シェアハウスの共益費とは?含めるものの決め方と金額の出し方・見直し方

シェアハウスの共益費に何を含め、金額をどう出し、入居者にどう説明して見直すかを、順番に整理します。国の標準契約書での考え方や、税金での扱いもあわせて説明します。
結論
- シェアハウスの共益費とは、キッチンやリビングなど共用部分の維持管理にかかる費用を、入居者が分担して払うお金です。
- 国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、共益費は共用部分の光熱費・上下水道使用料・清掃費などに充てるもので、実費に相当する費用としています。
- 金額は「含める項目を決める→年間の費用を見積もる→1人あたりに割る」の順で出し、中身を募集案内と契約書に書いておきます。
「共益費は、いくらにすればいいのだろう」。シェアハウスを始めるオーナーが、家賃の次に迷うのがここです。
共益費が安すぎると、光熱費が増えた分をオーナーが負担し続けることになります。高すぎると、入居者から「何に使っているのか」と聞かれ、不満のもとになります。
家賃全体の組み立て方は「シェアハウスの家賃設定」で説明しています。この記事では、共益費だけに絞って、中身の決め方、金額の出し方、説明と見直しを順番に説明します。
シェアハウスの共益費とは
シェアハウスの共益費とは、入居者みんなで使う部分の費用を、入居者が分担して払うお金です。部屋を使う対価である家賃とは、役割が違います。
標準契約書での共益費の考え方
国土交通省の賃貸住宅標準契約書5条では、共益費は、階段や廊下などの共用部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費などに充てるものとしています。解説では、実費に相当する費用としています。
同じ解説では、一般の戸建て賃貸では通常、共益費は発生しないとしています。戸建てのシェアハウスでは、キッチンや浴室を入居者で使うため、共用部分の費用をどう分けるかを決めておく必要があります。
家賃・共益費・実費精算の違い
| 項目 | 何の対価か | 金額の決め方 |
|---|---|---|
| 家賃 | 部屋を使うこと | 部屋の条件で差をつける |
| 共益費 | 共用部分の維持管理 | 共用部分の費用をもとに、1人あたりで決める |
| 実費精算 | 各部屋で使った電気など | 使った分を別に請求する |
共益費に含めるものの決め方
まず、何を共益費に含めるかを決めます。よく候補になるのは次の項目です。
- 共用部分(キッチン・リビング・廊下・浴室・トイレ)の電気・ガス・水道
- インターネットの通信費
- 共用部分の定期清掃
- トイレットペーパー・洗剤・ごみ袋などの消耗品
- 共用の家具・家電の小さな修理や買い替えの備え
含めるか迷う項目
迷いやすいのは、各部屋のエアコンや照明の電気代です。部屋ごとにメーターがない建物では、共用部分と分けて測れないことがあります。
| 決め方 | 良いところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 各部屋の光熱費も共益費に含める | 入居者に分かりやすい | 使う量の差や季節の変動をオーナーが負う |
| 各部屋は実費で別に精算する | 使った分を反映できる | 測る仕組みと精算の手間が要る |
共益費に含めないもの
建物そのものの大きな修繕や、固定資産税、建物の火災保険などは、オーナーが負担する費用です。共益費に入れず、家賃の中で考えるのが分かりやすい方法です。
共益費の金額の出し方
金額は、次の順番で出します。
- 共益費に含める項目を一覧にする
- 項目ごとに、1年間にかかる費用を見積もる(光熱費は季節の差も見る)
- 1年間の合計を12で割り、1か月あたりの額を出す
- 1か月あたりの額を、部屋の数で割る
- 空室が出たときに不足する額を、だれが負担するかを決める
- 近くの似た物件の募集案内と見比べ、最終の額を決める
空室のときの考え方
