空き家の防犯対策とは?不法侵入・放火を防ぐ鍵・窓・敷地の管理と見回りのコツ

人の気配がない空き家は、侵入やいたずら、放火の心配がつきまといます。警察庁の統計と国の指針をもとに、鍵・窓・敷地・見回りの4つに分けて、今日からできる防犯の工夫を整理します。
結論
- 空き家の防犯対策の基本は、「鍵をかける」「窓を破られにくくする」「空き家だと気づかれにくくする」「定期的に見回る」の4つです。
- 警察庁の令和6年のデータでは、一戸建て住宅への侵入窃盗の手口は「無締り(鍵のかけ忘れ)」が1位、「ガラス破り」が2位でした。
- 国の空家法の指針は、窓や戸などの破損による不法侵入を防ぐことを、所有者が気をつける管理の1つに挙げています。
- 防犯の手入れは、空き家が「管理不全空家」や「特定空家」と判断されるのを防ぐことにもつながります。
「空き家にだれかが入り込んでいないか、遠くに住んでいると気が気でない」。実家を相続した方から、よく聞く悩みです。
人が住んでいる家なら、物音や灯りで異変に気づけます。空き家にはそれがありません。侵入されても、何週間も気づかないことがあります。
この記事では、警察庁の統計と国の指針をもとに、空き家の防犯対策を「鍵」「窓」「敷地」「見回り」に分けて整理します。お金をかける前にできることから順に並べました。
空き家の防犯対策とは
意味を一言で
空き家の防犯対策とは、住む人がいない家に、他人が入り込んだり、物を盗んだり、火をつけたりするのを防ぐための手入れと工夫のことです。鍵や窓の強化だけでなく、「人の目が届いている家」に見せることも含みます。
空き家で心配なこと
- 不法侵入:だれかが勝手に入り込み、寝泊まりや物置に使う
- 窃盗:残した家財や銅線、給湯器などを持ち去られる
- いたずら:窓を割られる、落書きをされる、ごみを捨てられる
- 放火:敷地に置いた物や、燃えやすいごみに火をつけられる
どれも、持ち主が気づくのが遅れるほど被害が広がります。
言葉の言い換え
- 無締り:鍵がかかっていない戸や窓から入られること
- ガラス破り:窓ガラスを割り、手を入れて鍵を開けること
- 補助錠:もとの鍵とは別に、窓や戸に後から付ける鍵
- 開口部:窓・戸・勝手口など、建物の外とつながる部分
- CP部品:こじ開けなどへの強さを試験で確かめた、ドア・錠・ガラスなどの部品
放火の数
消防白書(令和7年版)によると、令和6年の放火による火災は2,377件で、出火全体の6.4%でした。「放火の疑い」を合わせると3,904件、全体の10.5%になります。
放火は、空き家だけで起きるものではありません。それでも、人の目がなく、燃えやすい物が置かれたままの敷地は、火をつけられても気づかれにくい場所です。
侵入はどこから?警察庁のデータで見る手口
一戸建ては「鍵のかけ忘れ」が最多
政府広報オンラインが警察庁「住まいる防犯110番」のデータをもとにまとめた記事では、令和6年の侵入窃盗の手口は次のとおりでした。
| 住宅の形 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 一戸建て住宅 | 無締り(5,950件) | ガラス破り(4,454件) | ドア鍵破り(328件) |
| 共同住宅(3階建て以下) | 無締り(1,483件) | ガラス破り(526件) | 合い鍵(356件) |
| 共同住宅(4階建て以上) | 無締り(671件) | 合い鍵(393件) | ガラス破り(134件) |
同じ記事では、どの形の住宅でも、侵入口は「窓」と「表出入口」で全体の7割以上を占めるとされています。
空き家に当てはめると
この数字は、人が住む家も含めた全体のものです。それでも、空き家の防犯で何から手をつけるかの目安になります。
- 見回りのあと、勝手口や2階の窓の鍵を閉め忘れていないか
- 割られやすい掃き出し窓や、裏手の窓が無防備になっていないか
- 合い鍵を植木鉢の下や郵便受けに隠していないか
