シェアハウスのトラブル6つと予防策|騒音・共用部・退去時の精算まで

シェアハウスのトラブルは、入居者どうしの生活の問題と、オーナー・運営者との契約の問題に分かれます。この記事では、よくあるトラブル6つと、それぞれの予防策、起きたときの対応の流れを整理します。
結論
- シェアハウスのトラブルは、①騒音、②共用部の使い方、③入居者以外の出入り、④清掃・ごみのルール、⑤家賃の滞納、⑥退去時の費用の精算、の6つが代表的です。
- 国土交通省の調査では、シェア住居などの経験者が不満やトラブルとして最も多く挙げたのは「騒音」で、50.5%でした。
- 予防の中心は、入居前にルールと契約の中身を書面で示し、説明しておくことです。起きたときは、記録・話し合い・書面での通知の順で対応します。
「入居者どうしがもめて、苦情の電話が止まらない」。「退去のときに費用のことで言い争いになった」。シェアハウスを始めたオーナーから、こうした声を聞くことがあります。
シェアハウスは、台所や浴室、リビングを複数の入居者で使う住まいです。一般の賃貸と同じ契約の問題に加えて、共同生活ならではの問題が起きます。
この記事では、よくあるトラブルを6つに分けて、それぞれの予防策を説明します。最後に、トラブルが起きたときの対応の流れと、オーナーが一人で抱えないための考え方を整理します。
シェアハウスのトラブルとは
シェアハウスのトラブルとは、共同生活や契約をめぐって、入居者どうし、または入居者とオーナー・運営者の間で起きる問題のことです。大きく「生活のトラブル」と「契約のトラブル」の2つに分けると、対策を考えやすくなります。
| 種類 | 主な内容 | 主な予防策 |
|---|---|---|
| 生活のトラブル | 騒音、共用部の私物、来客、清掃・ごみ | 生活ルールを書面にして、入居前に説明する |
| 契約のトラブル | 家賃の滞納、設備の説明との違い、退去時の精算 | 契約書と重要な条件を、入居前に書面で示す |
調査で多かったトラブル
国土交通省の「民間賃貸住宅における共同居住形態に係る実態調査」では、シェア住居やルームシェアの経験者に、不満やトラブルをたずねています。多かったのは次の項目です。
- 騒音:50.5%
- 私物を共有スペースに置く:30.1%
- 入居者以外の人を連れてくる:25.8%
- 清掃などのルールを守らない:25.2%
同じ調査では、運営する事業者とのトラブルとして、部屋の設備が事前の情報と違ったという回答が14.6%、共用設備が違ったという回答が14.0%でした。調査は平成24年3月に行われたもので、今の数字とは違う可能性がある点には注意してください。
よくあるシェアハウスのトラブル6つと予防策
1. 騒音
生活の時間帯が違うと、悪気がなくても音が気になります。調査報告では、入浴やドライヤーの音、ドアの開け閉めの音などへの不満が挙げられています。
予防策は、静かにする時間帯をルールに書くことです。洗濯機や浴室の使える時間も決めておくと、もめごとが減ります。
2. 共用部の使い方
台所の冷蔵庫や棚、リビングに私物を置きっぱなしにする問題です。置いてよい場所を区切り、名前を書くなどの決まりを作りましょう。
3. 入居者以外の出入り
友人や恋人を泊める、長く居させるといった問題です。来客を認めるか、認めるなら時間や回数をどうするかを、ルールに書いておきます。
4. 清掃・ごみのルール
当番を決めても、守る人と守らない人の差が不満につながります。運営者が定期的に清掃する範囲と、入居者が行う範囲を分けて書いておくと、責任の所在がはっきりします。
5. 家賃の滞納
一般の賃貸と同じく、滞納は起こりえます。入居審査と、保証の付け方を入居前に決めておきましょう。起きたときの流れは「家賃滞納への対応」で説明しています。
6. 退去時の費用の精算