共益費を部屋の数で割ると、空室が出たときに不足が出ます。共用部分の光熱費は、入居者が減っても、すぐには半分になりません。
不足をオーナーが負担すると決めておくのが、入居者にとって分かりやすい形です。満室の前提で割るか、空室を見込んで少し余裕をもたせるかは、収支を見て決めます。
日割りの決まり
賃貸住宅標準契約書5条3項では、1か月に満たない期間の共益費は、1か月を30日として日割りにするとしています。月の途中で入居や退去があるときの計算を、契約書に書いておきましょう。
ポイント
- 共益費は「共用部分の維持管理の費用」に絞って考える
- 各部屋の光熱費は、含めるか別に精算するかを先に決める
- 金額は、年間の費用を見積もってから1人あたりに割る
- 空室で足りない分をだれが負担するかも決めておく
入居者への説明のしかた
共益費は、中身が見えないと不満のもとになります。次の3か所に、同じ内容を書きます。
- 募集の案内:共益費の額と、含まれる項目
- 契約書:共益費の額、支払期限、含まれる項目、改定のしかた
- 入居時の説明:清掃の頻度、消耗品の補充のしかた、光熱費の扱い
運営会社に任せる場合
サブリースでシェアハウスを任せる場合、入居者から共益費を受け取るのは会社です。国土交通省の特定賃貸借標準契約書では、会社が入居者と結ぶ契約の条件として、共益費の幅を「何円から何円」と決めておく欄があります。オーナーの考えがあれば、この欄で伝えておきましょう。
共益費の見直し方
光熱費の単価が変わると、決めた共益費では足りなくなることがあります。
見直しの決まりを契約に入れる
賃貸住宅標準契約書5条4項では、維持管理費の増減で共益費が不相当になったときは、協議の上で改定できるとしています。解説では、電気料金が改定された場合を例に挙げています。
入居中の人の共益費を一方的に変えることはできません。改定のしかたを、あらかじめ契約書に書いておくことが大切です。
見直しの進め方
- 共益費に含めた項目の、実際の支払いを1年分まとめる
- 受け取った共益費の合計と比べる
- 足りない、または余っている理由を項目ごとに確かめる
- 新しく入る人の共益費から変えるか、入居中の人と協議するかを決める
- 変える場合は、理由と新しい額を書面で知らせる
たとえば、光熱費が増えた場合
たとえば、5部屋のシェアハウスを運営するEさん。共益費に各部屋の電気まで含めていたため、冬の電気代が共益費の合計を大きく上回りました。
Eさんは1年分の支払いを項目ごとにまとめ、共用部分の費用と各部屋の電気を分けました。新しく入る人からは、各部屋の電気を実費で精算する形に変え、内訳を契約書に書きました。
定額にするか、実費にするかの判断の分かれ道
共益費の決め方には、毎月同じ額を受け取る「定額」と、かかった分をもとに精算する「実費精算」があります。
- 定額が向く:入居者の入れ替わりが多い、精算の手間をかけたくない、光熱費の変動が小さい
- 実費精算が向く:部屋ごとにメーターがある、光熱費の季節差が大きい、長く住む入居者が多い
- 組み合わせる:共用部分は定額、各部屋の電気は実費、という分け方もある
どれを選んでも、入居者から見て「何にいくら払っているか」が分かることが大切です。
内訳の書き方の例
募集案内や契約書には、金額の内訳までは書かなくても、含まれる項目と頻度を書くと伝わりやすくなります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 共用部分の光熱費 | キッチン・リビング・廊下・浴室の電気・ガス・水道 |
| 通信費 | 共用のインターネット回線 |
| 清掃 | 共用部分の定期清掃(頻度を書く) |
| 消耗品 | トイレットペーパー・洗剤・ごみ袋 |
| 含まないもの | 各部屋の電気(実費で精算する場合) |
共益費の記録のつけ方
見直しの根拠を示すには、日ごろの記録が欠かせません。
- 共益費に含めた項目ごとに、支払いの領収書や明細を月ごとにまとめる
- 受け取った共益費を、入居者ごと・月ごとに記録する
