サブリースの家賃の入金が遅れたら?確認の順番と催告・解除・入居者の扱い

サブリース会社からの家賃の入金が遅れたとき、オーナーが何を確かめ、どの順番で動けばよいかを整理します。遅延損害金、敷金、契約の解除、入居者との関係まで、契約書と法律の決まりに沿って説明します。
結論
- サブリースの家賃の入金が遅れたら、まず契約書の支払期限と振込先を確かめ、会社に理由と支払予定日を書面で求めます。
- 遅れた家賃には、契約に定めがなくても、法定利率(年3%)による遅延損害金を請求できます(民法419条)。
- 国交省の特定賃貸借標準契約書では、家賃を3か月分以上払わず、催告しても払わないとき、オーナーは契約を解除できるとしています。解除しても、入居者との契約はオーナーが引き継ぎます。
「いつもの日に、サブリース会社から家賃が振り込まれていない」。通帳を見て、不安になったオーナーもいるでしょう。
1回の遅れなら、振込の手違いかもしれません。ただ、遅れが続くときは、会社の資金繰りが苦しくなっている合図のこともあります。慌てて動くと、入居者を混乱させたり、自分に不利な約束をしてしまったりします。
この記事では、入金が遅れたその日から、確かめることと打てる手を、軽い遅れから契約の解除まで、段階ごとに整理します。
サブリースの家賃の入金遅れとは
サブリースの家賃の入金遅れとは、サブリース会社が、契約で決めた支払期限までにオーナーへ家賃を払わないことです。入居者が家賃を払っているかどうかとは、別の問題です。
入居者の滞納とは別の話
サブリースでは、入居者が家賃を払うのはサブリース会社です。会社はその家賃とは別に、契約で決めた家賃をオーナーへ払う義務を負います。
標準契約書5条でも、会社は頭書の記載に従い、家賃をオーナーに払わなければならないとしています。入居者が滞納していることは、オーナーへの支払いを遅らせる理由になりません。
例外は免責期間
例外は、契約で決めた支払い免責期間です。標準契約書6条では、免責期間の間は、会社は家賃の支払い義務を負わないとしています。入金がないとき、まず免責期間に当たっていないかを確かめます。
入金が遅れたときに最初に確かめること
慌てて電話をする前に、手元で確かめることがあります。
- 契約書の頭書で、支払期限(当月分か翌月分か、毎月何日か)を確かめる
- 振込先の口座が、契約書に書いた口座と同じかを確かめる
- 支払期限が土日祝日に当たる場合の扱いが、契約に書かれているかを見る
- 退去後の免責期間など、支払いが止まる定めに当たっていないかを確かめる
- これまでの入金日と金額を、通帳で一覧にする
会社への問い合わせ
確かめたうえで、会社に連絡します。電話で話した場合も、あとでメールや書面で、理由と支払予定日を送ってもらいましょう。記録が残ることが大切です。
「今月は少し待ってほしい」と言われても、その場で家賃の減額や支払日の変更に同意しないでください。支払いの猶予と、家賃の条件の変更は別の話です。
遅れが続くときの段階的な対応
遅れの程度によって、打つ手は変わります。
| 段階 | 状況 | オーナーの対応 |
|---|---|---|
| 1 | 数日の遅れ、初めて | 理由と支払予定日を書面で確かめる |
| 2 | 1か月分が払われない | 支払いを求める書面を送り、遅延損害金も計算しておく |
| 3 | 遅れがくり返される | 会社の業務と財産の状況の書類を見せてもらう |
| 4 | 3か月分以上たまった | 期間を決めて催告し、解除を検討する |
遅延損害金を計算する
