不動産の登録免許税とは?売買・相続・贈与の税率と住宅の軽減、計算方法

登録免許税は、不動産の名義を登記するときに国に納める税金です。売買・相続・贈与・新築で変わる税率、住宅の軽減税率、計算のしかたと納め方を、国税庁の税額表と法令をもとに整理します。
結論
- 不動産の登録免許税とは、土地や建物の登記をするときに国に納める税金です。登記を受ける人が納めます。
- 税額は「不動産の価額(固定資産課税台帳の価格)×税率」で、売買は1,000分の20、相続は1,000分の4が基本です。
- 土地の売買は令和11年3月31日までは1,000分の15、自分で住む住宅は1,000分の3などの軽減税率があります。
不動産を買う、相続する、贈与を受ける、家を建てる。どの場面でも、名義を記録するための登記が必要になり、そのたびに登録免許税がかかります。
司法書士への報酬と合わせて「登記費用」と呼ばれることが多いため、税金の部分がいくらかは見えにくくなりがちです。でも、税率は登記の種類で決まっていて、自分で見当をつけることができます。
この記事では、国税庁の「登録免許税の税額表」と登録免許税法の条文をもとに、不動産の登録免許税の税率と計算のしかたを説明します。
登録免許税とは
意味を一言で
登録免許税とは、登記や登録などを受けるときに、国に納める税金です。不動産では、所有権の移転や保存、抵当権の設定などの登記にかかります。
だれが納めるか
登録免許税法第3条では、登記等を受ける者が納める義務があるとされています。登記を受ける人が2人以上いるときは、連帯して納める義務を負います。
売買の名義変更で、登記の費用をどちらが負担するかは、契約で決めておきます。
不動産取得税との違い
不動産を取得したときには、不動産取得税もかかります。名前が似ていますが、別の税金です。
| くらべる点 | 登録免許税 | 不動産取得税 |
|---|---|---|
| かける先 | 国 | 都道府県 |
| かかるきっかけ | 登記をすること | 不動産を取得すること |
| 相続のとき | かかる(1,000分の4) | かからない |
| 納めるとき | 登記の申請のとき | 後日届く納税通知書で |
不動産取得税の仕組みは「不動産取得税とは」の記事で、別に詳しく説明しています。
登録免許税の計算方法
基本の式
税額は、次の式で計算します。
- 登記する不動産の価額を確かめる
- 登記の種類(売買・相続・贈与・新築など)を確かめる
- 当てはまる税率(軽減税率があればそちら)をかける
「不動産の価額」とは
国税庁の説明では、課税標準となる不動産の価額は、市町村で管理している固定資産課税台帳に登録された価格がある場合は、原則としてその価格です。台帳に価格がない場合は、登記官が認定した価額になります。
買った値段ではない点は、不動産取得税と同じです。価格は、毎年届く固定資産税の通知書や、市町村で取れる評価の証明書で確かめられます。
土地の登録免許税の税率
国税庁の税額表では、土地の所有権の移転登記は次のとおりです。
| 登記の原因 | 税率 | 軽減税率 |
|---|---|---|
| 売買 | 1,000分の20 | 令和11年3月31日までは1,000分の15 |
| 相続・法人の合併・共有物の分割 | 1,000分の4 | なし |
| 贈与・交換・収用・競売など | 1,000分の20 | なし |
相続の土地の免税措置
相続による土地の名義変更には、免税の措置があります。国税庁の説明では、個人が令和9年3月31日までに相続による土地の所有権の移転登記などを受ける場合、不動産の価額が100万円以下の土地は、登録免許税がかかりません。
また、相続で土地を受け継いだ人が、名義を変える前に亡くなった場合、令和9年3月31日までにその人を名義人とするための登記も、登録免許税がかかりません。
ポイント
- 土地の売買は1,000分の20、令和11年3月31日までは1,000分の15
