賃貸のゴミ出しトラブルはどう防ぐ?オーナーがする予防と起きたときの対応

分別されないゴミや収集日以外のゴミ出しは、入居者どうしの不満や近隣からの苦情につながります。オーナーと管理会社がする予防、起きたときの対応の順番、言ってはいけないことを整理します。
結論
- 賃貸のゴミ出しトラブルは、分別の不足、収集日以外のゴミ出し、粗大ごみの放置、外部からの持ち込みの4つが主な形です。
- 予防の基本は、入居のときにルールを書面で渡すこと、ゴミ置き場に自治体のルールを分かりやすく掲示すること、置き場を清潔に保つことです。
- 自治体によっては、集合住宅のゴミ集積所の清掃を建物の所有者や管理会社に求め、分別されないゴミで埋もれた状態が続くと収集を止めることがあります。
- 起きたときは、全体への注意 → 事実の記録 → 個別の連絡 → 契約にもとづく対応の順で進めます。持ち主を決めつけてゴミを開けたり、張り紙で名指ししたりはしません。
「ゴミ置き場に、収集されなかった袋がずっと残っている」。「隣の家から、アパートのゴミが散らかっていると苦情が来た」。アパートやマンションを持つオーナーにとって、ゴミ出しは身近で、しかもこじれやすい問題です。
ゴミ置き場が汚れると、今の入居者が不満を持つだけではありません。内覧に来た人の印象も悪くなり、空室にも影響します。
この記事では、ゴミ出しトラブルの種類、オーナーと管理会社がする予防、起きたときの対応の順番を説明します。
賃貸のゴミ出しトラブルとは
主な4つの形
| 形 | よくある例 | 起きやすい原因 |
|---|---|---|
| 分別の不足 | 資源ごみと燃やすごみが混ざり、回収されずに残る | ルールを知らない、表示が分かりにくい |
| 日時を守らない | 収集日の前の晩や、収集が終わった後に出す | 勤務時間と合わない、収集日を知らない |
| 粗大ごみの放置 | 家具や家電が置き場に置かれたままになる | 申し込みの手順を知らない、退去時に置いていく |
| 外部からの持ち込み | 通行人や近所の人がゴミを置いていく | 置き場が道路から見え、出入りが自由 |
なぜオーナーの問題になるのか
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第5条は、土地や建物の占有者に、その土地や建物の清潔を保つよう努めることを求めています。占有者がない場合は、管理者が対象です。共用のゴミ置き場は、入居者だけでなく、建物を管理する側の問題でもあります。
自治体の扱いの例として、東京都小金井市は、アパートやマンションのゴミ集積所は建物所有者もしくは管理会社が責任を持って清掃するよう求めています。分別されないゴミで集積所が埋もれた状態が続くと、改善されるまで収集を止める場合があるとしています。
一方、東京都江東区は、集積所はそれを利用する住民で自主的に維持管理するとしています(江東区清掃リサイクル条例第34条第2項)。だれが何をするかは自治体によって違うため、物件のある自治体の案内を確かめましょう。
ゴミ出しトラブルの予防
入居のときにすること
- ゴミの分け方と収集日の一覧(自治体が配るもの)を、契約のときに渡す
- 粗大ごみの申し込み方法と、退去のときの家具の処分方法を伝える
- ゴミ置き場の場所と、使い方のルールを口頭でも説明する
- 外国の方には、自治体が用意している外国語の案内があれば一緒に渡す
外国の方の入居では「外国人の入居の受け入れ」も参考にしてください。
置き場の掲示と設備
- 自治体の分け方と収集日を、置き場の見やすい位置に掲示する
- 絵や写真を使い、言葉が分からなくても伝わるようにする
- カラスや猫に荒らされないよう、ネットや扉付きの箱を用意する
- 道路から自由に入れる場合は、囲いや扉で外部の持ち込みを減らす
- 収集されずに残ったゴミの扱いを、管理会社と決めておく
