掲載をご希望の会社様へ
無料一括相談
  1. オーナー収益革命
  2. 物件活用新聞
  3. 税金・法律
  4. 修繕費と資本的支出の違い|賃貸オーナーが知る20万円・60万円の区分の考え方

税金・法律

修繕費と資本的支出の違い|賃貸オーナーが知る20万円・60万円の区分の考え方

オーナー収益革命 編集部

修繕費と資本的支出の違い|賃貸オーナーが知る20万円・60万円の区分の考え方

賃貸物件の工事代は、その年の経費にできるとは限りません。この記事では国税庁の基準をもとに、修繕費と資本的支出の違い、金額や周期による区分、迷ったときの考え方を整理します。

結論

  • 修繕費は、建物などの維持管理や原状回復のための支出で、支出した年の経費にできます。資本的支出は、使える期間を延ばしたり価値を高めたりする支出で、減価償却で何年かに分けて経費にします。
  • 区分は名目ではなく中身で判断します。国税庁の基準では、一つの工事が20万円未満のときや、おおむね3年以内の周期で行うことが明らかなときは修繕費にできます。
  • どちらか分からない金額が60万円未満、または取得価額のおおむね10パーセント相当額以下のときも修繕費にできます。

外壁を塗り直した、給湯器を入れ替えた、和室を洋室に変えた。賃貸物件を持っていると、こうした工事の代金をどう扱うかで、確定申告のたびに迷うものです。

工事代を全部その年の経費にできれば税金は軽くなりますが、扱いを誤ると後で修正を求められることもあります。逆に、経費にできるものを見落とすと、払わなくてよい税金を払うことになります。

この記事では、国税庁の基準をもとに、修繕費と資本的支出の違い、金額や周期による区分の考え方、迷いやすい例とよくある失敗を順に説明します。

修繕費と資本的支出とは

意味を一言で

修繕費とは、建物や設備などの固定資産を、今の状態に保つためや元の状態に戻すために払ったお金です。資本的支出とは、修理や改良によって、その資産の使える期間を延ばしたり、価値を高めたりする部分に払ったお金です。

言葉の言い換え

  • 固定資産:建物や設備など、長い期間使う資産
  • 取得価額:その資産を買ったり建てたりしたときにかかった金額
  • 減価償却:資産の代金を、使える年数に分けて少しずつ経費にすること
  • 一つの修理:一つの計画にもとづいて同じ資産に行う修理や改良のまとまり

経費にするタイミングの違い

比べる点修繕費資本的支出
中身維持管理や原状回復使える期間を延ばす・価値を高める
経費にする時期支出した年に経費にできる減価償却で何年かに分けて経費にする
例壊れた部分を元どおりに直す用途を変える改装、付け加えた設備

資本的支出は経費にならないのではなく、経費にする時期が分かれるだけです。どちらにするかで、その年の所得と税金が変わります。

名目ではなく中身で判断する

国税庁は、修繕費か資本的支出かは、請求書の名目ではなく、その実質で判断するとしています。見積書に「修繕工事」と書いてあっても、中身が改良なら資本的支出になることがあります。

資本的支出になる主な例

国税庁が示す例

国税庁は、資本的支出になる例として、次のようなものを挙げています。

  • 建物の避難階段の取り付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
  • 用途を変えるための模様替えなど、改造や改装に直接かかった金額
  • 機械の部品を、通常より品質や性能の高いものに取り替えた場合の、通常の取り替えにかかる金額を超える部分

建物の増築のように、資産を新しく取得したとされるものもあります。

賃貸物件の場面に置きかえる

賃貸物件で考えると、次のように見るとイメージしやすくなります。ただし、最終的な判断は工事の中身によります。

  • 壊れた給湯器を同じ程度の物に入れ替える:維持管理として修繕費になりうる
  • 和室を洋室に変えるなど、使い方を変える改装:改造・改装として資本的支出になりうる
  • 戸建てを貸すために、ほかの用途から住宅へ変える工事:用途を変える模様替えとして資本的支出になりうる
  • 退去後に壁紙を元の状態に張り替える:原状回復として修繕費になりうる

