サブリースの誇大広告とは? 法28条で禁止される表示とガイドラインの具体例

サブリースの広告には、賃貸住宅管理業法28条で禁止される表示があります。この記事では、禁止の対象になる4つの事項と、国土交通省のガイドラインが示す具体例、広告を見るときの確かめ方を整理します。
結論
- サブリースの誇大広告とは、サブリース会社や勧誘者が、家賃・維持保全・費用の分担・契約の解除について、事実と著しく違う表示や、実際より著しく有利だと誤解させる表示をすることです。賃貸住宅管理業法28条で禁止されています。
- 国土交通省のガイドラインでは、「家賃保証」と書くなら、そのすぐ横に、家賃の見直しがあることや、借地借家法32条で減額されうることを書くよう求めています。
- 違反すると、国の指示や業務の停止の対象になり、30万円以下の罰金の定めもあります。
「30年一括借り上げ」「家賃保証で安心」。土地や建物を持つ人のもとには、こうした広告がよく届きます。魅力的に見えますが、書かれていない条件がないかは、広告だけでは分かりにくいものです。
サブリースでは、広告や勧誘を信じて契約し、あとから家賃の減額や解約を言われるトラブルが起きてきました。そこで法律は、広告の段階から、誤解させる表示を禁じています。
この記事では、サブリースの誇大広告とは何かを法律の言葉から説明し、ガイドラインが示す具体例を紹介します。最後に、広告を見るときに確かめる点をまとめます。
サブリースの誇大広告とは
サブリースの誇大広告とは、マスターリース契約の条件について、事実と著しく違う表示や、実際より著しく優良・有利だと誤解させる表示をした広告のことです。ガイドラインでは、実際より良く見せる「誇大広告」に加え、うその表示で欺く「虚偽広告」も対象になるとしています。
法28条の決まり
賃貸住宅管理業法28条は、サブリース会社(特定転貸事業者)と勧誘者に、マスターリース契約の条件について広告するとき、誤解させる表示を禁じています。勧誘者とは、サブリース会社に代わって勧誘する建築会社や不動産会社などのことです。
対象になる4つの事項
同法の施行規則では、誇大な表示をしてはならない事項を次の4つと定めています。
- 家賃の額・支払期日・支払方法などの条件と、その変更
- 賃貸住宅の維持保全の実施方法
- 維持保全にかかる費用の分担
- マスターリース契約の解除
広告の媒体は問わない
ガイドラインでは、新聞の折込チラシ、配布用のチラシ、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットのホームページなど、媒体の種類を問わないとしています。営業所が作るチラシも対象です。
「著しく」はどう判断されるか
ガイドラインでは、オーナーになろうとする人が、広告と事実の違いを知っていれば通常その契約に誘われないと判断される場合を「著しく」にあたるとしています。違いの大きさだけで決まるものではありません。
また、一つひとつの言葉だけでなく、広告全体から受ける印象で総合的に判断されます。小さな注意書きがあっても、全体として誤解させるなら問題になりえます。
ガイドラインが示す具体例
ガイドラインは、誇大広告にあたると考えられる例を、4つの事項ごとに示しています。主なものを表にまとめます。
| 事項 | 問題になる表示の例 |
|---|---|
| 家賃とその変更 | 減額の可能性を書かずに「○年家賃保証!」と表示する |
| 家賃とその変更 | 前提の仮定(稼働率など)を書かずに、長期の収支シミュレーションを示す |
| 維持保全の方法 | 実際は受付だけなのに「24時間対応」と表示する |
| 費用の分担 | 大規模修繕はオーナー負担なのに「修繕費負担なし」と表示する |
| 契約の解除 | 会社から解約できるのに「30年一括借り上げ」とだけ表示する |
| 契約の解除 | オーナーからは正当事由が要るのに「いつでも自由に解約できます」と表示する |
