シェアハウス運営会社の選び方。3つの運営方式の違いと比べる7つの点

シェアハウスの運営会社選びで、オーナーの収入と手間は大きく変わります。自主・委託・サブリースの3方式の違い、サブリースに関わる法律、会社を比べるときの7つの確認点をまとめました。
結論
- シェアハウス運営会社は、入居者の募集、契約、家賃の集金、清掃、入居者対応などをオーナーに代わって行う会社です。
- 任せ方は、国土交通省のガイドブックで「自主方式」「委託方式」「サブリース方式」の3つに整理されています。
- 会社を選ぶときは、実績、任せる範囲、お金の条件、空室と修繕の負担、法令への理解などを同じ物差しで比べます。
シェアハウスは、普通の賃貸より運営の手間がかかります。入居者どうしのルールづくり、共用部分の清掃、消耗品の補充、トラブルへの対応などが日々続くためです。
そのため、多くのオーナーは運営会社に任せることを考えます。ところが、会社によって任せられる範囲もお金の条件も違い、何を比べればよいか分かりにくいのが実情です。
この記事では、国土交通省のシェアハウスガイドブックと法律をもとに、運営方式の違いと、会社を比べるときの確認点を整理します。
シェアハウス運営会社とは
シェアハウス運営会社とは、シェアハウスの運営管理をオーナーに代わって引き受ける会社です。ガイドブックでは「運営管理事業者」と呼ばれています。
ガイドブックが示す運営の流れでは、主に次の仕事があります。
- 準備:入居者の想定、家賃の設定、改修の計画、家具・家電の準備
- 募集:運営会社のホームページやポータルサイトへの掲載
- 契約:問い合わせと内覧への対応、面談と入居審査、生活ルールの説明、契約
- 入居中:家賃・共益費の集金、清掃と巡回、消耗品の補充、入居者対応、近所への対応
- 退去:立ち会い、原状回復の費用と敷金の精算、鍵の回収
ガイドブックは、シェアハウスの運営には一般の賃貸住宅とは違うノウハウが要るため、運営会社などの専門家に相談することが有効だとしています。入居者の募集も、シェアハウスを扱うポータルサイトや運営会社のホームページへの掲載が一般的とされ、自主方式や委託方式でも募集は運営会社に相談すると進めやすくなります。
3つの運営方式の違い
ガイドブックは、運営管理の方式を3つに分けています。
| 比べる点 | 自主方式 | 委託方式 | サブリース方式 |
|---|---|---|---|
| 入居者と契約する人 | オーナー | オーナー | 運営会社 |
| 空室の影響を受ける人 | オーナー | オーナー | 運営会社 |
| 入居者への修繕の責任 | オーナー | オーナー | 運営会社 |
| オーナーの手間 | 大きい | 少ない | 最も少ない |
| オーナーの収入 | 費用を抑えられる | 委託費を払う | 3方式で最も少ない |
自主方式
募集から退去の手続きまで、基本的にオーナーがすべて行います。費用を抑えられ、入居者と直接話せるのが利点です。一方で、トラブルが起きればオーナーが対応を求められ、空室の影響も受けます。
委託方式
入居者との契約はオーナーが結び、運営の一部を運営会社に任せます。運営の大部分を会社が担うため、手間は少なくなります。ただし、管理委託費を払う必要があり、空室の影響はオーナーが受けます。
サブリース方式
オーナーが運営会社に建物を貸し、運営会社が入居者に部屋を又貸しします。運営のほぼすべてを会社が行うため、オーナーの手間は最も少なくなります。ガイドブックは、賃料収入が3方式で最も少なくなることと、契約内容によっては運営会社からの契約解除や賃料の減額がありうることに注意するよう書いています。
サブリースで運営会社と契約するときの法律
サブリース方式でオーナーと運営会社が結ぶ契約は、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(賃貸住宅管理業法)の「特定賃貸借契約」にあたります。又貸しする事業のために賃貸住宅を借りる契約のことです。
