サブリースのトラブルの相談先は? 国交省の申出制度・188・法テラスの使い分け

サブリースのトラブルは、困りごとの中身によって相談先が変わります。この記事では、国土交通省への申出、消費者ホットライン188、法テラスなどの窓口の違いと、相談の前にそろえる資料を整理します。
結論
- サブリースのトラブルの相談先は、大きく4つです。法律違反を国に知らせる「国土交通省への申出」、身近な相談窓口につながる「消費者ホットライン188」、法的な問題の案内をする「法テラス」、賃貸経営の団体の相談窓口です。
- 賃貸住宅管理業法35条では、だれでも国土交通大臣に申し出て、適当な措置を求めることができます。被害を受けた本人でなくてもかまいません。
- どの窓口に相談するときも、契約書・重要事項説明書・広告・やりとりの記録をそろえておくと、話が早く進みます。
「家賃を下げると言われた。断ったら解約すると言われた」。「説明と違う修繕費を請求された」。サブリースのトラブルは、相手が会社で、自分ひとりでは言い返しにくいものが多くあります。
困ったとき、まず悩むのが「どこに相談すればよいか」です。国の窓口、消費生活センター、弁護士、業界団体と、名前は聞いても役割の違いは分かりにくいものです。
この記事では、サブリースのトラブルの相談先を役割ごとに整理します。そのうえで、困りごと別の選び方と、相談の前にそろえる資料、よくある失敗を説明します。
サブリースのトラブルの相談先とは
サブリースのトラブルの相談先とは、オーナーとサブリース会社の間で起きた問題について、助言や案内、行政の対応を求められる窓口のことです。窓口ごとに「できること」が違います。
サブリースは、オーナーが建物をサブリース会社に貸し、その会社が入居者に又貸しする仕組みです。オーナーと会社の契約は、賃貸住宅管理業法で「特定賃貸借契約」と呼ばれます。一般にはマスターリース契約とも呼ばれます。
法律で決まっているルール
賃貸住宅管理業法は、サブリース会社と勧誘者に次のことを義務づけたり、禁止したりしています。
- 誇大な広告の禁止(28条)
- 不当な勧誘の禁止(29条)
- 契約前の書面の交付と説明(30条)
- 契約を結んだときの書面の交付(31条)
この法律に違反している疑いがあるかどうかで、向いている相談先が変わります。法律の全体は「賃貸住宅管理業法」で説明しています。
主な相談先4つと、それぞれの役割
国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイトでは、申出制度のほかに、次の相談先が案内されています。
| 相談先 | 主な役割 | 向いている困りごと |
|---|---|---|
| 国土交通省への申出 | 法律違反を国に知らせ、措置を求める | 誇大広告、不当な勧誘、説明がなかった |
| 消費者ホットライン188 | 近くの消費生活センター等につなぐ | 契約のトラブル全般、どこに聞けばよいか分からない |
| 法テラス・サポートダイヤル | 法制度や相談機関を案内する | 裁判や弁護士への相談を考えている |
| 賃貸経営の団体の窓口 | 賃貸経営の悩みに助言する | 管理や経営の進め方の相談 |
国土交通省への申出
賃貸住宅管理業法35条では、だれでも、特定賃貸借契約の適正化のために必要と認めるときは、国土交通大臣に申し出て、適当な措置をとるよう求めることができます。申出があると、国は必要な調査を行い、内容が事実と認めるときは措置をとるとされています。
申出は、ポータルサイトにある所定の様式に記入し、メールで送ります。申出人の氏名・住所、会社の名称・所在地、違反の具体的な内容を書きます。
国土交通省は、申出にもとづく調査の状況や結果には答えられないとしています。申出は「国に違反を知らせる」ためのもので、お金を取り戻す手続きではありません。
消費者ホットライン188