空き家は「かけたつもり」の鍵が一番の弱点になりがちです。見回りのたびに、出る前に全部の窓と戸を指差しで確かめましょう。
鍵と窓の防犯対策
鍵の対策
- 見回りの最後に、すべての戸と窓の鍵を確かめる
- 合い鍵を家の外に置かない。親族で鍵を持つ人を決めて、本数を把握する
- 勝手口や古い錠前は、防犯性能の高い錠への交換を考える
- 玄関はツーロック(鍵を2つ付ける)にする
政府広報オンラインの記事は、合い鍵を玄関まわりや郵便受けに隠しても侵入者は見抜くとして、家の外に置かないよう呼びかけています。
窓の対策
同じ記事では、ガラス破りへの対策として、不在のときは雨戸を閉める、窓に補助錠を付ける、窓ガラスの全面に防犯フィルムを貼る、といった方法が挙げられています。
網入りガラスは防火のためのガラスで、侵入を防ぐ効果はないとされています。また、鍵の近くだけにフィルムを貼っても、より大きく割られるため不十分です。
「5分」という目安
政府広報オンラインの記事は、5分以内に侵入できなければ約7割の侵入者があきらめる、と紹介しています。防犯性能の高い建物部品(CP部品)は、5分間以上、こじ開けなどに耐えることを試験で確かめたものです。
ただし、CP部品でも侵入を完全に防げるわけではありません。鍵・窓の強化は、ほかの対策と組み合わせて使います。
ポイント
- 一戸建ての侵入手口は「鍵のかけ忘れ」と「ガラス破り」が上位
- 見回りの最後に、戸と窓の鍵を全部確かめる
- 合い鍵は家の外に隠さない
- 窓は雨戸・補助錠・全面の防犯フィルムで時間を稼ぐ
敷地の防犯対策:「空き家だと気づかせない」
下見で見られていること
政府広報オンラインの記事では、侵入者は目星をつけた家や地域を下見することが多いとされています。人通りの少なさや、ご近所があいさつを交わしているかといった、地域の様子も見られています。
空き家は、次のような点から「だれも住んでいない」と気づかれやすくなります。
- 郵便受けにチラシや郵便物があふれている
- 庭木や雑草が伸び放題で、窓の前が見えない
- 雨戸が何か月も閉めたまま、夜も真っ暗
- 敷地にごみや古い家具が置かれたまま
敷地の手入れ
- 郵便物の転送や、チラシお断りの表示で、郵便受けをあふれさせない
- 庭木を切り、道路やお隣から窓の前が見えるようにする
- 物置やエアコンの室外機が2階への足場にならないか確かめる
- 敷地に燃えやすい物(古新聞・段ボール・灯油の容器など)を置かない
- 門扉を閉め、だれでも自由に出入りできる状態にしない
国の空家法の基本指針も、定期的に郵便物などを確かめて整理することを、日常的な管理の1つとして挙げています。
灯りとカメラ
政府広報オンラインの記事は、センサーライトや防犯カメラを外から見える位置に付け、「侵入しにくい家」だと思わせることも有効だとしています。カメラはダミーではなく、録画できるものを選ぶよう勧めています。
電気を止めている空き家では、電池式の機器を選ぶか、電気を残すかを考えます。電気や水道の扱いは、空き家の管理方法でも整理しています。
見回りで防犯の点検をする
国の指針が示す点検
空家法の基本指針(令和8年9月3日改正)は、所有者が気をつける管理の1つに「不法侵入の防止」を挙げています。点検するのは、不法侵入の形跡や、窓・戸などの開口部の破損です。見つかったら補修することが考えられるとしています。
見回りのときの防犯チェックリスト
- 戸・窓・勝手口の鍵がかかっているか。こじ開けた跡はないか
- 窓ガラスにひびや割れはないか
- 室内に、知らない物・たばこの吸い殻・食べ物のごみがないか
- 家財や設備がなくなっていないか
- 郵便受けがあふれていないか
- 敷地にごみや燃えやすい物が捨てられていないか
- お隣から「最近、人の出入りを見た」などの話がないか
毎回、同じ場所を同じ向きで写真に撮っておくと、前回との違いに気づきやすくなります。見回りの全体の手順は空き家の管理方法で詳しく紹介しています。
侵入の跡を見つけたら
室内にだれかがいるおそれがあるときは、中に入らず、その場を離れて110番通報します。自分で確かめようとするのは危険です。
