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青色事業専従者給与とは?不動産所得で家族に払う給与の要件・届出の期限・注意点

オーナー収益革命 編集部

青色事業専従者給与とは?不動産所得で家族に払う給与の要件・届出の期限・注意点

賃貸経営を手伝う家族への給与を経費にできる、青色事業専従者給与の要件をまとめた記事です。事業的規模の条件、届出書の期限と書くこと、6か月を超えて専ら従事する要件、白色申告の事業専従者控除との違いを説明します。

結論

  • 青色事業専従者給与とは、青色申告をするオーナーが、生計を一にする家族に払った給与を、届出の範囲内で必要経費にできる仕組みです。
  • 不動産所得では、貸付けが事業的規模(独立家屋ならおおむね5棟以上、アパートなどならおおむね10室以上)の場合に限って使えます。
  • 給与を経費にしたい年の3月15日までに届出書を出し、家族がその年を通じて6か月を超えて専ら従事していることが要件です。

アパートの入居者対応や帳簿づけを、配偶者が手伝っている。その分の給与を払って経費にできないか、と考えるオーナーは多いと思います。

ところが、家族に払う給与は、原則として経費になりません。経費にできるのは、青色事業専従者給与の要件を満たす場合に限られます。

この記事では、国税庁のタックスアンサー No.2075 と所得税法の条文をもとに、青色事業専従者給与の要件と届出に絞って説明します。青色申告の特典全体は「不動産所得の青色申告」で整理しています。

青色事業専従者給与とは

家族への給与は原則として経費にならない

所得税法第56条では、生計を一にする家族が事業を手伝って対価を受けても、その対価はオーナーの必要経費にしないと定めています。家族の間でお金を移すだけで、税金を減らせてしまうのを防ぐためです。

例外として経費にできる仕組み

その例外が青色事業専従者給与です(所得税法第57条第1項)。青色申告の承認を受けたオーナーが、届け出た方法と金額の範囲で払った給与のうち、労務の対価として相当な額を経費にできます。

経費になった給与は、受け取った家族の給与所得の収入になります。オーナーの所得が減る一方で、家族の側には給与所得がかかるため、家族全体での損得で考えることが大切です。

言葉の言い換え

  • 生計を一にする:同じ財布で暮らしている
  • 専ら従事する:ほかの仕事より、その事業を主にしている
  • 青色事業専従者:要件を満たして給与を受ける家族

不動産所得で使えるのは事業的規模だけ

事業的規模の目安

No.2075 では、不動産所得の場合、貸付けが事業として行われているときに限り、青色事業専従者給与が使えるとしています。

No.1373 では、建物の貸付けは、次のどちらかに当てはまれば原則として事業として扱うとしています。

  • アパートなどは、貸せる独立した部屋がおおむね10室以上
  • 独立家屋は、おおむね5棟以上

規模で変わること

項目事業的規模それ以外
家族への給与(青色申告)青色事業専従者給与として経費にできる経費にできない
事業専従者控除(白色申告)使える使えない
青色申告特別控除(令和8年分まで)要件を満たせば最高55万円または65万円最高10万円

部屋数が少ない場合は、家族が手伝っていても給与を経費にできません。規模の判断に迷うなら、税務署に確かめます。

青色事業専従者の要件

家族の側の要件

No.2075 と所得税法第57条によると、青色事業専従者は次をすべて満たす人です。

  1. 青色申告をするオーナーと生計を一にする配偶者や、そのほかの親族である
  1. その年の12月31日の時点で15歳以上である
  1. その年を通じて6か月を超えて、その事業に専ら従事している

6か月を超える要件の例外

所得税法施行令第165条では、年の途中で開業した場合や、病気・婚姻などで1年を通じて従事できなかった場合は、従事できた期間の2分の1を超えれば足りるとしています。

従事した期間に数えない期間

同じ条では、昼間の学校の学生である期間や、ほかに仕事を持っている期間は、原則として専ら従事する期間に含めないとしています。ただし、ほかの仕事の時間が短いなど、専ら従事するのが妨げられない場合は除かれます。

ポイント

  • 不動産所得では、事業的規模の貸付けでないと使えない
  • 家族は生計を一にし、12月31日に15歳以上であること
  • その年を通じて6か月を超えて専ら従事していること
  • ほかに仕事を持つ期間は、原則として従事期間に数えない

届出書の出し方と期限

届出の期限

所得税法第57条第2項では、「青色事業専従者給与に関する届出書」を、給与を経費にしたい年の3月15日までに、所轄の税務署長に出すよう定めています。その年の1月16日以後に事業を始めた場合や、新たに専従者を置いた場合は、その日から2か月以内です。

青色申告の承認申請書も、原則としてその年の3月15日までに出します(所得税法第144条)。両方の期限を同じ時期にそろえて準備すると、出し忘れを防げます。

届出書に書くこと

届出書には、専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを書きます。経費にできるのは、届出書に書いた方法で、書いた金額の範囲内で払った給与だけです。

内容を変えるとき

専従者を増やす、給与を上げるなど、届け出た内容を変えるときは、変更届出書を遅滞なく出します(所得税法施行令第164条第2項)。

給与の額はいくらまでか

相当な額の決め方

所得税法施行令第164条第1項では、次の状況に照らして、労務の対価として相当かを判断するとしています。

  • 従事した期間、仕事の内容と、どれだけ働いたか
  • ほかの使用人の給与や、同じくらいの規模の同業者の給与
  • 事業の種類と規模、収益の状況

相当な額を超えた部分は、経費になりません。仕事の中身と比べて高すぎる額を届け出ないようにします。

場面の例:アパート2棟で12室を持つ

Nさんは、アパート2棟で合わせて12室を貸しています。配偶者が入居者からの連絡の受付と帳簿づけを、平日に毎日担っています。

部屋数がおおむね10室以上なので、事業的規模に当たる見込みです。Nさんは、仕事の内容と時間を書き出し、管理会社に同じ仕事を頼んだ場合の費用も参考にして、給与の額を決めることにしました。

