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相続

生前贈与で不動産を渡すには?贈与契約と登記の流れ、かかる3つの税金を整理

オーナー収益革命 編集部

生前贈与で不動産を渡すには?贈与契約と登記の流れ、かかる3つの税金を整理

親が元気なうちに家や土地を子に渡す生前贈与は、相続とは手続きも税金も違います。贈与契約と登記の流れ、贈与税・登録免許税・不動産取得税の3つの税金、相続との比べ方を国税庁などの情報をもとに説明します。

結論

  • 不動産の生前贈与とは、親などが生きているうちに、家や土地を無償で子などに渡すことです。民法では、あげる人ともらう人の合意(贈与契約)で成り立ちます。
  • 渡したことを第三者に主張するには、所有権の移転の登記が必要です。贈与による移転の登記の登録免許税は、不動産の価額の1,000分の20です。
  • 生前贈与で不動産を受け取ると、贈与税・登録免許税・不動産取得税の3つがかかることがあります。相続なら不動産取得税はかからず、登録免許税は1,000分の4です。
  • 贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、どちらを選ぶかで負担が大きく変わります。選ぶ前に税理士に相談しましょう。

「子どもが家を建てるので、うちの土地を今のうちに渡しておきたい」。「アパートを生前に長男へ渡せば、相続のときにもめないのでは」。不動産の生前贈与を考える理由はさまざまです。

ただ、不動産の贈与は、お金の贈与と比べて、登記や税金の手続きが多くなります。相続まで待った方が負担が軽いこともあります。

この記事では、国税庁の情報や民法などの決まりをもとに、不動産の生前贈与の基本と手続きの流れ、かかる税金の種類を整理します。具体的な税額は財産や家族の事情で変わるため、ここでは仕組みと判断の材料に絞ります。

不動産の生前贈与とは

意味を一言で

不動産の生前贈与とは、持ち主が生きているうちに、土地や建物を無償で別の人に渡すことです。民法第549条は、贈与を、一方が財産を無償で与える意思を示し、相手が受け入れることで効力が生じる契約と定めています。

言葉の言い換え

  • 贈与者:財産をあげる人
  • 受贈者:財産をもらう人
  • 暦年課税:1年ごとにもらった財産を合計して、贈与税を計算する方法
  • 相続時精算課税:贈与のときは軽く課税し、相続のときにまとめて精算する方法
  • 評価額:税金の計算に使う不動産の値段。売れる値段とは違う

書面にしておく理由

民法第550条では、書面によらない贈与は、それぞれが解除できるとされています。ただし、渡し終わった部分は解除できません。不動産の贈与では、後の争いを防ぐためにも、登記のためにも、贈与契約書を作っておくのが基本です。

死因贈与・遺贈との違い

方法いつ効力が生じるか主な決め方
生前贈与契約して渡したときあげる人ともらう人の契約
死因贈与あげる人が亡くなったときあげる人ともらう人の契約
遺贈遺言した人が亡くなったとき遺言(一方的に決める)

民法第554条は、あげる人が亡くなったときに効力が生じる贈与(死因贈与)には、遺贈の決まりを準用するとしています。この記事では、生きているうちに渡す生前贈与を扱います。

生前贈与の手続きの流れ

  1. 渡す不動産を決め、登記事項証明書で名義と面積、抵当権の有無を確かめる
  2. 固定資産税の課税明細書などで、評価額を確かめる
  3. 贈与税の負担を試算し、暦年課税と相続時精算課税のどちらにするかを決める
  4. 贈与契約書を作り、あげる人ともらう人が署名・押印する
  5. 法務局に、贈与による所有権の移転の登記を申請する
  6. 翌年2月1日から3月15日までに、もらった人が贈与税の申告をする
  7. 都道府県から届く不動産取得税の通知に従って納める

登記をする理由

民法第177条は、不動産に関する権利の移転は、登記をしなければ第三者に主張できないと定めています。契約書を作っただけで登記をしないと、もらったことを第三者に主張できません。

