サブリースの違約金とは?中途解約の条項の読み方と契約前に確かめる5つの点

サブリース契約の違約金の条項は、だれが・いつ・どんな場合に払うのかで意味が変わります。この記事では、違約金の法律上の考え方、中途解約の条項との関係、書面の見方を順番に整理します。
結論
- サブリースの違約金とは、契約を途中で終えるときなどに払うと前もって決めておくお金です。民法420条では、違約金は損害賠償額の予定と推定されます。
- 違約金の定めがあるときは、サブリース会社は契約前の説明書面と契約を結んだときの書面に、その内容を書く必要があります。
- オーナーからの中途解約の条項があっても、オーナーから解約するには借地借家法28条の正当の事由が必要です。違約金を払えば解約できる、とは限りません。
「解約したいなら、家賃の○か月分を違約金として払ってください」。サブリースをやめようとして、こう告げられて驚くオーナーがいます。契約のときに違約金の条項を読み飛ばしていた、という声もよく聞かれます。
違約金の条項は、短い一文で書かれていることが多いものです。しかし、だれが払うのか、どんな場合に払うのかで、意味は大きく変わります。
この記事では、サブリース契約の違約金の条項に絞って、その読み方を説明します。解約の進め方そのものは「サブリースの解約」にまとめています。
サブリースの違約金とは
違約金とは、契約で決めた約束を守らなかったときや、契約を途中で終えるときに払うと、前もって決めておくお金です。
民法420条では、当事者は債務不履行の損害賠償の額を前もって決めておくことができ、違約金はその「賠償額の予定」と推定されます。賠償額を予定しても、履行の請求や解除はできるとされています。
サブリースで違約金が出てくる場面
国土交通省の解釈・運用の考え方では、違約金の説明が必要な場面として、次のような例を挙げています。
- 引渡日に物件を引き渡さない場合
- 家賃が支払われない場合などの債務不履行
- 契約を解約する場合
重要事項説明書の記載例では、「引渡日までの間の解約を行う場合は、○日前に申し入れをすることとし、違約金は○円とします」という書き方が示されています。
言葉の言い換え
- 中途解約:契約期間の途中で、一方の申入れによって契約を終えること
- 解約権の留保:期間の途中でも解約できると、契約で決めておくこと
- 賠償額の予定:損害が出たときに払う額を、前もって決めておくこと
- 正当の事由:貸主が更新を断ったり解約したりするのに必要な、もっともな理由
違約金は書面に書かれる決まり
契約前の説明と、契約を結んだときの書面
賃貸住宅管理業法30条と施行規則45条では、サブリース会社は契約を結ぶ前に、14の事項を書面で説明します。その7号が「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」、12号が「更新及び解除に関する事項」です。
契約を結んだときの書面にも、施行規則47条4号で、損害賠償額の予定や違約金の定めがあるときはその内容を書くことになっています。
2つの書面を突き合わせる
| 書面 | いつ受け取るか | 違約金について見る点 |
|---|---|---|
| 重要事項説明書 | 契約を結ぶ前 | 違約金の有無と額、解約の申入れの期限 |
| 契約書 | 契約を結ぶとき | 説明と同じ内容か、特約で変わっていないか |
| 変更契約の書面 | 更新や条件の変更のとき | 違約金の額や条件が変わっていないか |
説明書と契約書で、違約金の額や対象が違っていないかを確かめます。説明の書面の項目は「サブリースの重要事項説明」で一覧にしています。
中途解約の条項と違約金の関係
期間の途中で解約できるのは、留保したときだけ
民法618条では、期間を決めた賃貸借でも、当事者が期間内に解約する権利を留保したときは、解約の申入れができます。この場合、建物は民法617条により、申入れから3か月で終わるのが原則です。