戸建てをシェアハウスに変えるときの工事の考え方は「シェアハウス改修の建物・消防」でも説明しています。

金額と周期で区分する基準

国税庁は、修繕費にできるかどうかを、金額や周期で判断する基準を示しています。個人の不動産所得でも、国税庁のタックスアンサー「修繕費とならないものの判定」で同じ考え方が説明されています。

20万円未満・3年以内の周期

次のどちらかに当たるときは、修繕費にできます。

  • 一つの修理や改良などの金額が20万円未満のとき
  • おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理や改良などであるとき

ここでいう「一つの修理」とは、一つの計画にもとづいて同じ資産に行う修理や改良をまとめたものです。工事を分けて頼んでも、同じ計画なら合わせて考えます。

60万円未満・取得価額の10パーセント以下

資本的支出か修繕費か明らかでない金額があるときは、次のどちらかに当たれば修繕費にできます。

  • その金額が60万円未満のとき
  • その資産の取得価額(個人は前年末、法人は前の事業年度終了の時)のおおむね10パーセント相当額以下のとき

それでも決まらないとき

上の基準に当たらない場合も、区分の特例があります。法人の場合、継続して、支出した金額の30パーセント相当額と、その資産の前の事業年度終了の時の取得価額の10パーセント相当額のうち少ないほうを修繕費とし、残りを資本的支出とする処理が認められています。個人にも所得税基本通達37-14による区分の特例があります。

ポイント

  • 区分は名目ではなく、工事の中身で決める
  • 一つの工事が20万円未満、またはおおむね3年以内の周期なら修繕費にできる
  • どちらか分からない金額が60万円未満、または取得価額のおおむね10パーセント以下なら修繕費にできる
  • それでも決まらないときは、区分の特例を使う方法がある

個人と法人で違うところ

比べる点個人(不動産所得など)法人
国税庁の説明タックスアンサー No.1379タックスアンサー No.5402
10パーセント基準の取得価額前年末の取得価額前の事業年度終了の時の取得価額
基準に当たらないとき所得税基本通達37-14の区分の特例30パーセントと10パーセントのうち少ないほうを修繕費にする処理

個人でアパートを持っている方と、資産管理の会社で持っている方とでは、見るページが違います。自分がどちらに当たるかを先に確かめます。

管理会社と話しておくこと

工事を頼む前に、管理会社と次のことを決めておくと、申告のときに困りません。

  • 見積書と請求書を、工事の項目ごとに分けて出してもらう
  • 工事の前と後の写真を撮って渡してもらう
  • 同じ年にまとめて行う工事を、一つの計画として扱うか確かめる
  • 次の工事の予定時期を、修繕の計画として残す

判断の順番

迷ったときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。

  1. 工事の見積書や請求書を、工事の中身ごとに分けて書いてもらう
  2. 付け加えた部分や、用途を変える改装など、明らかに資本的支出に当たる部分を分ける
  3. 残りのうち、一つの工事が20万円未満か、おおむね3年以内の周期かを確かめる
  4. それでも分からない金額が、60万円未満か、取得価額のおおむね10パーセント以下かを確かめる
  5. 当たらない場合は、区分の特例を使うか、税務署や税理士に相談する

場面の例

たとえば、入居者が退去した後に、壁紙の張り替えと、古くなった設備を新しい物に変える工事をまとめて頼んだとします。請求書が一つにまとまっていると、どこまでが元どおりの修理で、どこからが性能を上げる部分かが分かりません。

このような場合は、工事の会社に頼んで、項目ごとに金額を分けた明細をもらっておくと、区分しやすくなります。原状回復の範囲の考え方は「原状回復のガイドライン」も参考にしてください。

もう一つの場面

別の例として、築年数のたったアパートで、共用部の照明が切れたため同じ程度の器具に替えた場合を考えます。一つの工事の金額が20万円未満なら、国税庁の基準にあてはめて修繕費にできます。

