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サブリース会社が倒産したら?入居者・家賃・敷金の扱いとオーナーが動く順番

オーナー収益革命 編集部

サブリース会社が倒産したら?入居者・家賃・敷金の扱いとオーナーが動く順番

借上げをしているサブリース会社が倒産したら、入居者や毎月の家賃はどうなるのでしょうか。この記事では、破産法や国土交通省の標準契約書をもとに、契約と敷金の行方と、オーナーが動く順番を整理します。

結論

  • サブリース会社が倒産しても、入居者はすぐに退去させられるわけではありません。建物の引渡しを受けた入居者の契約は、破産法56条により、破産管財人が一方的に解除できないためです。
  • オーナーとサブリース会社の借上げの契約は、管財人が「続ける」か「解除する」かを選びます(破産法53条)。
  • 借上げの契約が終わると、国土交通省の特定賃貸借標準契約書21条の定めがあれば、オーナーが入居者の貸主の立場と敷金を返す義務を引き継ぎます。

「サブリース会社から家賃の振込が止まった」「会社が破産の手続きに入ったと聞いた」。そんな知らせを受けたら、まず頭に浮かぶのは入居者とお金のことでしょう。

サブリースでは、オーナーと入居者の間にサブリース会社が入っています。その会社が倒れると、契約が二重になっている分、だれが何を引き継ぐのかが分かりにくくなります。

この記事では、サブリース会社の倒産という場面に絞って、入居者の契約、家賃、敷金がどうなるかを順に説明します。サブリースの仕組みそのものは「サブリースの仕組み」で整理しています。

サブリース会社の倒産とは

倒産の手続きは主に2種類

倒産とは、会社が借金を払えなくなり、事業を続けられなくなった状態の呼び名です。法律上の手続きとしては、会社をたたんで財産を分ける「破産」と、事業を続けながら立て直す「民事再生」などがあります。

破産では、裁判所が選ぶ「破産管財人」が会社の財産と契約を管理します。民事再生では、会社自身が手続き開始後も業務と財産の管理を続けます(民事再生法38条1項)。どちらの手続きかで、借上げの契約が続くかどうかの見通しが変わります。

言葉の言い換え

  • 破産管財人:破産した会社の財産を管理し、契約を続けるか決める人
  • 転貸(てんたい):借りた部屋を、さらに別の人に貸すこと。又貸し
  • 転借人(てんしゃくにん):又貸しで部屋を借りている人。ここでは入居者
  • 対抗要件:自分の権利を第三者に主張するための条件。建物の賃貸借なら「引渡し」

倒産すると2つの契約はどうなるか

サブリースには、オーナーとサブリース会社の「借上げの契約」と、サブリース会社と入居者の「又貸しの契約」の2つがあります。倒産したとき、この2つは別々に扱われます。

契約倒産した会社の立場管財人ができること
借上げの契約(オーナーと会社)借り手続けるか解除するかを選ぶ(破産法53条1項)
又貸しの契約(会社と入居者)貸し手入居者が引渡しを受けていれば、53条による解除はできない(破産法56条1項)

借上げの契約は、管財人が選ぶ

破産法53条1項は、お互いにまだ約束を果たし終えていない契約について、管財人が解除するか、続けるかを選べると定めています。借上げの契約は、毎月の家賃の支払いと部屋の貸し出しが続く契約なので、これにあたります。

オーナーは、管財人に「期間を決めて、解除か続けるかを答えてほしい」と催告できます(同条2項)。その期間内に答えがなければ、解除したものとみなされます。

入居者の契約は、守られる

一方、入居者の側では、サブリース会社は貸し手です。破産法56条1項は、借り手が対抗要件を備えていれば、管財人による53条の解除を認めていません。

建物の賃貸借は、登記がなくても建物の引渡しがあれば対抗できます(借地借家法31条)。すでに住んでいる入居者は、倒産を理由に追い出されることはありません。民事再生でも、民事再生法51条で同じ考え方が準用されています。

