民泊の届出の流れを7ステップで解説。必要書類・届出先・届出後の報告まで

民泊新法で民泊を始めるには、自治体への届出が必要です。事前の確認から、届出書と添付書類の準備、届出番号の通知、始めた後の定期報告まで、7つのステップで順番に整理しました。
結論
- 民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出は、住宅のある場所を管轄する都道府県知事等に、原則として国の「民泊制度運営システム」で行います。
- 流れは「住宅の条件の確認」「条例と管理規約の確認」「消防署への相談」「書類の準備」「届出」「届出番号の通知と標識の掲示」「定期報告」の7ステップです。
- 届出の後も、宿泊者名簿の3年間の保存と、偶数月の15日までの定期報告が続きます。
民泊新法の民泊は、許可ではなく届出で始められます。ただ、届出といっても、書類を1枚出せば終わりではありません。
事前に確かめることが多く、そろえる書類も立場によって変わります。始めた後にも、毎年続く手続きがあります。
この記事では、民泊の届出の流れを7つのステップに分けて説明します。どの順番で何を準備すればよいかが分かります。
民泊の届出とは
民泊の届出とは、民泊新法にもとづいて、住宅で人を泊める事業を始めることを自治体に知らせる手続きです。許可のように審査で認められるのを待つものではありませんが、書類がそろっていないと受け付けられません。
届出は、民泊をする住宅ごとに行います。台所、浴室、便所、洗面設備がそろった単位が、届け出る最小の単位です。
民泊の届出の流れ 7ステップ
全体の流れは次のとおりです。
- 住宅の条件に合っているかを確かめる
- 条例と、マンションなら管理規約を確かめる
- 管轄の消防署に相談する
- 届出書と添付書類をそろえる
- 民泊制度運営システムで届け出る
- 届出番号の通知を受け、標識を掲げる
- 営業を始め、2か月ごとに定期報告をする
ここからは、それぞれのステップを見ていきます。
ステップ1〜3:届出の前に確かめること
住宅の条件(ステップ1)
民泊新法の「住宅」には、次の2つの条件があります。
- 設備:台所、浴室、便所、洗面設備があること
- 使われ方:人が生活の拠点にしている家、入居者を募集している家、所有者などが随時住んでいる家のどれかであること
条例と管理規約(ステップ2)
自治体によっては、条例で民泊ができる地域や期間を決めています。物件のある自治体の窓口で、先に確かめておきましょう。
マンションでは、管理規約で民泊が禁止されていないかを確かめます。「宿泊料を受けて人を泊める事業」を禁じる書き方も、民泊の禁止に含まれます。
規約に民泊の定めがない場合は、管理組合の総会や理事会で、民泊を禁止する方針の決議がないことを確かめます。その旨を示す書類が届出に必要です。
消防署に相談する(ステップ3)
観光庁は、届出の前に管轄の消防署に相談するよう案内しています。消防法令に合わないまま始めると、業務停止命令などの対象になる場合があります。
観光庁のガイドラインでは、届出のときに「消防法令適合通知書」の提出を求めています。法令で決められた必須の書類ではありませんが、消防法令に合っていることの確認は必要です。
市町村の火災予防条例により、防火対象物の使用開始の届出が必要になる場合もあります。どの手続きが要るかは、消防署で確かめましょう。
届出の準備を場面で考える
たとえば、空き家を民泊にするAさんの場合
Aさんは、誰も住んでいない一戸建てを持っています。この家を、入居者を募集している家として届け出ることを考えています。
その場合は、入居者募集の広告など、募集していることを示す書類を用意します。宿泊中は家主が不在になるので、管理業者と契約し、受け取った書面の写しも添付します。管理業者を決める作業は、書類集めと同時に進めると時間のむだが減ります。
たとえば、借りているマンションの一室で始めるEさんの場合
Eさんは、賃貸で借りている分譲マンションの一室を民泊に使いたいと考えています。
この場合は、貸主が転貸を承諾した書類と、管理規約の写しの両方が必要です。貸主が承諾しても、管理規約で民泊が禁じられていれば届け出られません。貸主と管理組合の両方に、先に話を通しておきましょう。
ステップ4・5:書類をそろえて届け出る
届出書に書くこと
届出書には、主に次のことを書きます。
- 氏名や名称、住所、連絡先
- 住宅の所在地(建物名と部屋番号まで)
- 一戸建て、長屋、共同住宅、寄宿舎のどれか
- 住宅の規模(居室や宿泊室の面積など)
- 住宅の不動産番号
- 宿泊者がいる間に家主が不在にならない場合は、その旨
- 住宅宿泊管理業者に委託する場合は、その会社の登録番号と契約の内容
主な添付書類
| 書類 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 定款、法人の登記事項証明書 | 不要 | 必要 |
| 破産して復権していない者に当たらない旨の市町村長の証明書 | 本人 | 役員 |
| 欠格事由に当たらないことの誓約書 | 必要 | 必要 |
| 住宅の登記事項証明書 | 必要 | 必要 |
| 住宅の図面(設備の位置、間取り、床面積など) | 必要 | 必要 |
| 入居者募集の広告など(募集中の家の場合) | 該当時 | 該当時 |
| 貸主が転貸を承諾した書類(借りている家の場合) | 該当時 | 該当時 |
| 管理規約の写し(分譲マンションの場合) | 該当時 | 該当時 |
| 管理業者から受け取った書面の写し(委託する場合) | 該当時 | 該当時 |
表は、観光庁の民泊制度ポータルサイトの添付書類の一覧をもとにまとめています。
自治体によって、独自の書類や事前の手続きを求めることがあります。必ず届出先の窓口に確認してください。
民泊制度運営システムで届け出る
