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ゲストハウス開業の流れ|簡易宿所で始める7つの手順と開業前に決めること

オーナー収益革命 編集部

ゲストハウス開業の流れ|簡易宿所で始める7つの手順と開業前に決めること

空き家や持ち家でゲストハウスを開きたいとき、何から決めればよいのでしょうか。この記事では、簡易宿所として開業するまでの流れを、場所選び・建物・許可・開業届・運営の準備の順に整理します。

結論

  • ゲストハウスを1年を通して営業するなら、旅館業法の「簡易宿所営業」の許可を受けて開業するのが基本です。民泊新法の届出では、宿泊させる日数が1年で180日までに限られます。
  • 開業の流れは、①場所と用途地域の確認、②営業の形の決定、③建物と消防の確認、④保健所への相談と許可申請、⑤検査と許可、⑥開業届、⑦運営の準備、の7つです。
  • 簡易宿所の客室の延床面積は33㎡以上(宿泊者を10人未満とするなら3.3㎡×人数以上)が基準です。開業前に、客室の広さと定員を決めておきます。

「空いている実家を、旅行者が集まる宿にしたい」。ゲストハウスの開業は、空き家を生かす方法として関心を集めています。

ただ、宿を開くには、許可を取るだけでなく、場所が宿を開ける地域か、建物をどう直すか、開業後にだれが受付や掃除をするかまで決める必要があります。順番を間違えると、工事のあとで「この地域では開けない」と分かることもあります。

この記事では、ゲストハウス開業の全体の流れと、開業前に決めることを説明します。保健所での許可の手続きそのものは「簡易宿所の許可の流れ」で詳しく扱っています。

ゲストハウスとは

法律上は「簡易宿所」が多い

ゲストハウスは、旅行者が相部屋や共用の台所・浴室を使って泊まる宿の呼び名です。法律の言葉ではありません。

旅館業法2条3項は、簡易宿所営業を「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設」で、宿泊料を受けて人を泊める営業と定めています。相部屋が中心のゲストハウスは、この簡易宿所にあたることが多いです。旅館業を営むには、都道府県知事(保健所を置く市や特別区では市長・区長)の許可が要ります(同法3条1項)。

言葉の言い換え

  • 簡易宿所:相部屋などを中心にした宿。ゲストハウスやカプセルホテルなど
  • 宿泊:寝具を使って施設を使うこと(旅館業法2条5項)
  • 用途地域:まちの区域ごとに、建ててよい建物の種類を決めたもの
  • 用途変更:建物の使い道を変えること

ゲストハウス開業の形を比べる

宿を開く形は、主に簡易宿所と民泊新法(住宅宿泊事業法)の2つです。違いの詳しい比べ方は「民泊・旅館業・特区民泊の違い」にまとめています。

項目簡易宿所(旅館業法)民泊新法(住宅宿泊事業法)
手続き許可(法3条1項)届出
営業できる日数制限なし1年で180日まで(法2条3項)
日数の数え方―毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで(施行規則3条)
建物の扱い宿泊施設住宅のまま
住居専用地域開けない開けることがある

1年を通して宿として売上を立てたいなら、簡易宿所での開業が軸になります。まず週末だけ試したいときは、民泊新法から始める道もあります。民泊の始め方は「空き家を民泊に」で説明しています。

開業の流れ:7つの手順

  1. 場所の確認:用途地域、学校などとの距離、建物の契約や管理規約を確かめる
  1. 営業の形の決定:簡易宿所か民泊新法か。定員と客室の数を決める
  1. 建物と消防の確認:建築の窓口と消防署に相談し、必要な工事を洗い出す
  1. 保健所への相談と許可申請:図面を持って事前に相談し、申請する
  1. 検査と許可:施設の検査を受け、許可が出てから営業を始める
  1. 開業届:個人で始めるなら、税務署に開業の届出書を出す
  1. 運営の準備:宿泊者名簿、予約、受付、清掃、近所への連絡の段取りを決める

手順1:場所で開業できるかが決まる

用途地域の確認

建築基準法の別表第二では、ホテル・旅館は、第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域に建てられる建物に入っていません。第二種中高層住居専用地域と工業地域では、建ててはならない建物としてホテル・旅館が挙がっています。

