空き家の活用方法6つを比較。売る・貸す・解体・民泊・空き家バンク・管理委託

空き家の使い道は、売る・貸すだけではありません。解体や転用も含めた6つの活用方法を、お金の入り方、手間、初めにかかる費用で比べ、物件に合った選び方を整理します。
結論
- 空き家の活用方法は、売る・貸す・解体して土地を活用・民泊やシェアハウスに転用・空き家バンクに登録・管理を任せる、の6つが主な選択肢です。
- また使う予定があるなら貸すか管理を任せる、使う予定がないなら売るか貸すかを先に比べるのが基本です。
- 民泊は年間180日までの上限があり、都道府県知事等への届出が必要です。
- どれが向くかは場所と建物の状態で決まるため、複数の方法を同時に見積もって比べるのが近道です。
親の家を相続した。住み替えで前の家が空いた。そんなとき「この家、どうしよう」と悩む方は多いはずです。
空き家のままにしておくと、建物は少しずつ傷みます。放置が続くと、管理不全空家として固定資産税の軽減が外れることもあります。
一方で、使い道は思った以上にあります。この記事では、6つの活用方法を表で比べ、どんな物件に向くかを整理します。
空き家の活用方法とは
6つの活用方法の一覧
空き家の活用方法とは、住む人のいない家を、収入や負担の軽減につなげる使い道のことです。主に次の6つがあります。
| 活用方法 | お金の入り方 | 手間 | 初めにかかる費用 | 家は残るか |
|---|---|---|---|---|
| 売る | 一度にまとめて入る | 少ない | 少ない(測量や片づけなど) | 残らない |
| 貸す | 毎月の家賃 | 任せ方による | 修繕が要ることがある | 残る |
| 解体して土地を活用 | 駐車場の賃料など | 活用方法による | 解体費がかかる | 残らない |
| 民泊・シェアハウスに転用 | 運営しだいで変わる | 多い(任せることもできる) | 改修や設備が要ることが多い | 残る |
| 空き家バンクに登録 | 売れたり貸せたりしたとき | 少ない | 少ない | 売るか貸すかによる |
| 管理を任せる | 入らない(費用がかかる) | 少ない | 少ない | 残る |
費用や収入の水準は、地域や物件によって大きく違います。実際の額は、会社に見積もりを取って比べてください。
一つの方法だけに決める必要はありません。たとえば、管理を任せながら空き家バンクに登録する、民泊と短い期間の賃貸を組み合わせる、といった使い方もあります。
空き家を売る・貸す
1. 売る
使う予定がなく、管理の負担を早くなくしたい方に向いています。相続した家なら、条件しだいで売るときの税が軽くなる特例があります。
親が一人で住んでいた古い家なら、「空き家の3,000万円特別控除」が使えることがあります。ただし、相続のあとに一度でも貸すと使えません。売るか貸すか迷うなら、先に特例が使えるかを確かめましょう。
相続した家を売るには、相続登記で名義を整える必要があります。
2. 貸す
駅に近いなど、借り手がつきやすい場所の家に向いています。また住む予定があるなら、期間を決めて貸す定期借家契約が使えます。
- 管理会社に任せる:手数料はかかるが、手間はほとんどかからない
- 借り上げ(サブリース):空室でも一定の賃料が入る。ただし賃料は家賃より低めで、見直しの条件もある
- 自分で管理する:手数料はかからないが、手間がかかる
空き家を解体する・転用する
3. 解体して土地を活用する
建物の傷みが激しく、直しても使えない家に向いています。更地にして、駐車場などに使う方法です。
住宅用地特例は、住宅が建っている土地に使える固定資産税の軽減です。建物を取り壊すと、原則としてこの特例は受けられなくなります。
解体の時期によって、税の扱いが変わることがあります。取り壊す前に、市区町村の税務の窓口に確かめましょう。
4. 民泊やシェアハウスに転用する
