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空き家のカビ・湿気対策|換気・通水・封水の手順と、見回りでやることの順番

オーナー収益革命 編集部

空き家のカビ・湿気対策|換気・通水・封水の手順と、見回りでやることの順番

閉め切った空き家は、湿気がこもってカビや建物の傷みが進みやすくなります。国の管理指針が求める換気と封水の意味から、見回りの手順、よくある失敗までを順に整理します。

結論

  • 空き家のカビ・湿気対策の基本は、見回りのたびに窓と収納を開けて空気を入れ替え、水まわりに水を流して排水口の「封水」を保つことです。
  • 国の空家法の管理指針は、建物の腐朽や蟻害を防ぐために、定期的に通気や換気を行うことが必要だとしています。
  • 湿気の出どころは、閉め切り、排水口、床下、家財、雨水の5つに分けて考えると、どこから手を打つかが決めやすくなります。
  • 雨漏りや床下の水たまりなど、湿気の元が建物の傷みにある場合は、換気だけでは止まりません。早めに専門の会社に見てもらいます。

久しぶりに実家の玄関を開けたら、かび臭さが鼻をついた。押し入れの布団や畳に、白や黒の点が広がっていた。空き家を持つ方から、よく聞く場面です。

人が住んでいる家は、毎日の出入りや料理、入浴で空気が動きます。空き家ではそれが止まるため、湿気が逃げ場をなくします。においが染みつくと、売るときにも貸すときにも印象が下がります。

この記事では、空き家の湿気がどこから来るのか、見回りで何をどの順番ですればよいのかを説明します。管理全体の進め方は「空き家の管理方法」にまとめていますので、ここでは湿気とカビに絞ります。

空き家のカビ・湿気とは

湿気がこもる理由

空き家の湿気とは、閉め切った室内や床下に水分がたまり、外へ出ていかない状態のことです。窓を開ける人がいないので、空気が入れ替わりません。

湿気がたまると、カビが生えやすくなるだけでなく、木の柱や床が腐る原因にもなります。国の管理指針も、空き家は不具合が見つかりにくく、傷みが早く進む傾向があると書いています。

国の指針が求めていること

空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)第5条は、持ち主に、周りの生活環境に悪い影響を与えないよう、適切に管理する努力を求めています。

これを受けた国の基本指針の「管理指針」は、構造部材の腐朽や蟻害(シロアリの害)を防ぐために、定期的に通気や換気を行うことが必要だとしています。排水設備のにおいを防ぐために、定期的に封水を入れることも挙げています。

ポイント

  • 湿気対策は「住みやすさ」のためだけでなく、建物を傷めないための管理そのもの
  • 国の指針は、通気・換気と、封水の注入を定期的に行うよう求めている
  • 換気で取れない湿気は、建物の傷みが原因のことがある

空き家の湿気はどこから来る?5つの出どころ

出どころごとの見分け方

湿気の元を見分けると、手の打ち方が決まります。次の表で、自分の空き家に当てはまるものを探してみてください。

出どころよくあるサイン主な対策
閉め切り部屋全体がむっとする、収納の中がかび臭い窓・収納・室内ドアを開けて空気を通す
排水口台所や浴室、トイレから下水のにおい水を流して封水を戻す
床下畳や床板がしける、床がふかふかする床下の換気口をふさがない、専門の点検
家財布団・衣類・紙類にカビ、においが強い湿気を吸うものを減らす、片付け
雨水天井や壁のしみ、窓まわりのぬれ雨漏りの点検と修理

排水口の「封水」とは

封水とは、台所や浴室、洗面所、トイレの排水口の曲がった管にたまっている水のことです。この水がふたになり、下水のにおいや虫が上がってくるのを防いでいます。

空き家で長く水を流さないと、この水が蒸発してなくなります。これを「封水切れ」といいます。国の管理指針も、排水設備周辺の臭気や封水切れを点検する事象として挙げ、封水の注入を求めています。