この法律では、運営会社に次のことが決められています。
- 家賃や契約の解除などについて、著しく事実と違う広告や、実際より著しく有利だと誤解させる広告をしてはいけない
- 判断に大きく影響する大事なことについて、わざと事実を告げなかったり、うそを告げたりしてはいけない
- 契約を結ぶ前に、契約の内容を書面で渡して説明しなければならない
- 契約を結んだら、家賃、維持保全の方法、契約期間、転貸の条件、更新や解除の定めなどを書いた書面を渡さなければならない
契約前の書面では、家賃の見直しや解約の条件を必ず確かめましょう。分からない点は、その場で質問して書面で答えてもらうと安心です。
委託方式でも、賃貸住宅の維持保全などを任される会社は、事業の規模が一定以上なら国土交通大臣の登録が必要です。登録の有無は、会社を比べるときの確認点の1つになります。
シェアハウス運営会社を比べる7つの確認点
- シェアハウスの運営実績:何棟・何室を運営しているか、どの地域が中心か
- 任せられる範囲:募集、契約、集金、清掃、巡回、トラブル対応のどこまで含むか
- お金の条件:サブリースなら賃料と見直しの条件、委託なら手数料の計算方法
- 空室と修繕の負担:空室の影響と修繕の費用を、どちらがどこまで持つか
- 改修の提案力:鍵付きの個室、水回りの数など、シェアハウスに必要な改修を提案できるか
- 法令への理解:寄宿舎への用途変更や消防設備について、建築士と連携して確かめてくれるか
- 入居者対応の仕組み:面談の方法、生活ルール、巡回の回数、緊急時の連絡先
ポイント
- 運営方式は自主・委託・サブリースの3つ。手間を減らすほど収入は少なくなるのが基本
- サブリースでは、賃料の見直しと契約解除の条件を契約前の書面で確かめる
- 7つの確認点を、複数の会社に同じ順番で聞いて比べる
運営方式を選ぶときの分かれ道
- 本業が忙しく、入居者対応に時間を割けないなら、委託かサブリース
- 空室の影響を自分で受けたくないなら、サブリース。ただし賃料の見直し条件を確かめる
- 満室に近い運営が見込め、収入を多く残したいなら、委託
- 物件の近くに住み、入居者と直接やりとりしたいなら、自主方式。募集は運営会社に相談する
たとえば、遠方の実家をシェアハウスにしたいBさんの場合
たとえば、遠方にある実家をシェアハウスにしたいBさんがいるとします。Bさんは会社勤めで、現地へたびたび通うことはできません。
この場合、自主方式は現実的ではありません。Bさんは、委託とサブリースの両方の条件を複数の会社に出してもらいました。受け取る額、空室のときの扱い、修繕の負担を同じ表に並べて比べることにしたのです。
役割分担は契約で決める
ガイドブックは、方式ごとの役割分担を例として示したうえで、具体的には運営会社と話し合って取り決めることになるとしています。改修工事、家具・家電の準備、清掃、近所への対応、退去時の立ち会いなど、誰が行うかを契約書に書いておきましょう。
任せた後に確かめたいこと
運営会社に任せたあとも、オーナーが状況を知っておくことは大切です。賃貸住宅管理業法では、登録を受けた賃貸住宅管理業者は、管理業務の実施状況などを、定期的に委託者(オーナー)に報告しなければならないと決められています。
報告では、次のような点を見ておくと、運営の状態がつかみやすくなります。
- 入居と退去の状況、空室の期間
- 家賃と共益費の入金の状況、滞納の有無
- 清掃や巡回の実施状況、設備の故障と修繕
- 入居者どうしのトラブルと、その対応
報告の中身が分かりにくいときは、遠慮せずに質問しましょう。空室が続いている理由や、修繕の見積もりの根拠を聞くと、運営会社の考え方も見えてきます。
入居者との契約の形も確かめる
ガイドブックでは、シェアハウスの入居者との契約には定期借家契約が多く使われると紹介しています。運営会社がどちらの契約を使い、生活ルールをどう契約に結びつけているかも、比べるときの材料になります。詳しくは「シェアハウスの定期借家契約とは?」をご覧ください。