民泊とは、住宅に旅行者などを有料で泊める使い方です。住宅宿泊事業法(民泊新法)では、次のような決まりがあります。
- 年間に人を泊められる日数の上限は180日
- 始める前に、都道府県知事等への届出が必要
- 家主が住んでいない場合は、住宅宿泊管理業者に管理を任せる義務がある
180日以外の期間は、マンスリー賃貸などと組み合わせる方法もあります。
シェアハウスとは、1軒の家を部屋ごとに複数の人に貸し、台所や浴室を共同で使う住まいです。部屋数の多い一戸建てで、家族向けの借り手がつきにくい場合に選ばれます。
改修の内容によっては、建築基準法や消防の決まりに合わせる必要があります。計画の早い段階で、自治体や専門の会社に相談しましょう。
民泊を考えるときに先に確かめること
- マンションの場合、管理規約で民泊が認められているか
- 自治体の条例で、民泊ができる地域や期間が制限されていないか
- 消防の設備など、届出の前にそろえるものは何か
- 近所の方への説明や、困りごとの連絡先をどうするか
条例の制限は自治体ごとに違います。届出先の窓口で、最新の決まりを確かめましょう。
ポイント
- 売るなら、3,000万円特別控除が使えるかを先に確かめる
- 貸すなら、また住む予定に合わせて普通の賃貸か定期借家かを選ぶ
- 解体すると、住宅用地特例は原則として受けられなくなる
- 民泊は年間180日まで。届出が必要で、家主不在なら管理を任せる
空き家バンクに登録する・管理を任せる
5. 空き家バンクに登録する
空き家バンクとは、自治体が地域の空き家の情報を集め、買いたい人や借りたい人に紹介するしくみです。移住を考えている人などが探しに来ます。
国土交通省は、各自治体の情報をまとめて探せる「全国版空き家・空き地バンク」を整えています。2018年4月から本格的に運用されています。
登録の条件や、使える人の条件は自治体ごとに違います。まずは、空き家のある市区町村の窓口に問い合わせましょう。
6. 管理を任せる
遠方に住んでいて見回りに行けない方や、いずれ使う予定がある方に向いています。換気や通水、庭の手入れなどを代わりに行ってもらう方法です。
管理を任せても、収入は入りません。毎月の費用がかかるため、長く続けるなら、貸す・売るとの比較もしておきましょう。
空き家バンクを使うときの流れ
進め方は自治体によって違いますが、おおまかには次の順番です。
- 空き家のある市区町村の窓口に、登録できるかを問い合わせる
- 登録の申込書を出し、家の情報や写真をそろえる
- 自治体のホームページなどに、物件の情報が載る
- 買いたい人や借りたい人から問い合わせがあり、条件を話し合う
自治体によっては、契約の手続きを地域の不動産会社が手伝うしくみもあります。だれが契約の間に入るのかを、登録のときに確かめておきましょう。
任せる前には、1回の見回りで何をしてもらえるか、異常があったときにどう知らせてもらえるかを確かめておきましょう。写真で報告してもらえると、遠方からでも様子が分かります。
管理を任せている間に、家族で使い道を話し合う方法もあります。家の状態を保っておけば、あとで貸す・売ると決めたときにも、選べる方法が残ります。
空き家のままにしておくと起きること
活用を先送りにすると、選べる方法が少しずつ減っていきます。
建物が傷み、直す費用が増える
人が住まない家は、換気や通水がされず、湿気やカビで傷みやすくなります。傷みが進むほど、貸すための修繕費がふくらみ、売るときの評価にも響きます。
固定資産税の軽減が外れることがある
放置された空き家が管理不全空家として勧告を受けると、住宅用地特例が外れます。何も使っていないのに、税の負担だけが重くなることもあります。
特例の期限が過ぎてしまう
空き家の3,000万円特別控除には、売る期限があります。迷っているうちに期限を過ぎると、使えなくなります。
物件の条件別:向いている活用方法
場所と状態で分かれる道
- 駅に近く、建物の状態もよい:普通の賃貸で貸す
