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空き家をリノベーションして賃貸に出す?判断の手順と、建築確認が要る工事の見分け方

オーナー収益革命 編集部

空き家をリノベーションして賃貸に出す?判断の手順と、建築確認が要る工事の見分け方

空き家を大きく直して貸すかどうかは、工事の前に「誰に・いくらで・何年貸すか」を決めてから判断するのが近道です。判断の手順、2025年4月から変わった建築確認の要否、経費の扱いを整理します。

結論

  • 空き家のリノベーション賃貸は、工事の前に「借り手は誰か・家賃はいくらか・何年で費用を回収するか」を決めてから判断します。工事を先に決めると、費用を回収できないことがあります。
  • 2階建ての木造戸建てなどで、壁・柱・床・はり・屋根・階段のどれかの過半を直す大きな工事は、2025年4月1日以後に着工するものから建築確認の手続きが必要です。
  • キッチン・トイレ・浴室などの水回りだけのリフォームや、手すり・スロープの設置は、これまでどおり建築確認は要りません。
  • 貸すための修理の費用は、内容によって、その年の経費になるもの(修繕費)と、何年かに分けて経費にするもの(資本的支出)に分かれます。

「古い実家を、きれいに直して貸せば収入になるのでは」。「でも、何百万円もかけて借り手がつかなかったらどうしよう」。空き家を前に、こう迷う方は多いはずです。

リノベーションは、建物の価値を上げる力があります。その一方で、工事費は先に出ていき、家賃で少しずつ取り戻すことになります。直す範囲を間違えると、回収できないまま終わってしまいます。

この記事では、リノベーションして貸すかどうかを決める手順と、工事の内容によって必要になる手続き、費用の経費の扱いを順に説明します。売るか貸すかで迷っている段階なら、先に「実家は売るか貸すか」もご覧ください。

空き家のリノベーション賃貸とは

リノベーションとリフォームの違い

リノベーションとは、間取りや設備を大きく変えて、建物の使い勝手や価値を新しくする改修のことです。古くなった部分を元に近い状態へ戻す「リフォーム」より、工事の範囲が広いのが一般的です。

ただし、法律にこの2つの言葉の決まった定義はありません。手続きが必要かどうかは、言葉ではなく、どの部分をどれだけ直すかで決まります。

言葉の言い換え

  • 主要構造部:建物の骨組みにあたる、壁・柱・床・はり・屋根・階段のこと
  • 大規模の修繕:主要構造部の1種類以上について、過半を同じような材料で直すこと
  • 大規模の模様替:主要構造部の1種類以上について、過半を違う材料や仕様に変えること
  • 建築確認:工事の前に、計画が建築基準法に合っているかを審査してもらう手続き
  • 回収期間:かけた工事費を、家賃の手取りで取り戻すまでの年数

リノベーションして貸すかの判断手順

工事の見積もりを取る前に、次の順で考えると、やり過ぎを防げます。

  1. 借り手を決める:単身、家族、高齢の方、ペットを飼う人など、誰に貸すかを1つ決める
  2. 家賃の見込みを立てる:周りの似た物件の募集家賃を、不動産会社に聞いて確かめる
  3. 貸す期間を決める:ずっと貸すのか、何年後かに使う予定があるのかを決める
  4. 直す範囲を決める:借り手が求める最低限と、家賃を上げられる工事を分ける
  5. 見積もりを取り、回収期間を計算する:工事費を、家賃から管理費や税金を引いた手取りで割る
  6. 回収期間が貸す期間より長ければ、工事を減らすか、別の活用を考える

貸す期間を区切りたい場合は、期間が来たら契約が終わる定期借家契約が向いています。違いは「定期借家と普通借家の違い」で説明しています。

判断の分かれ道

物件の状態考えやすい方向理由
骨組みは傷んでおらず、設備が古い水回りや内装を中心に直して貸す手続きが要らない工事が多く、費用も読みやすい
雨漏りや床の傷みが広い大規模な工事か、売却も比べる建築確認や設計が要り、費用と期間が増えやすい
立地は良いが、間取りが今に合わない間取りの変更を含めて検討借り手の層を変えると、需要が広がることがある
借り手が少ない地域工事を最小限にするか、別の活用家賃で費用を回収しにくい