届出先は、住宅のある場所を管轄する都道府県知事等です。保健所を置く市や東京23区などでは、市や区が窓口になっていることがあります。
届出は、原則として国の「民泊制度運営システム」を使ってインターネットで行います。届出書は日本語で作ります。
ステップ6・7:届出の後に続くこと
届出番号の通知と標識の掲示
書類がそろった届出が受け付けられると、自治体から届出番号が通知されます。通知が届かないときは、届出先に問い合わせましょう。
届出住宅には、決められた様式の標識を掲げます。観光庁のガイドラインでは、門や玄関など、おおむね地上1.2mから1.8mの見やすい位置が望ましいとされています。
共同住宅では、住戸に加えて、共用の玄関や集合ポストなどにも簡素な標識を掲げることが望ましいとされています。分譲マンションでは、掲げる場所を管理組合と前もって相談しておきましょう。
2か月ごとの報告
届出住宅ごとに、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の15日までに、その前の2か月分を報告します。報告する内容は次の4つです。
- 人を泊めた日数
- 宿泊者数
- 延べ宿泊者数
- 国籍別の宿泊者数の内訳
報告も、原則として民泊制度運営システムで行います。
宿泊者名簿の保存
宿泊者の氏名、住所、職業、宿泊日を記録します。日本に住所のない外国人の場合は、国籍と旅券番号も記録します。名簿は作成の日から3年間保存します。
ポイント
- 届出の前に、住宅の条件、条例、管理規約を確かめて、消防署に相談する
- 届出先は住宅のある都道府県知事等。原則として民泊制度運営システムで届け出る
- 添付書類は個人か法人か、借家か分譲マンションかで変わる
- 届出後は、標識の掲示、名簿の3年保存、偶数月15日までの報告が続く
届出の内容が変わったとき・やめるとき
届け出た内容が変わったときは、届出事項の変更の届出をします。管理業者を新しく選んだり、別の会社に変えたりするときも対象です。委託するときは、管理業務を始める日までに届け出る必要があります。
民泊をやめるときは、廃業等の届出をします。届け出ずに放っておくと、自治体の記録と実態がずれてしまうので気をつけましょう。
届出でよくあるつまずき
書類どうしの記載がそろっていない
届出書の住所や部屋番号と、登記事項証明書や図面の書き方が違うと、確認に時間がかかります。提出の前に、書類どうしで表記を見比べましょう。
管理業者との契約が後回しになる
家主が不在になる家では、委託先が決まっていないと届出書を書き終えられません。管理業者選びは、書類集めと並行して進めます。
標識や報告の準備が営業直前になる
届出番号が届いてから標識の場所を考えると、分譲マンションでは管理組合との相談が間に合わないことがあります。定期報告の担当も、営業を始める前に決めておきます。
届け出る前のチェックリスト
- 台所、浴室、便所、洗面設備がそろっているか
- 条例で、地域や期間の制限がないか確かめたか
- マンションなら、管理規約の確認と写しの用意ができたか
- 借りている家なら、貸主の承諾の書類をもらったか
- 管轄の消防署に相談したか
- 個人か法人かに合わせて、添付書類をそろえたか
- 委託するなら、管理業者から受け取った書面の写しがあるか
- 届出先の自治体に、独自の書類がないか確かめたか
届出で出てくる言葉の言い換え
- 届出住宅:民泊新法で届け出て、人を泊める住宅のこと
- 都道府県知事等:届出の窓口。保健所を置く市や東京23区などでは、市や区が窓口になることがある
- 民泊制度運営システム:届出や定期報告をインターネットで行う国の仕組み
- 届出番号:届出が受け付けられたときに通知される番号。標識にも書く
- 定期報告:偶数月の15日までに、前の2か月分の宿泊日数などを知らせる手続き
- 住宅宿泊管理業者:家主不在の家などで、運営を任せる国の登録業者
自分で届け出るのが不安なときは
書類の準備や定期報告は、運営に慣れた会社に相談しながら進める方法もあります。管理業者に委託する場合は、定期報告に必要な情報を受け取れるよう、契約で決めておくと安心です。
他人の依頼を受けて報酬を得て、官公署に出す書類を作ることは、原則として行政書士の仕事です。書類の作成まで頼むときは、誰が作るのかを確かめましょう。
よくある質問
- 民泊の届出に必要な書類は誰でも同じですか?
- 同じではありません。個人か法人か、借りている家か、分譲マンションか、管理業者に委託するかで変わります。
- 届出は家ごとに1回ですか?
- 届出は民泊をする住宅ごとに行います。台所、浴室、便所、洗面設備がそろった単位が、届け出る最小の単位です。
- 民泊の届出はどこに出しますか?
- 住宅のある場所を管轄する都道府県知事等です。保健所を置く市や東京23区などでは、市や区が窓口になることがあります。
- 民泊の届出は紙でもできますか?
- 原則は民泊制度運営システムを使います。紙で出せるかは、届出先の自治体に確かめてください。
- 届出をすればすぐに営業できますか?
- 営業を始められる時期は、届出先の自治体に確かめてください。標識の掲示や運営の体制は、営業を始める前に整えておきます。
- 定期報告を忘れるとどうなりますか?
- 定期報告は法律上の義務です。自治体から指導などを受けるおそれがあるので、管理業者と役割を決めておきましょう。
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まとめ
- 民泊の届出は、住宅のある都道府県知事等に、原則として民泊制度運営システムで行う
- 流れは、住宅の条件、条例と規約、消防署への相談、書類、届出、届出番号と標識、定期報告の7ステップ
- 添付書類は、個人か法人か、借家か分譲マンションかで変わる
- 届出後は、名簿の3年保存と、偶数月15日までの報告が続く
- 内容が変わったときや、やめるときも届出が必要




