住宅ローン返済中の家で民泊はできる?金融機関への相談と確かめる5つの点

住宅ローンを返している家で民泊を始める前に、確かめることを整理します。住宅ローンの利用目的との関係、金融機関への相談の進め方、住宅ローン控除への影響、民泊の届出との関係を順番に説明します。
結論
- 住宅ローンを返している家で民泊を始める前に、まず借りている金融機関に相談し、ローンの契約で民泊に使ってよいかを確かめることが大切です。
- 住宅ローンは、自分や家族が住む家のための融資です。【フラット35】では、投資目的での民泊としての利用や、旅館としての利用は認められていません。
- 民泊の届出の書類に金融機関の承諾書は含まれていませんが、届出ができることと、ローンの契約に反しないことは別の話です。
「使っていない部屋を民泊にすれば、住宅ローンの返済が楽になるかもしれない」。転勤や子どもの独立で部屋が空いたとき、こう考える人は少なくありません。
一方で、「住宅ローンの家で民泊をしても大丈夫なのか」「銀行に知られたらどうなるのか」と不安になる人も多いはずです。ローンの契約に反すると、残りの返済を一度に求められることもあります。
この記事では、住宅ローンを返している家で民泊を考えるときに、始める前に確かめることを整理します。民泊を始める全体の流れは「民泊の始め方」で説明しています。
住宅ローンと民泊の関係とは
住宅ローンとは、自分や家族が住む家を買ったり建てたりするための融資です。投資用の物件を買うためのローンとは、目的も条件も分けられています。
そのため、住宅ローンで買った家を民泊に使うときは、民泊の制度の決まりとは別に、ローンの契約の決まりを守れるかが問われます。
2つの決まりを分けて考える
| 決まり | だれとの約束か | 確かめること |
|---|---|---|
| 住宅宿泊事業法 | 国・自治体 | 届出、宿泊日数、名簿、報告など |
| 住宅ローンの契約 | 金融機関 | 利用目的、住み続けることの条件、用途を変えるときの手続き |
| 税の決まり | 国 | 住宅ローン控除の要件 |
民泊の届出が受理されても、ローンの契約に反しないとは限りません。反対に、金融機関が認めても、民泊の制度の決まりは別に守る必要があります。
言葉の言い換え
- 住宅宿泊事業:届出をして、住宅に年180日までの範囲で人を泊める事業
- 家主居住型:家主が住みながら、家の一部で民泊をする形
- 家主不在型:家主が住んでいない家で、民泊をする形
- 一括返済請求:残りのローンを一度に返すよう求められること
- 金銭消費貸借契約:お金を借りて、決めた方法で返す約束をする契約。住宅ローンの本体の契約
- 住宅ローン控除:住宅ローンの年末残高などに応じて、所得税などが軽くなる仕組み
- 借換え:今のローンを、別のローンで返して借り直すこと
住宅ローンの利用目的と民泊
【フラット35】が示す利用目的
住宅金融支援機構は、【フラット35】の利用目的を、自ら住む住宅の取得に限っているとしています。認められない利用として、次のような例を示しています。
- 自分は住むつもりがなく、第三者への賃貸や民泊として使うなど、投資目的で住宅を取得すること
- 融資の対象の住宅を、店舗・事務所・旅館として利用すること
こうした不適正な目的で融資を受けることはローン契約の違反で、残りの債務の一括返済を求めることになると説明しています。融資の後も、住宅の利用状況を定期的に調べているとしています。
銀行などの住宅ローンは契約ごとに違う
銀行などの住宅ローンも、多くは本人や家族が住むことを前提にしています。ただ、民泊をどう扱うかは、金融機関や商品、契約の内容によって違います。自分の契約書を読み、金融機関に直接確かめるのが確実です。
「金融機関には黙っておけばよい」という助言には乗らないでください。住宅金融支援機構は、虚偽の内容で融資を受けることは犯罪にあたり、本人が責任を問われると注意を呼びかけています。
金融機関に相談する前に確かめる5つの点
- ローンの種類:【フラット35】か、銀行などの独自の住宅ローンか
