内覧の準備で売却が変わる|前日までの片付け・掃除と当日の対応チェックリスト

家を売るとき、買う人が実際に見に来る内覧は、申し込みにつながるかを左右する大切な場面です。前日までの準備、当日の迎え方、聞かれやすい質問への答え方を、住みながらの場合と空き家の場合に分けて整理します。
結論
- 売却の内覧準備でいちばん大切なのは、「明るさ」「におい」「水回りのきれいさ」「広く見える片付け」の4つです。
- 当日は売主が案内しすぎず、聞かれたことに正直に答えることが、買う人の安心につながります。
- 雨漏りや設備の不具合など知っていることは、内覧の前に会社と共有し、聞かれたら正確に伝えましょう。
「内覧の予約が入ったけれど、何を準備すればいいのか分からない」。「住みながら売っているので、生活感をどこまで消せばいいのか迷う」。家を売る方から、こうした声がよく届きます。
内覧は、買う人が「ここに住みたいか」を決める場面です。写真で気に入った人が、実物を見てがっかりすると、申し込みにはつながりません。反対に、準備をしっかりすると、写真以上によい印象を持ってもらえることもあります。
この記事では、内覧の前日までにやること、当日の迎え方、よくある質問への答え方を、チェックリストの形で整理します。
売却の内覧とは
内覧の意味と役割
売却の内覧とは、家を買いたい人が、申し込みの前に実際の部屋や建物を見に来ることです。賃貸の「内見」と同じ意味で使われます。
買う人は、内覧で次のことを確かめています。
- 写真や間取り図どおりの広さと明るさか
- 傷みや汚れ、においが気にならないか
- 収納や水回りが、自分の暮らしに合うか
- 周りの音や日当たり、近所の雰囲気はどうか
住みながらの内覧と空き家の内覧の違い
| 項目 | 住みながら売る場合 | 空き家で売る場合 |
|---|---|---|
| 立ち会い | 売主が家にいることが多い | 会社だけで案内することが多い |
| 準備の中心 | 生活感を減らす片付け | 掃除・換気・電気と水の確保 |
| よい点 | 暮らしのようすを伝えられる | 部屋を広く見てもらいやすい |
| 気をつけること | 予定を合わせる負担がある | 空気がこもり、においが出やすい |
内覧準備1:前日までにやること
片付けは「床と棚の上を空ける」
部屋を広く見せるいちばんの方法は、床に物を置かないことです。棚やテーブルの上も、できるだけ空けておきます。
- 玄関の靴は、全部しまう
- 床に置いた荷物や家電の箱を片付ける
- 収納の中も、半分ほど空けておく(開けて見られることがある)
- ベランダの物干しや植木鉢を整える
水回りは念入りに掃除する
キッチン、浴室、洗面所、トイレは、買う人が特に細かく見る場所です。水あかやカビ、排水口のにおいは、印象を大きく下げます。
自分で落としきれない汚れは、掃除の専門の会社に頼む方法もあります。費用をかけるかどうかは、家の状態と売り出し価格をふまえて会社と相談しましょう。
においと明るさを整える
- 前日から窓を開けて、空気を入れ替える
- たばこやペット、料理のにおいに気をつける
- 切れた電球を取り替え、すべての照明がつくか確かめる
- カーテンを開けたときに、外の景色がきれいに見えるようにする
空き家の場合の準備
空き家は、人が住んでいない間に空気がこもり、ほこりがたまりやすくなります。内覧の前に一度家に入り、換気と掃除をしておきましょう。
電気と水道が止まっていると、照明や水回りを確かめてもらえません。内覧の期間は使えるようにしておくと安心です。ふだんの見回りは空き家の管理方法で紹介しています。
部屋ごとのチェックリスト
| 場所 | 確かめること |
|---|---|
| 玄関 | 靴をしまい、たたきを掃く。かさ立てや段ボールを片付ける |
| リビング | 床に物を置かない。テーブルの上を空け、照明をすべてつける |
| キッチン | シンクと排水口を磨く。調味料や家電を減らす。ごみを出しておく |
| 浴室・洗面所 | 水あかとカビを落とす。タオルを新しい物にし、鏡を拭く |