家財は湿気をため込む

布団や衣類、段ボール、古い新聞などは、湿気を吸ってため込みます。押し入れにぎっしり物が詰まっていると、空気が通らず、カビの温床になります。

空き家のカビ・湿気対策:見回りでやる手順

1回の見回りの流れ

見回りのたびに、次の順番で進めると漏れが減ります。

  1. 玄関を開けたら、まずにおいを確かめる(かび臭さ、下水のにおい)
  1. すべての部屋の窓を開け、室内ドア、押し入れ、クローゼット、床下収納も開ける
  1. 台所、浴室、洗面所、トイレに水を流し、封水を戻す
  1. 天井、壁、窓まわり、押し入れの奥にしみやカビがないかを見る
  1. 畳や床を踏んで、しけりや沈みがないかを確かめる
  1. 外に出て、床下の換気口が物や草でふさがれていないかを見る
  1. 帰る前に、窓と水まわりを元に戻し、戸締まりをする
  1. 写真と気づいたことを記録に残す

換気のこつ

風の通り道を作るには、向かい合う2か所以上の窓を開けると効果的です。収納の扉も開け、奥まで空気を届けます。

晴れて乾いた日を選ぶと、湿った空気を入れずに済みます。雨の日や、外の湿気が多い日の換気は短めにします。

通水のしかた

水道を止めていない場合は、各蛇口から少し水を出し、排水口に流します。トイレはタンクのレバーで流します。

水道を止めている場合でも、国土交通省の空き家管理受託のガイドラインは、使う水がトラップの封水程度なら、見回りのときに水を持っていけば対応できると想定しています。ペットボトルの水を持参し、排水口に注ぎます。

寒い地域で冬に水道管が凍るおそれがあるときは、通水よりも、元栓を閉めて水抜きをすることが優先です。国の管理指針も、冬期の給水管の元栓の閉栓を日常的な管理の1つとして挙げています。

湿気対策を「止める・残す」で考える:電気・水道との関係

水道を残すか止めるか

水道を残すと、通水がしやすくなります。一方で、国のガイドラインは、通電・通水を続けると漏電や漏水のリスクがあり、料金もかかると指摘しています。

止めるか残すかの決め方は「空き家の水道・電気・ガスは止める?」で詳しく比べています。湿気対策の点では、水を持参できるなら止めても封水は保てる、と覚えておくと判断しやすくなります。

除湿機や換気扇を使うとき

電気を残している場合、換気扇や除湿機を使う方法もあります。ただし、人がいない間に電気製品を動かし続けると、故障や火事の心配が出てきます。

使う場合は、見回りの間だけ動かして帰るときに止める、たまった水を必ず捨てる、といった決まりを作っておきます。置きっぱなしの運転は避けたほうが安心です。

よくある失敗と、その避け方

失敗1:窓だけ開けて、収納を閉めたまま

部屋の空気は入れ替わっても、押し入れやクローゼットの中は湿ったままです。カビが一番出やすいのは、こうした閉じた場所です。窓と一緒に、収納の扉も開けるのを習慣にします。

失敗2:においの元を芳香剤でごまかす

下水のにおいは、封水切れのサインです。芳香剤を置いても原因は消えません。まず水を流して、においが消えるかを確かめます。

失敗3:天井のしみを「古い跡」と決めつける

天井や壁のしみが、前回より広がっていれば雨漏りの疑いがあります。換気をいくら続けても、雨水が入る限り湿気は止まりません。しみの写真を撮り、次の見回りで大きさを比べます。傷みを放っておいたときの影響は「空き家を放置するリスク」で説明しています。

失敗4:家財をそのまま置き続ける

布団や衣類が残ったままだと、湿気とにおいの元が残ります。いずれ片付けるなら、早いほうが建物にもよい影響があります。進め方は「空き家の片付けと遺品整理」を参考にしてください。

場面の例:どこまで自分でやるか

近くに住んでいて通える場合

車で通える距離なら、自分で見回りを続けやすい場面です。晴れた日に通い、窓と収納を開け、水を流すだけでも、湿気のたまり方は変わります。季節の変わり目や大雨の後は、臨時に見に行きます。

遠くに住んでいて通えない場合

新幹線や飛行機が必要な距離だと、見回りの間隔が空きがちです。国の管理指針も、遠くにあるなどの理由で自分で管理できない場合は、管理を行う事業者に任せることが考えられるとしています。

