管理会社の変更手順|見直しの5つのサインと、引き継ぎで確かめること

管理会社の変更は、契約書の確認から引き継ぎまで順番どおりに進めれば、管理を途切れさせずに行えます。見直しのサイン、乗り換えの手順、新しい会社の比べ方を、オーナーの立場で整理しました。
結論
- 管理会社は、オーナーの判断で変更できます。まず今の管理委託契約書で「解約の申し出の期限」と「違約金」を確かめます。
- 解約を伝える前に次の管理会社を決めておくと、管理が途切れる期間をつくらずに済みます。
- 次の会社は、管理費の安さだけでなく、空室への提案、報告の分かりやすさ、修繕費の考え方まで含めて比べます。
管理会社への不満は、言い出しにくいものです。長く付き合ってきた担当者がいる。変えたら入居者に迷惑がかかりそう。手続きが面倒そう。そう思って、何年も同じ契約を続けている方は少なくありません。
ですが、賃貸経営の成果は、管理会社の力で大きく変わります。不満を抱えたまま続けるより、一度ほかの会社と比べてみることで、改善の糸口が見つかることがあります。
この記事では、見直しを考えたいサイン、乗り換えの手順、引き継ぎで漏れやすいことを順に説明します。
管理会社の変更とは
管理会社の変更とは、今の会社との管理委託契約を終わらせ、別の会社と新しく契約を結び直すことです。建物や入居者との賃貸借契約はそのまま続き、管理の担い手だけが替わります。
入居者との契約の当事者は、あくまでオーナーです。そのため、管理会社が替わっても、入居者が新たに契約し直す必要は原則ありません。入居者へのお知らせと、家賃の振込先などの変更が中心になります。
サブリース(借上げ)契約の場合は、管理委託契約とは解約のルールが異なります。契約の形を先に確かめ、必要に応じて専門家に相談してください。くわしくは「サブリースの注意点」をご覧ください。
管理会社の変更を考えたい5つのサイン
次のようなことが続いているなら、見直しを考える時期かもしれません。
- 電話やメールの返事が遅く、確認に何日もかかる
- 空室が長く埋まらず、具体的な対策の提案がない
- 毎月の報告書の中身が薄く、収支がよく分からない
- 修繕の見積もりが高い気がするが、比べる材料がない
- 入居者からの苦情への対応が遅い
不満は「記録」にしておく
いつ、何を頼み、どう対応されたか。メモやメールを残しておくと、今の会社に改善を求めるときにも、次の会社に相談するときにも役立ちます。
まず改善を求めるのも一つの手
担当者の交代や報告の形の変更で、解決することもあります。それでも変わらないときに、乗り換えを具体的に考えましょう。
続けるか変えるかの分かれ道
「人の問題」か「仕組みの問題」かで分ける
迷うときは、不満を2つに分けてみます。人の問題は、会社の中で解決できることがあります。仕組みの問題は、同じ会社にいる限り変わりにくいものです。
- 担当者の返事の遅さや言葉づかいが問題なら、まず担当の交代を頼む
- 報告書の形や募集の方法など、会社の決まりが合わないなら、乗り換えを考える
- 改善を頼んでも、約束した時期までに変わらなければ、ほかの会社と比べる段階に進む
たとえば、相続したアパートを引き継いだ場合
たとえば、親から古いアパートを相続したAさん。管理会社は親の代から同じで、毎月の報告は収支の表が1枚だけでした。空室が増えても、提案は「様子を見ましょう」の一言です。
Aさんは、まず担当者に「空室の理由と対策を書面でください」と頼みました。返ってきた答えが具体的でなかったため、ほかの会社にも提案を求めました。並べてみてはじめて、募集の写真や入居の条件に見直せる点があると分かりました。
相続は、契約の中身を見直すよい機会です。名義の手続きとあわせて、管理委託契約の名義や家賃の振込先も確かめておきましょう。名義の手続きは「相続登記の義務化」で説明しています。
管理会社を変更する手順
乗り換えは、次の順番で進めると混乱が少なくなります。
