空き家バンクの登録の流れとは?仕組みと自治体ごとに違う5つの点

空き家バンクは、自治体が空き家の情報を買いたい人・借りたい人に紹介する仕組みです。この記事では、仕組みと登録の流れ、自治体ごとに違う点、登録前に確かめたいことをまとめます。
結論
- 空き家バンクとは、自治体が地域の空き家の情報を集め、利用したい人に紹介する仕組みです。
- 登録は、所有者が自治体に申請書と同意書を出し、現地の調査を経て掲載される流れが一般的です。
- 登録できる物件の条件、仲介の有無、補助の内容などは自治体ごとに違うため、自治体の要綱で確かめることが大切です。
使っていない実家がある。売るか貸すかを考えたいけれど、不動産会社に頼むほどの物件か分からない。そんなときに名前が挙がるのが空き家バンクです。
ただ、空き家バンクは自治体ごとに作られた仕組みです。登録の手順も、できることも、町によって違います。この記事では、国土交通省の資料をもとに、全体の仕組みと登録の流れを整理します。
空き家バンクの仕組み
空き家バンクとは
空き家バンクとは、地方公共団体が地域の空き家・空き地の情報を、利用を希望する人に紹介する仕組みです。移住や定住の促進を目的に掲げる自治体もあります。
国土交通省の「空き家・空き地バンク導入のポイント集」(令和4年6月)は、令和元年のアンケート結果を紹介しています。全国1,261の自治体、約7割が空き家バンクを設けていました。
全国版空き家・空き地バンク
自治体ごとのバンクは、載っている項目や見せ方がばらばらでした。そこで、自治体をまたいで検索できる「全国版空き家・空き地バンク」が作られました。
国土交通省のページによると、試行運用は平成29年10月31日、本格運用は平成30年4月2日に始まりました。公募で選ばれた民間事業者2社が運営しています。国の運営委託ではなく、2社が独立して運営しています。
ポイント
- 物件を登録する窓口は、基本的に地元の自治体
- 全国版は、自治体の情報をまとめて探せる検索サイト
- 全国版に載せるには、所有者の同意が必要
全国版への掲載には、売りたい方・貸したい方の同意が必要です。登録のときに同意していないと、全国版には載らないことがあります(国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」)。
空き家バンクの登録の流れ
国土交通省のポイント集では、宮城県石巻市の要綱を例に、登録の手続きを紹介しています。ここではその例をもとに、一般的な流れを示します。
- 自治体の担当窓口に相談し、登録の条件を確かめる
- 登録申請書・物件の登録カード・同意書に記入し、本人確認書類の写しなどを添えて出す
- 自治体の依頼を受けた不動産会社(登録事業者)が現地を調査する
- 調査の結果が通知され、登録が適当と認められると台帳に載る
- ホームページなどで物件情報が公開される
- 利用希望者から申し込みがあれば、交渉・契約に進む
登録のときに用意するもの
石巻市の例では、次の書類を出すとしています。自治体によって名前や中身は違います。
- 登録申請書
- 物件の登録カード(間取りや設備などを書く)
- 登録の同意書(所有者と申請者が違う場合)
- 本人確認書類の写しなど
相続した物件なら、名義が分かる登記事項証明書も手元にあると話が早く進みます。
同意書で確かめられること
石巻市の申請書の例では、次のような点に同意を求めています。
- 物件の情報や写真を、市のホームページなどに載せること
- 利用希望者に物件の情報を提供すること
- 購入や賃貸の交渉を、所有者と利用希望者の責任で行うこと
- 固定資産税の納付状況を確かめること
ポイント集では、番地などの情報をどこまで公開してよいか、所有者に確認しておく必要があるともしています。
自治体ごとに違う5つの点
空き家バンクは自治体が要綱で決める仕組みです。要綱とは、自治体が制度の対象や手続きを定めた決まりのことです。次の点は、自治体によって違います。
