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不動産の贈与税はいくら?評価のしかたと計算例・申告・特例の基本を整理

オーナー収益革命 編集部

不動産の贈与税はいくら?評価のしかたと計算例・申告・特例の基本を整理

不動産を贈与すると、売れる値段ではなく国税庁の決めた方法で評価した価額をもとに贈与税を計算します。土地と建物の評価、暦年課税の計算例、相続時精算課税や配偶者控除、贈与と相続で変わる費用を順に整理します。

結論

  • 不動産の贈与税は、土地なら路線価方式か倍率方式、建物なら固定資産税評価額×1.0で評価した価額をもとに計算します。
  • 暦年課税では、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計から基礎控除110万円を引いた残りに税率をかけます。110万円を超えたら、翌年2月1日から3月15日までに申告と納税をします。
  • 相続時精算課税や、婚姻期間20年以上の夫婦の配偶者控除など、不動産の贈与で使われる仕組みもあります。どれも申告が必要です。

「子どもにアパートを譲りたい」「自宅の持ち分を妻に渡しておきたい」。不動産を生きているうちに渡すことを考えるオーナーは少なくありません。

ただ、不動産の贈与には贈与税がかかることがあり、名義を変える登記の費用もかかります。相続で渡す場合と比べて、得なのか損なのかも気になるところです。

この記事では、不動産を贈与したときの贈与税の考え方を、評価のしかた、計算の例、使われる特例、贈与と相続で変わる費用に分けて説明します。数字は国税庁の案内で確かめたものだけを書いています。

不動産の贈与税とは

意味を一言で

不動産の贈与税とは、土地や建物を無償でもらった人にかかる税金です。払うのは、あげた人ではなく、もらった人です。

贈与税の2つの計算のしかた

贈与税の計算には、毎年の贈与ごとに計算する「暦年課税」と、相続のときにまとめて精算する「相続時精算課税」があります。何もしなければ暦年課税になり、相続時精算課税は届出をして選びます。

比べる点暦年課税相続時精算課税
使える人だれでも原則60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫など
毎年の控除基礎控除110万円基礎控除110万円(2024年以降の贈与)
もう一つの控除なし特別控除 累計2,500万円まで
税率10%〜55%の段階一律20%
相続のとき一定の期間内の贈与は相続財産に足す贈与した財産を相続財産に足して精算する

相続時精算課税は、一度選ぶと、その年以降の同じ人からの贈与にはすべてこの方法が使われ、暦年課税に戻すことはできません。選ぶ前に、税理士などに相談しておくのが安全です。

贈与する不動産の評価のしかた

土地は路線価方式か倍率方式

贈与税でも、土地は相続税と同じ方法で評価します。路線価が決められている地域は路線価方式、決められていない地域は倍率方式です。

路線価方式は、道路ごとに決められた価額を、土地の形などに応じて補正し、面積をかけて計算します。倍率方式は、固定資産税評価額に国税庁が決めた倍率をかけて計算します。

建物は固定資産税評価額×1.0

建物(家屋)は、固定資産税評価額に1.0をかけた金額で評価します。固定資産税評価額は、固定資産税の通知書や、市区町村で取る評価証明書で確かめられます。

贈与する不動産評価の方法確かめるもの
土地(路線価のある地域)路線価×補正×面積国税庁の路線価図
土地(路線価のない地域)固定資産税評価額×倍率国税庁の倍率表
建物固定資産税評価額×1.0固定資産税の通知書・評価証明書
持ち分の一部全体の評価額×渡す割合登記の持ち分

ローンが残っている不動産を、ローンごと引き受けてもらう形で贈与すると、評価の扱いが変わることがあります。借入金がからむ贈与は、事前に税務署や税理士に確かめてください。

暦年課税での贈与税の計算

計算の手順

暦年課税での贈与税は、次の順で計算します。

  1. その年の1月1日から12月31日までに、もらった財産の評価額を合計する
  2. 合計から基礎控除110万円を引く
  3. 残りの金額に応じた税率をかけ、控除額を引く