ポイント

  • 工事の前に、借り手・家賃・貸す期間の3つを決める
  • 回収期間が貸す期間より長い計画は、工事の範囲を見直す
  • 骨組みが傷んでいる物件は、売却や別の活用も同時に比べる
  • 工事費や家賃は物件と地域によって大きく違うため、見積もりと募集家賃で確かめる

2025年4月から変わった建築確認

何が変わったのか

国土交通省によると、改正建築基準法により、2025年4月1日以後に工事に着手するものから、建築確認の対象が見直されました。2階建ての木造戸建てなどは、これまで審査の一部が省略されていましたが、見直し後は「新2号建築物」になります。

その結果、2階建ての木造戸建てなどで大規模の修繕や大規模の模様替を行う場合、新たに建築確認の手続きが必要になりました。平屋で延べ面積200平方メートル以下の建物は「新3号建築物」とされ、扱いが分かれます。

建築確認が要る工事・要らない工事

国土交通省の資料をもとに、木造戸建てのリフォームでの手続きの要否をまとめます。

工事の例建築確認補足
キッチン・トイレ・浴室などの水回りだけの交換不要従来どおり手続きは要らない
バリアフリーのための手すり・スロープの設置不要従来どおり手続きは要らない
構造上重要でない間仕切壁だけの改修不要主要構造部から外れる部分
屋根のふき材だけの改修、上からかぶせる工法不要大規模の修繕・模様替にあたらない扱い
垂木まで及ぶ屋根の改修で、面積が過半必要2階建ての木造戸建てなどの場合
階段の架け替え、柱や壁の過半の改修必要2階建ての木造戸建てなどの場合

過半かどうかは、主要構造部ごとに判断します。たとえば壁は総面積、柱は総本数、床と屋根は総水平投影面積(上から見た面積)に占める割合で見ます。

建築確認が要らない工事でも、工事後の建物は建築基準法に合っている必要があります。手続きの要否は、設計者や工事会社、物件のある自治体の窓口で必ず確かめてください。

手続きが要ると、何が変わるか

建築確認が必要になると、設計の図面をそろえ、審査を受けてから着工することになります。その分、工事の前の期間と、設計にかかる費用が増えます。

貸し出しの時期を決めている場合は、工事の内容が手続きの要る範囲に入るかを、見積もりの段階で確かめておくと、予定がずれにくくなります。

リノベーション費用の経費の扱い

修繕費と資本的支出

貸している建物の修理や改良の費用は、内容によって経費の扱いが分かれます。元の状態に戻すための費用は「修繕費」として、その年の経費にできます。建物の価値を高めたり、使える期間を延ばしたりする費用は「資本的支出」として、何年かに分けて経費にします。

修繕費にできる目安

国税庁の案内では、次のどれかにあてはまる支出は、修繕費として必要経費に入れられます。

  • おおむね3年以内の周期で行われる修理や改良である
  • 1つの修理や改良の金額が20万円未満である
  • 資本的支出か修繕費か明らかでない金額が60万円未満、またはその資産の前年末の取得価額のおおむね10%以下である

リノベーションのように大きな工事は、資本的支出にあたる部分が多くなります。どこまでを修繕費にできるかは、工事の内訳ごとに判断するため、見積書の段階で項目を分けてもらうと整理しやすくなります。貸した後の申告は「不動産所得の確定申告」で説明しています。

場面の例で考える

例1:駅に近い2階建ての実家を、家族向けに貸したい

骨組みはしっかりしていて、台所と浴室が古い家です。この場合は、水回りの交換と内装の張り替えを中心にすると、建築確認の要らない範囲で工事を組みやすくなります。家族向けなら、収納や駐車場の有無も借り手の判断材料になるため、工事の前に不動産会社に募集の条件を聞いておきます。

