住宅用地特例とは?固定資産税が6分の1になる要件と外れるときの注意点

住宅が建っている土地は、住宅用地特例で固定資産税の計算のもとが軽くなります。総務省と地方税法の決まりをもとに、軽くなる割合、対象になる土地の範囲、特例が外れる場面を整理します。
結論
- 住宅用地特例とは、住宅の敷地に使われている土地について、固定資産税と都市計画税の課税標準(税額を計算するもとになる額)を軽くする決まりです。
- 固定資産税は、200平方メートル以下の部分が価格の6分の1、200平方メートルを超える部分が価格の3分の1になります。都市計画税は、それぞれ3分の1、3分の2です。
- 住宅を取り壊した土地や、空家法にもとづいて勧告を受けた管理不全空家等・特定空家等の敷地は、特例の対象から外れます。
「家を壊すと土地の税金が上がる、と聞いたけれど本当?」。空き家や古い貸家を持っているオーナーから、よく出る疑問です。
その理由の多くは、この住宅用地特例にあります。住宅が建っている土地は、税金の計算のもとが軽くなっています。住宅がなくなったり、空き家の管理が悪いとして勧告を受けたりすると、この軽減がなくなります。
この記事では、総務省の説明と地方税法の条文をもとに、住宅用地特例の中身、対象になる土地の範囲、特例が外れる場面と注意点を順に説明します。
住宅用地特例とは
一言でいうと
住宅用地特例とは、人が住むための家屋の敷地になっている土地について、固定資産税と都市計画税の課税標準を、土地の価格より低くする決まりです。地方税法の第349条の3の2(固定資産税)と第702条の3(都市計画税)に定められています。
総務省は、住宅やマンションなど居住できる建物の敷地を「住宅用地」と呼び、税負担を特に軽くする必要があるため、面積に応じた特例があると説明しています。
固定資産税のしくみの中での位置
固定資産税は、市町村が、毎年1月1日(賦課期日)の時点で土地や家屋を持っている人にかける税金です。税額は、課税標準に税率を掛けて計算します。税率は原則1.4%ですが、市町村は条例で異なる税率を定めることができます。
住宅用地特例は、このうち「課税標準」を小さくする決まりです。課税標準が小さくなれば、税率を掛けた税額も小さくなります。
実際の税額は、課税標準の特例のほかに、税負担が急に上がらないようにする仕組みなども関わります。自分の土地の税額は、市町村から届く納税通知書と課税明細書で確かめてください。
言葉の言い換え
住宅用地特例の説明には、聞き慣れない言葉が出てきます。先に意味をそろえておきます。
- 価格:市町村が国の基準にもとづいて決める土地の評価の額。土地と家屋は3年に一度見直されます
- 課税標準:税率を掛ける前の、税額を計算するもとになる額
- 賦課期日:その年度の税金をだれにかけるかを決める日。固定資産税は1月1日です
- 小規模住宅用地:住宅用地のうち、200平方メートル以下の部分
- 一般住宅用地:住宅用地のうち、200平方メートルを超える部分
住宅用地特例でどれくらい軽くなるか
軽くなる割合の一覧
住宅用地は、面積によって「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」に分かれます。軽くなる割合は次のとおりです。
| 区分 | 範囲 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200平方メートル以下の部分 | 価格の6分の1 | 価格の3分の1 |
| 一般住宅用地 | 200平方メートルを超える部分 | 価格の3分の1 | 価格の3分の2 |
都市計画税がかかるかどうかは、土地のある場所によって違います。自分の土地にかかっているかは、納税通知書と課税明細書で確かめられます。
計算の例
たとえば、一戸建ての敷地が150平方メートルの場合、敷地の全部が小規模住宅用地です。固定資産税の課税標準は価格の6分の1、都市計画税の課税標準は価格の3分の1になります。
敷地が300平方メートルで、家屋の床面積が100平方メートルの一戸建てなら、200平方メートルまでが小規模住宅用地、残りの100平方メートルが一般住宅用地です。
アパートやマンションの場合
アパートのように住居が複数ある建物では、200平方メートルの枠が住居の数に応じて広がります。地方税法では、敷地の面積を住居の数で割った面積が200平方メートル以下なら、敷地の全部が小規模住宅用地になると定めています。
たとえば、敷地600平方メートルに6戸のアパートが建っていれば、1戸あたり100平方メートルです。この場合、敷地の全部が小規模住宅用地になります。
ポイント
- 住宅用地特例は、課税標準を軽くする決まり
- 固定資産税は200平方メートル以下の部分が6分の1、超える部分が3分の1
- 都市計画税は200平方メートル以下の部分が3分の1、超える部分が3分の2
- 住居が複数ある建物は、200平方メートルの枠が住居の数に応じて広がる
住宅用地特例の対象になる土地の範囲
家屋の床面積の10倍まで
住宅用地として扱われる面積には上限があります。地方税法施行令では、敷地の面積が家屋の床面積の10倍を超える場合、10倍の面積までを住宅用地とすると定めています。
広い土地に小さな家が建っている場合、10倍を超える部分は住宅用地になりません。農村部などの広い敷地では、この上限に気を付けます。
店舗や事務所と住まいが一緒の建物
1階が店舗、2階が住まい、というような建物(併用住宅)も、住まいの部分の割合が4分の1以上なら対象になります。ただし、敷地の全部が住宅用地になるとは限りません。住まいの部分の割合と建物の階数に応じて、次の率を敷地の面積に掛けた分が住宅用地になります。
| 建物の種類 | 住まいの部分の割合 | 率 |
|---|---|---|
| 下の行以外の建物 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
| 下の行以外の建物 | 2分の1以上 | 1.0 |
