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空室対策

高齢者向け賃貸で空室を埋める考え方|募集の工夫・部屋の整え方・支えの仕組み

オーナー収益革命 編集部

高齢者向け賃貸で空室を埋める考え方|募集の工夫・部屋の整え方・支えの仕組み

空室が続く物件を、高齢の方に選ばれる部屋にするための考え方をまとめます。どの部屋が向くか、募集で何を伝えるか、不安を支える国の仕組みと、よくある失敗までを順に説明します。

結論

  • 高齢者向けの賃貸で空室を埋めるには、「高齢の方が住みやすい部屋か」「大家の不安を支える仕組みがあるか」「それを募集で伝えているか」の3つをそろえることが近道です。
  • 総務省統計局が2026年9月20日に公表した推計では、65歳以上の人口は3,624万人で、総人口に占める割合は29.6%と過去最高です。部屋を探す高齢の方は、空室対策で見落とせないお客さまです。
  • 見守りや家賃の保証は、住宅セーフティネット制度の居住サポート住宅や認定家賃債務保証業者など、国の仕組みで分けて任せられる場合があります。

「単身向けの部屋が何か月も埋まらない」。「問い合わせはあるのに、申し込みにつながらない」。空室に悩むとき、募集の対象を広げることは大事な打ち手です。

その中で、高齢の方は意外と見落とされがちです。大家さんの側に「もしものときが心配」という気持ちがあり、最初から対象に入れていないことがあるためです。

この記事では、高齢者向けの賃貸で空室を埋める考え方を、部屋の整え方・募集の伝え方・不安を支える仕組みの順に説明します。受け入れの制度だけでなく、「選ばれる部屋」にする工夫に重点を置きます。

高齢者向け賃貸で空室を埋めるとは

高齢者向け賃貸で空室を埋めるとは、高齢の方が住みやすい部屋と、大家が安心して貸せる仕組みを用意し、それを募集の段階で伝えることです。特別な建物を建てる話ではありません。

今ある部屋でも、少しの手直しと伝え方の工夫で、高齢の方に選ばれやすくなることがあります。ポイントは、入居を「断らない」だけでなく、「選んでもらえる」形にすることです。

なぜ空室対策になるのか

総務省統計局の推計では、65歳以上の人口は3,624万人です。総人口に占める割合は29.6%で、過去最高となりました。

高齢の方の中には、持ち家からの住み替えや、家族と離れての一人暮らしなどで部屋を探す方がいます。こうした方を最初から対象に入れていない物件は、それだけ募集の幅をせまくしていることになります。

空室対策の全体像は「空室対策」で整理しています。この記事はその中の「対象を広げる」打ち手を深く説明するものです。

高齢の方に向く部屋・向かない部屋

向きやすい部屋の特徴

高齢の方に向くかどうかは、建物の新しさより、日々の動きやすさで決まることが多くあります。次のような部屋は向きやすいと考えられます。

  • 1階や、エレベーターのある建物の部屋
  • 玄関から部屋までの段差が少ない
  • 浴室やトイレが部屋の近くにある
  • 近くにスーパー、病院、バス停などがある
  • 管理会社や大家と連絡を取りやすい

向きにくい部屋と、その理由

エレベーターのない建物の上の階は、階段の上り下りが負担になります。ロフト付きの部屋や、玄関に大きな段差がある部屋も向きにくいでしょう。

ただし、向きにくいからといって、すぐにあきらめる必要はありません。同じ建物の中に1階の空室があれば、そちらを高齢の方向けの部屋として整える方法があります。

部屋の整え方の比較

手直しの例ねらい考えること
手すりを付ける玄関・トイレ・浴室での転倒を防ぐ壁の下地や、退去後に残すかを決める
段差を減らすつまずきを防ぐ工事の範囲と費用を見積もる
照明を明るくする夜の移動をしやすくする電球の交換など小さく始められる
室内の温度差を減らす冬の浴室などの寒さをやわらげる設備の入れ替えは費用が大きい
見守りの機器を入れるもしものときに早く気づく入居者の同意と、だれが見るかを決める