| トイレ | 便器と床を拭き、においのもとを取り除く |
| 寝室・子ども部屋 | 布団や衣類を片付け、窓を開けて明るく見せる |
| ベランダ・庭 | 物干しや植木を整え、草を抜く |
内覧の日時の決め方
内覧の日時が少ないと、見たい人がいても予定が合わずに終わってしまいます。週末や夕方など、買う人が来やすい時間を、できるだけ受けられるようにしましょう。
日当たりのよい家なら、明るい時間帯を勧めてもらうのも一つの方法です。逆に、夜の周りの雰囲気を気にする人もいるので、希望があれば柔軟に応じます。
内覧準備2:伝える情報をそろえる
物件のよい点と気になる点を書き出す
内覧で聞かれやすいことは、あらかじめ書き出しておきましょう。会社の担当者と共有しておくと、案内の中で自然に伝えてもらえます。
- 日当たりのよい時間帯、風通し
- 近くのスーパーや学校、病院までの道のり
- リフォームした場所と時期
- 雨漏り、設備の故障など、知っている不具合
知っている不具合は、正直に伝える
民法562条では、引き渡した物が契約の内容に合わないとき、買主は修理などを求められるとされています。民法572条では、責任を負わない特約を結んでも、売主が知りながら告げなかった事実の責任は免れないとされています。
内覧のときに不具合を隠しても、あとで分かれば、修理や代金の減額、契約の解除を求められるおそれがあります。知っていることは、会社と相談の上で正確に伝えましょう。
告知書を先に書いておく
告知書とは、売主が知っている建物の不具合や、周りの事情を書いて買う人に渡す書面です。雨漏りの有無、設備の故障、近所との取り決めなどを、思い出せる範囲で書き出します。
内覧の前に書いておくと、担当者が質問に答えやすくなり、売主もあわてずにすみます。分からないことは「分からない」と書くのが基本です。
むずかしい言葉の言い換え
- 内覧(ないらん):買いたい人が、申し込みの前に家を見に来ること
- 媒介(ばいかい):会社が売主と買う人の間に立って、売買をまとめること
- 申し込み:買う人が「この条件で買いたい」と書面で伝えること
- 引き渡し:代金を受け取り、鍵を渡して家を買主のものにすること
建物状況調査の結果があれば見せる
建物状況調査とは、専門の調査員が建物の基礎や外壁、雨漏りしやすい部分の状態を調べることです。宅地建物取引業法35条では、中古の建物の売買の重要事項説明で、調査をしているかどうかと結果の概要を説明することとされています。
調査の結果があれば、内覧のときに会社から見せてもらうと、買う人は状態を確かめた上で判断できます。
内覧当日の対応
当日の流れ
- 開始の30分ほど前に、すべての部屋の窓を開けて換気し、照明をつける
- スリッパを用意し、玄関をすっきりさせる
- 会社の担当者と、案内の順番と伝える点を確かめる
- 買う人が来たら、あいさつをして、案内は担当者に任せる
- 質問されたときは、知っていることを正直に答える
- 終わったら、担当者から買う人の感想を聞いておく
場面の例:住みながら売る家の内覧
たとえば、家族4人で住みながらマンションを売る場面を考えてみましょう。週末に内覧が入ったものの、子どものおもちゃや洗濯物が部屋に出たままでは、買う人は自分たちの暮らしを想像しにくくなります。
前の晩に、おもちゃを箱にまとめて収納にしまい、洗濯物は内覧の時間を避けて干すだけでも、部屋の印象は変わります。当日は家族で近くに出かけ、売主だけが残る形にすると、買う人もゆっくり見られます。
場面の例:相続した空き家の内覧
遠くに住んでいて、相続した実家の内覧に立ち会えない場面もあります。この場合は、鍵の預け方、換気と照明の確認、終わったあとの戸締まりを、会社の担当者とあらかじめ決めておきましょう。仏壇や遺品が残っている場合は、見られたくない物をまとめて片付けておくと安心です。
売主が気をつけること
住みながら売る場合、売主がずっと横についていると、買う人は遠慮して収納を開けにくくなります。あいさつのあとは、別の部屋や庭で待つなど、買う人がゆっくり見られるようにしましょう。