1年間の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず、申告も必要ありません。

計算の例

国税庁の例では、評価額500万円の財産をもらった場合、次のように計算されています。

区分計算贈与税
一般の贈与(一般税率)(500万円−110万円)×20%−25万円53万円
父母・祖父母から18歳以上の子・孫へ(特例税率)(500万円−110万円)×15%−10万円48.5万円

特例税率は、父母や祖父母など直系の親族から、その年の1月1日時点で18歳以上の人がもらう場合に使えます。夫の父からの贈与のように、直系の親族でない人からの贈与には使えません。

申告と納税の期間

贈与税の申告と納税は、もらった年の翌年2月1日から3月15日までに行います。不動産の評価額は大きくなりやすいので、建物の一部の持ち分でも110万円を超えることがあります。

ポイント

  • 不動産の贈与税は、売れる値段ではなく評価額で計算する
  • 暦年課税は、1年間の合計から基礎控除110万円を引いて計算する
  • 申告と納税は、翌年2月1日から3月15日まで
  • 父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与は、特例税率が使える

不動産の贈与で使われる特例

相続時精算課税

相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫などへの贈与で選べる仕組みです。2024年以降の贈与では、毎年110万円の基礎控除があり、それを超える部分は累計2,500万円まで特別控除できます。控除を超えた部分には、一律20%の税率がかかります。

あげた人が亡くなったときは、この仕組みで贈与した財産を相続財産に足して相続税を計算し、すでに払った贈与税を差し引きます。選ぶときは、最初の贈与の翌年2月1日から3月15日までに、届出書を税務署に出します。

夫婦の間の居住用不動産の配偶者控除

婚姻期間が20年を過ぎた夫婦の間で、住むための不動産や、それを買うためのお金を贈与した場合は、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できます。

もらった年の翌年3月15日までに住み、その後も住み続ける見込みであることが条件です。同じ配偶者からは一生に一度しか使えず、書類を付けて申告することが必要です。

贈与と相続で変わる費用

名義を変える登録免許税

不動産の名義を変える登記には、登録免許税がかかります。税率は、贈与か相続かで違います。

名義を変える理由登録免許税の税率課税の基準
贈与1,000分の20不動産の価額(原則として固定資産税評価額)
相続1,000分の4不動産の価額(原則として固定資産税評価額)

贈与のほうが、登録免許税は高くなります。このほか、贈与で不動産を受け取ると、都道府県の税である不動産取得税がかかる場合があります。税率や軽減の有無は、都道府県のページで確かめてください。

相続の前の贈与は相続財産に足されることがある

暦年課税で贈与した財産でも、あげた人が亡くなる前の一定の期間内のものは、相続財産に足して相続税を計算します。この期間は、亡くなった日によって次のように変わります。

亡くなった日相続財産に足す贈与の期間
2026年(令和8年)12月31日まで亡くなる前3年以内
2027年(令和9年)1月1日〜2030年(令和12年)12月31日2024年(令和6年)1月1日から亡くなった日まで
2031年(令和13年)1月1日以降亡くなる前7年以内

延びた期間に受けた贈与(亡くなる前3年以内より前のもの)は、合計から100万円までは足さなくてよいとされています。

このため、亡くなる少し前に贈与しても、相続税の対象から外れるとは限りません。贈与で渡すか相続で渡すかは、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)や、相続で使える特例とあわせて、全体で比べます。

場面別:不動産の贈与の考え方の例

子どもに賃貸アパートを渡したい場合

アパートを贈与すると、その後の家賃収入はもらった子どもの収入になります。親の手元に家賃が残らなくなる一方、子どもは不動産所得の確定申告が必要になります。

評価額が大きいときは、暦年課税だと税率が高い段階にかかりやすくなります。相続時精算課税を選ぶか、相続で渡すかを比べて決めます。確定申告の基本は「不動産所得の確定申告」で整理しています。