借上げの契約が終わったら入居者の貸主はだれになるか

標準契約書21条の「地位の承継」

国土交通省の特定賃貸借標準契約書21条1項は、借上げの契約が終わったら、オーナーが入居者に対する貸主の立場を「当然に承継する」と定めています。標準契約書の解説では、期間満了、解約、借り手の不払いによる解除、合意による解除など、終わった理由を問わないとしています(建物が全部なくなった場合を除く)。

倒産で借上げの契約が終わっても、この定めがあれば入居者の契約はオーナーとの間で続きます。入居者は同じ部屋に住み続け、家賃の払い先がオーナーに変わります。

説明と書面に入っているはず

この引き継ぎは、契約前の重要事項の説明(施行規則45条13号)と、契約時の書面(施行規則47条7号)に入れる事項とされています。手元の重要事項説明書と契約書で、引き継ぎの定めを確かめましょう。説明の中身は「サブリースの重要事項説明」で詳しく扱っています。

標準契約書の解説では、借上げの契約より先に設定された抵当権が実行された場合など、この定めだけで全部の入居者の契約が続くとは限らないとしています。ローンが残る物件は、金融機関との関係も確かめてください。

家賃はどうなるか:入居者からの直接の受け取り

民法613条の「直接請求」

民法613条1項は、適法な又貸しの場合、入居者はオーナーに対して直接、家賃を払う義務を負うと定めています。払う範囲は、借上げの契約でサブリース会社が払うはずの家賃の額が上限です。

つまり、サブリース会社からの振込が止まっても、オーナーは入居者に直接請求できる場合があります。ただし、入居者が前もって払った家賃(前払い)は、オーナーに主張できないとされています。

契約を終わらせる前に考えること

標準契約書18条1項1号では、借り手が家賃を3か月分以上払わず、催告しても払わないとき、オーナーは解除できるとしています。また民法613条3項は、話し合いでの解除は入居者に主張できないが、不払いで解除できる状態だった場合は別としています。

解除の時期によって、家賃の取りこぼしや入居者への説明の順番が変わります。自分の契約書の解除の条文を読み、弁護士などの専門家と時期を決めるのが安全です。解除の基本は「サブリースの解約」でも説明しています。

敷金はどうなるか:いちばん注意したい点

オーナーが返す義務を引き継ぐ

国土交通省のサブリースのガイドラインは、貸主の立場を引き継いだオーナーは、サブリース会社の敷金を返す義務も引き継ぐことを、オーナーが分かるように説明するよう求めています。入居者が退去するとき、敷金を返すのはオーナーです。

標準契約書21条3項では、サブリース会社は入居者から受け取った敷金と契約書などをオーナーに引き渡すと定めています。ところが倒産した会社では、そのお金が残っていないこともあります。

受け取れなかったときの備え

  • 入居者ごとに、預けた敷金の額を契約書や入居者への確認で一覧にする
  • 管財人に、敷金と書類の引き渡しを書面で求める
  • 引き渡されなかった額は、手元の資金で返す前提で資金繰りを考える
  • 退去の予定が近い部屋から、返す額と時期を確かめる

敷金の返し方の基本は「敷金の返還」で整理しています。

倒産を知ったときにオーナーが動く順番

  1. 裁判所の手続きの種類(破産・民事再生など)と、管財人などの連絡先を確かめる
  1. 借上げの契約書と重要事項説明書を出し、地位の引き継ぎ・解除・敷金の条文に印をつける
  1. 未払いの家賃の額と月を一覧にし、裁判所や管財人からの通知で、債権として届け出る方法を確かめる
  1. 管財人に、借上げの契約を続けるか解除するかの考えを尋ねる
  1. 入居者の名簿、契約書、敷金の額、鍵、修繕の記録の引き渡しを求める
  1. 入居者に、家賃の払い先と連絡先を書面で知らせる準備をする
  1. 自分で管理するか、管理会社に任せるかを決め、管理の契約を結ぶ

入居者への知らせ方

入居者も倒産の知らせに戸惑っています。貸主がだれになるか、家賃をいつからどこへ払うか、困ったときの連絡先の3点を、短い書面で伝えます。払い先を急に変えると二重払いや払い漏れが起きるので、管財人と切り替える月をそろえます。