- 今の管理委託契約書を読み、解約の申し出の期限、違約金、解約の方法を確かめる
- 複数の会社から、管理費とサービス内容の提案を受けて比べる
- 次の管理会社を決め、管理を始める日を決める
- 今の会社に、契約書の決まりに沿って解約を申し出る(書面で残すと安心)
- 新旧の会社とオーナーで、引き継ぐものと日程をすり合わせる
- 入居者に、管理会社の変更と新しい連絡先・振込先を知らせる
- 引き継ぎが終わったら、預かり金や書類の受け渡しに漏れがないかを確かめる
解約の申し出の期限に注意
管理委託契約には、解約の申し出の期限(例:3か月前まで)が書かれていることが多くあります。期限の数え方を間違えると、思ったより長く今の契約が続きます。契約書の該当する条文を先に確認しましょう。
次の会社を先に決める理由
解約を伝えてから次を探すと、管理の空白ができるおそれがあります。入居者からの連絡を受ける先がない期間は、つくらないのが原則です。
引き継ぎで確かめること
引き継ぎで漏れやすいのは、お金と書類です。次の表を目安に、何をどこへ渡すかを決めておきます。
引き継ぎの日程は、新旧の会社とオーナーの三者で一度に決めるのが確実です。誰が、いつ、何を渡すのかを一枚の表にしておくと、確認の漏れが減ります。
| 引き継ぐもの | 中身の例 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 入居者との契約書類 | 賃貸借契約書、重要事項説明書、更新の記録 | 原本と写しのどちらを誰が持つか |
| お金 | 預かっている敷金、前払いの家賃、修繕の積立 | 金額と移す日、精算の書面 |
| 鍵 | 各部屋の鍵、共用部の鍵、スペアキー | 本数と保管場所 |
| 修繕の記録 | 過去の工事の内容と時期、設備の保証書 | 次の修繕計画に使えるか |
| 入居者とのやりとり | 苦情や要望の記録、滞納の状況 | 対応が途中のものはないか |
ポイント
- お金は「いくら・いつ・どこへ」を書面に残す
- 鍵は本数を数えて受け渡す
- 対応途中の苦情や滞納は、名前と状況を引き継ぐ
- 入居者へのお知らせは、新旧どちらの会社が出すかを決めておく
入居者への家賃の振込先の変更は、伝え方を誤ると二重払いや未払いの原因になります。切り替えの月と、変更前後の振込先をはっきり書いて知らせましょう。
次の管理会社の選び方
管理費の安さだけで決めない
管理費が安くても、空室が長引けば収入は減ります。手元に残るお金は、管理費の差よりも、入居が決まる早さや修繕費の差で大きく動くことがあります。
比べるときの5つの観点
- 空室への提案:募集の方法、写真、条件の見直しまで具体的に話してくれるか
- 報告の分かりやすさ:毎月の収支と、空室・修繕の状況が一目で分かるか
- 修繕費の考え方:見積もりの根拠を示し、複数の方法を出してくれるか
- 連絡の早さ:入居者とオーナーへの返事の目安を決めているか
- 法律で求められる手続き:契約前に書面で説明してくれるか、登録を受けているか
担当者とも話してみる
実際にやりとりするのは担当者です。提案のときに、担当者が物件を見に来てくれるか、質問にその場で答えられるかも見ておきましょう。担当が替わったときの引き継ぎの仕組みも聞いておくと安心です。
登録の有無も確かめる
賃貸住宅の管理を仕事として行う会社は、管理する戸数が200戸以上なら国土交通大臣の登録が必要です。登録を受けた会社は、契約前に書面を渡して説明し、契約後も定期的に管理の状況を報告する決まりです。登録の有無は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で調べられます。
契約の前に確かめるチェックリスト
新しい会社と契約する前に、次の項目を一つずつ確かめます。口頭の答えだけでなく、書面や見本で確かめると安心です。