消費者ホットラインは、局番なしの188にかけると、地方公共団体の消費生活センター等の相談窓口を案内する全国共通の番号です。郵便番号などを入力すると、近くの窓口につながります。
相談は無料ですが、窓口につながった時点から通話料がかかります。地元の窓口が休みの土日祝日は国民生活センターが補うため、施設点検日や年末年始を除き、原則として毎日使えます。
金融庁・消費者庁・国土交通省の注意喚起の資料では、オーナーが同じ種類の行為を反復継続していない場合、サブリース契約が消費者契約法の消費者契約にあたる場合があるとしています。
法テラスと賃貸経営の団体
法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)は、困りごとに応じて、役に立つ法制度や相談機関を案内します。弁護士への相談を考え始めたときの入口になります。
ポータルサイトでは、全国賃貸住宅経営者協会連合会(ちんたい協会、0570-08-5584)と、日本賃貸住宅管理協会(ウェブでの相談)も案内されています。ちんたい協会は、賃貸借契約など法律に関わる相談は受けられないとしています。
困りごと別の相談先の選び方
家賃の減額を求められた
借地借家法32条により、サブリース会社にも家賃の減額を求める権利があります。まず契約書で、家賃の見直しの時期と方法を確かめましょう。話し合いで折り合わず、裁判も考えるなら、法テラスや弁護士が入口です。契約前に減額の可能性の説明がなかったなら、申出も考えられます。
解約したい、解約すると言われた
オーナーからの解約や更新の拒絶には、借地借家法の正当の事由が必要になる場合があります。一方、会社から解約を言われることもあります。流れは「サブリースの解約」で説明しています。
勧誘や広告がおかしかった
不当な勧誘には、威迫する行為や、迷惑な時間の電話・訪問も含まれます。国土交通省は、一般的には午後9時から午前8時までの電話や訪問がこれにあたるとしています。断ったのに勧誘が続く場合も禁止です。こうした場合は申出が向いています。
相談の前にそろえる資料とチェックリスト
どの窓口でも、まず「何が起きたか」を聞かれます。資料がそろっていると、助言が具体的になります。
- マスターリース契約書と、契約前に受け取った重要事項説明書をそろえる
- 勧誘のときの広告やチラシ、ウェブページの写しを集める
- 家賃の入金記録と、家賃が変わった経過を書き出す
- 会社とのやりとりを、日付・相手の名前・内容の順にメモにする
- 自分がどうしたいか(続けたい、条件を戻したい、やめたい)を一言で書く
ポイント
- 相談先は「違反を知らせたい」「助言がほしい」「法的に争いたい」で選ぶ
- 国への申出は、だれでもできるが、調査の結果は知らされない
- 188は近くの消費生活センター等につながり、相談は無料
- どの窓口でも、契約書と重要事項説明書が出発点になる
よくある失敗
- 電話だけでやりとりし、記録が残っていない
- 会社に言われるまま、家賃の変更の書面に署名してしまう
- ひとつの窓口で「担当外」と言われ、そこで止まってしまう
窓口には得意な分野があります。担当外と言われたら、どこに聞けばよいかを尋ね、次の窓口に進みましょう。
たとえば、家賃の減額を言われたEさん
Eさんは、契約から数年たって、サブリース会社から家賃の減額を求められました。契約前の説明では、減額の話を聞いた覚えがありません。
Eさんはまず重要事項説明書を読み直し、減額の記載があるかを確かめました。次に188に電話し、案内された窓口で話を整理しました。説明が足りなかった疑いが強いと分かり、国への申出と、法テラスへの相談を並べて進めることにしました。
窓口に相談するときの伝え方
話す順番を決めておく
窓口の相談時間は限られています。次の順番で話すと、相手が状況をつかみやすくなります。
- 物件の種類と、サブリースの契約をいつ結んだか
- 今、何が起きているか(家賃の減額、解約の申入れ、修繕費の請求など)