たとえば、振込が2か月止まったAさん

Aさんのアパートは全8室を借上げてもらっていました。ある月から振込が止まり、2か月後にサブリース会社が破産したと知らされました。

Aさんはまず契約書を開き、21条と同じ引き継ぎの定めがあることを確かめました。次に管財人と話し、借上げの契約を終える日を決め、その翌月から入居者に直接払ってもらう書面を一緒に配りました。敷金は一部しか引き渡されず、残りは退去のたびに自分で返すことになりました。

民事再生のときの違い

民事再生では、管財人ではなく会社自身が、借上げの契約を続けるか解除するかを選ぶのが基本です(民事再生法49条1項)。オーナーが催告して期間内に答えがないときは、破産とは逆に、解除する権利を手放したものとみなされます(同条2項)。

倒産に備えて、ふだんから確かめること

会社の財務の書類を見る

賃貸住宅管理業法32条は、サブリース会社に、業務と財産の状況を書いた書類を営業所に置き、オーナーの求めで見せることを義務づけています。施行規則48条では、業務状況調書・貸借対照表・損益計算書などを事業年度が終わってから3か月以内に作り、3年間置いておくとしています。

ポイント

  • 借上げの契約に、終わったときの地位の引き継ぎの定めがあるか
  • 入居者ごとの敷金の額を、オーナーも一覧で持っているか
  • サブリース会社の業務と財産の書類を、年に1回は見ているか
  • 振込が遅れたとき、すぐ気づける記録のつけ方になっているか

管財人に確かめたいこと

  • 借上げの契約を続けるか、解除するか。決める時期はいつか
  • 入居者から受け取った家賃と敷金が、いまどこにあるか
  • 入居者の名簿・契約書・鍵・修繕の記録を、いつ、どの形で渡せるか
  • 入居者への知らせを、だれの名前で、いつ出すか

答えは口頭で済ませず、日付の入ったメールや書面で残します。あとで敷金や家賃の精算で食い違ったとき、記録が手がかりになります。

よくある失敗

  • 振込の遅れを「一時的だろう」と放っておき、未払いが積み上がる
  • 入居者に直接連絡して払い先を変え、管財人との間で二重払いになる
  • 敷金の額を知らず、退去のときに初めて返す額に驚く
  • 契約書が見つからず、引き継ぎの定めの有無が分からない

よくある質問

サブリース会社が倒産したら、入居者は出ていかなければなりませんか?
原則として出ていく必要はありません。引渡しを受けた入居者の契約は、破産法56条により管財人が53条で解除できないためです。
倒産したら、借上げの契約は自動で終わりますか?
自動では終わりません。破産では管財人が続けるか解除するかを選び、オーナーは答えを催告できます。
振込が止まったら、入居者に直接家賃を請求できますか?
民法613条1項により、借上げの家賃の額を上限に直接請求できる場合があります。管財人との二重の請求にならないよう、時期を合わせましょう。
入居者の敷金はだれが返しますか?
貸主の立場を引き継いだオーナーが返します。サブリース会社から引き渡されなかった分も、返す義務は残ります。
倒産しそうかどうか、事前に分かりますか?
確実には分かりませんが、賃貸住宅管理業法32条で財務の書類を見せてもらえます。振込の遅れも大事な合図です。

関係する記事と相談先

倒産したあとの管理先を探すときは「管理会社の選び方」、物件を手放すことも考えるなら「サブリース付き物件の売却」が参考になります。困ったときの窓口は「サブリースのトラブルの相談先」にまとめました。管理を任せる会社の候補は会社一覧から探せます。管理・売却を一度に比べたいときは、まとめて相談することもできます。

まとめ

  • 倒産しても、引渡しを受けた入居者は破産法56条により守られる
  • 借上げの契約は、管財人が続けるか解除するかを選ぶ(破産法53条)
  • 契約が終われば、21条の定めによりオーナーが貸主の立場と敷金を返す義務を引き継ぐ
  • 振込が止まったら、民法613条の直接請求も含めて、専門家と時期を決める
  • ふだんから敷金の一覧と、会社の財務の書類(法32条)を確かめておく

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