一方、空室を埋めるために、和室を洋室に変え、収納を新しく作る工事を行った場合は、使い方を変える改装に当たる部分があります。この部分は資本的支出になりうるため、工事の明細を分けて考えます。

判断の分かれ道

  • 元の状態に戻すだけか、前より良くしたのかで分かれる
  • 同じ計画の工事か、別々の計画の工事かで、金額の数え方が分かれる
  • どちらか分からない金額は、60万円未満か、取得価額のおおむね10パーセント以下かで分かれる
  • 毎年同じ考え方で処理できるかで、区分の特例を使うかが分かれる

区分した後に残しておくもの

区分の理由は、あとで説明できるように残しておきます。税務署から問い合わせがあったとき、工事の中身と区分の理由がすぐに示せると安心です。

  • 工事の見積書、請求書、項目ごとの明細
  • 工事の前と後の写真
  • 修繕費にした理由、資本的支出にした理由のメモ
  • 資本的支出にした部分の減価償却の計算

よくある失敗とチェックリスト

よくある失敗

  • 請求書の名目が「修繕」だったので、中身を見ずに全額を修繕費にした
  • 一つの計画の工事を分けて頼み、20万円未満だからと別々に修繕費にした
  • 大きな改装をすべて資本的支出にし、修繕費にできる部分を見落とした
  • 明細がなく、後で中身を説明できなかった
  • 区分の特例を使う年と使わない年があり、処理がばらばらになった

申告前のチェックリスト

  • 工事ごとに、中身が分かる明細と写真を残しているか
  • 付け加えた部分や用途を変えた部分を分けたか
  • 同じ計画の工事を合わせて金額を見たか
  • 資産の取得価額を確かめられる書類があるか
  • 区分の特例を使う場合、毎年同じ考え方で処理しているか

ここで説明したのは国税庁が示す基準の概要です。実際の区分は工事の中身や物件ごとに違います。金額が大きい工事や判断に迷う工事は、税務署や税理士に確かめてください。

よくある質問

修繕費と資本的支出は、何が違うのですか?
修繕費は維持管理や原状回復のための支出で、その年の経費にできます。資本的支出は使える期間を延ばしたり価値を高めたりする支出で、減価償却で分けて経費にします。
20万円未満の工事なら、必ず修繕費になりますか?
国税庁の基準では、一つの修理や改良の金額が20万円未満なら修繕費にできます。同じ計画の工事を分けた場合は、合わせて金額を考えます。
外壁の塗り直しは修繕費ですか?
工事の中身によります。元の状態を保つための塗り直しなら修繕費になりえますが、性能を高める工事が含まれる場合は分けて考えます。
資本的支出にすると、経費にならないのですか?
経費にならないわけではありません。減価償却によって、何年かに分けて経費にします。
管理会社に頼んだ工事の明細は、どこまで残せばよいですか?
工事の内容、場所、金額が項目ごとに分かる明細と、工事前後の写真を残すと区分を説明しやすくなります。

相談先を探すとき

修繕の計画は、管理会社とふだんから話しておくと、明細のそろえ方や工事の時期を決めやすくなります。不動産所得の申告の全体は「不動産所得の確定申告」で、空室を減らす工事の考え方は「空室対策」で説明しています。管理を任せる会社は掲載している会社の一覧から探せます。まとめて相談する方法はこちらで説明しています。

まとめ

  • 修繕費は維持管理や原状回復の支出で、その年の経費にできる
  • 資本的支出は使える期間を延ばす・価値を高める支出で、減価償却で分けて経費にする
  • 区分は名目ではなく中身で判断する
  • 20万円未満、おおむね3年以内の周期、60万円未満、取得価額のおおむね10パーセント以下などの基準がある
  • 工事ごとの明細と写真を残し、迷うときは税務署や税理士に確かめる

あわせて読みたい

無料一括相談(簡単3分)