| 違う点 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 登録できる物件 | 空き家の定義、建物の状態、地域の条件 |
| 登録できない人 | 例:石巻市では、すでに媒介契約を結んでいる人や固定資産税を滞納している人は登録できない |
| 仲介の有無 | 登録事業者(不動産会社)が仲介するか、当事者どうしで交渉するか |
| 登録の期間 | 例:石巻市では登録期間を2年としている |
| 補助や支援 | 仲介手数料・改修・片付けの補助、建物調査の支援などがあるか |
仲介が入るかどうか
石巻市の例では、登録の通知を受けた所有者が、登録事業者と媒介契約を結ぶとしています。一方で、市は交渉や契約には関与しないと定めています。
仲介が入らない形の場合、契約条件の確認や書類の作成を自分で行う必要があります。トラブルを避けるには、不動産会社が関わる形かどうかを最初に確かめるのが安心です。
利用できる人の条件
国土交通省の資料では、移住の促進を目的に、県外や市町村外からの希望者に限る自治体もあるとしています。買い手や借り手の範囲が限られる場合もあります。
空き家バンクに登録する前に確かめたいこと
名義と相続登記
親から相続した空き家なら、まず名義を確かめます。相続登記がまだの場合は、売買や賃貸の前に済ませる必要があります。詳しくは相続登記の義務化をご覧ください。
建物の状態と家財
建物の傷みや、残っている家財の量で、見学した人の印象は大きく変わります。自治体によっては、片付けや改修の補助を用意しています。登録の相談のときに聞いてみましょう。
管理を続けられるか
登録しても、すぐに買い手や借り手が見つかるとは限りません。その間も建物の管理は所有者の役目です。管理が行き届かないと、行政から指導を受けることもあります。管理不全空家と固定資産税もあわせて確かめておきましょう。
例:遠方に住む方が実家を登録する場合
たとえば、親から相続した地方の実家を、都市部に住む子が持っているとします。まず実家のある自治体の窓口に電話し、登録の条件と必要書類を聞きます。
現地の調査に立ち会えない場合は、鍵の受け渡しや家財の扱いを相談します。登録後の問い合わせに誰が対応するかも、最初に決めておくと安心です。
兄弟で共有している場合
相続で兄弟が共有している家なら、登録の前に全員の考えをそろえます。売るのか貸すのか、価格や家賃の希望はどうか。ここが割れたままだと、申し込みがあっても話が進みません。窓口への相談役を一人決めておくと、やり取りがすっきりします。
空き家バンクでよくある失敗と避け方
写真と情報が少なく、問い合わせが来ない
外観の写真1枚だけで掲載し、見る人が様子をつかめない例です。間取り、水回り、周りの環境など、知りたい点が分かる写真と説明をそろえましょう。番地をどこまで出すかは、自治体と相談して決めます。
交渉を当事者だけで進めて、条件があいまいになった
仲介が入らない形で、口約束のまま話を進める例です。引き渡しの時期、家財の扱い、修理の負担などで後からもめることがあります。条件は書面にし、必要なら不動産会社や専門家に確かめてもらいましょう。
登録したまま管理をやめてしまった
掲載されたことで安心し、見回りや草刈りをやめてしまう例です。見学に来た人の印象が悪くなるうえ、近所からの苦情の原因にもなります。登録中も、管理の段取りは続けましょう。
登録を相談する前のチェックリスト
- 名義は誰か。相続登記は済んでいるか
- 共有者がいる場合、全員が登録に同意しているか
- 売るか貸すか、両方を考えるか決めているか
- すでに不動産会社と媒介契約を結んでいないか
- 家財をどうするか、片付けの見通しはあるか
- 固定資産税の納付に遅れはないか
- 見学や問い合わせに誰が対応するか決めているか
申し込みが来てから契約までに気をつけること
相手の希望と使い方を聞く