- 部屋数が多く、家族向けの借り手がつきにくい:シェアハウスへの転用を考える
- 観光地の近くで、旅行者の需要が見込める:民泊を考える(届出と180日の上限に注意)
- 傷みが激しく、直すと費用がかさむ:売るか、解体して土地を活用する
- 地方で買い手や借り手が見つかりにくい:空き家バンクへの登録を考える
- まだ決められない、いずれ使う:管理を任せて状態を保つ
当てはめてみる例
たとえば、古い一戸建てを相続したAさんの場合です。家は部屋数が多く、駅からは少し離れています。家族向けの賃貸では借り手がつきにくそうだと言われました。
この場合、シェアハウスへの転用と、そのままの売却を並べて比べると判断しやすくなります。親が一人で住んでいた家なら、空き家の特例が使えるかも先に確かめます。転用で一度貸すと、この特例は使えなくなるためです。
空き家の活用でよくある失敗と避け方
届出の前に民泊を始めてしまう
住宅宿泊事業法の民泊は、始める前の届出が必要です。家具をそろえて写真を撮る前に、届出の流れと、建物が使える条件を確かめましょう。
急いで解体してしまう
更地にすると、住宅用地特例は原則として受けられなくなります。貸す・売るの道も狭まることがあります。解体は、ほかの方法と比べてから決めましょう。
1つの方法の会社にだけ相談する
売る会社は売る方法を、民泊の会社は民泊を勧めがちです。いくつかの方法を同じ時期に見積もると、偏りに気づきやすくなります。
相談の前に確かめたいチェックリスト
- 名義は相続登記で整っているか
- 家族で、また使う予定の有無を話し合ったか
- 雨もり・傾き・水回りの状態を見たか
- 空き家の3,000万円特別控除が使えるかを確かめたか
- 残したい家具や思い出の品を決めたか
空き家の活用方法の選び方
次の順番で考えると、選びやすくなります。
- 相続登記などで、名義を整える
- また使う予定があるかを家族で決める
- 建物の状態を確かめる(雨もり、傾き、水回り)
- 売った場合、貸した場合、転用した場合の見積もりを同時に取る
- 修繕費や手数料、税金を引いて、手元に残る額で比べる
見積もりは、売却だけ、賃貸だけの会社1社では偏りがちです。複数の方法を扱う会社に、まとめて聞くと比べやすくなります。
よくある質問
- 空き家の活用方法でいちばん多いのは?
- 公的な統計で比べたものは見当たりません。物件の場所と状態、ご家族の予定で向く方法が変わります。
- 古い空き家でも貸せる?
- 修繕すれば貸せることがあります。そのままの状態で借り上げる会社もあります。
- 民泊は1年中できる?
- 住宅宿泊事業法の民泊は、年間180日が上限です。ほかの期間は別の使い方と組み合わせます。
- 空き家バンクは無料で使える?
- 条件や費用の扱いは自治体ごとに違います。空き家のある市区町村に確かめましょう。
- 解体すると固定資産税はどうなる?
- 住宅用地特例は住宅が建っている土地が対象のため、取り壊すと原則として受けられなくなります。
- 家具や荷物を残したままでも活用できる?
- 方法によって違います。家具付きで貸す方法もあるので、相談するときに残したい物を伝えましょう。
方法ごとの詳しい記事と相談先
民泊は「空き家を民泊に」と「民泊の届出の流れ」、シェアハウスは「戸建てをシェアハウスに」、売るか貸すかは「実家は売るか貸すか」で詳しく紹介しています。会社は売買・シェアハウス・民泊の業種別一覧から探せます。どの方法がよいか分からないときは、一括相談でまとめて比べられます。
まとめ
- 空き家の主な活用方法は、売る・貸す・解体・民泊やシェアハウスへの転用・空き家バンク・管理委託の6つ
- 売るなら、3,000万円特別控除が使えるかを先に確かめる(貸すと使えなくなる)
- 民泊は年間180日まで。都道府県知事等への届出が必要
- 解体すると、住宅用地特例は原則として受けられなくなる
- 複数の方法の見積もりを同時に取り、手元に残る額で比べる