家賃と利回りの表示
ガイドラインでは、利回りを示すときに、表面利回りか実質利回りかを明らかにしない表示も問題になるとしています。根拠を示さず「ローン返済期間は実質負担0」とする表示も例に挙がっています。
打消し表示の置き方
「家賃保証」のような目立つ表示を強調表示、その例外や条件を伝える表示を打消し表示と呼びます。ガイドラインでは、打消し表示は強調表示のすぐ横に、一体として読める大きさと色で書くよう求めています。動画では、表示の時間が短くて読めないものも問題になります。
体験談の使い方
「オーナーの声」のような体験談は、多くの人が同じ結果を得られるという印象を与えます。ガイドラインでは、「個人の感想です」と書いても問題になるおそれがあり、法28条違反になる可能性があるとしています。
誇大広告に違反するとどうなるか
国土交通大臣は、違反したサブリース会社や勧誘者に、是正のための指示をすることができます(33条)。特に必要なときや、指示に従わないときは、1年以内の期間を限って勧誘や業務の停止を命じられます(34条)。指示や命令をしたときは公表されます。
罰則も定められています。28条に違反して誤解させる表示をした場合は、30万円以下の罰金です(44条)。会社の従業者が違反したときは、会社にも罰金が科されます(45条)。
広告の後の勧誘で、重要なことを故意に告げなかったり、うそを告げたりする行為は、29条の不当な勧誘にあたります。こちらは6月以下の拘禁刑か50万円以下の罰金、またはその両方の定めがあります。
広告を見るときに確かめること
チェックリスト
広告を受け取ったら、次の点に印をつけながら読みましょう。
- 「保証」の横に、家賃の見直しの時期と減額の可能性が書いてあるか
- 「○年借り上げ」の横に、会社から解約できる場合が書いてあるか
- 修繕費の負担について、オーナー負担になるものが書いてあるか
- 利回りが表面か実質か、前提が書いてあるか
- シミュレーションの前提(稼働率・家賃の変動)が書いてあるか
広告から契約までの流れ
- 広告の写しを保存する(ウェブなら日付の分かる画面の記録を残す)
- 気になった表示について、根拠と条件を会社に書面で尋ねる
- 契約前に受け取る重要事項説明書と、広告の内容を突き合わせる
- 違いがあれば、その場で署名せず、説明を求める
- 違反の疑いが強ければ、国土交通省への申出を考える
ポイント
- 誇大広告は、家賃・維持保全・費用の分担・解除の4つが対象
- 「保証」「一括借り上げ」は、すぐ横の打消し表示まで読む
- 体験談は、注意書きがあっても問題になりうる
- 広告の写しは、のちの相談や申出の大事な資料になる
よくある失敗
- 大きな文字だけを読み、隣の小さな注意書きを読み飛ばす
- 広告を捨ててしまい、あとで説明と違うと言えなくなる
- 建築の営業担当の説明だけで判断し、サブリース会社の書面を読まない
たとえば、建築とセットの提案を受けたFさん
Fさんは、空いた土地にアパートを建てる提案を受けました。チラシには「30年一括借り上げ・家賃保証」と大きく書かれていました。
Fさんは、チラシの同じ面に家賃の見直しの時期や減額の可能性が書かれていないことに気づきました。そこで会社に条件を書面で尋ね、重要事項説明書と見比べてから判断することにしました。
誇大広告と不当な勧誘の違い
広告の決まりと勧誘の決まり
28条の誇大広告の禁止は、チラシやウェブなど「広告」での表示についての決まりです。これに対して29条の不当な勧誘の禁止は、営業担当が直接話すときなど「勧誘」の場面の決まりです。
29条では、重要なことを故意に告げないことや、うそを告げることを禁じています。国土交通省のポータルサイトでは、将来の家賃の減額のリスクを伝えずに良い点だけを話すことや、免責期間を説明しないことを例に挙げています。
保護に欠ける勧誘
施行規則では、次のような勧誘も禁止しています。
- 相手を威迫する行為