調査報告では、国民生活センターに寄せられたシェア住居の相談は、退去時のトラブルや費用の精算など、一般の賃貸と同じ内容が多くを占めたとしています。
民法では、借り手は退去のとき、借りたあとに生じた傷を元に戻す義務を負いますが、普通に使ってできた傷みや年月による変化は除かれます。また、敷金は、未払いの家賃などを差し引いた残りを返すと定めています。負担の考え方は「原状回復のガイドライン」も参考にしてください。
ポイント
- いちばん多い不満は騒音。時間帯のルールで減らす
- 共用部・来客・清掃は、決まりを書面にしておく
- 退去時の精算は、一般の賃貸と同じルールで説明する
- 設備は、募集の情報と実物を一致させる
トラブルを防ぐ入居前の準備
トラブルの予防は、入居してからでは遅いことが多いものです。入居前に次の準備をしておきましょう。
- 生活ルールを書面にまとめ、契約書と一緒に渡す
- 契約の前に、ルールと契約の大事な条件を口頭でも説明する
- 部屋と共用部の設備を、写真つきで正確に募集に載せる
- 入居のときに、部屋の状態を入居者と一緒に確かめ、記録を残す
- 困ったときの連絡先と、対応する時間を入居者に知らせる
定期借家を使う場合
シェアハウスでは、期間の決まった定期借家の契約を使うこともあります。借地借家法では、定期借家は書面で契約し、更新がないことを事前に書面を渡して説明しなければならないとしています。説明をしなかった場合、更新がないという定めは無効です。
期間が1年以上の場合は、期間が終わる1年前から6か月前までに、終わることを入居者に通知する必要があります。違いは「定期借家と普通借家の違い」で確かめてください。
トラブルが起きたときの対応の流れ
- 苦情の内容・日時・関わった人を記録する
- 当事者の話を、それぞれ別々に聞く
- ルールのどこに当たるかを確かめ、注意する
- 改善しないときは、書面で通知する
- 契約違反が続くときは、契約の解除を含めて専門家に相談する
入居者どうしで解決できず、管理人を通じても改善しにくいという声が調査報告にも出ています。オーナーだけで抱えず、運営会社や管理会社に任せる範囲を決めておくと安心です。
言ってはいけないこと
感情的に「出ていってもらう」と伝えると、話がこじれます。契約の解除には法律上の要件があります。まずはルールと事実にもとづいて、落ち着いて話しましょう。
「あなたが悪い」と決めつける言い方も避けます。苦情を伝えた入居者の名前を出すと、入居者どうしの関係がさらに悪くなることがあります。だれが言ったかではなく、どのルールのことかを伝えるのが基本です。
たとえば、4人で住む戸建ての場合
たとえば、戸建てを4室のシェアハウスにしたEさん。夜勤の入居者と朝の早い入居者の間で、浴室の音をめぐる苦情が続きました。
Eさんは、まず苦情の日時を記録しました。次に、浴室を使える時間帯をルールに足し、全員に書面で知らせました。そのうえで、苦情の窓口を運営会社に任せることにしました。
生活ルールに入れておきたい項目のチェックリスト
ルールは細かすぎると守られず、ゆるすぎるともめごとの元になります。まずは次の項目から決めていきましょう。
- 静かにする時間帯と、洗濯機・浴室を使える時間
- 台所・冷蔵庫・棚の使い方と、私物を置いてよい場所
- 来客を認めるか、認めるなら時間と泊まりの扱い
- 清掃の分担と、ごみの出し方・分別の方法
- 喫煙、ペット、火の使い方
- 共用の消耗品(トイレットペーパーなど)をだれが用意するか
- ルールに違反したときの対応の順番
ルールを作るときの分かれ道
- 入居者が少ない:細かな当番よりも、話し合いで決める場を設ける
- 入居者が多い:当番表や掲示など、目に見える仕組みにする
- 生活の時間帯がばらばら:時間に関するルールを先に決める
- 外国から来た入居者がいる:ルールを分かりやすい言葉で書き、図や写真も使う
運営を任せるか、自分で見るか