第一種住居地域では、ホテル・旅館に使う部分の床面積が3,000㎡を超えるものは建てられません。市区町村の都市計画の窓口や地図で、まず用途地域を調べます。

学校などの近くは注意

旅館業法3条3項では、学校や児童福祉施設などの敷地の周囲おおむね100mの区域内にあり、その施設の環境が著しく害されるおそれがあるときは、許可を与えないことができるとしています。近くに学校や保育所があるかも、早めに確かめます。

借りた建物やマンションの一室で開くときは、貸主の承諾や管理規約も確かめます。宿として使ってよいか分からないまま工事を始めないようにしましょう。

手順2〜3:形と建物を決める

客室の広さと定員

旅館業法施行令1条2項1号では、簡易宿所の客室の延床面積を33㎡以上としています。申請で宿泊者を10人未満とするなら、3.3㎡に宿泊者の数をかけた面積以上です。たとえば定員6人なら、3.3㎡×6人で19.8㎡以上になります。

二段ベッドを置く場合、上段と下段の間はおおむね1m以上とされています(同号2)。このほか、換気・採光・照明、入浴・洗面の設備、便所の基準があり、都道府県などの条例で決まりが足されることもあります。

建物の手続き

ホテル・旅館は、建築基準法の別表第一にある特殊建築物です。住宅から宿に用途を変え、その部分の床面積が200㎡を超えるときは、確認申請が要ります(建築基準法6条1項1号・87条1項)。200㎡以下でも、建物の基準に合わせる必要はあります。消防の設備は、消防署に図面を持って相談します。消防の考え方は「民泊の消防設備」も参考になります。

手順4〜6:許可・開業届

許可が出てから営業を始める

保健所への相談、申請、施設の検査を経て、許可が出てから営業を始めます。許可の前に予約を受け付けて泊めることはできません。手続きの細かい流れは「簡易宿所の許可の流れ」で確かめてください。

開業届は確定申告の期限まで

個人で事業を始めたときは、所得税法229条により、開業の届出書を税務署に出します。国税庁の案内では、事業を始めた日の属する年分の確定申告の期限までに出すとしています。青色申告を考えるなら「不動産の青色申告」も参考にしてください。

食事を出すなら別の許可

朝食などの食事を出すときは、食品衛生法55条の営業の許可が要る場合があります。何を出すかを決めたら、保健所の食品衛生の窓口で確かめます。

手順7:運営の準備

宿泊者名簿

旅館業法6条で、営業者は宿泊者名簿を備えます。施行規則4条の2では、氏名・住所・連絡先のほか、日本国内に住所のない外国人なら国籍と旅券番号を書き、作成の日から3年間保存するとしています。

宿泊を断れる場面は限られる

旅館業法5条では、宿泊を拒めるのは、特定の感染症の患者等であるとき、違法行為などをするおそれがあるとき、過重な要求を繰り返したとき、満室のときなどに限られています。宿のルールを作るときは、この範囲で考えます。

だれが受付と清掃をするか

  • 受付:対面か、機器を使うか。条例で決まりがあるかを保健所で確かめる
  • 清掃とリネン:自分でするか、外に頼むか
  • 夜間の連絡:トラブルのときにだれが駆けつけるか
  • 予約と料金:予約の受け方、取消しの決まり

たとえば、駅近くの実家を宿にしたいCさん

Cさんは、駅から歩ける商店街の実家をゲストハウスにしたいと考えました。最初に用途地域を調べ、宿を建てられる地域であることを窓口で確かめました。

次に客室を2室・定員6人とし、19.8㎡以上の客室の広さを確保できるか図面で確かめました。工事の前に保健所と消防署に相談し、受付と清掃は自分で、夜間の連絡は近くに住む家族に頼む形で準備を進めました。

民泊から始めて切り替える場合

まず民泊新法の届出で始め、手応えを見てから簡易宿所の許可を取る道もあります。ただし、届出と許可は別の手続きで、許可を受けるには客室の広さや設備の基準、用途地域の決まりを満たす必要があります。住居専用地域の家では、簡易宿所への切り替えは原則としてできません。切り替えるつもりなら、最初の改装の段階から簡易宿所の基準に合わせておくと、二度手間を防げます。