- 迷惑を覚えさせるような時間の電話や訪問
- 深夜や長時間の勧誘など、生活や仕事の平穏を害する方法で困らせる行為
- 契約しない意思を示した相手に、勧誘を続ける行為
契約前の説明までの期間
国土交通省のポータルサイトでは、契約前の重要事項の説明から契約を結ぶまでに、1週間程度の期間をおくことが理想としています。広告で興味を持っても、説明を受けたその日に決める必要はありません。
広告を受け取ったときの分かれ道
- 広告に打消し表示がそろっている:重要事項説明書と中身が同じかを確かめる
- 打消し表示が小さい、離れた場所にある:条件を書面で尋ね、答えを残しておく
- 体験談や「確実」の言葉が目立つ:数字の前提を聞き、ほかの会社の提案とも比べる
- 尋ねても書面で答えない:契約を急がず、相談窓口に話を聞く
収支シミュレーションの読み方
広告や提案には、何十年分もの収支の表がついていることがあります。ガイドラインでは、前提となる仮定(稼働率や家賃の変動など)を書かずに長期の収支を示すことを、問題になる例に挙げています。
表を受け取ったら、家賃が何年ごとに見直される前提か、空室をどう見込んでいるか、修繕費がどこまで入っているかを確かめましょう。前提が書かれていなければ、書面で出してもらうことが大切です。
たとえば、ウェブ広告を見たLさん
Lさんは、スマートフォンで「家賃保証で安定収入」という広告を見ました。注意書きは、画面を下までたどった先に小さく書かれていました。
ガイドラインでは、ウェブ広告では打消し表示を強調表示のすぐ横に置くよう求めています。Lさんは画面の記録を残し、会社に条件を書面で求めたうえで、ほかの活用の方法とも比べることにしました。
言葉の言い換え
- 強調表示:「家賃保証」のように、目立つ言葉で条件を強く打ち出す表示
- 打消し表示:強調表示の例外や条件を伝える表示
- 表面利回り:諸経費を引く前の家賃収入をもとにした利回り
- 勧誘者:サブリース会社に代わって勧誘する建築会社や不動産会社など
よくある質問
- 「家賃保証」と書くこと自体が禁止ですか?
- 言葉そのものが一律に禁止されているわけではありません。ガイドラインでは、すぐ横に家賃の見直しや減額の可能性を書くことを求めています。
- 建築会社の広告も対象になりますか?
- サブリース会社に代わって勧誘する建築会社なども「勧誘者」として対象になります。違反すれば、指示や勧誘の停止の対象です。
- ウェブの広告やSNSも対象ですか?
- ガイドラインでは、インターネットのホームページなど媒体の種類を問わないとしています。ウェブ広告にも打消し表示の置き方の留意点が示されています。
- 誇大広告に気づいたら、どこに知らせればよいですか?
- 賃貸住宅管理業法35条の申出制度で、国土交通大臣に知らせることができます。国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイトにある様式に記入し、メールで送ります。
- 誇大広告を見て結んだ契約は、取り消せますか?
- 取り消せるかどうかは、事情によって変わります。法的な判断が必要なので、弁護士や法テラスに相談しましょう。
関係する記事と相談先
契約前に確かめる点は「サブリースの注意点」、契約をやめるときの流れは「サブリースの解約」にまとめています。法律の全体像は「賃貸住宅管理業法」で説明しています。サブリース以外の活用も比べたいときは、会社一覧から探すか、複数の会社にまとめて相談することもできます。
まとめ
- サブリースの誇大広告は、賃貸住宅管理業法28条で禁止されている
- 対象は、家賃・維持保全・費用の分担・契約の解除の4つの事項
- 「家賃保証」の横に、見直しと減額の可能性を書くことが求められる
- 違反すると指示や業務の停止の対象になり、30万円以下の罰金の定めがある
- 広告の写しを残し、重要事項説明書と突き合わせてから判断する