申し込みがあったら、住むのか、店や作業場に使うのかなど、使い方を聞きます。使い方によっては、改修の範囲や近所への配慮が変わります。最初に聞いておくと、後の話がかみ合います。
見学の前に整えておく
見学の前に、換気と簡単な掃除をしておきます。雨漏りや設備の不具合など、分かっている傷みは先に伝えます。隠したまま契約すると、引き渡しの後にもめる原因になります。
契約の形を確かめる
売るなら売買契約、貸すなら賃貸借契約を結びます。貸す場合は、更新のある普通借家か、期間で終わる定期借家かも決めます。将来その家を使う予定があるかどうかで、向く形が変わります。
空き家バンクと不動産会社への依頼の違い
| 項目 | 空き家バンク | 不動産会社への依頼 |
|---|---|---|
| 窓口 | 自治体 | 不動産会社 |
| 主な利用者 | 移住や地域での暮らしを考える人 | その地域で物件を探す人全般 |
| 物件の扱い | 自治体の要綱による | 媒介契約による |
| 契約の進め方 | 仲介あり・当事者交渉など自治体による | 不動産会社が仲介する |
ポイント集では、空き家バンクが、一般の不動産サイトとは違う需要層に届く可能性にも触れています。両方を組み合わせて考えるのも一つの方法です。
どちらから始めるかの分かれ道
- 移住者など地域の外の人にも届けたいなら、空き家バンクへの登録を考える
- 早く売りたい、条件の交渉を任せたいなら、不動産会社への相談を先にする
- どちらが合うか分からないなら、自治体の窓口と不動産会社の両方に話を聞いて比べる
迷ったときは、「いつまでに決めたいか」と「誰に使ってほしいか」の2つを考えます。急がず、地域に根づく人に使ってほしいなら空き家バンクが合いやすくなります。期限があるなら、不動産会社の見通しも早めに聞いておきましょう。
ただし、すでに不動産会社と媒介契約を結んでいると、登録できない自治体もあります。どちらを先に進めるかは、自治体の要綱を確かめてから決めましょう。媒介契約の種類については一般媒介と専任媒介で説明しています。
よくある質問
- 空き家バンクへの登録に費用はかかりますか?
- 自治体によって違います。登録の費用、仲介が入る場合の手数料などを、自治体の要綱や窓口で確かめてください。
- 空き家バンクに登録すれば全国版にも載りますか?
- 自治体が全国版に参加していて、所有者が掲載に同意している場合に載ります。参加していない自治体もあります。
- 不動産会社と契約中でも空き家バンクに登録できますか?
- 自治体によります。石巻市の例では、すでに媒介契約を結んでいる場合は登録できないと定めています。
- 空き家バンクで貸すこともできますか?
- 扱う範囲は自治体の要綱で決まります。賃貸も扱っているかを、窓口や要綱で確かめましょう。
- 空き家バンクに登録すると、どのくらいで決まりますか?
- 地域や物件によって大きく違い、決まらないこともあります。並行して不動産会社に相談しておくと安心です。
- 空き家バンクの登録はあとから取り下げられますか?
- 取り下げの手続きは自治体の要綱で決まっています。登録するときに、取り下げや掲載内容の変更の方法も窓口で確かめておきましょう。
空き家の活用を相談できる会社
空き家バンクと並行して、不動産会社に売却や賃貸の見通しを聞いておくと、選べる道が広がります。売却なら売買の会社の一覧、貸すならシェアハウスの会社の一覧や民泊の会社の一覧も参考になります。
売るか貸すかで迷う方は実家は売るか貸すかを、売る場合の税金は空き家の3,000万円特別控除をご覧ください。まとめて相談したい方は一括相談の説明へどうぞ。
まとめ
- 空き家バンクは、自治体が空き家の情報を利用希望者に紹介する仕組み
- 登録は、申請書と同意書の提出、現地の調査、台帳への掲載の流れが一般的
- 登録の条件・仲介の有無・登録期間・補助は自治体ごとに違う
- 全国版に載せるには、所有者の同意が必要
- 登録前に、名義・建物の状態・管理の体制を確かめておく