- 季節ごとの光熱費の変化を、前の年と見比べる
- 1年に1回、受け取った額と支払った額の差をまとめる
記録があれば、入居者から質問を受けたときにも、落ち着いて説明できます。確定申告の準備にも役立ちます。
入居者から共益費について聞かれたら
共益費の質問は、不満の芽であると同時に、説明の足りない点を教えてくれる合図です。よくある質問と、答え方の考え方は次のとおりです。
- 「何に使われているのか」:含まれる項目と清掃の頻度を、契約書の記載に沿って伝える
- 「ほかの人と同じ額なのはなぜか」:共用部分は全員で使うため、同じ額で分けていると伝える
- 「部屋をあまり使っていないのに高い」:共益費は共用部分の費用で、各部屋の使い方とは別だと伝える
- 「上がるのはなぜか」:1年分の記録をもとに、どの項目が増えたかを示す
答えたあと、同じ質問が続くようなら、募集案内や入居時の説明の書き方を見直しましょう。
共益費と税金の扱い
国税庁によると、共同住宅の共用部分の費用を入居者が分担して払う共益費は、消費税では非課税の住宅の家賃に含まれます。一方、家賃とは別に受け取る、各部屋の電気・ガス・水道の利用料は、非課税の家賃には含まれません。
所得税では、家賃と同じく、契約で支払日が決まっていれば、その日の収入として計上するのが原則です。扱いに迷うときは、税理士に確かめてください。
貸付期間が1か月未満の場合は、非課税の住宅の貸付けから外れます。短い期間の利用を受けるときは、扱いが変わることに気をつけてください。
よくある失敗
- 含める項目を決めずに金額だけ決め、光熱費の増加を負担し続けた
- 共益費の中身を案内に書かず、入居者から何度も質問された
- 改定のしかたを契約書に書いておらず、見直しの話し合いが難しくなった
- 建物の大きな修繕費まで共益費でまかなおうとして、不満が出た
- 1年分の支払いをまとめておらず、見直しの根拠を示せなかった
共益費を決める前のチェックリスト
- 共益費に含める項目の一覧を作った
- 各部屋の光熱費を、含めるか実費で精算するかを決めた
- 項目ごとの1年間の費用を見積もった
- 空室のときの不足をだれが負担するかを決めた
- 日割りの計算方法を契約書に書いた
- 改定のしかたを契約書に書いた
- 募集案内・契約書・入居時の説明で、同じ内容を伝える準備をした
よくある質問
- 共益費と管理費は違う?
- 名前が違っても、共用部分の費用を入居者が分担するお金なら、役割は同じです。大切なのは名前より、含まれる中身を書くことです。
- 共益費に光熱費を含めてよい?
- 含めても、別に精算しても構いません。含めると分かりやすく、別に精算すると使った分を反映できます。
- 共益費はあとから上げられる?
- 入居中の人の額を一方的に変えることはできません。契約書に改定のしかたを書いておき、費用の増減を示して協議します。
- 共益費に消費税はかかる?
- 国税庁によると、共用部分の費用を分担する共益費は、非課税の住宅の家賃に含まれます。別に受け取る各部屋の光熱費の利用料は扱いが違います。
- 共益費の相場はいくら?
- 含める項目や建物の大きさ、地域によって大きく違います。近くの似た物件の募集案内を見て、含まれる中身と合わせて比べてください。
関係する記事と相談先
家賃と共益費の組み立ては「シェアハウスの家賃設定」、契約とルールは「シェアハウスのルールと契約」で説明しています。退去時の精算などのもめごとは「シェアハウスのトラブルと予防策」、消費税の全体は「賃貸の消費税」をご覧ください。
運営を任せる会社は、シェアハウスの運営会社の一覧で比べられます。一括相談なら、建物の条件をまとめて伝えて相談できます。
まとめ
- シェアハウスの共益費は、共用部分の維持管理の費用を入居者が分担するお金
- 含める項目を先に決め、各部屋の光熱費の扱いも決める
- 金額は、年間の費用を見積もってから1人あたりに割る
- 空室時の不足、日割り、改定のしかたを契約書に書く
- 中身は、募集案内・契約書・入居時の説明で同じように伝える