開業前に決める運営の形

自分で運営するか、任せるか

ゲストハウスの開業では、許可の取り方と同じくらい、だれが毎日の運営をするかが大事です。大きく分けると、自分で運営する、運営の一部を外に頼む、建物ごと運営する人に貸す、の3つです。

形オーナーの手間収入の形
自分で運営する受付・清掃・予約・トラブル対応のすべて宿泊料。泊まる人の数で変わる
一部を外に頼む頼んだ部分の確認と支払い宿泊料から頼んだ費用を引いた額
運営する人に貸す建物の貸主としての対応決まった家賃

判断の分かれ道

  • 近くに住んでいて、夜間の呼び出しにも動けるなら、自分で運営する道がある
  • 遠くに住んでいるなら、清掃や連絡を頼むか、建物ごと貸す形が現実的
  • 許可の名義を自分にするか、借り手にするかで、責任を負う人が変わる

建物ごと貸す場合は、借り手が営業者として許可を受けます。貸す前に、宿として使うことを契約に書き、改装の費用や原状回復をだれが持つかを決めておきます。

開業前のチェックリスト

ポイント

  • 用途地域と、学校などとの距離を確かめた
  • 客室の広さと定員を、33㎡(10人未満は3.3㎡×人数)の基準で確かめた
  • 建築の窓口・消防署・保健所に、図面を持って相談した
  • 受付・清掃・夜間の連絡をだれがするか決めた
  • 宿泊者名簿の書き方と、3年間の保存方法を決めた

費用と期間の見通し

改装や設備の費用、許可が出るまでの期間は、建物の状態や自治体によって違います。保健所・建築の窓口・消防署への相談を先に済ませ、必要な工事が決まってから見積もりを取ると、あとからの追加工事を減らせます。開業の日は、許可が出る見通しが立ってから決めます。

近所への配慮

宿の出入りは、夜遅くや朝早くにもあります。開業前に、近所へ連絡先と宿のルールを伝えておくと、困ったときに直接知らせてもらえます。騒音・ごみ・たばこの決まりは、宿泊者に分かる言葉で、目に入る場所に掲げます。

よくある失敗

  • 用途地域を調べる前に改装を始め、宿を開けない地域だと後で分かる
  • 定員を先に決めず、客室の広さが基準に足りなくなる
  • 許可の前に予約サイトに載せ、営業開始が遅れて取消しが出る
  • 近所に説明しないまま開業し、騒音やごみで苦情が続く

よくある質問

ゲストハウスの開業に必要な許可は何ですか?
1年を通して営業するなら、旅館業法の簡易宿所営業の許可です。食事を出すなら、食品衛生法の営業の許可が要る場合もあります。
民泊の届出でゲストハウスを開けますか?
開けますが、宿泊させる日数は1年で180日までです。1年を通して営業するなら簡易宿所の許可が基本です。
住宅街の空き家でも開業できますか?
住居専用地域では、簡易宿所は原則として開けません。まず用途地域を確かめましょう。
客室はどのくらいの広さが要りますか?
延床面積33㎡以上が基準で、宿泊者を10人未満とするなら3.3㎡×人数以上です。条例の上乗せも確かめます。
開業届はいつまでに出しますか?
個人なら、事業を始めた日の属する年分の確定申告の期限までに税務署へ出します。

関係する記事と相談先

宿以外の使い道も比べたいときは「空き家の活用方法」や「古民家の活用」が参考になります。宿の運営を任せる会社の候補は民泊を扱う会社の一覧から探せます。宿・賃貸・売却を一度に比べたいときは、まとめて相談することもできます。

まとめ

  • 1年を通して営業するなら、簡易宿所の許可での開業が基本
  • 最初に用途地域と、学校などとの距離を確かめる
  • 客室は延床33㎡以上(10人未満なら3.3㎡×人数以上)を目安に定員を決める
  • 許可が出てから営業し、個人なら開業届を確定申告の期限までに出す
  • 宿泊者名簿は3年間保存。受付・清掃・夜間の連絡の段取りを先に決める

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