場面の例:貸家を3棟持つ

Qさんは、一戸建ての貸家を3棟持ち、配偶者が掃除の手配や入居者の連絡を手伝っています。独立家屋はおおむね5棟以上が事業的規模の目安なので、3棟だけでは当たらない見込みです。

この場合、配偶者に給与を払っても経費になりません。Qさんは、今後の物件の増やし方を考えるときに、規模の目安もあわせて確かめることにしました。

場面の例:年の途中で専従者を置く

Rさんは、6月に部屋数が10室を超え、7月から配偶者に専従してもらうことにしました。新たに専従者を置いた場合、届出書はその日から2か月以内に出します。

年の途中から従事する場合、その年を通じて6か月を超える要件を満たせるかも確かめます。Rさんは、税務署に届出の時期と従事の期間の数え方を確かめてから、給与の支払いを始めることにしました。

給与を払う前のチェックリスト

  • 貸付けの規模が、おおむね10室以上か5棟以上か
  • 青色申告の承認を受けているか、申請の期限に間に合うか
  • 家族が生計を一にし、12月31日に15歳以上か
  • 6か月を超えて専ら従事できるか、ほかに仕事を持っていないか
  • 届出書に、氏名・仕事の内容・金額・支給期を書いたか
  • 届出書に書いた方法と金額の範囲で払っているか
  • 給与を払った記録と、仕事の記録を残しているか

白色申告の事業専従者控除との違い

控除額の決め方

白色申告では、給与の代わりに事業専従者控除を使います(所得税法第57条第3項)。控除額は、次のうち低い方です。

  • 配偶者は86万円、ほかの家族は1人50万円
  • 控除前の所得を、専従者の数に1を足した数で割った額

比べると

項目青色事業専従者給与事業専従者控除
申告の種類青色申告白色申告
経費にできる額届け出た範囲で、相当な額配偶者86万円・ほか50万円などのうち低い額
事前の届出必要不要(確定申告書に書く)

青色事業専従者給与を使うか迷ったら

判断の分かれ道

  • 家族が主に賃貸の仕事をしている:要件を満たせば、使う意味がある
  • 家族がパートなどで別に働いている:専ら従事と言えるかを先に確かめる
  • 配偶者控除を受けている:給与を経費にする分と、控除がなくなる分を比べる
  • 部屋数が目安の前後:物件の増減で、年ごとに使えなくなることがある

管理会社に任せる場合との比べ方

入居者の対応や清掃を家族が担う代わりに、管理会社に任せる方法もあります。管理会社に払う費用は経費になり、家族の時間も空きます。

家族に任せるか、外に任せるかは、仕事の量と、家族が続けて担えるかで考えます。管理を任せる会社の探し方は「管理会社の選び方」で説明しています。

よくある失敗と注意点

専従者を扶養にも入れてしまう

No.2075 では、青色事業専従者として給与を受ける人は、配偶者控除などの対象となる同一生計配偶者や扶養親族になれないとしています。給与を払う年は、配偶者控除などを申告に入れないよう注意します。

届出書を出さずに払う

届出書を出していなければ、給与を払っても経費になりません。出し忘れに気づいたら、次の年の期限に間に合うよう準備します。

変更の届出を忘れて給与を上げる

届出書に書いた金額より多く払っても、その超えた部分は経費になりません。給与を上げる前に、変更届出書を出しておきます。

規模が変わったことに気づかない

物件を売って部屋数が減ると、事業的規模に当たらなくなることがあります。その場合は、その年から専従者給与を経費にできなくなるため、物件を手放すときは規模の目安も確かめます。

会社勤めの家族を専従者にする

家族がほかでフルタイムで働いていれば、専ら従事しているとは言いにくくなります。従事の実態を記録しておくことが大切です。

よくある質問

青色事業専従者給与の届出の期限はいつですか?
給与を経費にしたい年の3月15日までです。1月16日以後に事業を始めた場合や新たに専従者を置いた場合は、その日から2か月以内です。
アパートが数室でも青色事業専従者給与は使えますか?
不動産所得では、事業的規模の貸付けの場合に限られます。アパートなどはおおむね10室以上が目安です。
青色事業専従者給与に上限はありますか?
決まった上限額はありませんが、労務の対価として相当な額に限られます。届出書に書いた金額の範囲内で払う必要もあります。
専従者は配偶者控除を受けられますか?
受けられません。青色事業専従者として給与を受ける人は、同一生計配偶者や扶養親族になれません。
学生の子どもに給与を払えますか?
昼間の学校の学生である期間は、原則として専ら従事する期間に含めません。夜間の学校などは例外があります。
毎年出し直す必要はありますか?
届け出た内容のまま続けるなら、毎年出し直す決まりはありません。専従者を増やしたり、給与を上げたりするときは、変更届出書を遅滞なく出します。

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まとめ

  • 家族への給与は原則として経費にならず、青色事業専従者給与は例外
  • 不動産所得では、事業的規模の貸付けでないと使えない
  • 家族は15歳以上で、6か月を超えて専ら従事していることが要件
  • 届出書は給与を経費にしたい年の3月15日までに出す
  • 専従者は配偶者控除や扶養控除の対象にならない

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