- 管理委託契約書の案を先にもらい、任せる業務の範囲を読んだか
- 管理費のほかにかかる費用(募集の広告、更新の事務など)の一覧をもらったか
- 修繕を頼むとき、どこからオーナーの承認が要るかの決まりを確かめたか
- 毎月の報告書の見本を見せてもらったか
- 夜間や休日の入居者からの連絡を、どこが受けるのか確かめたか
- 今回の契約でも、解約の申し出の期限と違約金を確かめたか
最後の項目は見落としがちです。今の会社で困ったことを、次の会社で繰り返さないための確認です。
管理会社の変更でよくある失敗
乗り換えそのものより、段取りの抜けでつまずくことが多くあります。先に知っておけば防げるものばかりです。
解約の期限を過ぎてしまう
次の会社選びに時間がかかり、申し出の期限を過ぎてしまう例です。結果として、今の契約がもう一期間続くことがあります。比べ始める前に、期限から逆算した日程を紙に書いておきましょう。
預かり金の精算が曖昧なまま
敷金や前払いの家賃、修繕のための預かり金が、いくら残っているのか分からないまま引き継ぐと、あとで食い違いが起きます。今の会社に残高の一覧を出してもらい、新しい会社と三者で確かめるのが確実です。
入居者へのお知らせが遅れる
入居者が変更を知らないまま、古い振込先に家賃を払ったり、古い連絡先に修理を頼んだりすることがあります。お知らせは切り替えの前に届くよう、余裕をもって出しましょう。
契約の中身を比べずに決める
管理費の数字だけで決めると、任せられる範囲が前より狭くなっていることがあります。今の契約で頼んでいる業務を書き出し、新しい会社の提案と一つずつ照らし合わせると、抜けに気づけます。
新旧の会社のやりとりをオーナーがすべて仲介する
引き継ぎの連絡を、オーナーが間に入って一つずつ伝えると、伝え漏れが起きやすくなります。新旧の会社が直接やりとりしてよい範囲を決め、決まったことはオーナーにも書面で共有してもらいましょう。
よくある質問
- 管理会社の変更に、入居者の同意は必要?
- 入居者との賃貸借契約の当事者はオーナーなので、管理会社の変更そのものに入居者の同意は原則いりません。ただし、連絡先や振込先が変わるため、早めの丁寧なお知らせが欠かせません。
- 管理会社を変更すると違約金はかかる?
- 違約金の有無と金額は、管理委託契約書の定め次第です。契約によって違うため、解約を申し出る前に必ず条文を確かめてください。
- 管理会社の変更にはどれくらいの期間がかかる?
- 解約の申し出の期限と、引き継ぎの段取りによって変わります。契約書の期限から逆算し、余裕をもって次の会社を決めましょう。
- 途中で変えると入居者が出ていかない?
- 管理会社の変更だけで、入居者との契約が終わることはありません。お知らせの分かりやすさと、変更後の対応の早さが大切です。
- 今の管理会社に変更の理由を伝える必要はある?
- 理由を伝える決まりはありませんが、契約書の手続きに沿って書面で申し出るのが安心です。引き継ぎに協力してもらうためにも、落ち着いて事務的に伝えましょう。
- 敷金は誰が返すことになる?
- 敷金を返す責任は、契約の当事者であるオーナーにあります。管理会社が預かっている場合は、金額を確かめたうえで新しい会社へ確実に移しましょう。
管理会社を探すには
当メディアでは、公式ホームページの情報をもとに不動産会社を会社一覧にまとめています。空室が続いて変更を考えている方は「空室対策」も、複数の会社に一度に相談したい方は「一括相談の使い方」もあわせてご覧ください。
まとめ
- 管理会社の変更は、オーナーの判断でできる。入居者との契約はそのまま続く
- 最初に、管理委託契約書の解約の期限と違約金を確かめる
- 解約を伝える前に次の会社を決め、管理の空白をつくらない
- 引き継ぎは、お金・書類・鍵・対応途中の案件を表にして確かめる
- 次の会社は、管理費だけでなく、提案・報告・修繕費の考え方・登録の有無で比べる