家族の思い出を話すのは悪いことではありません。ただ、話しすぎると買う人の時間を取ってしまいます。聞かれたことに答える形を基本にします。
内覧の直前に確かめること
- すべての部屋の照明がついているか
- トイレのふたを閉め、水回りに髪の毛や水滴が残っていないか
- 冷暖房で部屋の温度を整えているか
- ペットは別の場所に預けるか、ケージに入れているか
内覧の前後で気をつける防犯
- 貴重品や通帳、印鑑は、見えない場所にしまっておく
- 家族の写真や郵便物など、個人の情報が分かる物を片付ける
- 案内の日時と人数を、会社から事前に聞いておく
内覧で聞かれやすい質問と答え方
よく聞かれる質問
- なぜ売るのですか:住み替えや相続など、事実を簡単に伝えます
- 近所はどんな雰囲気ですか:知っている範囲で、よい点も気になる点も伝えます
- 修理した場所はありますか:場所と時期を伝え、分かれば記録を見せます
- いつ引き渡せますか:引っ越しの予定を、会社と決めた範囲で伝えます
値引きを聞かれたら
内覧の場で、値引きを約束するのは避けましょう。価格の話し合いは、申し込みを受けてから会社を通して行うのが基本です。会社とどこまで下げられるかを、前もって決めておくと落ち着いて対応できます。
内覧のあとに振り返る
内覧のあと申し込みが入らないときは、買う人の感想が手がかりになります。宅地建物取引業法34条の2では、専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上、会社は活動の状況を報告することとされています。報告の中で、内覧の感想も聞いておきましょう。
ポイント
- 前日までに、片付け・水回りの掃除・換気・照明の確認をする
- 物件のよい点と、知っている不具合を書き出して会社と共有する
- 当日は案内を担当者に任せ、聞かれたことに正直に答える
- 内覧のあとは、買う人の感想を聞いて次の準備に生かす
よくある失敗
- 収納に物を詰め込み、開けられたときに狭く見えてしまう
- 照明をつけ忘れ、部屋が暗い印象になる
- 不具合を聞かれて、あいまいに答えてしまう
- 内覧のその場で値引きを約束してしまう
よくある質問
- 内覧の前にハウスクリーニングは必要ですか?
- 必ず必要ではありません。自分で掃除して落ちない汚れが水回りにあるときは、専門の会社に頼むことも考えましょう。
- 住みながら売る場合、売主は内覧に立ち会うべきですか?
- 立ち会うことが多いですが、案内は担当者に任せ、あいさつのあとは買う人がゆっくり見られるようにしましょう。
- 空き家の内覧で、電気や水道は止めたままでいいですか?
- 止まっていると照明や水回りを確かめてもらえません。内覧の期間は使えるようにしておくと安心です。
- 内覧で不具合を聞かれたら、どこまで答えるべきですか?
- 知っていることは正直に答えましょう。民法572条では、知りながら告げなかった事実の責任は特約があっても免れないとされています。
- 内覧のあと申し込みが入らないときは、どうすればいいですか?
- 会社から内覧した人の感想を聞き、片付けや価格、売る条件のどこに原因があるかを見直しましょう。
内覧と売却の相談先
内覧の案内まで任せられる会社は、売買の会社一覧から比べられます。売却全体の進め方は不動産売却の流れ、会社の選び方は売却の会社の選び方、準備する書類は売却の必要書類で紹介しています。複数の会社にまとめて相談したい方は、一括相談をご利用いただけます。
まとめ
- 内覧は、買う人が「ここに住みたいか」を決める大切な場面です
- 前日までに、片付け・水回りの掃除・換気・照明の確認をします
- 空き家は、換気と掃除に加えて、電気と水道を使えるようにしておきます
- 知っている不具合は会社と共有し、聞かれたら正直に答えます
- 当日は案内を担当者に任せ、値引きの約束はその場でしません
- 内覧のあとは感想を聞き、次の準備や条件の見直しに生かします