運営会社選びでよくある失敗と避け方
受け取る額だけで選ぶ
サブリースの賃料が高い会社を選んでも、見直しの条件によっては後で下がることがあります。最初の額と一緒に、いつ、どんな理由で見直すのかを書面で確かめます。
任せる範囲をあいまいにする
「運営はすべて任せた」つもりでも、清掃や近所への対応が契約に入っていないことがあります。任せる仕事を一つずつ書き出し、契約書と見比べましょう。
1社だけの話で決める
1社の説明だけでは、その条件が普通なのか分かりません。複数の会社に同じ質問をし、答えを並べると違いが見えてきます。
面談で運営会社に聞きたいこと
面談では、次のような質問をすると、会社の考え方が見えやすくなります。
- 入居審査では、何を確かめていますか
- 生活ルールは、どのように決めて入居者に伝えていますか
- 共用部分の清掃は、業者と入居者のどちらが行いますか
- 入居者どうしのトラブルが続いたとき、どう対応しますか
- 入居者との契約は、普通借家と定期借家のどちらを使いますか
- 解約したいとき、入居者との契約はどうなりますか
契約の前に確かめるチェックリスト
- 運営方式と、受け取る額の計算方法が書面で示されているか
- サブリースなら、賃料を見直す時期と理由が書かれているか
- 空室や修繕の費用を、どちらがどこまで持つか決まっているか
- 清掃、巡回、近所への対応が、任せる範囲に入っているか
- 運営の状況を、どのくらいの頻度で、どんな形で報告してもらえるか
- 解約するとき、入居者との契約がどうなるかが書かれているか
運営会社と契約するまでの流れ
- 物件の場所、広さ、部屋数、築年数をまとめる
- 複数の運営会社に、方式ごとの条件と収支の見立てを出してもらう
- 建物の状態を見てもらい、必要な改修と費用を確かめる
- 契約前の書面で、お金の条件、解約、修繕の負担を確かめる
- 役割分担を契約書に書き、改修と募集の段取りを決める
よくある質問
- 運営会社に任せると費用はいくらかかりますか?
- 会社と方式によって違います。委託なら手数料の計算方法、サブリースなら受け取る賃料と見直しの条件を、書面で比べましょう。
- サブリースと委託はどちらがよいですか?
- 収入の安定を重く見るならサブリース、満室に近いときの収入を重く見るなら委託が向きます。空室と修繕の負担の分け方もあわせて比べます。
- 運営会社は国の登録が必要ですか?
- 賃貸住宅の管理業を一定規模以上で営む会社は、国土交通大臣の登録が必要です。サブリースの会社は、賃貸住宅管理業法の広告や説明のルールを守る必要があります。
- 途中で運営会社を変えられますか?
- 契約の解約の定めによります。サブリースでは入居者との契約が運営会社にあるため、変更後の扱いを契約前に確かめておきましょう。
- 改修工事も運営会社に頼めますか?
- 頼める会社もあります。ガイドブックでは、サブリース方式の改修はオーナーの承諾が要るとされているため、費用負担とあわせて決めておきます。
- 自主方式でも、運営会社に一部だけ頼めますか?
- 頼める場合があります。ガイドブックでも、入居者の募集は運営会社に相談すると進めやすいとされています。募集だけ、清掃だけなど、どこまで頼めるかを会社に聞いてみましょう。
シェアハウスを扱う会社はシェアハウスの不動産会社一覧で探せます。転用の考え方は「シェアハウスへの転用とは?」、サブリース全般の注意点は「サブリースの注意点」をご覧ください。
まとめ
- シェアハウス運営会社は、募集から退去までの運営をオーナーに代わって行う
- 方式は自主・委託・サブリースの3つ。手間と収入のバランスで選ぶ
- サブリースは賃貸住宅管理業法の特定賃貸借契約。契約前の書面をよく読む
- 実績、範囲、お金、負担、改修、法令、入居者対応の7点で比べる
- 役割分担は話し合って契約書に書いておく