民法419条では、お金を払う義務が遅れたときの損害賠償は、法定利率で決めるとしています。契約で決めた利率が法定利率より高ければ、その利率になります。
法務省によると、法定利率は年3%で、令和8年4月1日から令和11年3月31日までも年3%です。この損害賠償は、損害を証明しなくても請求でき、会社は不可抗力を理由に断れません。
会社の状況の書類を見る
賃貸住宅管理業法32条では、サブリース会社は、業務と財産の状況を書いた書類を営業所などに備え置き、契約の相手の求めに応じて見せなければならないとしています。遅れがくり返されるときは、この書類を見せてもらいましょう。
預かっている敷金
標準契約書7条では、会社がオーナーに敷金を預けるとしています。会社が債務を払わないとき、オーナーは敷金をその支払いに充てられるとしています。手元の契約で敷金を受け取っているかを確かめておきましょう。
ポイント
- まず支払期限・振込先・免責期間を契約書で確かめる
- 理由と支払予定日は、必ず書面でもらう
- 猶予に応じても、家賃の減額にはその場で同意しない
- 遅延損害金は、契約に定めがなくても法定利率で請求できる
会社に送る書面に書くこと
支払いを求める書面は、短くても構いません。次の点を落とさずに書きます。
- 契約の名前と、契約を結んだ日
- 払われていない月と、その金額
- 契約で決めた支払期限
- いつまでに払ってほしいか(支払いの期限)
- 期限までに払われないときに考えていること(遅延損害金の請求や解除の検討など)
感情的な言葉は入れず、事実と期限だけを書くのがこつです。書面の写しは、自分の手元にも残しておきます。
待つか、解除するかの判断の分かれ道
遅れがあっても、すぐに解除するのが良いとは限りません。解除すると、入居者の対応、集金、修繕の窓口を、オーナーが自分で引き受けることになるためです。
- 待つ方向:遅れが短く、理由と支払予定日がはっきりしていて、約束どおりに払われている
- 解除を考える方向:約束の日にも払われない、連絡がつきにくい、遅れの月がたまっていく
- 先に準備する:解除したあとに管理を任せる先、入居者の名簿と敷金の額、家賃の新しい振込先
どちらに進む場合も、解除したあとの管理の受け皿を先に探しておくと、判断を急がずに済みます。
契約を解除するとき
遅れが続き、話し合っても払われないときは、契約の解除を考えます。
解除の条件
標準契約書18条1項では、会社が家賃を3か月分以上払わず、オーナーが相当の期間を決めて催告しても払わないとき、オーナーは契約を解除できるとしています。民法541条でも、相当の期間を決めて催告し、その期間に払わなければ解除できるとしています。
手元の契約書では、何か月分で解除できるかの書き方が違うことがあります。条文の番号と中身を確かめてください。
解除までの流れ
- 未払いの月と金額を一覧にする
- 支払いの期限を決めて、払うよう求める書面を送る(記録が残る方法で送る)
- 期限までに払われなければ、解除を知らせる書面を送る
- 入居者への連絡と、家賃の振込先の変更を準備する
- 会社から入居者の敷金と契約書を引き取る
解除したあと入居者はどうなる
標準契約書21条では、契約が終わると、オーナーが入居者との契約の貸主の立場を当然に引き継ぐとしています。会社の債務不履行で解除した場合も同じです。入居者は退去しなくてよく、オーナーが直接の貸主になります。
会社は、入居者から預かった敷金、契約書、引き継ぎに必要な書類をオーナーに引き渡すとしています。引き継いだ敷金は、入居者が退去するときにオーナーが返すことになります。
入居者に直接請求できる?