贈与税の申告の期限

相続税法第28条では、贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、納税地の税務署に出すとされています。申告するのは、財産をもらった人です。

生前贈与でかかる3つの税金

全体の比較

税金生前贈与相続
贈与税・相続税贈与税(もらった人)相続税(相続した人)
登録免許税(所有権の移転の登記)不動産の価額の1,000分の20不動産の価額の1,000分の4
不動産取得税かかるかからない

登録免許税の税率は、国税庁のタックスアンサーと登録免許税法の別表で確かめたものです。登録免許税のもとになる価額は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格です。

不動産取得税

東京都主税局の説明では、不動産取得税は、土地や家屋を購入・贈与・建築などで取得したときにかかり、相続で取得した場合などはかかりません。税率は、令和9年3月31日までの取得で、土地と住宅が100分の3、住宅以外の家屋が100分の4です。宅地は、課税標準を価格の2分の1にする特例があります。

東京都主税局は、贈与税で夫婦の間の居住用不動産の特例や、相続時精算課税を使った場合でも、不動産取得税はかかると説明しています。贈与税の特例を使っても、不動産取得税は別にかかる点に注意しましょう。

贈与税での不動産の評価

国税庁のタックスアンサーでは、土地は路線価方式か倍率方式で評価し、家屋は固定資産税評価額に1.0をかけて評価するとされています。贈与税は、売れる値段ではなく、この評価額をもとに計算します。

ポイント

  • 不動産の生前贈与では、贈与税・登録免許税・不動産取得税がかかることがある
  • 贈与の登録免許税は1,000分の20で、相続の1,000分の4より重い
  • 不動産取得税は贈与ではかかり、相続ではかからない
  • 贈与税の特例を使っても、不動産取得税は別にかかる

贈与税の2つの方法:暦年課税と相続時精算課税

暦年課税

国税庁のタックスアンサーでは、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計から、基礎控除110万円を差し引いた残りに税率をかけます。父母や祖父母から、その年の1月1日に18歳以上の人が受けた贈与には、一般より低い「特例税率」を使います。

相続時精算課税

国税庁のタックスアンサーでは、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫が贈与を受けるときに選べる方法です。2,500万円までの特別控除があり、超えた部分に一律20%の税率がかかります。令和6年1月1日以後の贈与からは、別に年110万円の基礎控除もあります。

この方法で受けた贈与は、あげた人が亡くなったとき、相続財産に加えて相続税を計算します。選ぶには、最初の贈与の翌年2月1日から3月15日までに届出書を出します。

相続時精算課税を一度選ぶと、その人からの贈与は、その年以後ずっとこの方法になり、暦年課税に戻すことはできません。

2つの比較

比べる点暦年課税相続時精算課税
毎年の控除基礎控除110万円基礎控除110万円(令和6年以後の贈与)
大きな控除なし特別控除2,500万円まで(累計)
税率10%〜55%の累進一律20%
相続のとき一定期間内の贈与は相続財産に加える基礎控除の分を除き、贈与した財産を相続財産に加える
選び直し—暦年課税に戻せない

亡くなる前の贈与の加算

国税庁のタックスアンサーでは、暦年課税で令和6年1月1日以後に受けた贈与は、相続の前7年以内のものが相続財産に加えられます。この期間は段階的に延び、相続が令和8年12月31日までなら3年以内、令和13年1月1日以後なら7年以内です。延びた期間の贈与は、合計100万円までは加えません。

夫婦の間の自宅の贈与

国税庁のタックスアンサーでは、結婚して20年を過ぎた夫婦の間で、住むための不動産やその購入資金を贈与したとき、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円を控除できます。この特例を使うには、書類を添えて贈与税の申告をする必要があります。