収集の時間は自治体によって違います。例えば小金井市は収集日の午前8時30分まで、江東区は収集日の朝8時までに出すよう案内しています。掲示は、物件のある自治体の決まりに合わせます。
契約書に書いておくこと
民法第616条が準用する第594条第1項は、借主は契約や物の性質で定まった用法に従って使わなければならないと定めています。ゴミ出しのルールを守ることを、契約書や使用細則にはっきり書いておくと、後で注意するときの根拠になります。契約書の形は「賃貸住宅の標準契約書」で説明しています。
ポイント
- ルールは契約のときに書面で渡し、置き場にも掲示する
- 置き場の清掃をだれがするかは、自治体の案内で確かめる
- ネット・扉・囲いで、荒らされる・持ち込まれるを減らす
- ゴミ出しのルールを契約書や使用細則に書いておく
ゴミ出しトラブルが起きたときの対応
対応の順番
- 置き場の状態を写真で記録する(日付と、どのゴミが残ったか)
- 全員に向けて、ルールを改めて知らせる掲示や書面を出す
- 同じことが続くときは、管理会社と相談し、出した人が分かる事実があるかを確かめる
- 出した人がはっきりしている場合は、その人だけに、書面か面談で丁寧に伝える
- それでも直らない場合は、契約にもとづく注意を書面で出す
- 長く続き、他の入居者の生活に大きな支障が出ている場合は、専門家に相談する
最初から個人を責めず、全体への注意から始めるのが基本です。入居者からの苦情の受け方は「入居者のクレーム対応」にまとめています。
してはいけないこと
- 袋を開けて中の郵便物などから持ち主を探し、名指しで責める
- 張り紙に部屋番号や名前を書いて、ほかの入居者に分かるようにする
- 確かめずに「あの人だ」と決めつけ、他の入居者に話す
- 分別されていないゴミを、入居者の部屋の前に戻す
袋の中の書類には、個人の情報が含まれます。持ち主を探す必要があるときも、オーナーが一人で開けて調べず、管理会社や自治体に相談しましょう。
外部の人がゴミを置いていくとき
不法投棄にあたることも
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第16条は、だれであっても、みだりに廃棄物を捨ててはならないと定めています。違反して捨てた人は、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、またはその両方の対象になります(同法第25条第1項第14号)。
見つけたときにすること
同法第5条第2項は、土地の所有者などが、他の人に不適正に処理された廃棄物と思われるものを見つけたときは、速やかに都道府県知事か市町村長へ通報するよう努めることを求めています。外部からの持ち込みが続くときは、自治体の清掃の窓口に相談し、置き場の位置や囲いも見直しましょう。
入居者への知らせ方と管理会社との分担
全体に配る案内の書き方
全員に向けた案内は、責める調子ではなく、事実とお願いを短く書きます。次の順に書くと伝わりやすくなります。
- 何が起きているか(例:収集日の前の晩に出されたゴミが荒らされている)
- 困っていること(例:近隣の方から苦情がある、置き場が不衛生になっている)
- 守ってほしいルール(収集日、時間、分け方)
- 分からないときの問い合わせ先(管理会社の電話番号など)
部屋番号や「一部の方が」など、特定の人を思わせる書き方は避けます。ほかの入居者が犯人探しを始めると、入居者どうしの関係が悪くなるためです。
管理会社に任せているときの確認点
- ゴミ置き場の清掃や見回りが、管理委託の契約に入っているか
- 見回りの回数と、収集されずに残ったゴミをだれが片付けるか
- 入居者への注意の書面を、どの段階でだれの名前で出すか
- 近隣からの苦情を、だれが受けてオーナーにいつ伝えるか
契約に入っていない作業は、別に頼むと費用がかかることがあります。料金は会社によって違うため、見積もりで確かめましょう。管理委託の契約の見直しは「管理委託契約の解約」も参考になります。