自分で運営すると、細かな事情に合わせやすい反面、苦情の連絡がオーナーに直接届きます。運営会社に任せる場合は、苦情の受付、ルールの説明、退去の立ち会いのうち、どこまでを任せるかを契約で決めておきましょう。
契約のトラブルを防ぐ書き方
生活のトラブルに目が向きがちですが、オーナーとの間でこじれやすいのは契約の問題です。次の点を、契約書やルールの書面ではっきりさせておきましょう。
費用の内訳を分けて書く
家賃のほかに、共益費や光熱費、インターネット代などを受け取る場合は、何に使うお金かを分けて書きます。光熱費を定額にするか、使った分にするかも決めておきます。あいまいなままだと、退去のときに「何のお金だったのか」と問われます。
解約の申し出の方法を決める
調査では、運営事業者とのトラブルとして、解約を申し出たのに素早い対応が得られなかったという回答もありました。解約を申し出る方法と、いつまでに申し出るかを、契約に書いておきましょう。
退去時の精算の基準を先に示す
退去のときに入居者が負担する費用の例を、入居前に示しておきます。調査では、契約にない修繕費などを退去時に請求されたという回答もありました。契約にない費用は請求しない、という姿勢を保つことが信頼につながります。
よくある失敗
- 募集の写真が古く、入居してから設備の違いを指摘される
- ルールを入居後に増やし、前からの入居者に説明していない
- 鍵の受け渡しや退去の立ち会いの記録を残していない
- 苦情を受けた入居者だけを注意し、相手側の話を聞いていない
入居前の面談で伝えたいこと
入居を決める前に、面談や内見の場で、共同生活であることをはっきり伝えましょう。台所や浴室を共有すること、生活ルールがあること、ほかの入居者の生活時間が違うことを、具体的に話しておきます。
一人暮らしと同じ感覚で入居すると、小さなことが不満になりやすくなります。入居前の説明は、トラブルを防ぐいちばん安い手段です。合わないと感じた人が入居を見送れることも、ほかの入居者を守ることにつながります。
よくある質問
- シェアハウスでいちばん多いトラブルは何ですか?
- 国土交通省の調査では、シェア住居などの経験者が最も多く挙げた不満・トラブルは騒音(50.5%)でした。
- 生活ルールに違反した入居者を、すぐに退去させられますか?
- すぐにはできないのが普通です。注意と書面での通知を重ね、違反が続くときは契約の解除を含めて専門家に相談しましょう。
- 退去時のクリーニング代は入居者に請求できますか?
- 契約の定めと、民法の原状回復のルールによります。普通に使ってできた傷みは、借り手の負担から除かれるのが原則です。
- 入居者どうしのトラブルも、オーナーが対応しないといけませんか?
- 運営会社や管理会社に任せる方法があります。任せる範囲は、委託の契約で決めておきましょう。
- ルールは口頭で伝えるだけでよいですか?
- 書面にして渡すことをおすすめします。あとで「聞いていない」と言われるのを防げます。
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ルールと契約の作り方は「シェアハウスのルールと契約」、運営会社の比べ方は「シェアハウス運営会社の選び方」で説明しています。入居者の選び方は「入居審査のポイント」も参考になります。運営を任せられる会社はシェアハウスの会社一覧から探せます。まとめて相談することもできます。
まとめ
- シェアハウスのトラブルは、生活のトラブルと契約のトラブルに分かれる
- 国の調査で最も多かった不満は騒音(50.5%)
- 共用部・来客・清掃・時間帯は、ルールを書面にして入居前に説明する
- 退去時の精算は、民法の原状回復と敷金のルールに沿って説明する
- 起きたときは、記録・個別の聞き取り・書面での通知の順で対応する
- 苦情の窓口を運営会社に任せる範囲を、あらかじめ決めておく




