空き家の管理方法とは?自分でする点検項目と頻度の決め方、管理代行の確認点

空き家は、人が住む家より傷みに気づきにくく、放っておくと急に傷みが進みます。自分で管理するときの点検項目と頻度の決め方、管理代行に任せるときに契約で確かめる点を整理します。
結論
- 空き家の管理方法の基本は、定期的に見回って点検し、換気・通水・清掃をして、傷みを見つけたら早めに直すことです。
- 点検は「室内」「建物の外まわり」「敷地とご近所」の3つに分けると漏れが減ります。
- 頻度は決まった回数ではなく、建物の古さ・季節・地域・遠さで決め、大雨や台風、地震の後は臨時に見に行きます。
- 自分で通えないときは管理代行に任せられます。作業の中身と頻度、報告の方法、責任の範囲を契約書で確かめます。
「実家が空き家になったけれど、何をどこまでやればいいのか分からない」。こうした声はとても多く聞かれます。
住む人がいない家は、雨漏りや水漏れに気づく人がいません。小さな傷みが、次に行ったときには大きくなっていることもあります。
この記事では、自分で管理するときの点検項目と、頻度の決め方を順に整理します。通えない方のために、管理代行に任せるときの確認点もまとめます。
空き家の管理とは
空き家の管理の意味
空き家の管理とは、住む人がいない家を、傷みや周りへの迷惑が出ない状態に保つための見回りと手入れのことです。点検・換気・通水・清掃・草木の手入れ・郵便物の整理などが含まれます。
管理はだれの役目か
国土交通省のガイドラインでは、空き家は私有財産で、管理は所有者などが自ら行うのが原則とされています。空家法の第5条にも、所有者などの責務として、周りの生活環境に悪い影響を与えないよう適切に管理することが定められています。
2023年12月に施行された改正空家法では、周りに悪い影響が出る前の段階から、適切に管理することが求められるようになりました。
放っておくとどうなるか
国土交通省のガイドラインは、空き家は不具合が見つかりにくく、傷みが早く進む傾向にあると説明しています。雨漏りから柱が腐る、排水口のにおいが上がる、庭木が隣にはみ出す、といったことが起こりえます。
管理が行き届かず市区町村から勧告を受けると、固定資産税の軽減が外れることもあります。詳しくは管理不全空家と固定資産税をご覧ください。
空き家の管理方法:自分でするときの点検項目
東京都の空き家の案内では、点検をできるだけこまめに行うこと、大雨・台風・地震の後は必ず行うことが勧められています。点検の項目は、次の3つに分けると整理しやすくなります。
室内の点検
- 鍵がかかっているか、窓や勝手口が壊されていないか
- 窓を開けて換気する。押し入れや収納の戸も開けて空気を入れ替える
- 台所・洗面・浴室・トイレの排水口に水を流す(通水)
- 天井や壁に雨漏りのしみ、カビが出ていないか
- 水道メーターが動いていないか(どこかで水が漏れていないか)
- 床のきしみや沈み、虫やネズミのあとがないか
建物の外まわりの点検
- 屋根や外壁にはがれ、ひび、浮きがないか
- 雨どいやバルコニーの排水口が詰まっていないか
- ブロック塀にぐらつきやひび割れがないか
- 門や塀、屋外の階段が傷んでいないか
敷地とご近所の確認
- 郵便受けにチラシや郵便物がたまっていないか
- 庭木や雑草が隣の土地や道路にはみ出していないか
- ごみが捨てられていないか
- ご近所にあいさつし、迷惑がかかっていないか聞く
「通水」をする理由
排水口の奥には、水がたまって下水のにおいや虫を止める部分(封水)があります。長く使わないと、この水が蒸発して乾き、においが上がってきます。見回りのたびに水を流しておくと防げます。
ポイント
- 室内は「鍵・換気・通水・雨漏り・水漏れ」の5つを毎回見る
- 外まわりは屋根・外壁・雨どい・塀の4か所を、下から目で見て確かめる
- 郵便物と庭木は、ご近所から「空き家だ」と分かりやすい目印になる
- 見た日と気づいたことを、写真と一緒に記録しておく
空き家の管理の頻度はどう決める?