- 契約書の利用目的:本人や家族が住むことが条件になっているか
- 用途を変えるときの決まり:住宅の使い方を変えるとき、届け出や承諾が必要か
- 民泊の形:家主が住みながら一部を貸すのか、住まない家を丸ごと貸すのか
- 今後の住まい:自分や家族が住み続けるのか、転居する予定なのか
相談の進め方
- ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)と、毎年届く書類を手元にそろえる
- 民泊にしたい部屋、時期、家主が住み続けるかを書き出す
- 返済中の金融機関の窓口に、民泊を考えていると伝えて相談する
- 回答を受けたら、日付と担当者、内容を記録する。書面でもらえるなら受け取る
- 認められない場合は、借換えや賃貸、ほかの活用と比べて考える
ポイント
- 住宅ローンの家で民泊を考えたら、まず金融機関に相談する
- 民泊の届出ができても、ローンの契約に反しないとは限らない
- 回答の日付と担当者、内容は記録に残す
相談のときに聞いておくこと
金融機関には、次のことを質問として渡しておくと、回答を比べやすくなります。
- 家主が住み続けながら、一部の部屋で民泊をすることは認められるか
- 認められる場合、届け出や承諾の手続きはあるか
- 家主が転居して住まなくなる場合は、どう扱われるか
- 認められない場合、ほかのローンへの借換えなどの道はあるか
ローン以外にも確かめる契約
住宅ローンと一緒に、家に関わる契約はほかにもあります。民泊を始めると、使い方が契約の前提と変わることがあるためです。
| 契約 | 確かめること |
|---|---|
| 火災保険・地震保険 | 宿泊者を泊める使い方が、契約の対象に入っているか |
| 団体信用生命保険 | ローンの契約と結びついているので、ローンの相談とあわせて確かめる |
| マンションの管理規約 | 民泊が禁じられていないか |
| 賃貸の契約(借りている家の場合) | 貸主が民泊のための転貸を承諾しているか |
保険の対象や条件は、保険会社や契約によって違います。保険会社や代理店に、民泊に使うことを伝えて確かめておきます。
住宅ローン控除への影響
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けている人は、税の面でも確かめることがあります。国税庁のタックスアンサーNo.1211-1では、要件の一つに、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していることが挙げられています。
家の一部を民泊に使うと、自分が住む部分の割合が変わることがあります。民泊の所得の申告とあわせて、税務署で確かめておくと安心です。申告の考え方は「民泊の確定申告」で説明しています。
民泊の制度の側で確かめること
「住宅」にあたるか
住宅宿泊事業法2条では、民泊ができる「住宅」は、台所・浴室・便所・洗面設備があり、人の居住の用に供されていると認められる家屋とされています。施行規則2条では、現に生活の本拠として使われている家屋、入居者を募集している家屋、所有者などが随時住んでいる家屋が挙げられています。
泊められる日数には上限がある
住宅宿泊事業法2条3項では、民泊で人を泊められるのは1年間で180日までです。施行規則3条では、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間で日数を数えます。
日数に上限があるので、民泊の収入だけで返済をまかなう前提にはしないほうが安全です。返済の計画は、民泊の収入がない月があっても続けられるかで考えましょう。
家主が不在になるなら委託が要る
住宅宿泊事業法11条では、人を泊めている間に家主が不在になるときなどは、住宅宿泊管理業者に管理を委託します。転居して住まなくなる場合は、この点も考えておきます。委託の考え方は「住宅宿泊管理業者への委託」にまとめています。
マンションなら管理規約も