例2:雨漏りがあり、屋根と床を広く直す必要がある

屋根の下地まで直す範囲が過半になると、2階建ての木造戸建てなどでは建築確認が必要になります。設計と審査の期間が加わり、費用も増えます。工事費を家賃で取り戻せるかを計算し、取り戻せないなら、古家付きでの売却や、借り手が自分で直す前提で貸す方法とも比べます。

例3:数年後に子どもが住む予定がある

ずっと貸すわけではないなら、大きな工事より、期間を区切って貸せる契約と、最低限の工事の組み合わせが向いています。貸す期間が短いほど、回収期間の短い工事に絞る必要があります。

よくある失敗と、その避け方

失敗1:自分が住みたい家に仕上げてしまう

こだわりの内装は、借り手の好みと合うとは限りません。借り手の層を先に決め、その層が求める設備を優先すると、費用を抑えながら選ばれやすくなります。

失敗2:骨組みの傷みを見落とす

内装をきれいにした後で、雨漏りや床の傷みが見つかると、工事のやり直しになります。工事の前に、建物の状態を専門家に見てもらうと、直す順番を決めやすくなります。

失敗3:退去の時の決まりを作らない

きれいに直した部屋ほど、退去の時の原状回復の線引きが大切です。国の原状回復のガイドラインを踏まえて、契約で負担の分け方を決めておきます。詳しくは「原状回復のガイドライン」をご覧ください。

工事の前のチェックリスト

  • 借り手の層を1つに決めた
  • 周りの似た物件の募集家賃を、2社以上に聞いた
  • 貸す期間と、その後の使い道を決めた
  • 建物の骨組みの状態を、専門家に見てもらった
  • 工事の内容が、建築確認の要る範囲に入るかを確かめた
  • 見積書で、修繕にあたる部分と改良にあたる部分を分けてもらった
  • 回収期間を計算し、貸す期間より短いことを確かめた

よくある質問

空き家のリノベーションに建築確認は必要ですか?
2階建ての木造戸建てなどで、主要構造部の1種類以上の過半を直す大きな工事は、2025年4月1日以後の着工分から建築確認が必要です。水回りだけの交換や手すりの設置は要りません。
キッチンやお風呂を新しくするだけでも手続きは要りますか?
キッチン・トイレ・浴室などの水回りだけのリフォームは、従来どおり建築確認は要りません。ただし工事後の建物は建築基準法に合っている必要があります。
リノベーションの費用は全部その年の経費になりますか?
元の状態に戻す修繕費はその年の経費にできますが、価値を高める資本的支出は何年かに分けて経費にします。工事の内訳ごとに判断します。
リノベーション費用はいくらかかりますか?
建物の状態、直す範囲、地域によって大きく違います。複数の会社から、同じ条件で見積もりを取って比べてください。
直さずにそのまま貸すことはできますか?
安全に住める状態であれば、現状のまま貸す方法もあります。借り手が自分で手を入れることを認める契約の形もあり、管理会社に相談すると選び方が分かります。

次に読みたい記事と相談先

貸した後の運営を自分で行うか任せるかは「賃貸の自主管理と管理委託の違い」で比べられます。家族向けの賃貸以外に、シェアハウスとして貸す方法は「戸建てをシェアハウスに」で紹介しています。借り手を集める工夫は「空室対策」をご覧ください。

工事をするか、売るか、別の活用にするかを比べたいときは、まとめて相談すると、複数の会社の見方を一度に聞けます。

まとめ

  • 工事の前に、借り手・家賃・貸す期間を決め、回収期間を計算する
  • 2階建ての木造戸建てなどの大きな工事は、2025年4月1日以後の着工分から建築確認が必要
  • 水回りだけの交換や、手すり・スロープの設置は、建築確認が要らない
  • 修繕費はその年の経費、価値を高める資本的支出は何年かに分けて経費にする
  • 骨組みの傷みが大きい物件は、売却や別の活用も同時に比べる

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