決まった回数はない
空き家の見回りの回数を決めた法律はありません。国土交通省のガイドラインも、一定の頻度で点検することを求めつつ、具体的な回数は物件の状況に応じて決めるという考え方です。
そこで、自分の空き家に合う回数を、次のような点から考えます。
| 考える点 | 回数を増やしたほうがよい例 | 少なめでも様子を見やすい例 |
|---|---|---|
| 建物の古さ | 古い木造、雨漏りの心配がある | 築年数が浅く、傷みが少ない |
| 季節 | 梅雨・台風の時期、雪の多い冬 | 天気の落ち着いた時期 |
| 地域 | 雪が多い、湿気が多い、木が多い | 風通しがよく、草木が少ない |
| 周りの様子 | 人通りが少ない、隣家と近い | 近所に様子を見てくれる人がいる |
| 先の予定 | 近く売る・貸す予定がある | まだ決めていない |
臨時に見に行くとき
国土交通省のガイドラインが引く管理の指針では、地震・強風・大雨・大雪の後に、傷みが出ていないかを確かめる必要があるとされています。強風や大雨の前にも、はがれかけた部分がないか確かめておくのが望ましいとされています。
台風の予報が出たら、前に一度、通り過ぎた後にもう一度。こうした「天気に合わせた見回り」を決めておくと安心です。
場面の例
Aさんは、車で片道2時間かかる実家を相続しました。毎回は通えないため、暖かい時期は回数を減らし、梅雨と台風の時期、雪が降る前だけ回数を増やすことにしました。お隣に連絡先を渡し、気になることがあれば電話をもらう約束もしました。
このように、季節とご近所の協力を組み合わせると、無理なく続けられる回数が見えてきます。
電気・水道・ガスはどうする?
国土交通省のガイドラインでは、電気と水道を止めるか続けるかは、物件の状況によって判断するとされています。
| 設備 | 続けるときの考え方 | 止めるときの考え方 |
|---|---|---|
| 電気 | 照明や防犯の機器を使うなら通電しておく | 漏電の心配を減らせる |
| 水道 | 通水や掃除に水が使える | 水を持って行けば封水には足りる |
| ガス | 管理で使うことは少ない | 閉栓が一般的。プロパンはボンベを外す |
電気や水道を続けると、漏電・漏水の心配と料金の支払いが続きます。寒い地域では、冬だけ水道を閉めて水抜きをしておくことも必要とされています。
自分で管理するときのよくある失敗
換気だけして、排水口を忘れる
窓を開けて満足し、排水口に水を流し忘れる例です。次に来たとき、家じゅうに下水のにおいがこもっていることがあります。
外から見るだけで、室内に入らない
外観がきれいでも、天井裏の雨漏りは室内に入らないと分かりません。短い時間でも、各部屋を回って天井と床を見ます。
記録を残さない
いつ何を見たかが分からないと、傷みが進んだのかどうかを比べられません。同じ場所を同じ向きで写真に撮っておくと、変化に気づきやすくなります。
家財や貴重品を置いたままにする
貴重品や大切な書類を置いたままだと、盗難のときに困ります。早めに持ち出しておきましょう。
見回りの持ち物チェックリスト
- 家の鍵と、門や物置の鍵
- 通水用の水(水道を止めている場合)
- ほうき・ちりとり・ごみ袋・軍手
- 写真を撮るためのスマートフォン
- 前回の記録(気づいたことのメモ)
- ご近所に渡す連絡先のメモ
毎回同じ道具で同じ順に回ると、見落としが減り、時間も読みやすくなります。
管理代行に任せるときの確認点
管理代行とは
管理代行(空き家管理サービス)とは、所有者に代わって見回り・点検・換気などを行うサービスです。東京都の案内では、不動産会社・管理会社・工務店・造園業者・警備会社・NPO法人など、さまざまな事業者が手がけているとされています。
契約書で確かめること
国土交通省の「不動産業者による空き家管理受託のガイドライン」(2024年6月)は、契約を結ぶときに契約内容を書いた書面を渡すことが望ましいとし、契約書で定める事項の例を挙げています。所有者の側から見ると、次の点を確かめておくと安心です。