| 地上5階以上の耐火建築物 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
| 地上5階以上の耐火建築物 | 2分の1以上4分の3未満 | 0.75 |
| 地上5階以上の耐火建築物 | 4分の3以上 | 1.0 |
空き家を店舗に変える場合など、建物の使い方を変えると、この割合も変わります。
別荘は対象外
地方税法施行令では、全部が別荘として使われる家屋の敷地は、住宅用地から除かれています。住まいとして使っている家屋が対象です。
住宅用地特例が外れるとき
住宅を取り壊したとき
住宅を取り壊して更地にすると、その土地は住宅の敷地ではなくなるため、特例の対象から外れます。固定資産税は1月1日の状態で決まるため、取り壊した後の最初の1月1日の時点で住宅がなければ、その年度から特例はかかりません。
取り壊しには補助金が使える市町村もあります。くわしくは「空き家の解体と補助金」をご覧ください。
空き家が勧告を受けたとき
地方税法では、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)にもとづいて、市町村から勧告を受けた次の空き家の敷地を、住宅用地から除いています。
- 管理不全空家等(このままでは特定空家等になるおそれがある空き家)として勧告を受けたもの
- 特定空家等(倒れるおそれがあるなど、放っておくのが不適切な空き家)として勧告を受けたもの
勧告を受ける前には、市町村から指導があります。指導の段階で手入れをすれば、勧告を避けられる場合があります。管理不全空家等の流れは「管理不全空家と固定資産税」で説明しています。
住まいとして使えない状態のとき
住宅用地特例の対象は、人が住むための家の敷地です(地方税法第349条の3の2)。そのため、勧告を受けていなくても、住まいとして使える状態にないと市町村が判断すれば、対象から外れることがあります。判断するのは市町村なので、気になる場合は固定資産税の窓口に確かめましょう。
住宅用地特例で気を付けること
申告が必要な場合がある
地方税法では、市町村は条例の定めにより、住宅用地の持ち主に、土地の面積や家屋の用途、住居の数などを申告させることができるとしています。住宅を建てた、取り壊した、使い方を変えたといったときは、住んでいる市町村の決まりを確かめます。
取り壊すか残すかの判断の分かれ道
古い家を取り壊すかどうかは、税金だけで決めないことが大切です。次の順で考えると整理しやすくなります。
- 家を残した場合に、管理を続けられるかを考える
- 管理できない場合、勧告を受けて特例が外れるおそれがないかを確かめる
- 売る・貸す・取り壊すのどれにするか、それぞれの費用と手間を比べる
- 取り壊す場合は、補助金と、翌年度からの税額の変化を確かめる
- 取り壊す時期を、1月1日をまたぐかどうかも含めて決める
空き家の手入れの方法は「空き家の管理方法」、活用の選び方は「空き家の活用方法」にまとめています。
よくある失敗
よくあるのは、売るつもりで先に家を取り壊し、売れないまま1月1日を迎えてしまう例です。特例が外れ、土地の税金が上がった状態で持ち続けることになります。
売る予定なら、家を残したまま売るか、取り壊してから売るかを、売却の会社と相談してから決めます。
もう一つは、相続した実家を空き家のまま何年も放っておく例です。傷みが進むと、市町村から指導を受け、手入れをしないままだと勧告に進むことがあります。勧告を受けると特例が外れるため、遠くに住んでいても、定期的に見回る手立てを考えておきます。
確かめておきたいことのチェックリスト
自分の土地について、次のことを確かめておくと安心です。
- 課税明細書で、土地が住宅用地として扱われているか
- 敷地の面積と、家屋の床面積の10倍を比べたか
- 店舗や事務所と一緒の建物なら、住まいの部分の割合を知っているか
- 空き家の場合、市町村から指導や勧告の通知が来ていないか
- 取り壊しや建て替えの予定があるなら、1月1日をまたぐかどうかを考えたか
課税明細書の見方が分からないときは、市町村の固定資産税の窓口で聞くことができます。
よくある質問
- 住宅用地特例を受けるのに手続きは必要ですか?
- 特例は地方税法の決まりで当てはまる土地にかかります。ただし市町村は条例で住宅用地の申告を求めることができるため、住んでいる市町村の決まりを確かめてください。
- 空き家でも住宅用地特例は受けられますか?
- 住まいとして使える家屋の敷地なら、空き家でも対象になります。ただし管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると、対象から外れます。
- 家を取り壊すと、固定資産税はいつから上がりますか?
- 固定資産税は毎年1月1日の状態で決まります。取り壊した後の最初の1月1日に住宅がなければ、その年度から特例がかからなくなります。
- アパートの敷地も住宅用地特例の対象ですか?
- 対象です。敷地の面積を住居の数で割った面積が200平方メートル以下なら、敷地の全部が小規模住宅用地になります。
- 店舗と住まいが一緒の建物はどうなりますか?
- 住まいの部分の割合が4分の1以上なら対象です。割合と建物の階数に応じた率を敷地の面積に掛けた分が住宅用地になります。
相談先と関連する記事
住宅用地特例は、空き家を残すか、売るか、取り壊すかの判断に深く関わります。売却を考える場合は「会社一覧」や「売却の会社」から相談先を比べられます。相続した家の扱いは「相続した実家の売却」も参考になります。物件の扱いをまとめて相談したい場合は「一括相談の説明」から相談できます。
まとめ
- 住宅用地特例は、住宅の敷地の固定資産税・都市計画税の課税標準を軽くする決まり
- 固定資産税は200平方メートル以下の部分が6分の1、超える部分が3分の1
- 家屋の床面積の10倍までが住宅用地。併用住宅は住まいの割合に応じて決まる
- 取り壊した土地や、勧告を受けた管理不全空家等・特定空家等の敷地は対象外
- 固定資産税は1月1日の状態で決まる。取り壊しの時期に気を付ける