任せるときは、換気・通水・封水の注入をしてくれるか、何回行うか、報告に写真が付くかを契約前に確かめます。料金は会社や作業の中身によって違います。

判断の分かれ道

  • においが封水切れだけなら、通水で直ることが多い。まずは自分で試す
  • 床がふかふかする、柱が黒ずむ場合は、腐朽やシロアリの心配がある。専門の会社に点検を頼む
  • 天井のしみが広がる場合は、雨漏りを先に直す
  • 何年も使う予定がないなら、売る・貸す・解体するなどの道も比べる

季節ごとに気をつけること

梅雨と夏

外の空気そのものが湿っている時期です。雨の日に長く窓を開けると、かえって湿気を入れてしまいます。晴れ間を選んで見回りに行き、収納を開けて空気を通すことを優先します。

秋の長雨と台風の後

台風や大雨の後は、雨漏りや床下への水の入り込みが起きやすくなります。国の管理指針も、強風や大雨の後には点検対象の事象が起きていないかを確かめる必要があるとしています。決まった見回りとは別に、臨時に見に行きます。

冬

寒い地域では、水道管の凍結に備えた水抜きが先です。暖かい地域でも、窓ガラスや北側の部屋で結露が出ることがあります。窓まわりの水滴やカビを見て、拭き取ってから帰ります。

見回りの持ち物チェックリスト

  • 家の鍵と、各部屋・物置の鍵
  • 封水用の水(水道を止めている場合)
  • 懐中電灯(押し入れや床下収納の奥を見る)
  • スマートフォン(写真の記録)
  • 雑巾とごみ袋
  • マスクと手袋(カビのある場所を触るとき)
  • 前回の記録(しみの大きさを比べる)

よく出てくる言葉の言い換え

  • 通気・換気:窓や扉を開けて、家の中の空気を外の空気と入れ替えること
  • 通水:蛇口から水を出して、配管と排水口に水を通すこと
  • 封水:排水口の管にたまって、においや虫を止めている水
  • 腐朽:木が湿気で腐り、弱くなること
  • 蟻害:シロアリに木を食べられる害

よくある質問

空き家の換気はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
国の指針は「定期的に」としていて、決まった回数はありません。建物の古さ、季節、地域の湿気の多さを見て決め、大雨の後などは臨時に見に行きます。
水道を止めた空き家でも封水は保てますか?
保てます。国土交通省のガイドラインは、使う水が封水程度なら、見回りのときに水を持参して対応できると想定しています。
空き家に除湿剤を置けばカビは防げますか?
除湿剤は補助にはなりますが、閉め切りや封水切れ、雨漏りといった元を止めることはできません。換気と通水を基本にします。
空き家のカビは売却に影響しますか?
においやカビは内覧の印象を下げやすく、建物の傷みにつながっていれば価格や条件にも響きます。売る前に、原因を確かめておくと話が進めやすくなります。
カビがひどい部屋は自分で掃除してよいですか?
表面の軽いカビなら、マスクと手袋をして拭き取れます。広い範囲や、壁の中・床下に広がっている場合は、原因の修理が必要なことが多いため、専門の会社に相談します。

次に読みたい記事と相談先

空き家の管理が続けにくくなってきたら、売る・貸す・直すなどの道を「空き家の活用方法の比較」で比べられます。管理が行き届かない空き家は税金にも影響することがあるため、「管理不全空家と固定資産税」もあわせてご覧ください。

地域の会社は会社の一覧から探せます。自分の空き家をどうするか迷うときは、一括相談の使い方を読んだうえで、まとめて相談してみてください。

まとめ

  • 空き家のカビ・湿気対策の基本は、換気と通水で封水を保つこと
  • 国の管理指針は、腐朽や蟻害を防ぐための定期的な通気・換気と、封水の注入を求めている
  • 湿気の出どころは、閉め切り・排水口・床下・家財・雨水の5つに分けて考える
  • 水道を止めていても、水を持参すれば封水は保てる。寒い地域の冬は水抜きを優先する
  • 雨漏りや床下の傷みが原因なら、換気だけでは止まらないので先に直す

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