- 作業の対象:どの建物・付属の施設・庭までを見るか
- 作業の中身と頻度:何を、何回するか。回数が書いてあるか
- 報告の方法:作業ごとに写真や文章で報告があるか
- 責任の範囲:作業中や作業外で損害が出たとき、だれが責任を負うか
- 電気・水道・ガス:止めるか続けるか、料金はだれが払うか
- 家財の扱い:運び出せない家財をどうするか
- 再委託:ほかの業者に作業を回すことがあるか、その相手はだれか
- 契約期間:始まりと終わり、更新と解約の方法
- 個人情報の扱い
報酬について
管理代行の料金は、会社・物件・作業の中身によって違います。同じ「月1回の見回り」でも、室内に入るか、外から見るだけかで中身は大きく変わります。東京都の案内でも、複数の業者から見積もりをとることが勧められています。金額だけでなく、作業の中身を並べて比べましょう。
災害の後の対応
ガイドラインでは、災害の後の状況を前もって読み切るのは難しいため、災害後の対応を「別の作業」として扱うことも考えられるとされています。台風や地震の後に見に行ってもらえるのか、その費用はどうなるのかを、契約の前に聞いておきます。
損害が出たときの責任の決め方は、契約によって違います。受託者に過失がある場合だけ責任を負う、と定める例もあります。契約書の該当する条文を、署名の前に読んでおきましょう。
自分で管理するか、任せるかの分かれ道
自分で管理しやすい人
- 空き家まで無理なく通える
- 季節ごとに時間をとれる
- ご近所に頼れる人がいる
任せたほうがよい人
- 遠方に住んでいて、移動に時間がかかる
- 体力的に屋根や庭の確認が難しい
- 仕事や介護で予定が立てにくい
国土交通省のガイドラインは、所有者が自ら管理するのが難しい場合、第三者に委託することも有力な選択肢だとしています。
管理のその先も考える
管理はあくまで「つなぎ」です。使う予定がないまま何年も管理を続けると、手間と費用がかかり続けます。売る・貸す・活かすの選び方は空き家の活用方法で、地域の買い手や借り手を探す方法は空き家バンクへの登録で詳しく紹介しています。
よくある質問
- 空き家の管理は義務ですか?
- 空家法の第5条で、所有者などは周りに悪い影響を与えないよう適切に管理するよう努めることとされています。管理が行き届かず市区町村から勧告を受けると、固定資産税の軽減が外れることがあります。
- 空き家の見回りは月に何回必要ですか?
- 法律で決まった回数はありません。建物の古さ・季節・地域・遠さで決め、大雨や台風、地震の後は臨時に見に行きます。
- 空き家の水道や電気は止めたほうがいいですか?
- 物件の状況によります。続けると通水や防犯に使えますが、漏水・漏電の心配と料金が続きます。寒い地域では冬だけ水抜きをする方法もあります。
- 空き家の管理代行の料金はいくらですか?
- 会社・物件・作業の中身によって違います。複数社の見積もりをとり、作業の回数と報告の方法まで並べて比べましょう。
- 遠方の空き家を自分で管理できないときはどうすればいいですか?
- 管理代行に任せるか、ご近所や親せきに様子を見てもらう方法があります。あわせて、売る・貸すなど空き家のままにしない方法も考えておきましょう。
管理の相談と活かし方の相談先
管理を続けるか、売るか貸すかで迷うときは、会社一覧から地域の会社を探せます。売却の相談は売買の会社、貸し方の相談はシェアハウスの会社や民泊の会社も見てみてください。複数の会社にまとめて聞きたい方は、一括相談をご利用いただけます。
まとめ
- 空き家の管理方法の基本は、定期的な点検・換気・通水・清掃と、早めの修繕です
- 点検は「室内」「外まわり」「敷地とご近所」に分け、毎回の記録を写真で残します
- 頻度に決まった回数はなく、建物・季節・地域・遠さで決め、災害の後は臨時に見ます
- 電気・水道・ガスは、続ける利点と漏電・漏水の心配を比べて決めます
- 管理代行は、作業の中身と頻度、報告、責任の範囲を契約書で確かめます
- 管理は「つなぎ」。売る・貸す・活かすの方針も並行して考えましょう