マンションでは、届出の際に、管理規約で民泊が禁じられていないことを示します。規約の読み方は「民泊はマンションでできる?」で説明しています。
場面で考える分かれ道
たとえば、2階の空いた部屋を貸したいKさん
Kさんは、住宅ローンで建てた戸建てに住んでいます。子どもが独立し、2階の1室が空きました。Kさんは家に住み続けたまま、その部屋で民泊をしたいと考えました。
Kさんは、まず返済中の銀行に相談しました。家主が住み続けること、民泊にする部屋の広さを伝え、回答を記録しました。そのうえで、住宅ローン控除の要件にかかわるかを税務署で確かめました。
たとえば、転勤で家を空けるLさん
Lさんは、転勤で数年間家を空けることになり、その間の民泊を考えました。しかし、本人も家族も住まなくなる家での民泊は、住宅ローンの前提と合わないおそれがあります。
Lさんは金融機関に相談し、転勤中の扱いを確かめることにしました。あわせて、転勤の間だけ普通の賃貸で貸す方法とも比べています。民泊と賃貸を組み合わせる考え方は「民泊の180日ルールと残りの期間の活かし方」で説明しています。
民泊が難しいときのほかの道
金融機関の回答によっては、民泊を見送ることもあります。その場合でも、家を活かす方法はほかにあります。
| 方法 | 向く場面 | 確かめること |
|---|---|---|
| 普通の賃貸で貸す | 転勤などで一定期間住まない | ローンの扱いを金融機関に確かめる |
| 家族に住んでもらう | 親族が住む予定がある | ローンの条件にある「家族」の範囲 |
| 売却する | 今後も住む予定がない | ローンの残りと売る価格の関係 |
売るか貸すかの考え方は「実家は売るか貸すか」でも比べています。
よくある失敗とチェックリスト
よくある失敗
- 届出が受理されたので、ローンの面も問題ないと思い込んだ
- 金融機関に相談せずに、家主不在の民泊を始めた
- 金融機関の回答を口頭で聞いただけで、記録を残さなかった
- 住宅ローン控除の要件への影響を確かめなかった
始める前のチェックリスト
- ローンの種類と、契約書の利用目的を確かめた
- 金融機関に相談し、回答を記録した
- 家主が住み続けるのか、不在になるのかを決めた
- 住宅ローン控除への影響を税務署で確かめた
- 住宅宿泊事業法の「住宅」の要件を満たすかを確かめた
よくある質問
- 住宅ローンを返している家で、民泊はできますか?
- ローンの契約によります。民泊の制度とは別に、ローンの利用目的に反しないかを、借りている金融機関に確かめてください。
- 【フラット35】の家で民泊はできますか?
- 住宅金融支援機構は、投資目的で民泊として使うことや、旅館として利用することを認められない利用として示しています。始める前に機構や取扱金融機関に確かめてください。
- 民泊の届出に、金融機関の承諾書は必要ですか?
- 施行規則が定める届出の添付書類に、金融機関の承諾書は含まれていません。ただし、届出ができてもローンの契約は別に守る必要があります。
- 民泊を始めると住宅ローン控除は受けられなくなりますか?
- 要件の一つに、床面積の2分の1以上を自分の住まいに使っていることがあります。民泊に使う割合によって変わるので、税務署で確かめてください。
- 金融機関に黙って民泊をしたらどうなりますか?
- 契約に反すると、残りの返済を一度に求められるおそれがあります。必ず事前に相談してください。
関係する記事と相談先
民泊の届出の手順は「民泊の届出の流れ」、ローンが残る家を売る考え方は「住宅ローンが残る家の売却」で説明しています。民泊の運営を任せる会社は民泊の会社一覧から探せます。民泊と賃貸のどちらがよいか迷ったら、まとめて相談することもできます。
まとめ
- 住宅ローンの家で民泊を考えたら、まず金融機関に相談する
- 【フラット35】は、投資目的の民泊や旅館としての利用を認めていない
- 民泊の届出ができることと、ローンの契約に反しないことは別
- 住宅ローン控除は、床面積の2分の1以上を自分の住まいに使う要件がある
- 回答は記録に残し、賃貸などほかの活用とも比べる