- 契約前に受けた説明と、今の話がどう違うか
- 会社とこれまでにどんなやりとりをしたか
- 自分はどうしたいか
窓口にできること・できないこと
窓口に期待しすぎると、「相談したのに何も変わらない」と感じてしまいます。役割を知っておきましょう。
- 国への申出:違反の調査と措置を求められるが、会社との話し合いの代わりはしない
- 188:相談窓口を案内し、解決に役立つ制度の情報を伝える
- 法テラス:法制度や相談機関を案内し、弁護士に相談する入口になる
- 弁護士:自分の代わりに会社と交渉したり、裁判の手続きをしたりできる
会社と直接話すときの注意
国土交通省のポータルサイトでは、契約前の書面での説明は、記載事項チェックリストの14の項目にもとづいて行うとしています。契約を結んだときにも、家賃や契約期間など13の項目を書いた書面を渡すことになっています。
会社と話すときは、こうした書面のどこに何が書いてあるかを指さしながら確かめましょう。新しい条件を示されたら、その場で署名せず、書面で受け取って持ち帰ることが大切です。
たとえば、解約を言われたIさん
Iさんは、家賃の減額を断ったところ、サブリース会社から契約の解約を申し入れられました。契約書を読み直すと、会社からの解約の定めがありました。
Iさんは、解約されたあとの入居者との契約や、管理の引き継ぎがどうなるかを確かめる必要があると気づきました。そこで、法テラスで弁護士への相談の方法を聞き、あわせて次の管理会社の候補を探し始めました。
言葉の言い換え
- 特定転貸事業者:いわゆるサブリース会社
- 勧誘者:サブリース会社に代わって勧誘する建築会社や不動産会社など
- 申出:国に違反の疑いを知らせ、対応を求めること
相談は早いほうがよい理由
家賃の変更や解約の合意書に署名したあとでは、元に戻すことが難しくなります。「おかしい」と感じたら、返事をする前に窓口に相談しましょう。
また、時間がたつと、広告や説明の資料が手元からなくなったり、やりとりの記憶があいまいになったりします。資料が残っているうちに相談することが、自分を守ることにつながります。
よくある質問
- サブリースのトラブルは、どこに相談すればよいですか?
- 法律違反を知らせたいなら国土交通省への申出、助言がほしいなら消費者ホットライン188が入口です。法的に争うことを考えるなら、法テラスや弁護士に相談しましょう。
- 国への申出は、被害を受けた本人しかできませんか?
- いいえ。賃貸住宅管理業法35条は「何人も」申し出ることができると定めています。家族や関係者でも申し出られます。
- 申出をすれば、お金は戻ってきますか?
- 申出は国に違反を知らせ、措置を求める制度です。お金を取り戻すには、会社との話し合いや、裁判などの手続きが別に必要です。
- オーナーでも消費生活センターに相談できますか?
- 188は、契約のトラブルなどの相談窓口を案内する番号です。国の注意喚起の資料でも、サブリースの相談窓口のひとつに挙げられています。
- 違反した会社はどうなりますか?
- 国土交通大臣は、指示や、1年以内の業務の停止などを命じることができ、命じたときは公表します。誇大広告などには罰金の定めもあります。
関係する記事と相談先
契約前に確かめる点は「サブリースの注意点」、家賃保証との違いは「家賃保証とサブリースの違い」にまとめています。管理の任せ先を見直すなら「管理会社の変更」も参考になります。物件の活用や売却をまとめて考えたいときは、会社一覧から探すか、複数の会社にまとめて相談することもできます。
まとめ
- サブリースのトラブルの相談先は、国への申出・188・法テラス・団体の窓口の4つ
- 国への申出は、賃貸住宅管理業法35条にもとづき、だれでもできる
- 188は近くの消費生活センター等につながり、相談は無料
- 法的に争うなら、法テラスや弁護士が入口になる
- 相談の前に、契約書・重要事項説明書・広告・やりとりの記録をそろえる




