管理会社の選び方|比べる7つの点と面談で聞く質問リスト、登録の調べ方

賃貸の管理会社は、管理費だけでなく、任せる業務の範囲、報告の中身、お金の管理、入居者対応の体制で比べて選びます。比べる7つの点、面談で聞く質問、登録や処分歴の調べ方をまとめました。
結論
- 管理会社は「任せる業務の範囲」「費用の総額」「報告の中身」「お金の管理」「入居者対応の体制」「募集の力」「登録と処分歴」の7つで比べて選びます。
- 200戸以上の賃貸住宅を管理する会社は国土交通大臣の登録が必要で、登録の有無は国の検索システムで調べられます。
- 登録した会社には、契約前の書面での説明と、1年を超えない期間ごとの報告が義務づけられています。
- 面談では、決まり文句ではなく自分の物件での具体的な対応を聞き、答えを書面で確かめます。
「はじめて管理を頼みたいけれど、どこに頼めばいいのか分からない」。自分で管理してきた方や、物件を相続したばかりの方からよく聞く悩みです。
管理会社はたくさんあり、ホームページだけでは違いが分かりにくいものです。管理費の数字だけで選び、あとから「頼めると思っていたことが頼めなかった」と気づくこともあります。
この記事では、管理会社を比べるときの7つの点と、面談で聞く質問を具体的に挙げます。登録や処分歴の調べ方もまとめます。
管理会社の選び方の基本
管理会社とは
賃貸の管理会社とは、オーナーから頼まれて、賃貸住宅の点検・清掃・修繕の手配や、家賃などのお金の管理をする会社です。入居者の募集や、入居者からの連絡への対応もあわせて頼むのが一般的です。
先に「何を任せたいか」を決める
選び方の出発点は、自分が何を任せたいかです。任せたいことが決まっていないと、会社ごとの提案を同じ物差しで比べられません。
- 入居者の募集と契約の手続き
- 家賃の受け取りと、遅れたときの連絡
- 入居者からの連絡(設備の故障、騒音の相談など)への対応
- 建物の点検・清掃と、修繕の手配
- 退去の立ち会いと、原状回復の話し合い
物件の状況で、重く見る点が変わる
- 空室が多いアパート:募集の力と、家賃や条件の見直しの提案
- 遠くにある相続した物件:入居者対応の体制と、写真つきの報告
- 古い建物:点検のやり方と、修繕の見積もりの出し方
- 法人に貸している物件:法人契約の手続きに慣れているか
相続した物件では、親の代からの会社にそのまま任せている例もあります。名義が変わるのを機に、今の契約の中身を読み、ほかの会社の提案と比べてみると、見直せる点が見つかることがあります。
同じ会社でも、物件によって向き不向きがあります。自分の物件で一番困りそうなことを先に挙げ、その点に強い会社を探します。
すべて任せるか、一部だけにするかで、合う会社は変わります。自分でする場合との違いは「賃貸管理の委託と自主管理の違い」で比べています。
管理会社を比べる7つの点
| 比べる点 | 確かめること |
|---|---|
| 1. 任せる業務の範囲 | どこまでが管理費に含まれ、どこからが別料金か |
| 2. 費用の総額 | 管理費のほかにかかる費用(募集、更新の事務など)の一覧 |
| 3. 報告の中身 | 毎月の報告書の見本。収支・空室・修繕が一目で分かるか |
| 4. お金の管理 | 家賃を受け取ってからオーナーに渡すまでの流れと時期 |
| 5. 入居者対応の体制 | 夜間・休日の連絡をだれが受けるか。修理の手配の早さ |
| 6. 募集の力 | 空室が出たときの募集の方法、条件の見直しの提案 |
| 7. 登録と処分歴 | 国の登録の有無、行政処分を受けたことがあるか |
1と2:範囲と費用は一緒に見る
管理費が安く見えても、任せられる範囲が狭ければ、別料金が増えます。逆に高く見えても、募集や更新の事務まで含んでいることもあります。範囲と費用を同じ表に並べて比べます。
見積もりの並べ方
各社の見積もりは、書き方がばらばらです。次のような表を自分で作り、同じ行に書き込むと違いが見えてきます。