- 相続は1,000分の4。贈与は1,000分の20で、相続よりかなり高い
- 価額100万円以下の土地の相続登記は、令和9年3月31日まで免税
建物の登録免許税の税率
国税庁の税額表では、建物の登記は次のとおりです。
| 登記の種類 | 税率 |
|---|---|
| 所有権の保存(新築して初めての登記) | 1,000分の4 |
| 売買または競売による所有権の移転 | 1,000分の20 |
| 相続または法人の合併による移転 | 1,000分の4 |
| その他の移転(贈与・交換・収用など) | 1,000分の20 |
建物の売買には、土地のような期限つきの軽減税率はありません。ただし、個人が自分で住む住宅には、次の軽減があります。
住宅用家屋の軽減税率
軽減の一覧
国税庁の税額表では、個人が令和9年3月31日までに住宅用の家屋を新築または取得し、自分で住む場合に、次の軽減税率があります。
| 登記の種類 | 軽減税率 |
|---|---|
| 新築などの所有権の保存 | 1,000分の1.5 |
| 売買・競落による所有権の移転 | 1,000分の3 |
| 住宅の資金の借入れの抵当権の設定 | 1,000分の1 |
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の保存など | 1,000分の1 |
認定長期優良住宅の一戸建ての移転登記は、1,000分の2です。
受けるための主な条件
国税庁の説明では、床面積が50㎡以上であることや、新築または取得から1年以内の登記であることなど、一定の要件を満たす必要があります。
また、登記の申請に、家屋のある市町村などの証明書を添付する必要があります。登記したあとで証明書を出しても、軽減税率は受けられません。
住宅用家屋の軽減は、個人が自分で住む場合のものです。人に貸すためのアパートや家を買う場合は、基本の税率で見積もりましょう。
言葉の言い換え
- 登記:土地や建物の持ち主や権利を、法務局の記録に載せること
- 所有権の保存:新築した建物などに、初めて持ち主を記録する登記
- 所有権の移転:売買や相続で、持ち主の名義を変える登記
- 抵当権の設定:借入れの担保として、不動産に権利を記録する登記
- 課税標準:税金を計算するもとになる額
納め方
現金で納めるのが基本
登録免許税法第21条では、登録免許税の額を国に納付し、その領収証書を登記の申請書に貼って提出するとされています。
3万円以下は印紙でも納められる
登録免許税法第22条では、税額が3万円以下の場合などは、税額にあたる印紙を申請書に貼って納めることができるとされています。
申請の流れ
- 固定資産税の通知書などで、不動産の価額を確かめる
- 登記の種類と税率から、税額を計算する
- 住宅の軽減を受けるなら、市町村で証明書を取る
- 税額を納め、領収証書または印紙を申請書に貼る
- 不動産のある地域の法務局に申請する
司法書士に頼む場合は、税額の計算と納付もまとめて任せられます。その場合も、見積もりの中の「税金」と「報酬」を分けて見ておくと、内訳が分かりやすくなります。
自分でするか、司法書士に頼むか
判断の分かれ道
相続で名義を変えるだけで、相続人の間で話がまとまっている場合は、自分で申請する人もいます。税額の計算は、価額に税率をかけるだけなので難しくありません。
一方、売買で代金の支払いと同時に名義を変える場合や、借入れの抵当権を設定する場合は、手続きの間違いが取引全体に響きます。こうした場面では、司法書士に頼むのが一般的な進め方です。
頼むときに確かめること
- 見積もりの中で、税金と報酬が分かれているか
- 住宅の軽減を受けるための証明書を、だれが取るか
- 土地の売買の軽減税率を当てはめているか
計算の例
人に貸すための中古アパートを買う場合
土地の価額2,000万円、建物の価額1,000万円の中古アパートを、令和11年3月31日までに買ったとします(数字は説明のための仮のものです)。
- 土地:2,000万円×1,000分の15=30万円
