付きの管理プラン」、別の会社からは「家賃保証の借上げ」を提案されました。
Cさんは、それぞれに「空室のときも払われますか」「滞納のときだけですか」と質問しました。前者は入居者の滞納を保証会社が立て替える仕組み、後者はサブリースでした。言葉ではなく仕組みで並べ直したことで、比べられるようになりました。
提案を受けたときに聞く質問
言葉の違いに迷ったら、次の質問をそのまま聞いてみましょう。答えを書面でもらえると、あとで比べやすくなります。
- 部屋が空いているときも、お金は払われますか
- 払われる額は、契約の途中で変わることがありますか
- 入居者と契約するのは、私ですか、御社ですか
- 保証会社をつける場合、その会社は国の登録を受けていますか
- やめたいとき、どんな手続きと費用がかかりますか
保証会社を確かめる手順
管理会社から保証会社を紹介されたときも、次の順で確かめると安心です。
- 保証会社の名前を聞き、国土交通省の登録業者一覧に載っているかを確かめる
- 保証の範囲を確かめる。家賃だけか、共益費や原状回復の費用も含むか
- 滞納があったとき、オーナーや管理会社がいつまでに何を知らせるかを確かめる
- 立て替えが始まるまでの流れと、立て替えの上限を確かめる
- 契約書に、無条件で解除できる条項などが入っていないかを見る
連帯保証人との違い
家賃の保証には、保証会社のほかに個人の連帯保証人を立てる方法もあります。民法第465条の2では、個人が将来の分まで含めて保証する契約は、上限額(極度額)を定めなければ効力を生じないとされています。個人の保証人を立てるときは、契約書に極度額があるかを確かめましょう。
よくある失敗
- 「家賃保証」と聞いて、空室でも家賃が入ると思い込んだ
- サブリースの「家賃保証」を、減額のない約束だと受け取った
- 保証の範囲を確かめず、原状回復の費用が対象外だと後で知った
- 滞納を知らせる期限を過ぎ、保証の手続きが遅れた
- サブリースと管理委託を、手元に残る額に直さずに比べた
迷ったときの考え方と見直し
管理委託+家賃保証で足りるか
空室の心配が小さく、心配なのは滞納だけなら、管理委託に家賃保証を組み合わせる形で足りることがあります。家賃は満額受け取り、管理費と、保証の条件を確かめる形です。
空室の心配が大きいなら
空室が続くと返済が苦しくなるなら、サブリースも候補です。ただし、賃料の見直しの時期と決め方、解約の条件を先に確かめます。満室時の家賃との差が、空室の心配を引き受けてもらう対価だと考えると判断しやすくなります。
迷ったら両方の見積もりを並べる
同じ物件で、管理委託と家賃保証の組み合わせ、サブリースの両方の提案を取り、手元に残る額で比べます。空室の見込みや修繕費は物件ごとに違うため、根拠も一緒に出してもらいましょう。
契約のあとも見直す
保証会社や借上げの条件は、一度決めたら終わりではありません。入居者が替わるときや、契約の更新のときに、次の点を見直しましょう。
- 保証会社の登録が続いているか(登録は5年ごとの更新制)
- 保証の範囲や、滞納を知らせる期限が変わっていないか
- サブリースの賃料の見直しの時期が近づいていないか
よくある質問
- 家賃保証とサブリースの違いは?
- 家賃保証は入居者の滞納を保証会社が立て替える仕組みで、空室の家賃は出ません。サブリースは会社が借り上げる仕組みで、空室でも賃料が入りますが、減額されることがあります。
- 家賃保証があれば空室でも家賃は入る?
- 入りません。家賃債務保証は、入居者がいて家賃を払わないときに働く保証です。
- 家賃保証会社に登録制度はある?
- あります。国土交通省の告示による任意の登録制度で、5年ごとの更新制です。登録業者の一覧は国土交通省のページで見られます。
- サブリースの「家賃保証」は減額されない?
- 減額されることがあります。サブリース会社も借り手なので、借地借家法により賃料の減額を求めることができます。
- 保証料はだれが払う?
- 多くは入居者が払いますが、契約によって違います。契約書と、契約前の説明の書面で確かめてください。
- 登録されていない保証会社は使えない?
- 使えます。登録は任意の制度なので、登録していなくても営業はできます。登録の有無は、会社を選ぶときの判断材料の一つです。
管理や借上げの相談先を探すには
当メディアの会社一覧では、公式ホームページの情報をもとに不動産会社をまとめています。借上げの注意点は「サブリースの注意点」、やめたいときは「サブリースの解約」、滞納が起きたときの流れは「家賃滞納の対応」をご覧ください。
まとめ
- 家賃保証(家賃債務保証)は入居者の滞納に備える。空室の家賃は出ない
- サブリースは空室に備える。ただし賃料は減額されることがある
- 家賃債務保証業者には国土交通省の任意の登録制度があり、5年ごとの更新制
- 保証会社は、登録の有無・保証の範囲・知らせる期限で確かめる
- 「家賃保証」という言葉を見たら、どちらの仕組みかを必ず聞く