つまり、中途解約は契約に定めがあって初めてできるものです。違約金は、その中途解約の条項と組み合わせて書かれることがよくあります。
サブリース会社から解約するとき
重要事項説明書の記載例では、「乙(サブリース会社)は、甲(オーナー)に対して少なくとも○ヶ月前に解約の申し入れを行うことにより、本契約を解約することができます」という書き方が示されています。
国土交通省の特定賃貸借標準契約書の解説では、サブリース会社からの解約は貸主への影響が大きいので、一定の期間が過ぎるまでは解約できないとすることが望ましいとしています。さらに、建設と合わせたサブリースでは、解約権を留保しないことも含めて十分に協議することが望ましいとしています。
オーナーから解約するとき
オーナーは貸主なので、借地借家法の決まりがかかります。オーナーからの解約の申入れは、正当の事由がなければできません(28条)。正当の事由があっても、申入れから6か月で終わるのが原則です(27条)。
ガイドラインは、オーナーからの中途解約の条項がある場合でも、オーナーから解約するには正当な事由が必要だと示しています。標準契約書の解説も、貸主からの中途解約の条項を設けるなら、正当事由が少なくとも必要である旨を書くべきだとしています。
借地借家法30条により、この節の決まりに反する特約で、借り手に不利なものは無効です。サブリースではサブリース会社が借り手にあたるため、オーナーに有利な特約がそのまま使えるとは限りません。
ポイント
- 中途解約は、契約に解約の定めがあって初めてできる
- サブリース会社からの解約は、申入れの期限と違約金の有無を見る
- オーナーからの解約は、条項があっても正当の事由が必要
契約前に確かめる5つの点
- だれが払う違約金か:オーナーが払うのか、サブリース会社が払うのか、両方に定めがあるのか
- どんな場合に払うか:中途解約、引渡しの遅れ、家賃の不払いなど、対象の場面を書き出す
- 額の決め方:定額か、家賃の何か月分か。家賃が変わると額も変わる書き方かを見る
- 申入れの期限:何か月前までに伝えるのか。期限と違約金が組み合わさっていないかを見る
- 定期借家かどうか:定期借家では、オーナーからの途中解約は原則できないと説明されます
定期借家の場合
国土交通省の解釈・運用の考え方では、定期借家としてサブリース契約を結ぶ場合、オーナーからの途中解約は原則としてできないことを説明するとしています。違約金の条項の前に、契約の類型を確かめましょう。違いは「定期借家と普通借家の違い」で説明しています。
違約金の条項の型と読み方
違約金の条項は、いくつかの型に分けて読むと整理しやすくなります。次の表は、条項を読むときの見方をまとめたものです。額や期間は契約ごとに違います。
| 条項の型 | 払う人 | 読むときの点 |
|---|---|---|
| 引渡し前の解約 | 解約を申し入れた側 | 完成前にやめる場合の額と、申入れの期限 |
| サブリース会社からの中途解約 | 定めがあればサブリース会社 | 一定期間は解約できないとする定めがあるか |
| オーナーからの中途解約 | 定めがあればオーナー | 正当の事由の要件が書かれているか |
| 債務不履行 | 約束を守らなかった側 | 家賃の不払いなど、対象の場面が限られているか |
片方にだけ違約金がある条項
オーナーが解約するときだけ違約金があり、サブリース会社が解約するときには何もない、という条項もあります。こうした片寄りがあるときは、契約の前に理由を質問し、答えを書面でもらいましょう。
額が家賃に連動している条項
「家賃の○か月分」のように、違約金の額が家賃に連動していることがあります。この場合、家賃が見直されると違約金の額も変わります。いつの家賃で計算するのかを確かめておくと、後で迷いません。
更新や変更のときの違約金
違約金の定めは、契約の途中や更新のときに変わることがあります。国土交通省のガイドラインでは、契約期間中や更新のときに説明事項を変える契約を結ぶ場合も、重要事項説明を行うとしています。