- 建物:1,000万円×1,000分の20=20万円
自分で住む住宅ではないので、建物の軽減税率は使わない前提です。借入れをして抵当権を設定する場合は、その登記の税金も別にかかります。
買う前に見当をつける手順
- 売主から固定資産税の通知書の写しをもらい、土地と建物の価格を確かめる
- 登記の原因と、軽減税率が使えるかを確かめる
- 土地と建物を分けて税額を計算する
- 借入れがあれば、抵当権の登記の分も足す
- 司法書士の見積もりと照らし合わせる
この順番で計算しておくと、決済の直前に「思ったより高い」と慌てずに済みます。
相続と贈与で比べる
同じ土地(価額2,000万円)を親から受け継ぐ場合で比べます。
- 相続:2,000万円×1,000分の4=8万円
- 贈与:2,000万円×1,000分の20=40万円
登録免許税だけでも、受け取り方で差が出ます。贈与ではさらに不動産取得税もかかるため、どちらで受け継ぐかは、税金全体で比べる必要があります。
場面の例
親が亡くなって空き家になった実家の名義を、そのままにしているケースを考えます。相続の登記は義務になっています。土地の価額が小さければ、免税の措置が使える場合があります。名義変更の流れは「相続登記の義務化」で説明しています。
よくある失敗と防ぎ方
買った値段で計算してしまう
登録免許税は、固定資産課税台帳の価格で計算します。売買の代金で計算すると、見込みが大きくずれます。
証明書を後から出そうとする
住宅用家屋の軽減は、登記の申請のときに証明書を添付しないと受けられません。自分で住む家を買うときは、決済の日までに証明書を用意しておきます。
抵当権の登記を忘れて見積もる
借入れで買う場合は、所有権の登記に加えて、抵当権の設定の登記もかかります。資金計画には、両方を入れておきましょう。
登記の前のチェックリスト
- 登記の原因は、売買・相続・贈与・新築のどれか
- 土地と建物の価額を、通知書などで確かめたか
- 土地の売買の軽減の期限内か
- 自分で住む住宅か、人に貸す物件か
- 住宅の軽減を受けるなら、証明書を用意したか
- 借入れによる抵当権の登記があるか
よくある質問
- 不動産の登録免許税はだれが払う?
- 法律上は登記を受ける人が納めます。売買の名義変更では、どちらが負担するかを契約で決めるのがふつうです。
- 相続の登録免許税はいくら?
- 土地も建物も、不動産の価額の1,000分の4です。価額100万円以下の土地は、令和9年3月31日まで免税の措置があります。
- 土地の売買の登録免許税は?
- 本来は1,000分の20ですが、令和11年3月31日までに登記を受ける場合は1,000分の15です。
- 賃貸用の物件にも住宅の軽減税率は使える?
- 住宅用家屋の軽減税率は、個人が自分で住む場合のものです。人に貸すための物件は、基本の税率で考えます。
- 登録免許税は自分で納められる?
- 自分で登記を申請する場合は、自分で納めます。税額が3万円以下なら、印紙を申請書に貼って納めることもできます。
関係する記事と相談先
売るときにかかる税金は「不動産売却の税金の基本」、売却の手順は「不動産売却の流れ」で説明しています。家族で持っている不動産の名義を整理したいときは「共有名義の解消」も参考になります。
受け継いだ物件を貸すか売るかで迷うときは、会社一覧や売却の会社一覧から相談先を探せます。まとめて聞きたいときは一括相談の説明をご覧ください。
まとめ
- 登録免許税は、不動産の登記をするときに国に納める税金
- 税額は固定資産課税台帳の価格×税率で、買った値段ではない
- 売買は1,000分の20(土地は令和11年3月31日まで1,000分の15)、相続は1,000分の4
- 自分で住む住宅は、保存1,000分の1.5、移転1,000分の3などの軽減がある
- 軽減は、登記の申請のときに市町村の証明書を添付しないと受けられない
- 相続と贈与では税率が大きく違い、贈与は不動産取得税もかかる