| 並べる行 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 毎月の管理費 | 見積もりの額 | 見積もりの額 | 見積もりの額 |
| 入居者が決まったときの費用 | 有無と額 | 有無と額 | 有無と額 |
| 更新の事務の費用 | 有無と額 | 有無と額 | 有無と額 |
| 定期清掃・点検 | 管理費に含むか | 管理費に含むか | 管理費に含むか |
| 夜間・休日の対応 | 体制 | 体制 | 体制 |
空欄が残る行は、その会社に質問する項目です。数字の大小だけでなく、空欄の多さも比べる材料になります。
3と4:報告とお金の流れ
報告書は、実物の見本を見せてもらうのがいちばん確実です。家賃がいつオーナーの口座に入るのか、管理費がいつ差し引かれるのかも確かめます。
5と6:入居者対応と募集
入居者の満足は、連絡したときの対応の早さで大きく変わります。空室への提案は「空室対策」も参考に、具体的に話せるかを見ます。
ポイント
- 管理費は、任せる範囲と別料金を並べてはじめて比べられる
- 報告書と管理受託契約書は、見本を先にもらって読む
- 夜間・休日の連絡先と、修理の手配の流れを確かめる
- 登録の有無と処分歴は、国のサイトで自分で調べる
登録と処分歴の調べ方
200戸以上は国の登録が必要
賃貸住宅管理業法により、賃貸住宅の管理を仕事にする会社は、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。ただし、管理する戸数が200戸未満なら登録の義務はありません。登録は5年ごとの更新です。
登録の有無は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、会社の名前や登録番号から調べられます。
登録した会社に求められること
- 営業所や事務所ごとに、業務管理者を1人以上置く
- 契約を結ぶ前に、契約の中身を書面で説明する
- 受け取った家賃や敷金を、自分のお金と分けて管理する
- 契約を結んだ日から1年を超えない期間ごとに、管理の状況を報告する
業務管理者は、管理の仕事について2年以上の実務経験があることなどが要件です。
処分歴を調べる
国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」では、賃貸住宅管理業者が受けた登録の取り消しや業務停止などの行政処分を調べられます。公開されるのは5年分です。
募集を頼むなら宅地建物取引業の免許も
入居者の募集や賃貸借契約の仲介をするには、宅地建物取引業の免許が要ります。免許の有効期間は5年です。管理と募集の両方を頼むなら、両方の登録と免許を確かめます。
面談で聞く質問リスト
物件について
- この物件の強みと弱みを、どう見ていますか
- 空室が出たら、どんな方法で募集しますか
- 家賃や入居の条件で、見直したほうがよい点はありますか
入居者対応について
- 夜間や休日の連絡は、どこがどう受けますか
- 水漏れなど急ぎの修理は、どのくらいで手配できますか
- 家賃が遅れたとき、どの順番で、いつ連絡しますか
費用と報告について
- 管理費に含まれない費用を、一覧でもらえますか
- 修繕を頼むとき、いくらからオーナーの承認が要りますか
- 毎月の報告書の見本を見せてもらえますか
契約について
- 管理受託契約書の案を、契約の前にもらえますか
- 担当者が替わるとき、どう引き継ぎますか
- 解約するときの予告期間と、違約金の定めはどうなっていますか
面談の進め方
面談は、できれば物件を見てもらいながら行います。物件を見たうえでの提案は、資料だけの提案より具体的になりやすいからです。
同じ質問を各社にして、答えを一枚の表に書き込みます。その場で答えられなかった質問は、あとで書面で答えてもらいます。答えが届くまでの早さも、契約後の対応を想像する材料になります。
答えの見方
答えが「臨機応変に対応します」といった決まり文句だけなら、もう一歩踏み込んで聞きます。「先月、似た物件でどう対応しましたか」と、実際の例を聞くのも一つの方法です。具体的な手順や数字で答え、それを書面で示せる会社は、契約後も約束を守りやすいと考えられます。