手直しの費用は物件や工事の範囲によって違います。まずは小さく始められるものから考えると、空室期間を長引かせずにすみます。

見守りの機器を入れる場合は、入居者の同意を得てから使います。記録をだれが見て、何かあったときにだれが動くかも、先に決めておきます。

大家の不安を分けて考える

不安は大きく4つ

高齢の方の入居で大家さんが心配するのは、主に次の4つです。

  1. ひとりで体調をくずしたとき、気づけないのではないか
  2. 家賃の支払いが続かなくなるのではないか
  3. 亡くなったあと、契約や荷物はどうなるのか
  4. 事故物件になってしまうのではないか

不安をひとまとめにすると、「やめておこう」となりがちです。分けて考えると、それぞれに使える仕組みや相談先があることが見えてきます。

住宅セーフティネット制度とは

住宅セーフティネット制度とは、高齢者や障害者、子育て世帯など、住まいを確保することに配慮が必要な方(住宅確保要配慮者)の入居を進めるための国の制度です。国土交通省が案内しています。

要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅は、「セーフティネット登録住宅」として、都道府県・政令市・中核市に登録できます。登録の相談は、物件のある自治体の窓口に行います。

改正法でできた2つの仕組み

改正住宅セーフティネット法は、2025年(令和7年)10月1日に施行されました。大家さんの不安に関わる仕組みとして、次の2つがあります。

  • 居住サポート住宅:居住支援法人等が大家と連携し、日常の安否確認、訪問などによる見守り、生活や心身が不安定になったときの福祉サービスへのつなぎを行う住宅
  • 認定家賃債務保証業者:要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者として、国土交通大臣が認定するもの

居住サポート住宅でサポートを行うのは、居住支援法人だけではありません。社会福祉法人、NPO法人、管理会社なども担えるとされています。今の管理会社に、こうした取り組みをしているかを聞いてみるのも一つの方法です。

ポイント

  • 高齢の方に向くのは、1階やエレベーターのある、段差の少ない部屋
  • 大家の不安は「気づけない・家賃・亡くなったあと・告知」の4つに分ける
  • 見守りは居住サポート住宅、家賃は認定家賃債務保証業者などに任せられる場合がある
  • 改正住宅セーフティネット法は2025年10月1日に施行された

募集で伝えること

「高齢の方も歓迎」を言葉にする

受け入れる準備ができても、募集の情報に書かれていなければ、相手には伝わりません。高齢の方やその家族は、「年齢で断られるかもしれない」と思い、問い合わせ自体を遠慮していることがあります。

募集の情報には、次のようなことを具体的に書きます。

  • 高齢の方の入居を歓迎していること
  • 1階であること、段差が少ないこと、手すりがあること
  • 近くの病院やスーパー、バス停までの道のり
  • 見守りの仕組みや、相談できる窓口があること

家族にも届く伝え方にする

高齢の方の部屋探しでは、子どもなどの家族が一緒に探したり、代わりに問い合わせたりすることがあります。家族が知りたいのは、「親がひとりで暮らしても大丈夫か」という点です。

内見のときは、玄関から浴室までの動きを一緒にたどってもらうと、住んだあとの様子を想像してもらいやすくなります。写真にも、段差の少ない玄関や手すりの位置を入れておくと伝わりやすくなります。

仲介会社・管理会社に方針を伝える

大家さんが受け入れる方針でも、仲介会社や管理会社が知らなければ、高齢の方を紹介してもらえません。「高齢の方も検討する」「保証や見守りの仕組みも使う」と、方針をはっきり伝えておきます。

入居審査で何を見るかは「入居審査のポイント」で整理しています。年齢だけで決めず、支払いや連絡の手段など、確かめるべき点を決めておきます。

もしものときの告知と、退去のときの備え

人の死の告知のガイドライン

国土交通省は、2021年(令和3年)10月8日に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しました。自然死や、転倒事故・誤嚥など日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてもよいとされています。