この場合も、登録免許税と不動産取得税は別にかかります。

生前贈与の前に確かめたいこと

売るときの取得費

所得税法第60条では、贈与で取得した資産を売ったとき、もらった人がずっと持っていたものとみなして計算します。つまり、あげた人が買ったときの値段と時期を引き継ぎます。将来売る予定がある不動産は、購入時の契約書などを一緒に受け取っておきましょう。売るときの税金は不動産売却の税金で説明しています。

相続の特例が使えなくなることがある

相続で受け継いだ場合に使える特例が、生前贈与では使えないことがあります。たとえば土地の評価を下げる小規模宅地等の特例は、相続や遺贈で取得した土地が対象です。贈与と相続のどちらが有利かは、税理士に試算してもらいましょう。

遺留分とのかかわり

民法第1044条では、相続人に対する贈与のうち、婚姻や養子縁組、生計の資本として受けたものは、相続の前10年間の分が遺留分(相続人に最低限保障される取り分)の計算に入ります。ほかの相続人との公平も考えて決めることが大切です。

賃貸中の物件を渡すとき

アパートなど賃貸中の物件を贈与すると、家賃を受け取る人も、管理の契約の相手も変わります。入居者への連絡や、管理会社との契約の見直しが必要です。家賃の申告は不動産所得の確定申告で説明しています。

よくある失敗と場面の例

よくある失敗

  • 贈与税だけを試算し、登録免許税と不動産取得税を見込んでいなかった
  • 契約書を作っただけで、登記をしないまま年月がたった
  • 相続時精算課税を選んだあとで、暦年課税に戻せないと知った
  • 購入時の書類を受け取っておらず、売るときに取得費が分からない

場面の例

Fさんの母は、Fさんが家を建てるための土地を生前に渡したいと考えていました。税理士に相談すると、暦年課税と相続時精算課税の両方で試算し、登録免許税と不動産取得税の見込みも示してくれました。

家族で比べた結果、Fさんは相続時精算課税を選び、贈与契約書を作って登記をしました。翌年の3月15日までに、届出書を添えて贈与税の申告をしています。

よくある質問

不動産の生前贈与にはどんな税金がかかりますか?
もらった人に贈与税、登記のときに登録免許税、取得したあとに不動産取得税がかかることがあります。
生前贈与と相続では、どちらが得ですか?
財産の額や家族の事情、使える特例で変わります。登録免許税と不動産取得税は相続の方が軽いため、総額で比べることが大切です。
不動産の贈与に契約書は必要ですか?
書面によらない贈与は解除できるため、契約書を作るのが基本です。登記の申請にも、贈与を示す書類が必要です。
年110万円以下なら申告はいりませんか?
暦年課税で、1年間にもらった財産が基礎控除110万円以下なら、贈与税はかかりません。ただし不動産は評価額が大きく、超えることが多いので試算しましょう。
贈与税の申告はいつまでですか?
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。もらった人が、納税地の税務署に申告します。

次に読みたい記事と相談先

相続で受け継ぐ場合の名義の手続きは「相続登記の義務化」、土地の評価を下げる特例は「小規模宅地等の特例」で説明しています。名義を渡さずに管理だけを家族に任せたい場合は、家族信託という仕組みもあります。どちらが合うかは専門家に相談しましょう。売却も含めて考えるなら売買の会社から探せます。どこに相談すればよいか迷う方は一括相談をご利用ください。

まとめ

  • 不動産の生前贈与は、贈与契約を結び、所有権の移転の登記をして完了します
  • 贈与税・登録免許税・不動産取得税の3つがかかることがあります
  • 贈与の登録免許税は1,000分の20、相続は1,000分の4で、不動産取得税は相続ではかかりません
  • 贈与税は暦年課税と相続時精算課税から選び、精算課税は一度選ぶと戻せません
  • 亡くなる前の贈与の加算は、段階的に7年へ延びています
  • 相続の特例や遺留分、売るときの取得費も含めて、税理士と総額で比べます

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