契約前の書面で確かめること
登録した会社は、契約を結ぶ前に、次のような事項を書面で説明する決まりです。説明を受けるときに、自分の理解と合っているかを一つずつ確かめます。
- 会社の名前と、登録の年月日・登録番号
- 管理する物件と、管理の仕事の中身・やり方
- 報酬の額と、払う時期・方法
- 報酬に含まれない費用で、ふつう必要になるもの
- 仕事の一部をほかの会社に再委託するかどうか
- 責任と免責の範囲
- オーナーへの報告のしかた
- 契約の期間と、更新・解除のしかた
契約したあとに見ること
選んで終わりではありません。最初の数か月は、報告書が約束どおりの中身で届くか、入居者からの連絡にどう対応したかを確かめます。
登録した会社なら、契約を結んだ日から1年を超えない期間ごとに、管理の状況の報告を受けられます。報告書には、報告の対象期間、管理の実施状況、入居者からの苦情とその対応が書かれます。気になる点は、報告を受けたときにその場で聞きましょう。
場面の例:自主管理から切り替えるDさん
Dさんは、自宅の近くの小さなアパートを10年ほど自分で管理してきました。年を重ね、夜の連絡への対応がつらくなり、管理会社に頼むことにしました。
3社と面談し、同じ質問リストで聞きました。1社は管理費が最も安いものの、夜間の連絡は留守番電話で翌日対応でした。Dさんは、夜間も受け付け、報告書の見本が分かりやすかった会社を選びました。
よくある失敗
- 管理費の率だけで選び、別料金の多さにあとで気づく
- 契約書の案を読まずに、説明だけで決めてしまう
- 担当者の人柄だけで決め、会社の仕組みを確かめない
- 解約の条件を確かめず、合わなかったときに替えにくくなる
契約の前のチェックリスト
- 任せたい業務を書き出し、各社の範囲と照らし合わせたか
- 管理費と別料金を合わせた、1年分の費用を比べたか
- 報告書と契約書の見本を読んだか
- 登録の有無と処分歴を、国のサイトで調べたか
- 夜間・休日の連絡先と、修理の手配の流れを聞いたか
- 解約の予告期間と違約金を確かめたか
よくある質問
- 管理会社はどうやって選べばいい?
- 任せたい業務を先に決め、範囲・費用・報告・お金の管理・入居者対応・募集・登録の7つで比べます。面談では同じ質問を各社にして、答えを書面で確かめます。
- 登録していない管理会社に頼んでも大丈夫?
- 管理する戸数が200戸未満の会社は登録の義務がないため、登録がないこともあります。その場合も、契約の中身と報告の方法を書面で確かめましょう。
- 管理会社は何社くらい比べればいい?
- 決まった数はありません。同じ質問で複数の会社を比べると、管理費や提案の違いが見えやすくなります。
- 大手と地元の会社、どちらがいい?
- 規模だけでは決まりません。物件の地域での募集の力、連絡の早さ、報告の中身を、同じ物差しで比べて選びます。
- 契約したあとで合わなかったら替えられる?
- 契約書の解約の定めに沿って替えられます。契約の前に、予告期間と違約金を確かめておきましょう。
- 管理会社の登録はどこで調べられる?
- 国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、会社の名前や登録番号から調べられます。行政処分を受けたことがあるかは「ネガティブ情報等検索サイト」で確かめます。
関係する会社と記事
管理会社は会社一覧から探せます。今の会社から替える手順は「管理会社の変更」、法律の決まりは「賃貸住宅管理業法」で説明しています。複数の会社にまとめて相談したい方は「一括相談の使い方」もご覧ください。
まとめ
- 先に「何を任せたいか」を決めてから、会社を比べる
- 範囲・費用・報告・お金の管理・入居者対応・募集・登録の7つで比べる
- 200戸以上を管理する会社は国の登録が必要。検索システムで調べられる
- 登録した会社は、契約前の書面での説明と、1年を超えない期間ごとの報告が義務
- 面談では同じ質問リストを使い、答えを書面で確かめる