被害が分かったら、警察に届けて、壊された箇所と持ち去られた物を写真と一緒に記録します。火災保険の補償の対象になるかは、契約先に確かめましょう。空き家の保険の考え方は空き家の火災保険で説明しています。
防犯を怠ると、法律の上でも困ることがある
所有者には管理の努力義務がある
空家法第5条は、空き家の所有者などに、周りの生活環境に悪い影響を与えないよう、適切に管理することに努めるよう定めています。
管理不全空家・特定空家の判断
国土交通省のガイドラインでは、不法侵入につながる状態として、次の例が挙げられています。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 管理不全空家 | 窓や戸などの開口部の破損 |
| 特定空家 | 不法侵入の形跡、だれでも簡単に入れるほどの大きな開口部の破損 |
割れた窓を放っておくと、防犯の問題だけでなく、市区町村から指導を受ける理由の1つになりえます。勧告を受けると土地の固定資産税の軽減が外れることもあります。詳しくは管理不全空家と固定資産税をご覧ください。
遠くに住んでいて通えないとき
見回りの回数が少ないほど、侵入に気づくのが遅れます。次のような工夫を組み合わせましょう。
- お隣や町内の方に連絡先を渡し、気づいたことを知らせてもらう
- 親族で見回りの担当と、鍵を持つ人を決めておく
- 自分で通えない時期は、管理の会社に見回りを任せる
- 使う予定がないなら、貸す・売るなどで空き家のままにしない道を考える
管理を任せるときの確認点は空き家の管理方法でまとめています。
よくある失敗と、場面の例
よくある失敗
- 雨戸を閉め切ったままにして、かえって空き家だと目立つ
- 合い鍵を親族の何人かに渡し、だれが持っているか分からなくなる
- 割れた窓を「次に来たときに直そう」と後回しにする
- 家財を残したまま、何があったかの記録をとっていない
場面の例
Cさんは、隣の県にある実家を空き家のまま持っています。お隣から「夜に懐中電灯の光が見えた」と電話があり、見に行くと勝手口の鍵が開いていました。前回の見回りで閉め忘れていたのです。
Cさんは鍵を全部確かめる手順を紙に書いて玄関に貼り、勝手口に補助錠を付けました。お隣には連絡先を渡し、気づいたことがあれば知らせてもらう約束をしています。
よくある質問
- 空き家の防犯で、最初にやることは何ですか?
- 戸と窓の鍵をすべて確かめ、合い鍵を外に置かないことです。一戸建ての侵入手口で最も多いのは鍵のかけ忘れです。
- 空き家に防犯カメラは必要ですか?
- 必ずではありませんが、外から見える位置に付けると、侵入しにくい家だと思わせる効果が期待できます。ダミーではなく録画できるものを選びます。
- 空き家の放火を防ぐにはどうすればいいですか?
- 敷地に古新聞や段ボールなど燃えやすい物を置かず、ごみを片づけることです。門扉を閉め、だれでも入れる状態にしないことも大切です。
- 雨戸は閉めたままがいいですか?
- 不在のときに雨戸を閉めることはガラス破りへの対策になります。ただ、ずっと閉め切ると空き家だと目立つので、郵便受けや庭木の手入れも合わせて行います。
- 侵入された跡を見つけたらどうしますか?
- 中にだれかがいるおそれがあれば、入らずに110番通報します。被害は写真で記録し、保険の契約先にも連絡します。
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まとめ
- 空き家の防犯対策は「鍵」「窓」「敷地」「見回り」の4つで考えます
- 一戸建ての侵入手口は、鍵のかけ忘れとガラス破りが上位です
- 合い鍵は外に置かず、窓は雨戸・補助錠・全面の防犯フィルムで守ります
- 郵便受けと庭木を手入れし、空き家だと気づかれにくくします
- 燃えやすい物を敷地に置かないことが、放火への備えになります
- 割れた窓を放っておくと、管理不全空家と判断される理由にもなります