自宅の持ち分を配偶者に渡したい場合

婚姻期間が20年を過ぎた夫婦なら、住んでいる自宅の持ち分を配偶者に贈与するとき、配偶者控除が使える場合があります。基礎控除110万円と合わせて、最高2,110万円まで贈与税がかからない計算です。

ただし、同じ配偶者からは一生に一度しか使えません。贈与のあとの登記の費用もかかるため、相続で渡す場合とどちらがよいかを比べてから決めます。

持ち分を少しずつ渡したい場合

不動産を一度に渡さず、持ち分を何年かに分けて贈与する方法もあります。ただし、そのたびに登記の費用がかかり、共有の状態が長く続きます。共有のまま売ったり貸したりするには、持ち分を持つ人の合意が必要になります。共有の注意点は「共有名義の解消」で整理しています。

よくある失敗

  • 評価額を確かめずに贈与し、110万円を超えていたのに申告しなかった
  • 相続時精算課税を選んだあとで、同じ人からの暦年課税に戻せないことを知った
  • 登録免許税や不動産取得税を見込まず、思ったより費用がかかった
  • 亡くなる前の贈与が相続財産に足されることを知らなかった

贈与する前のチェックリスト

  • 土地と建物の評価額の目安を出した
  • 暦年課税と相続時精算課税のどちらにするかを決めた
  • 特例税率や配偶者控除が使えるかを確かめた
  • 登録免許税と不動産取得税を見込んだ
  • 贈与のあとの家賃収入や管理の引き継ぎを決めた
  • 翌年2月1日から3月15日の申告の予定を立てた

よく出てくる言葉の言い換え

  • 贈与:生きているうちに、財産を無償であげること
  • 暦年課税:1年ごとに、その年にもらった財産の合計で贈与税を計算するしくみ
  • 直系尊属:父母や祖父母など、自分より前の世代の直系の親族
  • 固定資産税評価額:市区町村が固定資産税のために決めた、土地や建物の価額

よくある質問

不動産を贈与したら、贈与税はいくらかかりますか?
評価額で決まります。暦年課税なら、1年間の合計から110万円を引いた残りに税率をかけます。評価額500万円なら、一般税率で53万円、特例税率で48.5万円です。
不動産の贈与税は、時価で計算しますか?
土地は路線価方式か倍率方式、建物は固定資産税評価額×1.0で評価した価額で計算します。
贈与税の申告はいつまでですか?
もらった年の翌年2月1日から3月15日までに、申告と納税をします。
夫婦の間で自宅を贈与すると、贈与税はかかりますか?
婚姻期間が20年を過ぎていれば、配偶者控除で最高2,000万円まで控除できます。使うには申告が必要です。
贈与と相続では、どちらが登記の費用が安いですか?
登録免許税は、贈与が不動産の価額の1,000分の20、相続が1,000分の4で、相続のほうが低くなります。

関係する会社と記事

贈与か相続か売却かは、税金だけでなく、その不動産をこの先どう使うかで決まります。売る場合の税金は「不動産を売ったときの税金」、相続した土地の評価を下げる特例は「小規模宅地等の特例」で整理しています。

売却を相談できる会社は売買の会社一覧にまとめています。税額の計算は税理士、登記は司法書士に相談するのが基本です。活かし方をまとめて考えたいときは、まとめて相談する方法もあります。

まとめ

  • 不動産の贈与税は、もらった人が払い、評価額をもとに計算する
  • 土地は路線価方式か倍率方式、建物は固定資産税評価額×1.0で評価する
  • 暦年課税は基礎控除110万円。申告と納税は翌年2月1日から3月15日まで
  • 相続時精算課税や夫婦の配偶者控除を使うときは、申告が必要
  • 登録免許税は贈与が1,000分の20、相続が1,000分の4で、贈与のほうが高い

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