民法613条では、適法に転貸したとき、入居者は、オーナーと会社の契約で会社が負う債務の範囲で、オーナーに直接支払う義務を負うとしています。会社に請求することも、引き続きできます。
ただ、入居者に突然連絡すると、二重払いの心配や不安を招きます。直接の請求を考えるときは、弁護士に相談してから進めましょう。
会社の破産が心配なとき
標準契約書の別表第2の記載例では、会社の合併・解散・破産・差押えなどを、会社からオーナーに知らせる出来事に挙げています。会社の倒産が心配なときは、早めに弁護士に相談してください。
税金の扱いで気をつけること
国税庁によると、家賃は、契約で支払日が決まっていれば、その支払日の収入として計上するのが原則です。入金が遅れても、受け取っていない家賃を収入から外せるとは限りません。
払われないまま回収が難しくなったときの扱いは、税理士に相談しましょう。
たとえば、2か月続けて遅れた場合
たとえば、アパートをサブリースに出しているCさん。2か月続けて、支払日から1週間ほど遅れて家賃が入りました。
Cさんは、入金日の一覧を作り、会社に理由と今後の支払予定を書面で求めました。あわせて、業務と財産の状況の書類も見せてもらいました。遅れの理由がはっきりし、次に遅れたときの対応も決めておけたので、慌てずに済みました。
たとえば、解除を選んだ場合
一方、3か月分の家賃が払われず、連絡もつきにくくなったDさん。期限を決めて書面で支払いを求めましたが、期限を過ぎても入金はありませんでした。
Dさんは、先に新しい管理会社を探してから、解除を知らせる書面を送りました。入居者の名簿と敷金を引き取り、新しい振込先を入居者に知らせたことで、入居者の家賃の支払いも途切れずに続きました。
よくある失敗
- 電話の口約束だけで待ち、記録が残っていなかった
- 猶予の話の流れで、家賃の減額にも同意してしまった
- 免責期間に当たっていることに気づかず、会社を責めてしまった
- 解除の前に入居者へ連絡し、入居者を混乱させた
- 解除のあと、入居者の敷金を引き取っていなかった
入金遅れで出てくる言葉の言い換え
- 催告(さいこく):期限を決めて、払うよう求めること
- 遅延損害金:支払いが遅れたことへの損害賠償。利率で計算する
- 法定利率:契約に定めがないときに使う、法律で決まった利率
- 債務不履行:契約で決めた義務を果たさないこと
- 転貸人の地位の承継:入居者との契約の貸主の立場を、オーナーが引き継ぐこと
入金が遅れたときのチェックリスト
- 契約書の支払期限と振込先を確かめた
- 免責期間に当たっていないかを確かめた
- 入金日と金額の一覧を作った
- 会社から理由と支払予定日を書面でもらった
- 遅延損害金の利率(契約の利率か法定利率か)を確かめた
- 会社の業務と財産の状況の書類を見せてもらった
- 解除の条件(何か月分か、催告が必要か)を確かめた
- 解除したときの入居者・敷金・振込先の引き継ぎを準備した
よくある質問
- 1日でも遅れたら遅延損害金を請求できる?
- 支払期限を過ぎれば、遅れた日数に応じた遅延損害金を請求できます。利率は、契約に定めがなければ法定利率の年3%です。
- 入居者が滞納しているので払えないと言われたら?
- 会社はオーナーへ契約で決めた家賃を払う義務を負います。入居者の滞納は、免責などの特別な定めがない限り、遅れの理由になりません。
- 何か月遅れたら解除できる?
- 標準契約書では、3か月分以上の不払いと、相当の期間を決めた催告が条件です。手元の契約書の条文を確かめてください。
- 解除したら入居者は出ていく?
- 標準契約書21条では、オーナーが貸主の立場を引き継ぐため、入居者は住み続けられます。入居者の敷金も、オーナーが引き継ぎます。
- どこに相談すればいい?
- 賃貸住宅管理業法35条では、だれでも国土交通大臣に申し出て、適当な措置を求められます。お金の回収や解除は、弁護士への相談が確実です。
関係する記事と相談先
相談先の使い分けは「サブリースのトラブルの相談先」、免責期間は「サブリースの免責期間」で説明しています。契約の終わらせ方は「サブリースの解約」、減額を求められたときは「サブリースの賃料減額」、会社を替えるときは「管理会社の変更」をご覧ください。
解除後の管理を任せる先を探すときは、管理会社・不動産会社の一覧から比べられます。一括相談なら、状況をまとめて伝えて複数の会社に相談できます。
まとめ
- 入金が遅れたら、支払期限・振込先・免責期間を契約書で確かめる
- 理由と支払予定日は書面でもらい、減額にはその場で同意しない
- 遅れた家賃には、法定利率(年3%)の遅延損害金を請求できる
- 標準契約書では、3か月分以上の不払いと催告で解除できる
- 解除しても入居者は住み続け、オーナーが貸主の立場と敷金を引き継ぐ