賃貸の場合、それ以外の死が起きたときは、事案の発生から概ね3年が過ぎた後は、原則として告げなくてもよいとされています。告知の扱いは事情によって変わるため、実際に起きたときは仲介会社や管理会社と相談します。

早く気づける仕組みがいちばんの備え

告知のことを心配するより、まず大切なのは「早く気づけること」です。見守りの仕組みがあれば、体調の変化に気づきやすくなります。もしものときも、早く対応できます。

退去のときの原状回復

長く住んでもらった部屋は、退去のときに年数なりの傷みが出ます。だれがどこまで負担するかは「原状回復のガイドライン」の考え方を土台にして、契約のときに説明しておきます。

場面の例とよくある失敗

場面の例:築年数のたったアパートの1階

築年数のたったアパートで、1階の部屋が半年ほど空いている場面を考えます。駅から少し遠い一方で、近くにバス停とスーパーがあります。

この場合、まず玄関とトイレに手すりを付け、照明を明るくするなど、小さな手直しから考えます。次に、管理会社に見守りや家賃保証の仕組みを使えるかを確かめます。最後に、募集の情報に「高齢の方も歓迎」「1階・段差が少ない」「バス停とスーパーが近い」と書き足します。

よくある失敗

  • 受け入れる方針なのに、募集の情報に書いていない
  • 仲介会社に方針を伝えておらず、紹介が来ない
  • 手直しを大きく考えすぎて、空室期間がのびる
  • 見守りの機器を、入居者の同意なしに入れようとする
  • 年齢だけで判断し、支払いや連絡の手段を確かめていない

始める前のチェックリスト

  • 高齢の方に向く部屋(1階・エレベーターあり・段差が少ない)はあるか
  • 手すりや照明など、小さく始められる手直しはあるか
  • 家賃の保証を、要配慮者に対応する業者に頼めるか
  • 見守りを頼める居住支援法人や管理会社があるか
  • 募集の情報と写真に、住みやすさを書いているか
  • 仲介会社と管理会社に、受け入れの方針を伝えたか

よくある質問

高齢者向けにするには、大きなリフォームが必要ですか?
必ずしも必要ではありません。手すりや照明など小さな手直しから始め、空室期間を長引かせないことが大切です。
高齢の方の家賃の支払いが心配です。
要配慮者が利用しやすい認定家賃債務保証業者の制度があります。管理会社や保証会社に、使える仕組みを確かめましょう。
見守りはだれに頼めますか?
居住サポート住宅では、居住支援法人のほか、社会福祉法人、NPO法人、管理会社なども見守りを担えます。地域の居住支援法人や管理会社に相談します。
セーフティネット登録住宅にすると、何か制約はありますか?
国の改修費の補助を受けた住宅は、10年間、入居者を住宅確保要配慮者に限って管理する必要があります。補助の中身は自治体によって違うため、物件のある自治体に確かめます。
高齢の方が部屋で亡くなったら、必ず告知が必要ですか?
国土交通省のガイドラインでは、自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてもよいとされています。事情によって扱いが変わるため、仲介会社と相談します。

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家賃の保証のしくみは「家賃保証とサブリースの違い」、管理を任せるかどうかは「賃貸管理と自主管理の違い」で説明しています。今の管理会社が高齢の方の受け入れに前向きでない場合は「管理会社の変更」も参考になります。相談先は「会社一覧」から探せます。空室の活かし方をまとめて相談したい場合は「一括相談の説明」をご覧ください。

まとめ

  • 高齢者向け賃貸で空室を埋めるには、住みやすい部屋・支えの仕組み・募集での伝え方の3つをそろえる
  • 65歳以上の人口は3,624万人、総人口の29.6%で、見落とせないお客さま
  • 1階や段差の少ない部屋を選び、手すりや照明など小さな手直しから始める
  • 見守りは居住サポート住宅、家賃は認定家賃債務保証業者などに任せられる場合がある
  • 「高齢の方も歓迎」と募集の情報に書き、仲介会社と管理会社にも方針を伝える

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