シェアハウスや民泊に変えるとき
シェアハウスは入居者の入れ替わりが多く、ゴミのルールが伝わりにくい住まい方です。共用部の決まりの作り方は「シェアハウスのルールと契約」で説明しています。
退去のときの粗大ごみと残されたもの
退去の立ち会いで確かめる
退去のときに家具や家電が残されると、処分の手間と費用が問題になります。退去の連絡を受けたら、粗大ごみの申し込みには日数がかかることがあると早めに伝えます。立ち会いの進め方は「退去の立ち会い」をご覧ください。
勝手に捨てない
退去後に残されたものでも、持ち主の承諾なく処分すると、後で争いになることがあります。契約書の定めを確かめ、管理会社と相談して進めます。
場面で考えるゴミ出しトラブル
場面の例
Cさんの木造アパートでは、収集日の前の晩にゴミが出され、カラスに荒らされることが続きました。Cさんは管理会社と相談し、扉付きのゴミ箱を置き、収集日と時間を絵入りで掲示しました。全戸に改めてルールを配ったところ、散らかる日が減りました。
判断の分かれ道
| 状況 | まずすること |
|---|---|
| 1回だけ分別されていない | 全体への掲示で知らせる |
| 同じ種類の違反が続く | 記録をとり、管理会社と原因を考える |
| 出した人がはっきりしている | 本人にだけ、丁寧に書面か面談で伝える |
| 近隣から苦情が来た | 謝って状況を聞き、置き場を見直す |
| 外部からの持ち込み | 自治体に相談し、囲いや扉をつける |
言葉の言い換え
- 集積所:ゴミを収集車が回収するために集めておく場所
- 使用細則:建物の使い方のこまかいルールを書いた書面
- 占有者:その土地や建物を実際に使っている人
- 不法投棄:決められた場所や方法によらずにゴミを捨てること
よくある失敗
- 苦情が来てから初めて、自治体の分け方を調べる
- 掲示が古いまま残り、収集日の変更が入居者に伝わっていない
- 散らかった置き場を放置し、さらにゴミが置かれやすくなる
- 管理会社と役割を決めておらず、だれも片付けない日が続く
よくある質問
- アパートのゴミ置き場の掃除はだれがするのですか?
- 自治体によって扱いが違います。建物所有者や管理会社に清掃を求める自治体もあるため、物件のある自治体の案内と管理委託の契約内容を確かめましょう。
- ゴミの分別をしない入居者に退去を求められますか?
- 1回の違反で退去を求めるのは難しいのが通常です。注意を重ねても直らず、他の入居者の生活に大きな支障が出ている場合は、専門家に相談しましょう。
- ゴミ袋を開けて出した人を探してもいいですか?
- 中の書類には個人の情報が含まれるため、オーナーが一人で開けて調べることは避けましょう。管理会社や自治体に相談します。
- 外部の人が捨てたゴミはどうすればいいですか?
- 写真で記録し、自治体の清掃の窓口に相談します。法律は、他の人が不適正に捨てたゴミを見つけた土地の所有者に、通報するよう努めることを求めています。
- ゴミ出しのルールは契約書に書くべきですか?
- 書いておくと、注意するときの根拠になります。自治体の分け方の一覧も、契約のときに一緒に渡しましょう。
管理を任せるか迷ったら
ゴミ置き場の見回りや入居者への連絡を自分で続けるのが難しいときは、管理会社に任せる方法があります。違いは「管理会社と自主管理の違い」、会社の選び方は「管理会社の選び方」で説明しています。地域の会社は会社の一覧から探せます。まとめて相談もご利用ください。
まとめ
- 賃貸のゴミ出しトラブルは、分別不足・日時を守らない・粗大ごみの放置・外部の持ち込みが主な形
- 予防は、契約のときの書面、置き場の掲示、ネットや扉などの設備
- 集積所の清掃をだれがするかは自治体で違うため、物件のある自治体の案内を確かめる
- 起きたときは記録 → 全体への注意 → 個別の連絡 → 契約にもとづく対応の順で進める
- 袋を開けて名指ししたり、張り紙で部屋番号を出したりしない