ガイドラインは、変更の契約では、説明を受ける人が承諾した場合に限り、説明から契約まで期間をおかなくてもよいとしています。急いで承諾せず、変わる前と後の違約金の条項を並べて読みましょう。更新のときの確かめ方は「サブリースの契約更新」にまとめています。
違約金を言われたときの分かれ道
契約書に定めがあるか
違約金を求められたら、まず契約書のどの条項にもとづくのかを確かめます。定めがない違約金を、口頭の説明だけで払う必要があるかは慎重に考えます。
合意で終えるか
オーナーから終えたいときは、サブリース会社と話し合って合意で終える道もあります。標準契約書の解説では、契約が終わるとオーナーが転貸人の地位を引き継ぐ仕組みが示されています。合意の書面には、次のことを書いておきます。
- 契約が終わる日
- 違約金の額と、払う日・払い方
- 入居者との契約の引き継ぎ
- 敷金の引き継ぎと精算
- 鍵や書類の引き渡し
たとえば、売却を考えたJさん
Jさんは、サブリース中のアパートを売ろうと考え、解約を申し入れようとしました。契約書を読み直すと、オーナーからの中途解約の条項に、家賃の数か月分の違約金が書かれていました。
Jさんは、解約しなくても、サブリース付きのまま売る方法もあると知りました。違約金を払って解約する場合と、契約を引き継いで売る場合を比べることにしました。売却の考え方は「サブリース付き物件の売却」にまとめています。
よくある失敗とチェックリスト
よくある失敗
- 違約金はサブリース会社が払うものだと思い込み、オーナー側の条項を見落とした
- 違約金を払えば、いつでも解約できると考えていた
- 更新のときの変更契約で、違約金の額が変わっていたことに気づかなかった
- 申入れの期限を過ぎてから、解約を伝えた
- 合意で終えたのに、違約金や敷金の扱いを口約束で済ませた
違約金の話し合いは、感情的になりやすい場面です。条項の番号と文言を手元に置き、どの条項にもとづく請求なのかを、一つずつ確かめながら進めましょう。
読み直しのチェックリスト
- 違約金の条項の番号と、払う人・場面・額を書き出した
- 重要事項説明書と契約書の内容が同じかを確かめた
- 普通借家か定期借家かを確かめた
- 双方の解約の申入れの期限を確かめた
- 更新のときの変更契約の書面も読み直した
よくある質問
- サブリースの違約金は、いくらが決まりですか?
- 法律で決まった額はありません。契約で決めるもので、定めがあるときは、重要事項説明書と契約書に内容を書く決まりです。
- 違約金を払えば、オーナーから中途解約できますか?
- できるとは限りません。中途解約の条項があっても、オーナーから解約するには借地借家法28条の正当の事由が必要です。
- サブリース会社が途中で解約するとき、違約金はもらえますか?
- 契約にサブリース会社が払う違約金の定めがあれば、その内容によります。定めがなければ、申入れの期限が守られているかを確かめます。
- 定期借家のサブリースでも、途中で解約できますか?
- 国土交通省の考え方では、定期借家のサブリースでは、オーナーからの途中解約は原則としてできないと説明することになっています。
- 説明書と契約書で違約金の額が違っていたら?
- 契約の前に、どちらが正しいのかを書面で確かめてください。説明と違う契約を結ばないことが大切です。
関係する記事と相談先
更新のときの見直しは「サブリースの契約更新」、トラブルの相談先は「サブリースのトラブルの相談先」で説明しています。解約した後の管理先を探すなら会社一覧を見るか、まとめて相談することもできます。
まとめ
- 違約金は、民法420条で損害賠償額の予定と推定される
- 違約金の定めは、重要事項説明書と契約を結んだときの書面に書かれる
- 中途解約は、契約に解約の定めがあって初めてできる
- オーナーからの解約は、条項があっても正当の事由が必要
- だれが・どんな場合に・いくら払うのかを書き出して読む




